技術コラム

【中途半端だと漏れの原因に】シャッター弁の正しい使い方
2021/11/10 09:00

MONOVATEの「シャッター弁」は粉粒体専用のバルブです。ステンレス製の弁をスライドさせることにより、弁の開閉をおこないます。開閉が簡単、さらに分解・組立・洗浄が容易なのが特長です。

シャッター弁は全開⇔全閉での使用・全量排出を前提としています。構造上、中途半端な開閉状態で使用すると、すき間から粉漏れする可能性があるからです。

「じゃあ実際にどれくらい漏れるの?」というお客さまの疑問にお答えするため、このコラムではシャッター弁を半開状態にして粉を投入したときに、どれだけ漏れが生じるのかを検証してみました。

1. シャッター弁は全開⇔全閉で使用する

実験を行う前に、シャッター弁の構造を確認しておきましょう。

シャッター弁は、開口用の穴が付いた板状の弁をスライドさせることで開閉を行います。全開にすると弁はドレン口と同じ口径がとれ、流れに対して障害物なく排出できる構造です。

本製品は全開⇔全閉での使用・全量排出を前提としています。下の画像のように、弁の穴の位置が内径と外装にまたがってあるとき、そのすき間からの漏れが懸念されるためです。

▲半開にした状態

2. 【実験】半開で投入したときの漏れ量はどれくらい?

では、実際にはどれくらい漏れてしまうものなのでしょうか。今回はシャッター弁を半開にした状態で下の3つの粉体を投入し、粉の漏れ具合を確認してみました。

  • 薄力粉
  • パン粉
  • 粗塩

2.1. 薄力粉-勢いよく漏れた

まずは、今回実験に使う材料の中で、最も粒子が小さい薄力粉から試してみましょう。シャッター弁を半分開いたまま勢いよく投入すると、以下のようになりました。

ご覧いただけるように、すき間から粉が噴き出すように漏れ出しています。シャッター弁を完全に開かないとすき間が生じ、粉漏れの原因となることがあります。

弁を完全に開けた状態だとどうなる?

弁を完全に開けた状態で投入すれば、粉は漏れ出しません。弁を完全に開け、PTFEパッキンのすき間を埋めることができていれば粉が漏れ出す心配はないでしょう。

※動画では投入部から舞い上がってしまったものが床に落下しています

2.2. パン粉-細かなもののみ漏れた

続いて、パン粉を投入してみましょう。薄力粉よりも粗い粉体のため、先ほどよりは漏れは少なくなると予想されますが、結果はどうなるでしょうか。

先ほどよりは少ないですが、細かなパン粉は漏れ出してしまいました。

2.3. 粗塩-わずかに漏れた

最後に、粗塩を投入してみます。先の2種に比べて比重が大きいので、漏れは生じにくいと考えられます。

ご覧いただいたように、数粒漏れ出しました。やはり半開状態ではすき間が空いてしまっている以上、漏れは避けられないようです。

3. 排出量に応じた排出口径を選択しよう

シャッター弁を半開にした状態で使用すると、程度の差こそあれ粉漏れしてしまうことがわかりました。

粒径により漏れ出さない粉体もありますが、ねじをどれくらい締め付けるかによりすき間の大きさが変化するため、「粒径が○○以下なら漏れません」と明確に述べることができません。

そのため、基本的にシャッター弁での流量調整は推奨していません。排出量に応じた排出口径を選択し、全量排出を前提としたうえで全開⇔全閉で使用するようにしてください。

開閉・分解・組立が簡単な「シャッター弁」

開口用の穴が付いた弁をスライドさせることで開閉する「シャッター弁」は、全開・全閉を素早くできるのが特長。すべて分解・組立できるので、洗浄も容易でサニタリー性に優れています

排出口径のラインナップなどの詳細情報は製品ページをご覧ください。

\ 構造紹介の動画もこちらから /

製品ページを確認する

「のぞき窓は真空で使えるの?」実験しました
2021/10/11 09:00

「のぞき窓は真空用途でも使えるの?」とお問い合わせをいただくことがあります。
このコラムでは真空に関する超基礎的なお話と、のぞき窓の真空用途での使用について検証のようすをご紹介します。

▼ のぞき窓真空実験と結果だけ確認する

そもそも真空って何?

「真空」というと、宇宙空間のようにまったく空気がない状態…を思い浮かべる方が多いかもしれません。
辞書的にはそのような意味を指すこともありますが、実はJIS(日本産業規格)ではもう少し広い意味を指します。

「通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間の状態」

たとえば、ストローでコップの飲み物を吸いあげるのも真空を利用したものです。
息を吸い込むことでストロー内の圧力が他の場所より低く(真空状態に)なります。コップの飲み物はより低圧の空間に移動しようとするので、結果として飲み物が吸いあがり、私たちはストローで飲み物を飲むことができます。

皆さんが思っているよりも真空は定義が広く、また身近なところに存在します。

身近な「真空」の例

  • 吸盤:壁との間を真空状態にし、外側から大気圧で押さえつける(壁などにくっつく)
  • 魔法瓶:空気を通って熱が移動するのを防ぐ(中身を保温する)
  • 食品の真空パック:空気を遮断し、酸素による酸化やカビの発生を防ぐ(劣化を防ぐ)

弊社の圧力容器も、真空と組み合わせて以下のような使い方でご採用いただいています。

  • 吸引ろ過:フィルター越しに液体等を引き込んで異物を除去する
  • 脱泡:撹拌により泡立った液体から気泡を除去する 等

※弊社の圧力容器を真空でご利用いただく場合、容器の強度面には問題がなく、ポンプで引き続けるような使い方であれば可能です。ただし真空状態を長期間保持するような使い方の場合、シール材の透過性を考慮する必要があり、現状では保証外となっております。

かなり簡単にですが、「真空」についてご説明いたしました。

実験

今回は以下のような条件で実験を行いました。

使用した製品

* 容器のシール部はシリコン製のOリングを使用
* ワイパーの軸がガラスを貫通しており リークの可能性が高いと想定される形状ののぞき窓を選定しました

実験の流れ

  • 容器を真空ポンプに接続し-0.1MPaまで減圧、真空状態に。
  • ポンプの運転を止め、真空状態を保持。
  • 「ワイパー接続部から容器内の真空状態に影響を及ぼさないか」「のぞき窓のワイパーを動かしても容器内の圧力に変動が無いか」を確認。

結果

ワイパー付きのぞき窓からリークすることなく使用することができました。

▲ ワイパー付きのぞき窓がついていても真空状態を保持。

▲ また、ワイパーを動かしても容器内の圧力は変化しませんでした。

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ステンレス容器の耐熱温度と加熱に関するあれこれ
2021/09/06 09:00

お客様より、ステンレス容器の耐熱温度は何℃ですか?とご質問いただくことがあります。
このコラムでは、ステンレス容器の耐熱温度と、ステンレス容器を使って内容物を加熱(加温/昇温)するときの注意点、加熱に関するよくある質問についてご紹介します。

ステンレス容器の耐熱温度

耐熱温度は、ステンレス鋼の種類によって異なります。
弊社製ステンレス容器で主に使用している、SUS304(18-8ステンレス)ステンレス鋼自体の耐熱温度は700℃~800℃程度ですが、300℃以上になると焼色(テンパーカラー)が付きます。

弊社製ステンレス容器は薄板で製作しており、高温になると焼色だけでなく歪みなどが生じて使用に支障が出やすくなりますので、耐熱温度は約300℃としています。(耐寒温度は-273℃)

※焼色の色は素材・温度・表面状態などにより異なります。
※他社製品の耐熱温度につきましては、製品のメーカーさまにお問い合わせください。

付属品の耐熱温度に注意

例えばパッキンが付属するステンレス容器の場合、ステンレスの耐熱温度がOKだとしても、パッキンの耐熱温度がNGである場合があります。
パッキンなどステンレス以外の付属品がある場合は、付属品自体の耐熱温度もご確認ください。
> パッキン特性一覧表

ステンレスは一度温まれば冷めにくい

ステンレス(SUS304)はアルミや銅などに比べると熱伝導性に劣り、温まるまでに時間がかかります。しかし保温性(蓄熱性)に優れており、一度温まれば冷めにくいのが特長です。

加えてステンレスは錆びにくく衛生的に永くご使用いただけるため、温調を伴う工程ではステンレス容器が選ばれています。

ステンレス容器を使って内容物を加熱するときの注意点

空焚きや密閉状態での加熱は絶対NG

空焚きや密閉状態での加熱は絶対におこなわないでください。
空焚きは火災などの原因になります。また、密閉したまま加熱すると内部の圧力が強まり爆発など思わぬ事故やケガの原因となります。
クリップ式やバンド式の密閉容器の場合は、クリップやバンドを外して開放状態で加熱してください。

火傷の対策をする

加熱されたステンレス容器は表面も高温になっており、誤って触れると火傷します。
火傷の対策として、断熱カバーとよばれる保護カバーを容器の外面に巻き付けて断熱することや、標準で断熱槽が付いているステンレス容器がおすすめです。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
> 温調効率アップや火傷防止に!ジャケットタンクの断熱方法とは?

周囲温度で昇温スピードは変わる

ヒーター付きのステンレス容器など、昇温を目的としたステンレス容器の場合は、「どのくらいの時間で昇温できるか」が重要になります。
希望に適した機器の選定はもちろんですが、設置場所の周囲温度が低い場合は、熱が奪われてしまうため昇温のスピードが遅くなりますし、ステンレス容器からの放熱があれば周囲温度は上昇してしまいます。
周囲温度からの影響、周囲温度への影響を抑えるには、上で述べた火傷の対策と同様に断熱することが有効です。

ステンレス容器を使った加熱に関するよくある質問

ステンレス容器はガスコンロやIHで加熱できる?

弊社製のステンレス容器(特に寸胴鍋のような形状のもの)は主に貯蔵での使用を想定し、薄板のステンレス材で製作しています。
そのためガスコンロ等で加熱すると容器が変形・変色する可能性があります。
空焚きや密閉状態でなければ加熱自体は可能ですが、加熱による変形や変色などについては保証対象外です。
IHはオールメタル対応品でのみ使用できますが、対応可否についてはIHメーカーへお問い合わせください。

焦げ付きやすい内容物はどう加熱したらよい?

内容物の温度にムラが出ないないように撹拌しながら昇温させること、湯せんのような方法をとることで焦げ付きにくくなります。
おすすめの製品はこちら

容器メーカーおすすめの温調方法は?

加温のみでOKな場合、加温・冷却いずれも必要な場合などで変わってきます。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
ステンレス容器の温調方法

加熱後に容器の蓋を閉めて保管していたら、蓋が開かなくなってしまった

容器内部の温度が蓋を閉めたときよりも冷えると、容器内が減圧状態となり蓋が開かなくなります。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
蓋が開かない!ステンレス容器の蓋が開かないときの対処法

ステンレス製品は滅菌できる?

ステンレス自体は滅菌できますが、ステンレス製品には滅菌できるものとできないものがあります。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
ステンレス製品の滅菌で気になる3つのこと

 

もっとうまく加熱できないかな?と思ったら

加熱に時間がかかっていたり、混ざりにくい・溶けにくいなどのちょっとクセのある内容物だったり…加熱に関するお悩みや改善したい課題などがございましたら、まずはMONOVATEまで気軽にご相談ください。
どのような検討段階であっても問題ありません。
オーダーメイドの実績も多く、1つ1つの問題に向き合い最適な製品をご提案いたします。

お問い合わせ

【実験】密閉容器を倒したときの水の漏れ量はどれくらい?
2021/08/10 09:00

当社の密閉容器には、キャッチクリップ式のCTH型とレバーバンド式のCTL型があります。

いずれも、保管用途などでお使いいただく分には十分な密閉性を有していますが、容器を異常な状態にしたときにどれだけ内容物が漏れるかは未知数です。

今回はこれを確かめるために、二種類の容器を横倒しにして漏水量をチェックしてみました。果たして、どれだけの差があるのでしょうか。

1. キャッチクリップ式とレバーバンド式の違い

当社の密閉容器には、キャッチクリップ式(CTH型)と レバーバンド式(CTL型)の2種類があります。まずは、それぞれについて簡単にご説明しましょう。

1.1. キャッチクリップ式(CTH型)

容器本体に取り付けられたクリップで蓋を固定するタイプです。容器サイズに応じて、片手で締められる3~6個のクリップが取り付けられています。比較的取り扱いが簡単です。

標準仕様(内径470mm以下の容器)の場合、パッキンは容器の本体側に装着します。

1.2. レバーバンド式(CTL型)

蓋をステンレス製のバンドで固定するタイプです。両手で扱う必要があるものの、キャッチクリップ式とは異なり、一回の締め付けで固定できます。

パッキンは蓋側に装着します。

2. 【実験】容器を横倒しにしたときの水の漏れ量はどれくらい?

当社の容器は、通常使用時には内容物がこぼれない設計になっていますが、もし容器を横倒しにしたらどうなるのでしょうか。

今回は容器の中に水道水を入れて横倒しにし、3種類の実験でキャッチクリップ式とレバーバンド式の漏れ具合を確認してみました。

ご注意

本実験は簡易的なものであり、製品の性能を示すものではありません。また、科学的検証もおこなっていないため、本実験の再現性は担保しません。参考までにご覧ください。

2.1. 横倒し(5分間)だけならどちらも漏れにくい

まずは容器を静かに横倒しにし、5分間だけ放置しました。使用する容器はCTH-30とCTL-30(ともに20L容器)で、液量は4段階での実験です。

容器を倒す前と5分経過後で全重量を計測し、その差分を確認します。

水の量6L10L16L20L
クリップ式
(5分経過後の重量)
6101620
バンド式
(5分経過後の重量)
6101620

容器重量を差し引いた重量です|単位はkg

上の表のとおり、数値上どちらの容器も液量の変化はありませんでした。目視でも漏れは見受けられません。

2.2. 1週間放置するとレバーバンド式が優位

5分間だけでは漏れなくても、もっと長い時間放置すれば滲み出してくる可能性もあるため、今度は1週間放置して様子を見てみました。今回は満水状態(20L)のみでの実験です。

20Lを1週間放置開始時終了時(7日後)差分
クリップ式2019.920.08
バンド式20200

容器重量を差し引いた重量です|単位はkg

今回は差が生じました。レバーバンド式に変化がなかったのに対し、キャッチクリップ式では0.08kg、すなわち80ml漏れています。

目視でも確認したところ、横倒しにしてから2時間後にはキャッチクリップ式の下に敷いていた吸水シートが膨らみだしました(=水が漏れた)。一方、レバーバンド式では目視でも漏れは確認できませんでした。

当社の容器は横倒しにして保管されることを想定していません。ですが、万が一容器が横転したまま放置される状況が想定されるのであれば、レバーバンド式のほうが安全です。

2.3. 衝撃を与えると違いはより顕著に

最後に、衝撃を与えた場合の漏れ量を確かめてみました。

今回は簡易的な実験のため、約250mmの高さの台から容器を人の手で3回連続で落下させ、漏れ量を確認しました。水の量は16L(8分目)です。

16Lを3回落下落下前落下後(3回)差分
クリップ式1614.521.48
バンド式1615.960.04

容器重量を差し引いた重量です|単位はkg

単に横倒しにして放置したときと比べ、漏れ量に大きく差があります。レバーバンド式が40mlの漏れであったのに対し、キャッチクリップ式は約1.5Lの漏れが確認できました。

目視で確認すると、レバーバンド式は落下回数を重ねてもさほど漏れ量は変わらないのに対し、キャッチクリップ式は徐々にクリップの締め付けが弱まり、最終的にはパッキンがはみ出してきてしまいました。このことが、キャッチクリップ式の多量の漏れの原因になったと考えられます。

キャッチクリップ式をお使いの際に、万が一容器を転倒・落下させてしまった場合には、今回の実験のようにキャッチクリップの締め付けが弱まっている可能性があります。再度容器をお使いになる場合には、まず締め付け力に問題がないか確認するのがよいでしょう。

3. 通常使用時における密閉度の差は?

今回の実験では、「容器を誤って倒してしまった」などの異常な状態においては、レバーバンドで全体を締め付けるレバーバンド式のほうが漏れ量が少なく済むことがわかりました。

一方で、通常使用時では密閉度にどれだけの差があるのでしょうか。これを検証するために、容器に無水塩化カルシウムを入れておき、それを一定日数放置し重量を計測する実験をおこなったこともあります。

この様子については、「キャッチクリップとレバーバンド 密閉度を比べてみました」(2019年5月公開)をご覧ください。

作業者の安全を守る ヒヤリハットを防ぐカスタマイズ
2021/07/06 09:00

このコラムでは、弊社製品の「ちょっとしたカスタマイズ」でできる安全対策をご紹介します。

撹拌機関連

運転中の撹拌機に巻き込まれるのを防止したい

→蓋や投入口が開くと撹拌機が自動で停止するセンサを搭載する

蓋と容器それぞれに近接センサを設置し、それらが離れると撹拌機の運転が停止する仕組みです。
たとえば「撹拌に異常があり、とっさに内部を確認しようとした時に運転停止を忘れて巻き込まれてしまう」「撹拌完了後、中身を排出した後の状態で撹拌機が誤作動して巻き込まれてしまう」のようなリスクを回避できます。

投入口に格子網を付けて、投入原料の包装等が巻き込まれるのを防止することもできます。

ステンレス容器関連

容器の転倒を防止したい

→重心の変化に合わせて設計する

蓋が容器の一部分に固定された状態で開閉したり、撹拌機を容器の縁に設置する場合、蓋の開閉や撹拌機の有無により重心が大きく変化し、倒れやすくなります。
蓋が開く方向の脚を横に伸ばす・撹拌機をなるべく内側に設置できるように台座を取り付ける等、重心の変化に合わせて脚の形状を設計することで、ぐらつきや転倒を防止できます。

▼ 脚がない容器の場合、底に支えの部品を追加することで同様の対策が可能です。

→台車や床に固定する

台車に載せてボルトで固定することもできます。ハンドルが付くので移動時の操作もしやすいです。
制御盤やポンプなどの周辺機器が付属する場合にはひとまとめで移動できるというメリットも。

定位置で使用する容器であれば、アンカーボルトで床に固定することも可能です。

重たい容器の洗浄を楽にして、腰痛を防止したい

→(移動式容器の場合)脚と容器を分離可能な”架台付き容器”にする

キャスター脚が付属する容器は重たく洗浄時の取り扱いが大変です。
容器には脚を付けず、
・使用時には移動式の架台に載せてボルトで固定する
・洗浄時には架台から外し容器だけの状態にする
このような使い方をすることで「移動のしやすさ」「洗浄のしやすさ」両方を維持することができます。

→(大型容器の場合)反転機能を搭載する

大きな容器や重たい容器を人力で持ち上げ、傾けることは、作業者の負担になり時間もかかります。
反転機能を搭載することで、ハンドルを回すだけで容器を任意の角度に傾けることができ、洗浄時腰などへの負担を軽減します。

開閉蓋に手を挟むのを防ぎたい

→ゆっくり開閉する・任意の位置で止まる蝶番(ヒンジ)を使用する

原料を蓋から投入するような使い方の場合、蓋の一部分が開閉できるように蝶番を付けることが多いです。
この蝶番の種類を、ゆっくり開閉する・任意の位置で止まるようなものにすることで手を挟む心配がなくなります。

周辺機器(アクセサリ)

バルブ脱着時の脱落を防止したい

→バルブの脱着を安全にできる「取付サポートジャッキ」を使用する

こちらは製品のカスタムではなく追加でご利用いただく製品ですが、バルブの安全な脱着に大変おすすめです。

バルブは容器の低い位置に付きます。また重さもそれなりなので、脱着は女性や不慣れな作業者にとって難しい作業です。
本製品をご利用いただくことで、バルブを手で持ち上げる必要がなくなります。
手に負担がかかったり、誤ってバルブを手足の上に落としてしまうのを防ぎます。

のぞき窓(サイトグラス)の破損を防止したい

→ガラスに直接触れるのを防ぐカバーを取り付ける

ステンレス容器の内部確認に欠かせないのぞき窓ですが、ガラスを使用しているため破損の恐れがあります。
ガラス部分に格子網やカバーを付けることで、不意にガラスに当たって割れてしまう危険性を下げることができます。

また、加圧時に破損した場合にはガラスが外部に飛散するのを防ぎます。

当社の製品は1品からカスタマイズが可能です

当社ではカスタマイズ品の実績が豊富で、1品からの製作も可能です。
「カスタマイズ」「オーダーメイド」「特注」というとなかなかハードルが高く感じるかと思いますが、ぜひお気軽にご相談ください。
もちろんこのコラムでご紹介したようなカスタマイズは可能ですし、この他のちょっとしたお困りごとでもかまいません。

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"そこ"が違う ステンレス容器の選びかた
2021/06/07 09:00

原料や製品の貯蔵、材料を混ぜ合わせる調合などの工程で活躍している丸型のステンレス容器。
購入する際には、何を重視して選んでいますか?

このコラムでは、ステンレス容器の底形状に着目します。
ステンレス容器には底が平たいものだけでなく、丸みがあったり傾斜が付いているものなど様々な種類があり、目的にあわせて使い分けることでステンレス容器がさらに使いやすくなります。

「どのかたちのステンレス容器が良いの?」「底形状で選ぶメリットってなに?」と思っている方におすすめの内容です。

平底

底に凹凸や傾斜がない平たい底のステンレス容器です。
液体、粒体、固体、形状を問わずさまざまなものの貯蔵、輸送に使われています。
ステンレス容器の中で最も一般的な形状のため製作しやすく、また製作しているメーカーも多いため、他の底形状の容器に比べて安価であり、即納できる製品も多いです。

排出口を設けていないものが多く、中身を取り出したいときには容器を傾けたり反転させたりする必要があります。
排出口を設けるカスタマイズも可能ですが、他の底形状に比べて排出性に劣るため、コスト重視で多少のロスを許容できる場合となります。

平底の製品例

密閉容器(キャッチクリップ式)【CTH】

クリップタイプのステンレスタンク

簡単に密閉できるクリップが付いた平底のステンレス容器です。材料の貯蔵から出来上がった製品の運搬まで、さまざまな工程で使用されています。

詳しく見る

吊り下げ式密閉容器目盛付(バンド式)【CTLB-M】

ペール缶のように片手で持ち運べるステンレス容器です。容器側面に目盛があり、計量や内容量の確認が簡単におこなえます。

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片テーパー底

平底に傾斜を付け、底の一番低い位置に排出口を設けたステンレス容器です。
主に液体の貯蔵と排出(供給)用として、液体を一時貯蔵した後にスムーズに排出したいときに使われています。
内容液が自然と排出口に集まるため、平底に比べて排出性に優れています。

排出口が横向きで配管へ接続しやすくなっているのは、他の底形状にはない特長です。
粘度のある液体を扱う場合には、傾斜角度を変更して排出性を高めることもできます。

片テーパー底の製品例

片テーパー急傾斜型容器 脚付【KTTX-L】

従来の片テーパー底の容器では底面の傾斜が3°のところ、本製品では傾斜を10°に設計しています。スムーズな供給だけでなく残液ロス削減にも効果的な製品です。

詳しく見る

ベルヌーイ流撹拌機付 ヒーターユニット【KHU】

ステンレス容器、ヒーター、撹拌機、バルブがセットになった製品です。容器はジャケットを付けた片テーパー底のステンレス容器を採用しています。内容物をムラなく昇温でき、出来上がった液をスムーズに取り出すことができます。

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ホッパー底

底を逆円錐の形状にして、その中央に排出口を設けたステンレス容器です。
主に粉体や粒体の貯蔵と排出(供給)用として使われています。
内容物が自然と排出口に集まるため、平底に比べて排出性に優れています。

ホッパーの角度を変更したり、排出口が端にある偏心タイプも製作できるため、内容物の性質などを考慮した仕様で製作することができます。

ホッパー底の製品例

集塵フード付ホッパー 脚付【HTD-L】

集塵機・空気輸送機と組み合わせて、粉体投入時に舞い上がる粉を回収できる製品です。粉体投入後の清掃時間短縮・作業場の衛生環境向上が可能です。

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偏心投入ホッパー【TEHT】

偏心投入ホッパー

排出性に優れた偏心形状のホッパーです。装置やタンクに取り付けて材料投入などに使われます。通常のホッパーに比べて周辺部品との干渉を調整することもできます。

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鏡板底

底をお椀のように丸みがある形状(鏡板)にして、その中央に排出口を設けたステンレス容器です。
(※排出口を設けない製品もあります)
主に液体の貯蔵・撹拌・排出までをおこなう調合用の容器として使われています。

内容液が自然と排出口に集まるため、平底に比べて排出性に優れています。
また、隅々まで対流し均一に撹拌できるため、平底に比べて撹拌性にも優れています。

鏡板底の製品例

ベルヌーイ流撹拌ユニット DTHB型【KU-DTHB】

ベルヌーイ流撹拌機、ステンレス容器、バルブがセットになったユニットです。撹拌効率に優れた鏡板底のステンレス容器を採用しています。

詳しく見る

鏡板型容器 架台付(撹拌機座付)【DT-ASC-K】

架台には撹拌機を取り付けるためのカクハン機座を設け、容器は撹拌に適した鏡板底のステンレス容器を採用した製品です。架台から容器を取り外すこともでき、作業性に優れています。

詳しく見る

まとめ

  • 平底 → 納期やコストを重視するときに選ばれている
  • 片テーパー底 → 液体をスムーズに供給したいときに選ばれている
  • ホッパー底 → 粉粒体を扱うときに選ばれている
  • 鏡板底 → 液体を調合するときに選ばれている

 

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日東金属工業が考えるSDGsへの貢献
2021/05/12 09:00

2015年9月に採択された「SDGs」は、採択から5年以上経過した現在、多くの人にとって耳馴染みのある言葉でしょう。大企業や自治体だけではなく、中小企業等でもSDGsへの取り組みを強化している会社が増えています。

SDGsは「Sustainable Development Goals = 持続可能な開発目標」の略称で、2030年までに全人類が目指すべき17個の目標を示しています。いまはすでに2021年。SDGs達成目標の2030年まで10年を切っており、国連は2020年から2030年までの10年間を「行動の10年」とし、さらなる取り組みの強化を全世界に呼びかけています。

この記事ではSDGsの基本と、MONOVATEが考えるSDGsへの貢献についてご説明します。

1. SDGsとは

1.1. SDGs=「持続可能な開発目標」

SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された、「持続可能な開発目標」のことです。17の目標(ゴール)と169のターゲットからなります。加盟国193か国の全会一致で採択されたものであり、2016年から2030年までの15年間において、全世界・全人類が目指すべき共通の目標です。「誰一人取り残さない」を理念としています。

「持続可能な~」という言葉に表れているように、いまの世界は持続可能ではありません。従来どおりの開発、生産、消費を繰り返していたら、人類や地球は存続できない。そのことをすべての国が認め、それを防ぐために持続可能な開発が求められています。

持続可能な開発とは

「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」のこと。

つまり、将来世代の欲求に対して不足を生じさせることなく、かつ現在世代の欲求も満たせるような節度ある開発のことで、「社会」「経済」「環境」のバランスをとりながら開発していくことが求められる。

1.2. SDGsの前身「MDGs」との違いとは

社会・経済・環境の持続可能性に関する不安は、いまに始まったことではありません。環境保全を進めていくための枠組みとして1972年に採択されたストックホルム宣言が、社会-経済-環境の関係性に言及したはじめての国際的合意であるとされています。

その後、1987年に「環境と開発に関する世界委員会(国連)」においてはじめて「持続可能な開発(Sustainable Development)」という概念が生まれ、それ以降は一定期間ごとに持続可能な開発に関する国際会議が開かれてきました。

そして2000年に開かれた国連ミレニアムサミットにおいて採択されたのが「MDGs:ミレニアム開発目標」。MDGsは2015年を達成期限とした目標で、計8つの目標と21のターゲットが示されました。

MDGsは世界の貧困人口を半分以上に減少させたりするなどの効果をあげ、「歴史上最も成功した貧困撲滅のための取り組みであった」と評価されていますが、一方で課題も残しました。また、気候変動や地球環境の悪化など、MDGsの枠組みを超えた新たな課題も生じています。

そこで、MDGsの期間が満了した2015年に、それを継承する形で新たな目標となったのがSDGsです。SDGsはMDGsに比べ、以下のような差があります。

  • 先進国も取り組む
    →MDGsは開発途上国の課題解決に主眼を置いていたが、SDGsでは目標を拡大し先進国も共通の課題に取り組む
  • 政府だけではなく民間も、そして個人も
    →MDGsは政府主導の色が強かったが、SDGsではすべてのステークホルダー(国・企業・一般市民等)が取り組み主体になっている
  • 経済・社会・環境の課題を統合した形
    →経済・社会・環境の三要素を包括的に扱い、17の目標を設定。各目標は相互につながっている

つまりSDGsは、私たち自身、そして子供・孫の世代にわたって世界・地球がより良い状態であり続けられるように、私たち一人一人がその当事者として取り組まなければならない全人類共通の目標といえます。

2. 当社が考えるSDGsへの貢献

MONOVATEができる、SDGsへの最大の貢献は以下であると考えています。

“高品質でクリーンなステンレス容器を世の中に提供しつづけること”

もちろん、このほかにも

  • 使用していないエリアの照明消灯の徹底や空調作動基準に基づく設定温度の適正化(ゴール7,11,13)
  • 業務アプリ導入によるペーパーレス化推進(ゴール12)
  • 産休・育休・時短勤務制度の整備、残業時間低減の推進(ゴール5,8)

などの取り組みもありますが、当社が得意としていて、そして当社の事業を通じてより多くの人々にインパクトを与えられるのは高品質なステンレス容器を提供しつづけることに他なりません。

では、ステンレス容器を提供しつづけることが、持続可能な開発にどうかかわるのでしょうか。

2.1 ステンレスは100%リサイクル可能な素材

イェール大学の研究では、ステンレス製品のうち85%は製品の寿命を迎えたのちにリサイクルされています。産業用機械に絞れば、リサイクル率は90%にものぼります。さらに、回収されたステンレスは100%リサイクル可能なので、資源・エネルギーの保全に役立っています。

リサイクルは、素材によってはそのコストが高く、採算のとれないものもあります。採算がとれなければ、そもそもリサイクルというシステム自体が持続しにくくなります。

しかし、ステンレスは製品が寿命を迎えたとしても、ステンレス鋼としての本質的価値は低下しません。そのため、スクラップ価値も比較的高いのが特長です。

ステンレスのリサイクルシステムは買い手・使い手・作り手・環境のそれぞれに益があるので、リサイクルシステム自体も持続しやすいといえるでしょう。

2.2 ステンレスは長寿命

ステンレスはさびにくく、耐久性に優れているのが特長です。さらに、メンテナンスといっても基本的な洗浄・拭きあげを行えばよいだけなので、メンテナンスコストも低いといえます。

リサイクルシステムが確立していたとしても、地球環境のことを考えれば必要以上にものを作らないのが一番。ステンレスは耐久性が高く、ステンレス製産業用機械・製品においては平均25年間使用されるという、長寿命な素材です。

2.3 サニタリー性の高い容器で安全な医薬品の製造に貢献

MONOVATEのステンレス容器は、医薬品製造施設などにおいて使用されています。それは、単にステンレスの耐食性が高かったり、オートクレーブ滅菌、殺菌消毒に対応できるからというだけではありません。

当社の容器には特別注文したBA材を使用しています。それに必要以上の加工を行うことなく、溶接によって傷をつけずに製品を形成します。さらに、当社のこだわりとして、最低限のバフ研磨しか行わないようにしています。

一般的なステンレス容器には光沢・平滑度を上げるためにバフ研磨が施されますが、これは研磨剤と呼ばれる磨き粉をバフに塗布してから研磨するもの。この工程で生じたステンレス表面の細かな傷には、どうしても研磨剤の油分が残ってしまいます。つまり、表面を磨こうとすればするほど、表面を汚すことになってしまうわけです。

そこで、当社では素材の状態から非常に細かな表面粗度を持つ、厳選した特注のBA材を使用。これであれば、必要以上に研磨する必要がありません。クリーンなステンレス製品を提供することで、安全な医薬品・食品等の生産・普及に貢献します。

電解研磨でよりクリーンなステンレス製品に

製薬工場向けのタンクなどで広く行われる表面処理に、電解研磨があります。電解研磨は金属表面から金属イオンを溶出させ、表面を平滑化させる研磨方法です。

電解研磨を施すことで、表面の細かな汚れを取り除くと同時に、滑らかな表面とすることで汚れなどの沈着を防ぎます。また、より強固な不働態被膜を作り出し、耐食性を向上させます。

当社は自社で製薬グレードの電解研磨を施す設備・技術を保有。高度なクレンリネスを求められる製品の生産にもお役立ていただけます。

3. 持続可能な「持続可能な開発目標(SDGs)」への取り組み

SDGsの達成目標まで10年を切ったいま、国連は「行動の10年」として、さらなるSDGsへの取り組み強化を呼びかけています。これを受け、国や自治体、各企業がさらなる取り組みを進めていますが、肝心なのはその取り組み自体が「持続可能なのか」です。

かつて、環境と開発(経済成長)は相反するものとして考えられてきました。しかし、SDGsではこれを共存できるもの、共存させるべきものと考えます。経済-社会-環境はトレードオフの関係ではなく、この3つをいかにして並立させるかが重要視されています。

そこで肝心なのが、持続可能なSDGsへの取り組みを行うこと。2030年を過ぎたとしても、常に持続可能な開発を考えていかなければなりません。SDGsへの取り組みを一過性のものにするわけにはいかないのです。

当社のSDGsへの取り組みや社内での理解は、まだまだ課題が残っているのが正直なところです。しかし、事業を通じた経済-社会-環境への貢献、そして社会的使命を果たすために、当社はこれからも高品質でクリーンなステンレス製品を世の中に提供しつづけます。

お問い合わせ

参考文献

・ステンレスとCO2:事実と科学的観察, ISSF, 2019

・The Global Life Cycle of Stainless Steels, Team Stainless & Yale University, 2021

・リサイクルが容易なステンレス鉄鋼, ステンレス協会, 2001

・青柳仁士『小さな会社のSDGs実践の教科書』, 翔泳社, 2021

【実験】同じに見えても中身が違う?撹拌の「均一性」を検証
2021/04/05 09:00

ここにピンク色の液体が入った2つのビーカーがあります。
赤く着色した水と油をそれぞれ異なる撹拌機で混ぜ、その一部を取り出したものです。
どちらも同じくらいしっかりと混ざっているように見えます。

しばらく放置すると…

水と油が分離しました。
その比率は左右で微妙に異なっています。
どちらも同じように均一に混ざっていれば、水と油の比率は同じになるはずです。

このように一見同じくらい混ざっているように見えても、実は均一に混ざっておらず中の成分比率が全体の比率とは異なってしまうことがあります。

実験のようす

この実験の内容は動画でもご覧いただけます。

この実験における均一性の検証方法

水と油(比率6:4)計28L程度を一定時間撹拌し、サンプルを採取。
サンプル分離後、水と油の比率を確認します。

サンプルの比率が大元の比率に近いほど均一に撹拌できていると判断します。

撹拌条件

2種類の撹拌機 それぞれに適した回転数で3分間撹拌します。
使用するのは以下2つの撹拌機です。

①は600rpm、②は300rpmで撹拌しました。

ベルヌーイ流撹拌機 詳細はこちら

実験

同じように撹拌・抽出したサンプルを放置して分離させます。

①ベルヌーイ流撹拌機 で撹拌したものは全体と同じ比率である6:4。
②パドル翼撹拌機と比較して、より均一な撹拌状態にできました。

どうしてベルヌーイ流撹拌機は均一に混ざったのか

パドル、プロペラ型のような撹拌体が起こす液の流れは旋回流といって、撹拌体を中心に渦を起こすような液流です。
この場合液流に上下の動きが起こりづらく、今回の様に比重が異なり分離する液体の場合均一に混ぜるのが難しくなります。

対してベルヌーイ流撹拌機は旋回流を抑え、吸い上げ・吐出するような液流を発生させます。
上下に液流が発生するため、パドルに比べ分離した液体の均一な撹拌に優れています。

まとめ

今回の均一性検証実験ではベルヌーイ流撹拌機の方が優れた結果になりました。しかし、すべての撹拌においてこの撹拌機が優れているわけではありません。目的に合わせて条件を変えることが非常に重要です。

MONOVATEでは、製品購入をご検討のお客様限定で無償の撹拌デモ実験を実施しております。
※無償のため、お客様へ撹拌結果のフィードバックをお願いしております。

実験で使用したベルヌーイ流撹拌機は、今回のような「均一な撹拌」の他「泡立てない撹拌」も得意な撹拌機です。
撹拌機をお探しの際にはぜひご検討ください。

デモや製品に関するお問い合わせはこちら

粉体を扱うときによくある問題と解決方法
2021/03/08 09:00

粉体を扱うときによくある問題と解決方法

粉体原料を扱う際には、粉が舞ったり詰まりを起こしたり、あるいは液体と混ぜたいときなどにダマになってしまうことなどがあると思います。
今回は粉体を扱うときによくある問題と解決方法について、ステンレス容器や周辺機器でおこなえる対策をご紹介します。

①粉が飛散して周囲が汚れる問題を解決する

比重が軽い粉体の場合、ホッパー容器などへ投入すると粉が舞ってしまい周囲を汚してしまうため、人力で粉体原料を投入する際の問題となっています。
粉体が周囲に飛散してしまうとその分原料のロスが増えるだけでなく、清掃に時間がかかったり、作業環境が悪くなるなどの影響があります。

この問題を解決するには

  • 飛散防止のフードを取り付ける
  • 集塵機に接続する
  • 投入口のある蓋を使用する(開閉蓋/分割蓋など)

などの方法があります。

1) 飛散防止のフードを取り付ける / 集塵機に接続する

フードを取り付けたり集塵機を併用したりすると、粉じんの飛散を抑えることができます。

2) 投入口のある蓋を使用する

蓋を完全に取り外さず、必要な分だけ開けて作業すれば、粉じんの飛散を抑えることができます。

②異物が混入しやすい問題を解決する

粉体の投入口は大きく開けることが多く、異物が混入しやすくなっています。
特に人力で粉体原料を投入する際には、粉体を入れていた袋(パッケージ)の切れ端が落下する異物混入が発生しがちです。

この問題を解決するには

  • 投入口に異物受けを設置する
  • 排出口に異物受けを設置する

などの方法があります。

1) 投入口に異物受けを設置する

カゴや底が金網になっている内容器を設置することで、異物の混入を防ぐことができます。

この製品を見る

 

2) 排出口に異物受けを設置する

排出口に金網を取り付けた継手(ストレーナー)を設置することで、混入した異物を捕らえることができます。
磁性体異物の場合は、マグネットフィルターをホッパーの下部などへ設置することで対策になります。

③粉が沈んで/浮いて撹拌できない問題を解決する

比重が重い粉体の場合、粉が液中の底に沈んで固まってしまったり、逆に比重が軽い粉体の場合は粉が水面に浮いてしまい、ダマになってしまうことがあります。

撹拌時間を伸ばしたり、粉を少量ずつ投入することで解消できる場合もありますが、こうした方法だとムダな工数がかかったり、作業者により程度にムラが出たりしかねません。

この問題を解決するには

  • 吸い上げる力の強い撹拌子を使用する
  • 液中にダマなく粉を取り込める装置を使用する

などの方法があります。

1) 吸い上げる力の強い撹拌体を使用する

通常のプロペラ翼の撹拌体ではなく、吸い上げる力に特長のある撹拌体を使用すれば、沈殿しやすい粉体でも撹拌できます。

ベルヌーイ流撹拌体BEAGは遠心力による圧力差を応用し、材料を上下から吸い寄せ分散するという液流を起こします。沈む粉体の撹拌に最適です。

\ ベルヌーイ流撹拌体BEAGの詳細はこちら /

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2) 液中にダマなく粉を取り込める装置を使用する

比重が軽く液面に浮いてしまうような粉体の場合には、液中にダマなく粉体を取り込める装置がおすすめです。ダマなく粉を取り込んだうえで、さらに撹拌力の高い撹拌機でミキシングするのがよいでしょう。

ミキシングユニットはムラ・ムダなくダマの形成を軽減し、撹拌するための装置です。粉はポンプによる液流で、自然と大きな粉の塊が壊れ配管内に引き込まれます。ダマなく取り込まれた粉体は、さらに撹拌力の高いベルヌーイ流撹拌機により徹底的に撹拌されます。

画像では液を循環させるような仕様ですが、実際にはワンパスで使用します。液体原料をタンクに供給する際に、ホッパー部から粉を投入してプレミキシングを行い、タンク内で撹拌するのが一般的です。

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④粉がなかなか出てこない問題を解決する

容器に貯蔵していた粉体を下部の排出口から取り出そうとすると、出が悪かったり詰まってしまうこと(ラットホール/ブリッジ)があります。
粉体がスムーズに排出されないと作業工数がかかるだけでなく、製品の品質にも影響することがあります。

この問題を解決するには

  • 排出口の径を大きくする
  • 粉体の性質に合わせて容器をカスタマイズする
  • エアレーションホッパーを使用する
  • ブリッジブレーカー/バイブレーター/ノッカーなどを併用する

などの方法があります。

1) 排出口の径を大きくする / 粉体の性質に合わせて容器をカスタマイズする

ホッパーのドレン径変更

新規導入や買い替えの際にオーダーメイドをご検討いただけると、様々な対策をとることができます。
詳しくは別のコラムにてご紹介しています。

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また、ホッパー内面の表面処理を変更することでも、粉体の流動性を向上させることができます。
粉体の付着を抑止できるgemini処理という加工があります。

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2) エアレーションホッパーを使用する

ホッパー内にエアーを供給することで、粉体を流動化させる「エアレーションホッパー」を使用すれば、粉詰まりなく排出することができます。

ブリッジやラットホールなど、粉体の詰まりを速やかに解消できる装置です。

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3) ブリッジブレーカー / バイブレーター / ノッカーなどを併用する

ブリッジブレーカーなどの装置を使用すると、排出効率が向上します。
装置との組み合わせを考慮したオリジナルのホッパーを設計・製作することもできます。

 

⑤静電気が生じることによる問題を解決する

粉体の入った袋を開けるときや、粉体の投入・搬送のときなどに、静電気が生じやすくなります。
静電気が生じるとロスが増えるだけでなく、粉じん爆発の原因にもなりますので注意が必要です。

この問題を解決するには

  • アースをとる
  • 導電性車輪を使用する(キャスター付き容器の場合)

などの方法があります。

1) アースをとる

アース線を容器へ取り付けられるようにすれば、容器で発生した静電気を逃がすことができます。
その他にはチェーンを容器に取り付け、床に垂らすという方法もあります。

2) 導電性車輪を使用する

キャスター付き容器に導電性車輪を使用することで、容器で発生した静電気を床に逃がすことができます。

粉体を扱う工程でのお悩み、お気軽にご相談ください

MONOVATEでは、ステンレス容器や充填用のステンレスホッパーなどを日本国内で製作しており、粉体原料の保管・投入・混合などの工程で長年採用いただいております。
製品は1品からのオーダーメイドが可能で、ブリッジブレーカー等の周辺機器の選定もお任せいただければ、最適な仕様で設計・製作いたします。

粉体を扱う容器について相談する

蓋が開かない!ステンレス容器の蓋が開かないときの対処法
2021/02/09 09:00

すでに当社のステンレス容器をお使いになっている方ならご経験があるかもしれませんが、稀に容器の蓋が開かなくなることがあります。

その原因としてよくあるのが、容器の内側と外側とでの気圧差。容器内部の温度が蓋を閉めたときよりも冷えると、容器内が減圧状態となり、蓋がどうにも開かなくなります。

以前のコラムでもご紹介した現象ではありますが、今回の記事では気圧差によって蓋が開かなくなった実際の様子とその対処法に着目してご説明します。

1. そもそもなぜ開かなくなるのか

容器の中に液体などを入れ、その後内容物が冷えると蓋が開かなくなります。繰り返しになりますが、これは容器の内側と外側での気圧差によって生じるものです。日常生活で見られる「お椀の蓋が取れなくなる」のと同じ現象が起こっています。

蓋を閉めた状態で容器内部が冷えると、容器内の水蒸気が次第に冷えて水に戻ります。これに加え、空気は冷えると体積が小さくなるという特性によって中の気圧が下がり、容器外の大気圧とのバランスが取れなくなります。

こうして、容器外から相対的に強い力で押されることで、蓋を開けられなくなるという仕組みです。

2. 内容物が冷めたときの蓋の様子

実際に蓋を開けられなくなる現象を再現してみました。

まず、当社のレバーバンド式の容器【CTL】キャッチクリップ式の容器【CTH】に水を1/7程度入れて沸騰させます。その後、蓋をすぐに閉め、容器の外側から冷水を約10分間かけて冷却します。

こうして容器内部が冷えると、先ほどご説明したとおり蓋が容器外から強い力で押されます。実際に蓋を見てみると、通常時よりも容器の中央部分がへこんでいるのがおわかりいただけるでしょう。
※蓋の中央部に直尺を置き、へこみ具合を確認しています。

これぐらいの圧力がかかると、力強く引っ張ったりしても蓋が開きません。そもそも、内容物がこぼれる可能性もあるので、あまり力づくで開けるのも好ましくありませんよね。

3. 開かなくなった蓋を開ける方法

では、この蓋を開けるにはどうすればよいのでしょうか。各蓋形状でご説明します。

CTL(レバーバンド式)の場合

レバーバンド式であれば、マイクロスパチュラ(ヘラ)をパッキンと本体の間に挿しこみ、空気を容器内に入れることで蓋を開けられます。

お椀の蓋を開けるときと同じで、容器内に空気を入れて内部の気圧と外部の気圧とを等しくできれば蓋が開きます。詳しくは後述しますが、CTHとは異なり、スパチュラさえあれば比較的簡単に開けられます。

ちなみに、容器を開けた際の内容物(水)の温度は33.6℃でした。

CTH(キャッチクリップ式)の場合

キャッチクリップ式の場合、その形状からスパチュラで開けることは困難です。無理に挿しこもうとするとパッキンや蓋を傷つけ、スパチュラ自体を破損するおそれもあります。

CTHの蓋を開けたい場合には容器を加熱し、容器内の気圧を元に戻します。温めたタオルで包んだり湯煎したりする方法もありますが、今回は直火で温めてみます。

ご注意

・容器を加熱する際には空焚きを防ぐため、容器を振るなどして内容物があるかどうかを必ずご確認ください。

・加圧状態にならないよう、加熱時にはクリップやバンドは必ず外してください。

・弊社の容器は主に貯蔵での使用を想定し薄板で製作しているため、直火での加熱による変形・変色は保証対象外です。

今回の実験では沸騰後すぐに蓋を閉めたので、その程度の温度になるまでしばらく待ちます。温めはじめのときはびくともしなかった蓋ですが、中からコトコト音が聞こえてくると蓋がすんなり開きました。減圧状態では沸点が下がりますので、86.6℃の時点で蓋が開きました。

容器を再加熱したくない場合

「再加熱をすると内容物に影響がある」、「いちいち再加熱するのは面倒」という場合、容器の蓋に外気導入用のバルブを取り付けるのもおすすめです。

蓋を開けたいときには、バルブを開けて減圧状態を解消します。このほか、エアー抜き穴を設けて、ゴム栓をしておくという方法もあります。

蓋に外気導入用のバルブを設けた製品はこちら>>>

4. まとめ

もし既存の容器が開かずにお困りの場合には、下記の方法をお試しください。

  • CTL(レバーバンド式):ヘラのようなものを挿しこんで空気を入れる
  • CTH(キャッチクリップ式):蓋を閉めたときの温度くらいまで加熱して気圧を戻す

もしこれから容器をご所望の場合には、蓋にバルブ・エアー抜き穴などを設ければ簡単に蓋を開けられます。また、先ほどご紹介したマイクロスパチュラもご用意できます。

温かい内容物を入れる可能性がある場合には、こうした対処法をご検討ください。

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