新着記事
アーカイブ

技術コラム

省スペースで効率よく流体を冷却できる「熱交換器」とは
2024/01/10 09:00

当社ではクラフトビール用のタンクを製造販売しています。製造工程に応じて、煮沸・糖化・発酵用の3タイプのタンクをご用意しておりますが、これからクラフトビール事業をはじめようと思われている方が簡単に設備をご導入いただけるよう、当社ではその他の関連機器もまとめてご提案、販売しています。

その中の一つが「熱交換器」。熱交換器はエアコンやラジエターのように、温度の高い流体から低い流体に熱エネルギーを移動(交換)させるための装置です。

このたび、プレート式熱交換器のシェア国内首位で、当社でも製品をお取り扱いしている「株式会社日阪製作所」さまを訪問しました。本記事ではその際にご紹介いただいた熱交換器の基本と、当社のクラフトビールタンクについてご説明します。

1. MONOVATEのクラフトビールタンク

当社では糖化・煮沸・発酵の3工程に適したステンレスタンクをご用意しています。約1000L程度までの容量で製作でき、比較的スペースに制限のあるマイクロブルワリーなどでご使用いただいています。

製品をただお納めして終わりではなく、当社ではタンクのご検討から納入まですべてサポートしているのが特長。一点からオーダーメイドできることもあり、さまざまな制約やお客さまのこだわりに応じて、最適な仕様のタンクをご提案できます。

また、タンクとあわせて熱交換器やポンプなど、必要な設備をまとめてご購入いただくことも可能です。複数の業者にコンタクトをとり、それぞれからご購入いただく手間がありません。

2. 熱を効率的に下げる「熱交換器」

2.1. スペースを抑え効率的に冷却できる

必要な設備の一例として挙げた「熱交換器」は、クラフトビール製造工程においては煮沸タンクから発酵タンクへ麦汁を移す際に使用します。煮沸段階で100℃に熱した麦汁を、酵母が発酵できる温度まで冷却し、発酵タンクに移動させます。その際に使用するのが熱交換器です。

らせん状に巻いたホース、いわゆる蛇管で冷却する方法もありますが、スペースを必要とするほか、洗浄性がいま一つです。なにより、冷却に時間がかかるとビールの味や品質に影響が出てしまう可能性があります。

熱交換器には複数の種類がありますが、その中でも当社からの採用実績があり、省スペースでおすすめなのがプレート式熱交換器です。

2.2 省スペースでメンテナンスも簡単なプレート式熱交換器

プレート式熱交換器とは、波形状の薄い金属プレートを交互に重ね、そのプレートの間に交互に高温の流体と低温の流体が流れることにより熱交換を行う機器です。

出典元:日阪製作所 プレート式熱交換機

熱交換効率が高いため速やかに冷却出来ることに加え、設置に要する面積が小さく済むのが特長であるため、作業スペースに制限のあるマイクロブルワリーのお客さまに定評があります。

また、プレートとガスケットをボルトで締め付けたシンプルな構造であるため、簡単に分解洗浄することができます。今回訪問させていただいた日阪製作所さまでは、オンラインショップでガスケットを販売しているので、ご自身で簡単にセルフメンテナンスが可能できることも利点です。

日阪製作所さまは当社と同様、国内に拠点を置いています。購入前のご相談から購入後のメンテナンスに至るまで、密にコミュニケーションを取りながら、お客さまのニーズに合った製品をご提案できることが強みとのことでした。

3. すべてまとめてご提案できます

当社はオーダーメイドで、一点からお客さまのニーズに合ったステンレス容器や撹拌装置を製造販売しています。

しかし、ただ単に容器や装置をオーダーメイドで製作するのではなく、私たちはお客さまのニーズを叶えるための「ご提案」をオーダーメイドで作ります。

本記事でご紹介した日阪製作所さまはもとより、当社のステンレス容器や撹拌装置とお客さまのニーズを実現するために必要なその他機器を選定し、まとめてご提案できるのが当社の特長です。

具体的なご要望はもちろんのこと、漠然とした「○○をしたい」という内容でも差し支えございませんので、お悩みのことがありましたらお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

「のぞき窓」のよくある質問をまとめました
2023/10/11 09:00

このコラムでは弊社ののぞき窓(サイトグラス)について、お客さまから実際にいただいたご質問をまとめました。

こちらに記載している内容はあくまで弊社の標準的なラインナップを基準とした内容ですので、「この場合はどうなの?」など製品検討にあたりご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
ご利用の環境を考慮して「○○を変更すればご利用可能です」など回答を差し上げます。

平パッキンやガラスなど、部品のみの購入は可能ですか?

→ 可能です

特定の型式などはございませんので、のぞき窓自体をご購入いただいた際の「型式」などと併せて弊社もしくは販売店さまにご連絡いただくとスムーズです。
(例)NMB-4Sの平パッキンが1点欲しい

材質の変更は可能ですか?

→ 可能です

窓枠はステンレス(SUS304とSUS316L)を使用していますが、すべてSUS316Lに変更し、より耐食性にすぐれた仕様にすることもできます。

その他部品も材質変更可能です。
一例ですが、ガラス(標準:耐熱強化ガラス)は石英・ポリカボネート・アクリル・ゲルマニウムなどへの変更、
窓枠とガラスのシール部に使用する平パッキン(標準:シリコン)はPTFE・FKM・EPDMなどへの変更実績がございます。

いずれも使用環境や内容物との相性に応じて選択が可能です
一般的に入手可能な材質でしたら基本的に対応可能ですので、ご希望の材質がございましたら一度お問い合わせください。

パッキンの材質による違いをご覧になりたい方へ:コラム「密閉に欠かせないパッキンの材質と特性」
ガラスの材質をゲルマニウムに変更し内部温度測定を可能に:採用事例「のぞき窓 赤外窓仕様」

ラインナップに無いサイズの製作は可能ですか?

→ 基本的には製作可能です

たとえば【NM】のぞき窓の3.5Sヘルールサイズや、【NMB】のぞき窓(一体型)の40Aサイズなど、ラインナップにないサイズでも一般的なヘルールやフランジのサイズでしたら製作可能な場合がほとんどです。
あまりにも可視範囲が狭くなってしまうなど、製品を使用する上で支障をきたすと想定される場合には一度仕様を確認させていただく場合もございます。

高温下で使用したいです。耐熱温度はどのくらいですか?

  • 窓のみのシリーズ…~150℃
  • ワイパー付きシリーズ…~100℃
  • ライト付きシリーズ…~45℃

上記より温度が高い環境で使用される場合、ガラスやパッキンの材質を変更すればご利用いただける場合がございます。
たとえば、ワイパー付きシリーズはパッキンの材質変更で~200℃で使用が可能です。

真空での使用は可能でしょうか?

一時的に真空になるような使い方であれば可能です。
真空状態を長時間保持するような使い方の場合は、シール材の透過性を考慮する必要があるため、現状では保証外となっております。

また真空用途の場合はシール性に優れた一体型(NMB)シリーズのご使用をおすすめしております。

▲ 一体型シリーズ(NMB)

参考 ワイパー付きのぞき窓(NMBW-4S)を-0.1MPaで使用する実証コラム(-0.1MPaを1時間保持): 「のぞき窓は真空で使えるの?」実験しました

ちなみに加圧の場合、ヘルールタイプのラインナップ品は1.5S/2S/3Sは~0.18MPa、4Sは~0.16MPaです。サイズにより異なりますのでご注意ください。

第二種圧力容器で使用できますか?

→標準でラインナップされているシリーズはご使用いただけません。

製作自体は可能です。圧力容器構造規格に則り設計いたしますので、製作の条件などをご記載のうえお問い合わせください。
また第二種圧力容器自体の製作実績も多数ございますので、メーカーをお探しでしたら併せてお問い合わせください。

第二種圧力容器について知りたい方へ:コラム「第一種圧力容器と第二種圧力容器の違いとは?」

20号タンクで使用できますか?

→ 採用実績はございますが、弊社では判断いたしかねます。
所轄の消防署へお問い合わせください。

20号タンクの設計に関する最終的な判断は、タンク設置箇所の所轄消防署に委ねられています。その細かい基準は地域により異なるため、弊社での判断が困難です。

一例ですが、標準ラインナップ品からガラスの材質を変更するだけでご使用可能になる場合もございます。 条件が明確になれば弊社での製作可否も判断が可能ですので、弊社までお問い合わせください。

20号タンクについて知りたい方へ:コラム「『20号タンク』ってなに?ざっくり説明します。」

こんな環境で使えるのぞき窓はありますか?

→ お気軽にお問い合わせください

実際にお客様が使用される環境においては様々な要素があり、ここまででご紹介した内容だけでは判断が難しいことも多いでしょう。
必要な仕様や考慮すべき事項など検討にお困りの際にはお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

のぞき窓のラインナップ

このコラムでご紹介したシリーズはこちらです。この他にも用途に応じたラインナップがございます。

のぞき窓の製品ラインナップを見る

また、実際にお客様にご採用いただいたカスタマイズ事例もございます。

のぞき窓の【採用事例】を見る

あわせて読みたいコラム・資料

【コラム】悩み別に対策!のぞき窓の選び方ガイド
コラムを読む

【カタログ】ステンレスのぞき窓カタログ
資料をダウンロードする

密閉に欠かせないパッキンの材質と特性
2023/09/05 09:00

【技術情報】パッキン材質の種類と特性

ステンレス容器の密閉にはパッキンが必須。パッキンとは、蓋やその他接続部の間に挟み隙間をふさぐための部品で、内容物の漏出や異物混入を防ぐ役割があります。「シール」の一種です。

パッキンにはさまざまな材質、形状、厚みのものがあり、内容物や使用される環境によって選定する必要があります。相性の良いパッキンを選定しなければ、パッキンが膨潤、変形し、剥離してしまうこともあります。とりわけ密閉容器に関しては、その密閉度に大きく影響を与えてしまう可能性があるのです。

今回は、ステンレス容器に使われているパッキンの材質とその特徴についてご紹介します。

代表的な6種類のパッキン材質

この記事では、以下6種類のパッキンについてそれぞれの特長と欠点をご説明します。

シリコーンゴム(Q) -Silicone rubber- (弊社名:シリコン) 

シリコーンゴム例

耐候性、耐薬品性、非粘着性、耐オゾン性などの特性を持ち、難燃性、撥水性、電気絶縁性などに優れています。工業用途だけでなく家庭用品にもよく使われています。

弊社ステンレス密閉容器用パッキンの標準材質です。>シリコンパッキン
※使用温度範囲:-70℃~+200℃

○特長

■耐候性
酸素、オゾン、紫外線に対する安定性に優れ、長時間紫外線や風雨にさらされても特性はほとんど変化しません。

■耐薬品性
アルコールや希酸、希アルカリなどにはほとんど侵されません。

■撥水性
他のゴムより濡れにくく、防水シール材としても使われています。

■難燃性
炎を近づけても簡単には燃焼せず、着火した場合も煙や有毒ガスの発生がほとんどありません。

■非粘着性・非腐食性
離型性に優れており、離型剤としても使われています。また、化学的に不活性で他の物質を腐食させません。

■透明性・着色性
シリコーン本来の透明性に優れ、着色できます。>カラーパッキン
着色した場合もシーリング材としての基本的な性能は変わりません。

×欠点

  • 強酸に弱い
  • 非粘着性により一般の有機系接着剤ではほとんど接着できない
  • 引っ張り強度・引き裂き強度・耐摩耗性などの外的な力学的要素に弱い
  • 気体透過性が大きいため、気体を通しやすい(ただし水と水蒸気は分子の密度が異なるため、防水性が悪いわけではない)
  • 熱や紫外線で黄変することがある

パッキンがブヨブヨになる!?

パッキンと液体の相性によっては、パッキンが液体を吸収して膨張し、ブヨブヨになることがあります。このことを「膨潤」と呼びます。

これは液体がパッキンのゴムの分子間に入り込んでしまうことで生じます。その他にも、使用環境や液体との相性によってはパッキンに亀裂など劣化が生じる場合もありますので、最適なパッキンを選定する必要があります。

フッ素ゴム(FKM) -Fluorocarbon rubber-

工場、プラント

現在市販されているフッ素ゴムの場合、フッ化ビニリデン系フッ素ゴム(FKM)のものを指すことが一般的です。

フッ素ゴムはゴム材料中で最高の耐熱性を持ち、優れた耐油性、耐燃料性、耐薬品性を持つことから、自動車部品や化学プラントなど幅広い分野で使用されている合成ゴムです。

○特長

■耐熱性
使用温度範囲:-10℃~+230℃
シリコーンゴムに比べ長時間シール性能が維持できるため、高温部分のシールに使われます。

■耐油性
一部のリン酸エステル系の作動油を除き、鉱油のほとんどに高温まで耐えます。

×欠点

  • 耐寒性に劣る
  • 他のゴムに比べて非常に価格が高い
  • 有機酸、ケトン、エステル、アミン系の薬品には耐性がない

クロロプレンゴム(CR) -Polychloroprene rubber-

ウェットスーツ

古くから使用されている合成ゴムです。機械的強度、耐候性に優れ、それ以外の特性に対しても平均的でバランスが良いため幅広く使われています。難燃性、接着力(ゴムのりにした時)が強い、ガス透過率が低いなどの特長もあります。ウェットスーツなどでも使用されている材質です。

※使用温度範囲:-35℃~+110℃

×欠点

  • 耐熱性に劣る
  • 低温時に結晶化しやすく、低温時の使用には向いていない

ニトリルゴム(NBR) -Nitrile butadiene rubber-

ゴム手袋

耐油性、耐摩耗・耐老化に優れた合成ゴムです。特に耐油性に優れています。
圧縮永久ひずみ、引張り強さ、耐磨耗性にも優れ、シール材や手袋の材料、自動車部品など様々な分野で使用されています。

※使用温度範囲:-10℃~+120℃

×欠点

  • 耐熱性に劣る
  • ケトンやエステルなどの極性溶剤には使用できない
  • 耐候性(耐オゾン性など)に劣る

 

なぜタイヤは黒色なのか

Tire

タイヤやウェットスーツ、パッキンなど、黒色のゴム製品を良く見かけます。特にタイヤは黒のイメージが強いですね。

これはゴムの強度や耐摩耗性を向上させるためにカーボンブラックという、黒色の炭素の微粒子を配合しているというのが主な理由です。ただし現在では、カーボンブラックの代わりにホワイトカーボンと呼ばれる白色のシリカを補強剤として使っているものも多くなり、黒色以外のゴム製品も増えています。

エチレンプロピレンゴム(EPDM) -Ethylene propylen diene rubber-

競技場

耐薬品性、耐寒性、耐オゾン性、耐老化性にすぐれた合成ゴムです。また、比重が市販ゴムの中で最も小さいなどの特長も持っています。オゾンに強く老化しにくいことから、自動車部品や競技場のトラックなどにも使用されています。

※使用温度範囲:-40℃~+140℃

×欠点

  • 耐油性に劣り、一般的な鉱油には耐性がない

四フッ化エチレン樹脂(PTFE) -Polytetrafluoroethylene plastics-

フライパン

フッ素樹脂とも呼ばれ、耐薬品性、耐オゾン性、耐候性に優れています。これまでご紹介した材質とは異なりゴムではなく、樹脂(プラスチック)です。最も摩擦が少ないほか絶縁性も高く、電気絶縁材としても優れた材料です。
非粘着性・低摩擦性(すべりやすい)により、摺動材としても使用されます。フライパンのコーティングなどでも有名です。このように優れた特性から、さまざまな分野で使用されています。>PTFEパッキン

■耐薬品性
どんな酸やアルカリ、有機薬品に対しても安定しており、吸湿・吸水・膨潤もなくほとんど侵されることがありません。

■耐熱性
使用温度範囲:-100℃~+260℃
広い温度範囲にわたって長時間の使用に耐えることができます。

×欠点

  • 価格が高い
  • 一品毎に削り出しのため量産ができない
  • 樹脂の為、パッキンとしてのシールが弱く密閉性に劣る
  • 磨耗しやすい
  • 非粘着性により、接着剤による接着ができない

パーフロ(FFKM) -Perfluoroelastomer-

PTFEは優れた耐薬品性を持っていますが、密閉性には劣るのが難点です。そこで、耐薬品性と密閉性を求めたい場合はパーフロを採用します。パーフロはパーフルオロエラストマーとも呼ばれ、フッ素ゴムの一種です。ゴムパッキンの中で最も耐薬品性・耐熱性に優れています。性能も良く需要も限定的となることから、非常に高価なゴムです。

ご注意

この記事は一般的な参考データであり、使用条件や環境により変わることがあります。

弊社では使用環境や内容物、コスト面などからお客様に応じて最適なパッキン材質を選定いたしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

パッキンの特性一覧表もご用意しています。>パッキンの特性一覧表

仕様について相談する

あわせて読みたい記事

容器と設備をつなぐ陰の立役者!各継手の特長をご紹介
【実験】混ぜる位置で液流はどのように変わる?ベルヌーイ流撹拌機で検証
2023/08/16 09:00

このコラムでは、撹拌の位置によって変化する液流についてご紹介します。
上の画像は同じ内容物・撹拌機・回転数で撹拌しているようすですが、撹拌機を設置する位置を変更するだけで液の流れが大きく変化していることがわかります。混ぜる目的や内容物の性質に合わせて撹拌位置を調整することで、短時間で精度の高い撹拌を実現可能です。

またこのコラムの内容は動画でもご覧いただけます。
発生する液流のようすなど、詳しくご覧になりたい方におすすめです。 動画で内容を確認する

※本コラムでは弊社のベルヌーイ流撹拌機を使用した場合の一例としてご紹介いたします。
すべての撹拌機に当てはまるわけではありません。

撹拌条件

内容物:水100L+樹脂のビーズ
(ビーズについて、ピンク色は比重が軽いもの・黄色と緑色は比重が重いものです)

撹拌機 回転数:600rpm

使用する撹拌機:ベルヌーイ流撹拌機
生じる液流:①撹拌体の上下から引き込む液流(特に撹拌体の下から引き上げる液流を強く起こします)
②撹拌体の左右に吐出する液流
③槽の内壁に当たって生じる上下の液流

全体を均一に撹拌したい場合

撹拌するもの同士の比重差が小さく全体の均一化を目的とする撹拌の場合、容器の中ほどあたり、かつ容器の中心からずらして(=偏心)設置します。
撹拌機を槽の上に設置する場合の基本となる撹拌位置です。

偏心設置することで同心円的な液流ではなく、不規則な液流(乱流)が発生し撹拌効率が向上。
また液面に渦が発生するのを抑えるため、空気の巻き込みや泡立ちの抑制にも効果的です。

プロペラの羽根がつく一般的な撹拌機でもここにセッティングすることが多くなっています。

沈降を予防・解消したい場合

比重が重い・槽の排出ノズルに内容物が溜まってしまうといった沈降状態を予防・解消する撹拌の場合は、容器の下の方に位置に設置します。
冒頭でご紹介したようにこの実験で使用している撹拌機は吸い上げる液流を強く引き起こすため、これを利用して沈んだ内容物を引き上げ、混合します。

排出ノズルへの溜まりを解消する場合は撹拌体をノズルに近づけましょう。下から引き上げる液流が作用し溜まりを解消します。

水面付近をしっかり混ぜたい場合

比重が軽い内容物があり液面に浮いてしまう・材料を上から投入するため水面に強い液流を起こしたい場合、バッフル(邪魔板)を設置します。

バッフルとは撹拌槽内に乱流を引き起こすために設置する板状の部品です。
液流が板に当たることでより不規則な動きになり撹拌の効率を向上、また同心円的な動きを壊し液面に生じる渦を解消するといった効果があります。
比重が軽い内容物も、バッフルによる乱流である程度槽内に引き込むことができます。

また、撹拌体を逆に付けることで液面から強く引き込む液流を発生させることも可能です。大きく空気を巻き込むため、泡立ちなどを嫌う内容物の場合はご注意ください。

液流のようすを詳しく確認したい方へ:動画でご覧いただけます

あわせて読みたいコラム・資料

【コラム】最適な撹拌機を選ぶための3つのポイント
コラムを読む

【技術資料】ベルヌーイ流撹拌機ってなに?
資料を請求する

吸引ろ過容器と加圧ろ過容器 選ぶための4つのポイント
2023/07/12 09:00

MONOVATEでは吸引ろ過容器【QR-100M】加圧ろ過容器【PR-FP】という二つのろ過容器をラインナップしています。

その名のとおり、この2機種の違いはろ過の方式が異なる点にあります。それを含め、この2台にはどのような違いがあるのか、この記事でご説明します。

【違い1】 ろ過方式・精度と設備

一つ目の大きな違いは「ろ過方式」です。

その名のとおり、下記のように方式が異なります。

  • 吸引ろ過容器【QR-100M】:吸引ろ過(減圧ろ過)
  • 加圧ろ過容器【PR-FP】:加圧ろ過

この違いにともない、必要になる設備も異なります。

  • 吸引ろ過容器【QR-100M】:真空ポンプ
  • 加圧ろ過容器【PR-FP】:エアー設備

QR-100Mはポンプと接続し、容器内の空気を抜くことによってホッパー内に投入した材料をろ過します。ホッパーを外しヘルール部を閉止すれば、簡易的な真空脱泡にもお使いいただけます。

一方、PR-FPはあらかじめ設置する施設内にエアー設備が設けられている必要があります。本容器とその設備とを接続し、エアーを供給することによって、容器内に投入した材料をろ過する方式です。

たんぱく質などを含む溶液等、泡立ち変性などのリスクがある材料を扱う場合には、加圧ろ過方式であるPR-FPを使用するのが適切です。

【違い2】フィルター

フィルターには下記の違いがあります。

  • 吸引ろ過容器【QR-100M】:100メッシュのキャッチネット(標準仕様)
  • 加圧ろ過容器【PR-FP】:ろ紙(標準仕様)

標準仕様の場合、それぞれ上記のフィルターを使用します。

そのため、PR-FPでは都度ろ紙を用意する必要があるのに対し、QR-100Mではろ紙を用意する必要はないものの、都度フィルターを洗浄する必要性があります。

ろ紙よりも100メッシュのキャッチネットのほうが目は粗いので、果汁の種を取り除くなど、ろ過の速度を速めたいような目的の場合にはQR-100Mが適しています。

一方で、ろ紙を使用してより細やかなろ過のできるPR-FPは、化学・化粧品などの製造現場にて、何かを強制的にろ過したいような場合に適しています。ただし、ろ紙の粗さが適当なものでない場合には、ろ紙が裂ける可能性もありますので注意が必要です。

【違い3】ろ過面積

ろ過面積は、一度に投入できる量やろ過に要する時間などに影響してきます。

  • 吸引ろ過容器【QR-100M】:小さい(標準仕様で約18cm^2程度)
  • 加圧ろ過容器【PR-FP】:大きい(標準仕様で379~754cm^2程度)

QR-100Mはろ過面積が小さいので、特に液体に対して固体の量が多い場合には、一度に投入する量を調整する必要があります。場合によっては目詰まりしてしまう可能性もあるでしょう。ろ物が少ないものに適しています。

PR-FPは比較的大きいろ過面積となっているため、ろ物の目詰まりを防ぎながらスムーズなろ過を行えます。ろ物が多くても安心してお使いいただけます。

【違い4】投入・排出方法

ろ過したい材料の投入方法と、ろ液をどのように排出するかにも違いがあります。

  • 吸引ろ過容器【QR-100M】:ホッパーから連続投入→蓋を開けて排出(受け容器内に一度貯蔵)
  • 加圧ろ過容器【PR-FP】:バッチ投入→容器下部から排出

QR-100Mはホッパーから材料を連続投入できます。ろ過時にホッパーと容器との接続部を閉止する必要もないので、連続してホッパーに投入することが可能です。ただし、ホッパーに接続されている容器の中に受け容器があり、そこにろ液が排出されるので、連続してろ過できる量は受け容器の貯蔵可能量までとなります。

一方、PR-FPはバッチ投入になります。ろ過時は投入口を閉止する必要があるため、QR-100Mのように連続投入はできません。排出は容器下のヘルールから排出されるので、ホース接続をして別の設備等にそのまま供給することができます。

まとめ

この記事でご説明した違いをまとめると、以下の表のようになります。

違い 吸引ろ過容器 加圧ろ過容器
ろ過方式 吸引ろ過(減圧ろ過) 加圧ろ過
設備 真空ポンプ エアー設備
フィルター 100メッシュのキャッチネット ろ紙
ろ過面積 小さい 大きい
投入・排出方法 連続投入→受け容器に排出 バッチ投入→下部ドレンから排出

まずは、取り扱う材料が加減圧により変質しないかを確認します。それにより加減圧のいずれにより影響がある場合(影響を許容できない場合)には、その影響が出ない方式のものを選択します。

いずれの影響も問題がない場合には、ろ物の量で検討します。ろ物が多い場合、QR-100Mでは目詰まりを起こしてしまう可能性があるので、PR-FPのほうが適しているといえます。また、設置予定の施設にエアー供給設備があるかどうかも、選定を左右するでしょう。

ろ過容器の選定にお悩みの場合には、お気軽にお問い合わせください。最適なろ過容器の選定をサポートいたします。

また、お客さまのご要望をもとに、オーダーメイドで製作することも可能です。今回ご紹介した製品をベースに製作するのはもちろん、ニーズに合わせた形で一から設計・製作することもできます。まずはお客さまのご要望、いまの課題感をお聞かせください。

「投入や排出のロスを改善するカスタマイズ」を実績からご紹介します
2023/04/12 09:00

お客様から設備の導入や更新に際しお困りごとなどを伺っていると、ロスや歩留まりの改善についてご相談をいただくことがあります。
当社でご提供している設備は一台からカスタマイズが可能ですので、お伺いした内容に応じて組み込む部品を追加・変更したり、設計を変更したりしたご提案をしています。

作業場の状況やワークの性質によりご提案は変わるのですが、このコラムでは「投入」と「排出」2つの工程に焦点をあてて、実際にご採用いただいたものを中心にロスや歩留まりの改善につながるカスタマイズをご紹介します。

    ロスの原因別にご紹介

  • 【1】ワークが舞ったり飛び散ったりしてしまう
  • 【2】投入の際にこぼしてしまう
  • 【3】容器から排出しきれない(液残りがある)

【1】ワークが舞ったり飛び散ったりしてしまう

  • ワークの出口と受け容器の距離をできるだけ近づける
  • (粉体ワークの場合)集塵フードを設置する

ワークの出口と受け容器の距離をできるだけ近づける

受け容器の位置や大きさに合わせて配管を伸ばすことで、排出時の飛散を抑えます。
追加で購入するのは配管部品だけで済む場合もあります。簡易的ではありますが、コストが低く手軽に取り入れられる解決策です。


▲ (材料メーカー様採用事例)
容器の真下に伸びる排出口を横側に延長しています。伸ばした配管部分に液残りしないよう傾斜をつけました。


▲ (化学系メーカー様採用事例)
工程を終えたワークを一斗缶に回収するため、排出口の先端を一斗缶の口に入るサイズにしました。

受け容器を配管でつなぎ、排出時の飛散を防ぐこともできます。
(密閉状態の容器に投入すると受け容器に圧力がかかり粉漏れのリスクがあるため、空気抜きを設けます。)

当社でも粉体回収容器というシリーズで、様々な種類の配管に対応した受け容器をご用意しております。

粉体回収容器のラインナップを見る

受け容器の高さが一定ではない・場合により高さを調整したいような工程でしたら、受け容器を低床リフターに載せて位置調整することをおすすめします。
受け容器に入った粉の重量を確認しながら投入量を調節できるように、重量計測機能付きリフターを使用した事例もございます。

事例の詳細を見る

(粉体ワークの場合)集塵フードを設置する

投入先の容器を覆うカバーを取り付け、集塵機と接続することで、舞い上がる粉を回収します。
集塵機で回収した原料は、お客様のご判断によっては再利用することもあります。

製品の詳細を見る

【2】投入の際にこぼしてしまう

  • 投入用ホッパーを設ける
  • 注ぎ口がついた容器を使う
  • 投入の動作をサポートする
  • ステップを設置する

投入用ホッパーを付ける


投入先の容器の蓋を半分開閉できるようにして投入口とする仕様が一般的ですが、蓋に他の機器がついており十分なスペースを確保できない場合もあります。
扱うワークの性質や工場の環境によっては、大きく開放した口からの異物混入を懸念されるお客様もいらっしゃいます。

このような場合には、蓋にホッパーを設置します。
限られた蓋の面積で小さな投入口を設けるよりも、十分な投入のスペースを確保できます。

右の写真は、蓋に設置した投入ホッパーに省力化のための工夫を加えている事例です。一斗缶に入った原料をこのホッパーから投入するのですが、ホッパーに一斗缶を逆さまに置いておける形状にしました。

事例の詳細を見る

投入の動作をサポートする

ある程度まとまった量のワークを扱う場合、扱う原料も多くなり、重たく思うようにハンドリングできないということも考えられます。

原料が入った容器を傾けて次工程に移すような工程の場合は、傾ける動作をサポートするような容器がおすすめです。ハンドリングが安定し確実な投入をサポートします。

製品の詳細を見る

あるいは、バランサーも有効です。作業者はほぼ重量を感じない状態になります。投入する位置と容器を傾ける角度だけを気にすればよいので、安定した状態で投入が可能です。

製品の詳細を見る

ステップを設置する

投入口からの距離が遠いならば、近くで確実に投入ができるようにステップ(踏み台)を設置するのもよいでしょう。無理な姿勢をとった状態より確実に投入できるのでロスも少なく、何より安全に作業できます。

製品の詳細を見る

【3】容器から排出しきれない(液残りがある)

  • 底が傾斜した容器を使用する
  • 容器を反転できるようにする
  • (液体ワークの場合)容器の内面をコーティングする
  • (粉体ワークの場合)排出口を広くする
  • (粉体ワークの場合)ノッカー、バイブレータを設置する

底が傾斜した容器を使用する

底が平らな容器に排出口を付けている場合、どうしても底の滞留が発生します。排出口に向かって傾斜がついている容器を使用すれば、自重で自然に排出されます。

容器を反転できるようにする

中身を掻き出すような作業が必要な場合には、容器を反転できる設計にするのがおすすめです。
人力で反転する必要が無く、作業の省力化にもつながります。

製品の詳細を見る

(液体ワークの場合)容器の内面をコーティングする

粘着性が高い液体の場合、容器の内壁に液残りしてなかなか排出しきれないことも。コーティングは表面の撥水性を向上させ、スムーズな排出を促します。写真は化粧品原料をすくう柄杓の採用事例です。

事例の詳細を見る

(粉体ワークの場合)ホッパーの粉詰まりを解消する

粉体は排出時にかかる圧力で出口が閉塞してしまう「ブリッジ」という状態になることがあります。こうなると全量排出することができず、残った粉体はロスとして扱われたり、次ロットと混ざってしまったりするリスクがあります。
排出口を広くする・ホッパーの下部にノッカーやバイブレータといった機器を設置するといった方法で、粉詰まりを解消できることがあります。

もしくは、ホッパーの下部にノッカーを設置するという方法もあります。

粉体の排出・粉詰まり防止については、こちらのコラムでも詳しく解説していますのでご覧ください。
コラム:「粉が詰まる!」を解消する方法とは? を読む

お気軽にお問い合わせください

装置や容器の形状だけでなく「容器を使う工程で○○に困っている」などの課題もご相談ください。12万件以上の実績をもとにご提案いたします。

相談する

容量で容器を選ぶときの注意点
2023/03/06 09:00
"

ステンレス容器など、何かを入れて使うものを購入する際に重要な「容量」。例えば製造業の方は、仕込み量をもとに容量を決めて容器を選ぶこともあるのではないでしょうか。

製品のカタログなどで単に容量とだけ書いてあった場合、これが満水時の容量なのか、少しゆとりを持たせた容量なのか(どのくらいゆとりがあるのか)気になったことはありませんか?

このコラムでは、当社製ステンレス容器の容量についてと、容器選定時の注意点についてご紹介します。

容量には有効容量と最大容量がある

製品やメーカーによって基準は異なる場合があるかもしれませんが、当社容器での認識は下記になります。

有効容量(容量・貯蔵容量)
例:標準的な使用で目安となる容量、確実に入る容量、蓋やパッキンなどの干渉を考慮してゆとりを持たせた容量 など

最大容量(満水容量・全容量・総容量)
例:満水状態のときの容量。

仕込み量から容器の容量を選ぶときの注意点

容器の有効容量と最大容量の差に注意!

当社で容量としているのは、基本的には有効容量のほうを表していますが、サイズによってはほぼ最大容量であるものがあります。今回このコラムを作成するにあたり当社容器の容量について調べましたが、有効容量が最大容量の○%というような規則性のあるものではありませんでした。

例えば容量を4Lとしている容器(18サイズ/内径180mm×高さ180mm)の場合、4Lの液面は容器の縁から約22mm下の位置にあります。しかし、容量を36Lとしている容器(36サイズ/内径360mm×高さ360mm)の場合、36Lの液面は容器縁から約1mm下の位置なので、ほぼ最大容量と言える量です。

当社製容器の容量一覧はこちらをクリック

※蓋を使用しない場合の容量です。
※公称容量=当社カタログ等に記載の容量

容器サイズ 公称容量
(有効容量)
満水容量
※概算値
容器内径 容器内高 公称容量の液面
(容器上部から)
L L φmm mm mm
18 4 4.6 180 180 22
21 7 7.3 210 210 7
24 10 10.8 240 240 18
27 15 15.4 270 270 7
30 20 21.2 300 300 16
33 25 28.2 330 330 37
36 36 36.6 360 360 5
39 45 45.8 387 390 7
39H 50 56.4 387 480 54
43 65 65.2 430 450 1
43H 70 75.4 430 520 37
47 80 81.3 470 470 8
47H 100 103.9 470 600 22
565 150 150.5 565 600 2
565H 200 225.9 565 900 103
635 300 316.2 635 1000 51
77 400 418.2 770 900 39
77H 500 511.3 770 1100 24
100 750 811.3 1000 1035 78
100H 1000 1066.6 1000 1360 85

蓋が容量に影響する場合がある

実際に入れられる量に関しては、蓋の有無や蓋の形状に大きく影響されます。これは蓋の種類によって容器の縁よりも低い(下に凹んでいる)部分があるからです。

当社の蓋ですとストック蓋【SF】密閉蓋【MF】などが該当します。

仕込み量だけで容器の容量を決めない

仕込み量についてだけでなく、""何に使うのか""を考慮して容器を選ぶと、作業性が向上するなどのメリットがあります。

例えば、容器に入れた液体を撹拌(混合)する場合はどうでしょうか。混ぜ合わせるときに液面が波打ったり、撹拌機で撹拌すると壁面の液面が上昇することが予想されます。

例えば1サイズ大きい容器を採用するなど、容器の容量にゆとりがあれば、多少の波打ちや液面上昇があっても周囲を汚さずに作業できます。以下のような工程があるときも同様に、材料が溢れる・飛散するというトラブルを防ぐことができ、作業性の向上につながります。

  • 液体に材料を投入する
  • 材料を混ぜると発泡したり膨張する
  • 中身を入れたまま容器を移動する

既製品の容器では容量が合わないときの解決策

容量にゆとりのある容器を選んだら、サイズが大きくて使いにくかったり、設備と干渉してしまったりなどの問題が出てくることもあります。そのようなときには特注製作がおすすめです。

フルオーダーすることもできますが、まずは以下のようなコストを抑えたカスタマイズを検討してみてはいかがでしょうか?

希望に近い容器を選んで、高さを変えるだけのカスタマイズ

MONOVATEはステンレス容器メーカーのため、カスタマイズのベースとなる製品が既に存在します。
そのため、希望に近い形の製品を選定して、その高さを変える(=容器の容量を増減させる)カスタマイズができます。
フルオーダーまでのコストや時間をかけなくても、用途や内容物に合わせて有効容量や最大容量を加味した容器を作ることができます。

例えばこのカスタマイズ事例では、高さを高くして容量を変えています。

このカスタマイズ事例では、高さを低くして容量を変えています。

高さに制限がある場合は、内径サイズが1つ上(または下)の容器に変える+高さを変える2つのカスタマイズを組み合わせてご提案しています。
フルオーダーでの製作も多くの実績があります。気軽にご相談ください。

カスタマイズの問い合わせ 

フルオーダーのお問い合わせはこちら

泡立ちを抑える「投入方法」とは?
2022/10/11 09:00

泡立ちは非効率的な作業につながる

泡立ちは、扱うものによっては以下のようなトラブルの原因になります。

  • 不正確な計量(センサーの液面誤検知、目盛りの誤読など)
  • 品質への悪影響
  • オーバーフロー
  • 充填工程に支障をきたす
  • 排出後泡がタンク内に残り、ロスが発生する。洗浄に時間がかかる。

泡が消えないと次工程へ進めない場合、消泡や脱泡といった泡を消す工程をはさんだり、放置して泡が自然に消えるのを待ったりしなければなりません。これは作業の妨げになり非効率的です。

言い方を変えれば、少し泡立ちの量が減るだけでも、作業効率の向上が見込めます。

泡立ちの原因はひとつではない

今回のテーマである「投入による泡立ち」には、複数の原因が考えられます。

  • 内容物の反応により泡が発生する
  • 液面と投入物の衝突により空気を巻き込んで泡立つ   など

今回は液面と投入物の衝突による空気の巻き込みによる泡立ちの対策を、簡単にですが実験します。

ちなみに

撹拌による泡立ちの抑制についても実験をしました。

撹拌実験事例:洗剤vs泡立ちを抑制する撹拌機

実験事例を読む

「泡立ちを抑える投入方法」実験

概要

5Lの水に食器用洗剤を少量混ぜ、タンクへ投入する(原料タンクから次工程のタンクへ投入するイメージ)。その後、液面から泡だけを回収し量を比較。
泡が少ないほど泡立ちにくい投入方法と考えられる。
以下の投入方法を検証する。

  • 蓋を開けて投入する
  • 流入管で投入する
  • 流入管で少しずつ投入する

▲ 流入管とは、液体の投入時に使用する管です。
タンクの壁面に液体を伝わせる構造で、液の勢いを和らげてタンク内に液体を溜めることができます。
今回はホッパー、バルブと組み合わせて使用します。

結果:流入管で泡立ちを半分以下まで抑制

流入管を使用し、少しずつ投入することで大幅に泡立ちを抑制できました。あくまで目視の範囲でですが、蓋を開けて一気に投入した場合と比較して泡の量は半分以下になっています。
投入に時間はかかりますが、泡立ちの抑制としては非常に効果的です。

※写真の撮影角度が異なり液面が不均等なため、若干の誤差があります。

流量を絞らず投入した場合も若干ですが泡立ちを抑えられました。

泡が自然に消えるのを待つのは、非常に時間がかかります。今回の実験でビーカーに回収した泡を2時間ほど放置しましたが、泡が完全に消えることはありませんでした。

原料投入時の泡立ちにお困りの方は「流量を絞りながら流入管で投入する」ことをおすすめします。

関連製品

ホースブラケット

詳細を確認する

オプションで流入管とバルブを追加可能

キャスター付きだけじゃない!脚付きホッパータンクの種類と特長
2022/09/06 09:00

液体材料・粉体材料などの貯蔵・供給用途で幅広く使用されている、脚付きのステンレスタンク。
当社でご提案できるのは、車輪が付いた脚付きタンクだけではありません。

このコラムでは、脚付きのステンレス製ホッパータンクを例に、ご提案できる脚のタイプとその特長についてご紹介します。もちろんホッパー形状以外でも対応可能です!

脚のタイプは大きく4つ

キャスタータイプ

工程間の移動がある場合や、頻繁に洗浄するようなときに適しています。
車輪が付いているため、内容物が入った状態でも水平移動と位置決めをスムーズにおこなえるのが特長です。
キャスターの材質やサイズの種類が豊富なため、使用環境やコストを考慮して決定できます。

キャスター付きホッパータンクのおすすめ製品

移動時に中身が飛散しない密閉蓋タイプ

この製品を見る

ホッパータンクを取り外せるタイプ

この製品を見る

据え付け座タイプ

装置への組み込みなど、一度設置したら頻繁に移動しないときにおすすめです。
アンカー止めなどの固定設置にも対応でき、ブリッジブレーカーの使用など振動のある作業でも安定性を高められるのが特長です。
他のタイプに比べて構造がシンプルで、洗浄性にも優れています。
据え付け座は自社設計のため、設置方法にあわせた仕様にカスタマイズ対応が可能です。

据え付け座付きホッパータンクの製作例(特注対応)

アジャスタータイプ

設置場所に凹凸や傾斜があったり、組み合わせる装置によって高さを変えたいときにおすすめです。
脚ごとに高さの微調整(レベル調整/水平出し)ができるため、タンクのぐらつき・がたつきを抑えられるのが特長です。
アジャスターには様々な種類があり、調整する高さに合わせてねじの長さを決めたり、洗浄性に優れたハイジェニック仕様(サニタリー仕様)などを選ぶことができます。

アジャスター付きホッパータンクの製作例

パレットタイプ

移動だけでなく輸送や装置への組み込みなどの目的があり、リフターで作業できる使用環境に適しています。
パレットとタンクが一体型になっており、移動時や輸送時の安定性に優れているのが特長です。
リフターを使用するため水平方向・垂直方向どちらへの移動もでき、高所への設置やトラックへの積み込みなどがスムーズにおこなえます。
このまま輸送も保管もおこなえば移し替えや小分けの作業が不要になり、特に粉体を扱う場合は作業時の暴露リスクを削減できます。

パレット付きホッパータンクのおすすめ製品

パレット一体型のホッパータンク

この製品を見る

複合タイプにカスタマイズ

例えばアジャスタータイプでありながらも、パレットタイプのようにフォークリフトで移動できるようにカスタマイズすることができます。大型のタンクや中身を入れたまま移動させたいような場合に採用いただくと、移動性が向上するためおすすめです。
また、キャスターとアジャスターを組み合わせたものもあります。移動先での高さの微調整をしたいときにおすすめです。

カスタマイズ例

キャスタータイプのカスタマイズ

この事例を見る

アジャスタータイプのカスタマイズ

この事例を見る

キャスターとアジャスターの組み合わせ例

キャスターとアジャスターの複合タイプ

まとめ

MONOVATEの脚付きホッパータンクは4つのタイプに加えて、複数タイプを組み合わせるカスタマイズができます。

このようなときにおすすめ
キャスタータイプ頻繁に水平移動するとき
据え付け座タイプ固定設置するとき / 装置に組み込むとき
アジャスタータイプ設置場所に凹凸や傾斜があるとき / 高さ調整が必要なとき / 装置に組み込むとき
パレットタイプリフターが使えるとき / 垂直移動があるとき / 装置に組み込むとき
複合タイプ(カスタマイズ)大型や重いタンクの移動性をさらに向上させたいとき / 移動先で高さを微調整したいとき

ホッパー自体のカスタマイズ、脚のないホッパータンクの製作も可能です。
気軽にお問い合わせください。

関連ページ:選んで作るカスタムホッパー

ホッパータンクについて問い合わせる

第一種圧力容器と第二種圧力容器の違いとは?
2022/08/08 09:00

圧力容器とは、容器内に圧力をかけることを目的とした容器のことを指します。

しかし「圧力容器」と一口にいっても、圧力容器はその仕様や内容物などの条件によっていくつかの種類に分類されます。

そこで、このコラムでは第一種圧力容器と第二種圧力容器を中心に、圧力容器の種類についてご説明します。

この記事の内容
  • 圧力容器は第一種圧力容器や第二種圧力容器などに分けられている
  • ポイントは圧力をかけたときに容器内で気体が発生するかどうか
  • 法令や規則に注意し、検査などを怠らないようにしよう

 

圧力容器は、圧力をかけると危険が伴うため、圧力の大きさや条件によって規格が設けられています。

もし強度が足りない場合、重大な事故を起こす可能性があるため、構造に関して労働安全衛生法・ボイラーおよび圧力容器安全規則等で細かく定められています。容器は大きさや扱う圧力の大きさによって分類され、その分類に応じて検定が必要になるものもあります。

ご注意

  • 本コラムでご説明する内容は本邦法令に基づきます。海外での使用等の場合、分類等は各国の法令によりますので、本コラムの内容とは異なります。
  • 以下で示す「条件」は法令をかみ砕いて説明するために記載したもので、実際の法令文とは違いがあります。設備選定時などには、必ず実際の法令文をご確認ください。また、本コラムの内容は記事執筆時点の法令に基づきます。

容器を区分するポイント

圧力容器に関して、言及されることの多い分類が「第一種圧力容器」と「第二種圧力容器」です。

このふたつの分類における大きな違いは、容器内で液体が気体に変化するかどうかになります。

 

圧力をかけて容器内で新たに気体が発生する→第一種圧力容器

圧力をかけるが容器内で気体が発生しない→第二種圧力容器

 

気体は液体に比べて、圧力を加えると体積が変化しやすいです。

仮に容器が破裂した場合、内圧に変化が生じ体積が急膨張を起こすため、気体を扱う容器の方が万が一の際のリスクが大きいです。そのため、気体の発生の有無が容器の構造に大きく関係しています。

以下では、それぞれの容器の定義についてご説明します。

圧力容器の区分

1-1. 第一種圧力容器

第一種圧力容器は規模の大きな圧力容器です。容器内で液体を反応させて蒸気が発生する、または液体を熱したときに蒸気が発生する場合、それを受け入れる容器は第一種圧力容器となります。

また大気圧における沸点をこえる温度の液体を保管する場合も第一種圧力容器となります。(例えば大気圧での沸点100℃の水を、圧力を使って120℃に加熱する場合など)

容器が破裂した際の危険度がとても高いため、製造するには所轄都道府県労働局の許可・検査が必要です。また、使用開始後も登録性能検査機関による検査が義務付けられています(年1回)。

※弊社では第一種圧力容器は製作できません。

<条件>

a.容器内部に蒸気を発生させる、または発生し容器内の圧力が大気圧を超えるもの
b.大気圧で沸点を超える温度の液体を入れる容器 例:蒸煮器、消毒器、精錬器、反応器、原子力関係容器、蒸発器、蒸留器、スチームアキュムレータ等

ただし、下記の条件に合致するものは除きます(第一種圧力容器にはなりません)。

除外要件

  • ゲージ圧力0.1MPa以下で、内容積が0.04m³以下の容器
  • ゲージ圧力0.1MPa以下で、胴の内径が200mm以下かつその長さが1000mm以下の容器
  • 最高ゲージ圧力〔MPa〕と内容積〔m³〕との積が0.004以下の容器

関連法令

第一種圧力容器の定義の詳細は「労働安全衛生法施行令第一条第五号」をご確認ください。

1-2. 小型圧力容器

第一種圧力容器の中でも、特に下記の条件に合致する比較的小さい容器は「小型圧力容器」に分類されます。1-1の第一種圧力容器とは異なり、製造許可などは不要ですが、製造時等における検定と年1回の自主検定が義務付けられています。

<条件>

1-1で示した第一種圧力容器に適合するもののうち、以下に合致する容器

a.ゲージ圧力0.1MPa以下で使用する容器で、内容積が0.2m³以下のもの
b.ゲージ圧力0.1MPa以下で胴の内径が500mm以下で、かつその長さが1000mm以下の容器
c.最高使用圧力〔MPa〕と内容積〔m³〕との積が0.02以下の容器

関連法令

小型圧力容器の定義の詳細は「労働安全衛生法施行令第一条第六号」をご確認ください。

1-3. (簡易)容器 

1-1の第一種圧力容器で示した条件(容器内で新たに気体が生じる)に合致するものの、小型圧力容器よりもさらに小型である一部の容器は、通称「(簡易)容器」と呼ばれます。この区分自体は法令で定められたものですが、名称は定義されたものではありません。

下記の条件に適合する容器は、第一種圧力容器とは異なり機関等の検査を受ける義務はありません。しかし、「簡易ボイラー等構造規格」に則った仕様で製作し、その性能を自主的な試験で確認しなければなりません。これは法令で定められた必須事項です。

<条件>

第一種圧力容器の<条件>に合致するが、「除外要件」により第一種圧力容器からは除外されているもののうちそこからさらに下記を除いたものは通称(簡易)容器とされます。

a.ゲージ圧力0.1MPa以下で内容積が0.01m³以下の容器
b.最高ゲージ圧力〔MPa〕と内容積〔m³〕との積が0.001以下の容器
c.船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるものおよび電気事業法、高圧ガス保安法、ガス事業法または液化石油ガスの保安の確保および取引の適正化に関する法律の適用を受けるもの

関連法令

(簡易)容器の定義の詳細等は「労働安全衛生法第四十二条」ならびに「労働安全衛生法施行令第十三条第三項二十六号」をご確認ください。

2-1. 第二種圧力容器

圧力をかけても新たに気体を生じない(第一種圧力容器に該当しない)という条件のもと、ゲージ圧力が0.2MPa以上の気体を容器内部に保有する場合、第二種圧力容器に該当します。製造時の検定と1年に1回の自主検定が義務づけられています。

<条件>

a.ゲージ圧力0.2MPa以上で内容積が0.04m³以上の容器
b.ゲージ圧力0.2MPa以上で胴の内径が200mm以上で、かつその長さが1000mm以上の容器

関連法令

第二種圧力容器の定義の詳細は「労働安全衛生法施行令第一条第七号」をご確認ください。

2-2.(圧力気体保有)容器 

第二種圧力容器と用途は同じであるものの、先述の<条件>に合致しない容器の一部は通称(圧力気体保有)容器と呼ばれます。(簡易)容器と同様、「簡易ボイラー等構造規格」で定められた仕様で製作し、その性能を自主的な試験で確認する必要があります。ただし、第二種圧力容器のような機関等による検査の義務などはありません。

<条件>

大気圧を超える圧力を有する気体を内部に保有する容器のうち、1-1の第一種圧力容器(気体が新たに生じる)や2-1の第二種圧力容器(圧力0.2MPa以上)を除いたもののなかで、下記に該当するもの。

a.内容積が0.1m³を超える容器

ただし、アセチレン発生器や船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるものおよび電気事業法、高圧ガス保安法またはガス事業者法の適用を受けるものは除く。

関連法令

(圧力気体保有)容器の定義の詳細等は「労働安全衛生法第四十二条」ならびに「労働安全衛生法施行令第十三条第三項二十七号」をご確認ください。

常圧用のジャケット容器に圧力をかけたらどうなる?

容器に圧力をかける際には、必ずそれを前提として設計した容器を使用しなければなりません。

もし常圧用のジャケット容器に圧力をかけてしまったら、どれだけ危険なのか。その危険性は「【動画あり】ステンレス容器の実験事例―ジャケット容器圧力破壊実験」でご覧いただけます。

MONOVATEでの圧力容器の製作

当社では第一種圧力容器を除く圧力容器の製作が可能です。以下から、圧力容器の標準ラインナップをご覧いただけます。

このほか、上記のラインナップを一部カスタマイズしたモデルや、お客さまの必要性に応じた完全オーダーメイドでの圧力容器の製作も可能です。
ぜひお気軽にご相談ください。

圧力容器の製作について相談する 

コラムの更新情報など、お役立ち情報をメルマガで定期配信中!

ステンレス製品のメーカーが使っている6つの自社製品
2022/06/03 09:00

ステンレス製品のメーカーが使っている6つの自社製品

MONOVATEの工業用ステンレス製品は、様々な業界の工場や研究室で使われていますが、実は社内でも自社製品を使っています。
このコラムでは、自社製品を社内でどのように使用しているのか、その一部をご紹介します。

実際に使っている自社製品の例

粉体を保管するときに使っている製品

【CTH】密閉容器(キャッチクリップ式)

パチン錠タイプの密閉容器

 社員の声

袋に入った粉をこのタンクで保管している。
クリップタイプなので開閉しやすく使いやすい。

この製品を見る(動画あり)

液体を注ぐときに使っている製品

【BK-SMA-DP】液だれ防止ビーカー

液だれ防止ビーカー

 社員の声

液体を容器へ注ぐときに使っている。
内側に、水量の目安の線をマーキングして使っている。
液体を周りにこぼさずに注げる。

この製品を見る(動画あり)

【HS】ステンレス柄杓

ステンレスひしゃく

 社員の声

タンクに規定量の水を入れるときの最後の水量調整に使っている。
柄の端にループを付けて、吊り下げ収納している。

この製品を見る

クランプバンドを締めるときに使っている製品

【TSC】クランプバンド用トルク管理ソケット

クランプバンド用のソケット

 社員の声

ヘルールのクランプバンドを締めるときに、これをトルクレンチに付けて使っている。
他の人に比べて力が弱く、クランプバンドの締めがいまいちだったが、これを使うときちんとクランプバンドを締められる。

この製品を見る(動画あり)

撹拌機を組み立てるときに使っている製品

【KSD】竪型撹拌機スタンド

撹拌機を置くスタンド

 社員の声

撹拌機の組み立てなどで使っている。
撹拌機を横置きにするとスペースが必要だったり軸に負荷がかかってしまったりするが、これを使うと省スペースになるだけでなく、縦にまっすぐ置けるので安定感があり安心して作業できる。

この製品を見る

バルブをタンクへ取り付けるときに使っている製品

【JT/JTS】取付サポートジャッキ

バルブ取り付けのサポート

 社員の声

タンクの底にボルト留めのバルブを取り付けるときに使っている。
以前はバルブを抑える人とボルトを締める人の2人で作業したり、タンクを逆さにしたりしていたが、これを使うことで1人で取り付けでき時間短縮&省力化になっている。

この製品を見る(動画あり)

こんなものも作って使っています

ステンレス製品のオーダーメイドが得意な弊社では、改善活動や日々の業務の中でもステンレス材を使うことがよくあります。
過去には、社内で使っていたものが来社されたお客様の目に留まり、製品化に至ったケースもあります。

「こういう使い方ができる製品はある?」「これもステンレスで作れないかな?」と思うものがありましたら、気軽にお問い合わせください。

改善活動での製作例:ボトルキャリアー

社内改善事例-ステンレス製ボトルキャリア―

 社内の声

手で運ぶと2-3本しか持てず、台車に乗せて運ぶと運搬の途中で倒れてしまっていたので、「おかもち」のようなカゴを作った。これを使うと6本でも片手で安定して持ち運べる。

その他

・スチール棚にステンレスの板を敷いて、もらい錆び対策
・治具や消耗品を収納するための専用サイズのホルダー
・部材や治具用の仕切り
・タンクや台車をカスタムしたステンレス製のゴミ箱
・ネジ穴付きヘルールキャップにニップルを取り付けるときの固定治具

お問い合わせフォームに進む

洗浄性と強度が上がる「バーリング」ってなに?
2022/05/11 09:00

 

「バーリング」とは、素材に穴を開け、その穴のフチを円筒状に伸ばす加工のことをいいます。一般的にネジ山を確保するために使われている技術ですが、MONOVATEでは容器の洗浄性を向上させる目的などのためにこれを用いています。

製薬・食品業界など、異物混入(コンタミネーション)防止が特に重視される現場で、錆びにくく衛生的という理由から使用されることの多いステンレス容器。汚れが溜まりにくく、落としやすいといった「洗浄性」は、設備選定の大切なポイントです。

それに効果を発揮するのが、今回ご紹介する「バーリング加工」です。この記事では、当社でのバーリング加工の方法とその目的についてご紹介します。

1. バーリングとは

バーリングとは成形加工方法の一種で、素材に穴をあけ、その穴の縁を円筒状に伸ばす加工のことを指します。平面に立体的な部分を作りだすことがバーリング加工の特徴です。

下の写真では、左の穴が加工前、右の穴が加工後の状態です。

barring-11
左が加工前 右が加工後

下穴と呼ばれる穴を板材に開けた後、円錐形状の型を通すことによって、穴を広げながら円筒状に伸ばします。一般的には、板金屋さんで薄い板にネジ加工をしたい時にネジ山を確保するために利用されている技術です。

弊社ではこのバーリング加工をステンレス容器に応用しています。
タンクや蓋にノズルを直接溶接せず、バーリングで穴を立ち上げてからノズルを溶接しています。

2.バーリングを活用する理由?

では、なぜ当社ではノズルを直接溶接せずに、バーリングで穴を立ち上げてからノズルを溶接しているのでしょうか。これには以下の2つの理由があります。

バーリングを活用する2つの理由

①洗浄性を高めるため

②母材のひずみを抑えるため

①洗浄性を高めるため

バーリングをすることにより、汚れの溜まらない滑らかな面となります。?

一般的な溶接では付け根に角が生まれ、そこに汚れが溜まりやすくなります。それに対し、バーリング加工は付け根にRが生まれるため汚れが溜まりにくくなるという特長があります。

【溶接】と【バーリング加工+溶接】の違い

【一般的な溶接】:ノズルと母材の付け根に角が生まれる

【バーリング加工+溶接】:ノズルと母材の付け根が曲線を描く

また、単に汚れが溜まりにくいだけではなく、汚れを落としやすいというメリットもあります。ブラシなどを使わなければならない角の汚れなども、バーリング加工を施した部分であれば簡単に汚れを拭き落とせます。腐食防止にも貢献します。

②ひずみを抑えるため

弊社製品は板厚の薄いものが多く、溶接時には母材にひずみを生じさせる可能性があります。バーリング加工であればひずみを低減できるため、その修正のために余計な傷をつけることもなく、綺麗に仕上げられます。そのための時間・コストも削減できるのもメリットです。

また、バーリング加工にすることで、直角に接合させる隅肉溶接ではなく突合せ溶接にできます。隅肉溶接に比べ熱応力や振動、曲げなどの外力に対する強度が高くなります

3. 特注加工例の紹介

バーリング加工を利用して製作した特注ステンレス容器をご紹介します。
容器に開けた穴をバーリンク加工し、ねじ込み継手を溶接しています。

 

4. バーリング加工の様子を動画で見てみよう

どのようにしてバーリング加工を行うのかは、下の動画でご覧いただけます。こちらもあわせてご覧ください。

お気軽にお問い合わせください

「完全オーダーメイドでの設計・製作」も承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
図面が無くてもOKです!簡単なイラストや図でご希望のタンクをお知らせください。

特注加工について相談する

あわせて読みたい記事

工具不要で洗いやすい!容器や配管に欠かせないヘルール継手
工場の自動化に欠かせない ステンレス容器のカスタマイズ
2022/03/07 09:00

近年、医薬品の工場や化粧品の工場などで自動化(ロボット化/ファクトリーオートメーション)の流れが加速しています。弊社でも、自動化された生産ラインでステンレス容器を使用したいお客様から、容器をカスタマイズして製作するオーダーメイドの依頼が増えてきました。

使用する装置や作業内容にあわせてステンレス容器をカスタマイズすることで、装置の性能を十分に発揮できたり、工程の問題を解決したりできます。

このコラムでは、自動化工程へ導入するステンレス容器におすすめのカスタマイズや製品を紹介します。なお、自動化の予定はないが、手作業を減らして省力化(省人化)したい場合には別のコラムをご覧ください。

 

自動化工程でステンレス容器を「扱いやすく」するには?

サイズを合わせる

ワーク許容サイズ、保管スペース、投入量などに合わせたサイズで製作します。弊社では主に、高さ寸法のカスタマイズで対応しています。

> 高さ変更の詳細を見る

容器内径もカスタマイズできますが、基本的には以下のサイズから選ぶようになります。金型製作など費用面を了承いただければ、オリジナル径での製作も可能です。

弊社標準ラインナップの内径(mm)

180/210/240/270/300/330/360/387/430/470/565/635/770/1000

※上記サイズ以外でも対応可能な場合があります。※容器の仕様により、製作可能なサイズが限られていることがあります。

干渉しないようにする

例えば容器に付いている取っ手が干渉するときは、取り付け位置をカスタマイズできます。取っ手自体が不要であれば、「取っ手なし」の選択もできます。

持ちやすく/つかみやすくする?

持ち上げる動作があるとき

「容器を持ち上げて別のパレットに置く」ハンドリング動作があるなら、容器側面にブラケットを取り付けるカスタマイズがおすすめです。ブラケットはロボットの仕様に合わせて設計できるため、しっかり持つことができます。

干渉などの問題がなければ、人が扱うための取っ手とロボット用のブラケットを両方取り付けることもできます。※通常の容器にある取っ手は人の手で扱う前提の設計であり、ロボットやリフターなどでの使用は想定されていません。詳しくはこちら

> ブラケットの詳細を見る

つかむ動作があるとき

「つかんで反転させる」ハンドリング動作があるなら、容器側面にリブを加工するカスタマイズがおすすめです。リブの幅や位置はつかむ側のアームやツメの幅に合わせて加工することで、ズレにくくなりしっかりつかむことができます。リブは容器側面の強度を上げる効果もあります。

> リブ加工の詳細を見る

容器外面にジャケット等を取り付けて、ロボットハンドのチャックなどとサイズを合わせるカスタマイズもできます。

安定性を向上させる

内容物が重いと容器の底が外側へ膨らんでしまい、容器を置くときやコンベアーなどで運搬するときに容器が揺れて不安定になることがあります。このような場合には、底のカスタマイズがおすすめです。例えば容器下部に袴を付けると、底がコンベアーなどに触れなくなり安定性が向上します。

> 袴加工の詳細を見る

底の径に合わせた厚板を底外面に取り付け、底を補強するカスタマイズもできます。底が変形しにくくなり安定性が向上します。補強板を使わず容器自体の板厚を上げて対策することもできます。

> 補強板の詳細を見る
> 板厚変更の詳細を見る

底にエンボス(凹凸)を加工して底の強度を上げるカスタマイズもできます。底の強度が増して膨らみを抑えられるほか、膨らみやすい底の中央部がコンベアーなどに触れなくなり、安定性が向上します。

蓋が簡単に開くようにする

蓋を持ち上げるだけで開く

蓋の開閉がしやすい仕様だと自動化しやすくなります。密閉容器などの蓋を固定する部品があるものではなく、かぶせ蓋タイプの容器をベースにしたカスタマイズがおすすめです。かぶせ蓋は、ロボットに合わせた持ち手やブラケットを取り付けるカスタマイズもできます。

> かぶせ蓋タイプの製品を見る

?

キャップを回すだけで開く

回転する(ひねる)動作が可能であれば、ねじ口の容器がおすすめです。ねじ口は主に小容量のボトルで使われています。かぶせ蓋と比べると密閉性もあります。

> ねじ口の製品を見る

自動化工程でステンレス容器を「洗いやすく」するには?

容器内面の洗浄性を向上させる

直接内容物に触れる容器内面は、汚れが付きにくくなる電解研磨の施工がおすすめです。容器内面を電解研磨することで、表面の残留物を落として表面が滑らかになり、汚れが付きにくくなります。

> 電解研磨の詳細を見る

 

粘性の強い液体を扱う場合は、フッ素樹脂コーティングの施工がおすすめです。ほとんどの物質が固着しない非粘着性、水や油を弾く撥水性などの特長があり、汚れをすぐに落とすことができます。

> フッ素樹脂コーティングの詳細を見る

容器外面の洗浄性を向上させる

容器外面は部品が多く、洗い上がりにムラが生じやすい箇所です。汚れや洗浄液が残留しやすい部分は、洗浄性を考慮したカスタマイズが可能です。弊社ではサニタリー仕様という、洗浄性に優れた仕様をご提案できます。

> サニタリー仕様の製品を見る
> 洗浄時間が短縮できる隙間の無いステンレス容器とは?

例えば容器の端の縁巻き部分は、隙間を完全に塞ぐ「カールシール」というカスタマイズがおすすめです。製品によっては縁巻き自体を無くすこともできます。

取っ手は、取り付け部分を全て溶接できる丸棒取っ手(サニタリー式)がおすすめです。

自動化工程でステンレス容器を「管理しやすく」するには?

レーザーマーキングを追加する

剥がれず洗っても消えない印字方法で、改ざん防止にもなるレーザーマーキングがおすすめです。オリジナルの管理番号やQRコードなどを容器側面や蓋に印字できます。

> マーキングの詳細を見る

シール座を追加する

バーコードラベルなどで管理しラベルの貼り替えがある場合は、ラベルが剥がしやすいシール座の追加がおすすめです。

> シール座付きの製品を見る

カードホルダーを追加する

紙で管理している場合は、水濡れや汚れを防ぐカードホルダーの追加がおすすめです。

> カードホルダー付きの製品を見る

 

 

自動化・ロボット化に対応したステンレス容器を設計・製作できます

ご希望のステンレス容器や使用環境などの詳細をお聞かせください。最適なステンレス容器をご提案します。製作可否や見積など、気軽にお問い合わせください。

 問い合わせフォームへ進む  

バフ研磨はしないほうがいい?ステンレス容器メーカーのこだわりとは
2022/02/09 09:00

ステンレス製品の最後の仕上げに行われることの多い「バフ研磨」。一般的に、ステンレスの表面がぴかぴかになっているのはバフ研磨をおこなっているからです。

バフ研磨を行うと、加工時についたバリや傷を除去したり、表面の平滑度を向上できます。とても綺麗な見た目に仕上がるため、バフ研磨を行うことが一般的です。

しかし、綺麗なのはあくまでも「見た目」。基本的にはバフ研磨をしないほうが、綺麗な状態を保てるのです。この記事ではその理由と、MONOVATEのこだわり・考え方についてご説明します。

1. バフ研磨は「しないほうがいい」

1.1. そもそも「バフ研磨」とは

バフ研磨はステンレスの表面を仕上げるために行われる、一般的な研磨方法です。綿やフェルトでできた円盤状の「バフ」を高速回転する工具などに取り付け、ステンレスの表面に回転させながら当てて研磨します。

この目的は、主に表面を綺麗にするためです。加工時についたバリや傷、汚れなどを除去し、表面を滑らかにします。また、表面がピカピカになるため、見た目を良くする観点からも最終仕上げに行われることが多い研磨です。

研磨の粗さ(細やかさ)を表す際には、「番手」と呼ばれる数字で区別することが多いです。一般的に数字が大きくなるほど目が細かくなり、ステンレス表面の光沢が強くなります。特に、800番のバフ研磨は鏡面加工と呼ばれ、鏡のような光沢が生まれます。

1.2. バフ研磨にはデメリットも

その一方で、バフ研磨にはデメリットもあります。バフ研磨は表面をピカピカにしますが、実際には必ずしも綺麗にできているわけではありません。

バフ研磨をする際には、バフに「研磨剤」と呼ばれる磨き粉のようなものを塗布します。すると、この研磨剤の油がステンレス表面の目に見えない細かな傷に入り込んでしまうのです。

もちろん、研磨後に洗浄を行いますが、この油を完全に除去することは難しいのが現実です。一般的にはこうした残留物が何かに影響を与えることはありませんが、製薬工程等の特にサニタリー性が求められる現場では好まれません。

2. バフ研磨したステンレス表面を見てみると

では、バフ研磨したステンレスとそうでないものとでは、その表面にどれだけの差があるのでしょうか。目視で確認することはできないので、走査電子顕微鏡(SEM)を使って撮影したステンレス表面の写真(SEM画像)を見てみましょう。

2B材 研磨前

2B材 #320バフ研磨

上掲の画像は、一般的に使用されることの多い「2B材」のステンレス表面を写したものです。バフ研磨をすると、もともとあったウロコのような凹凸はなくなりますが一定方向に長い傷がつきます。画像上に見える黒い斑点は研磨剤等の汚れで、研磨により生じた表面に残存してしまうことがわかります。

一方で、この画像だと「研磨剤は多少残るかもしれないけど、バフ研磨をすることで圧倒的に綺麗になっているんじゃないの?」とお感じになる方もいらっしゃるかと思います。しかし、これはあくまで一般的に使用されることの多い「2B材」を写したもの。当社で主に使用している「BA材」で比較してみると、どうでしょうか。

BA材 研磨前

BA材 #320バフ研磨

ご覧のとおり、研磨後のほうが傷が増えてしまっていることがわかります。研磨前では深い傷や目立つ凹凸がなかったのに対し、研磨後は明らかに傷が増えてしまっています。また、そこに研磨剤等の汚れ(黒い点)が残存していることもおわかりいただけるでしょう。

3. MONOVATEのバフ研磨

MONOVATEでは、特別注文したBA材を中心に使用し製品を生産しています。BA材は光輝焼鈍(Bright annealing)という無酸化雰囲気にて熱処理したもので、表面に酸化スケールが生じず、非常に細かい表面粗度を持ちます。2B材よりもグレードの高い材料で、鏡のような光沢が特徴的です。

BA材のライト写り込み例
2B材のライト写り込み例

先ほどの画像でご覧いただいたとおり、当社で使用しているBA材はそのままの状態が一番綺麗です。バフ研磨をすると表面に傷がつき、そしてそこに研磨剤等が残存してしまいます。そうした研磨剤は、ルージュなどの原因になることもあります。

そこで当社では、極力バフ研磨をしないことをこだわりとしています。バフ研磨はあくまでも加工跡を除去する目的で、限られた範囲にのみ施します。下の画像のとおり、バフ研磨を施すのは容器全体のうち約6.5%に過ぎません(通常の容器の平均)。

一般的なバフ研磨

MONOVATEのバフ研磨
研磨跡

素材の段階から研磨の必要がない高品質なものを厳選し、極力傷をつけずに加工する。そして、求められる品質を満たすために必要な最低限の研磨を施し、オンリーワンの品質で提供する。これが当社の矜持です。

わずかな残存物をも除去する「電解研磨」

バフ研磨を極力減らし、傷や残存物を少なくしていますが、さらに汚れを除去したいという場合には「電解研磨」でより綺麗にできます。

滑らかな表面となることで、汚れなどの物質が沈着しづらく洗浄を容易する電解研磨の効果とその方法については「最高グレードの電解研磨」をご覧ください。

撹拌機を買いたい!と思ったら読む「撹拌機の購入を失敗しないコツ」
2021/12/01 09:00

撹拌機はさまざまなメーカーからいくつもの機種が発売されており、「種類が多すぎて、どれが良いのかわからない!」「ちゃんと混ざる?」「どうやって買うの?」と思われがちです。

このコラムでは、撹拌機を購入する際に知っておきたい撹拌機選びのコツや、撹拌機の購入方法についてご紹介します。撹拌機の購入を初めて担当する方、撹拌機を検討しようと思っている方におすすめです。

撹拌機の構造・駆動方式・設置方式・撹拌体に関しては、別のコラムで詳しくご紹介しています。

撹拌機の購入を失敗しない3つのコツ

コツ1:撹拌に関する5つの情報を把握する

購入する撹拌機を選ぶ前に、混ぜるもの、使う場所、撹拌の目的などの情報をまとめておくことが重要です。例えば、粘度が高い液を混ぜるのを考慮せずに撹拌機を選んでしまうと「うまく混ざらない」「すぐ壊れた」のような問題が起こりやすくなります。

このページでは、当社が撹拌機の選定で重視している5つの情報について解説します。この情報が具体的であればあるほど、撹拌機選びが成功すると言っても過言ではありません。

1-1 どのようなものを混ぜたいのか(内容物)

撹拌したい内容液の「具体的な名称(成分)」「粘度」「比重」「温度」「容量」などの情報が撹拌機選びには必要です。内容物の詳細がわかることで、撹拌にどのくらいのパワー(トルク)が必要になるかや、シャフトや撹拌体の材質と相性が良いかなどがわかってきます。

液体に固形物が含まれるときは、その名称や含有量(含有率)もまとめておくと良いでしょう。

1-2 どんなところで使うのか(使用環境)

撹拌機の使用環境(設置場所)によって適した撹拌機が異なるため、使用環境を把握しておくことが重要です。水がかかるような場所で使うのか、防爆エリアで使うのかでも、対応可能な撹拌機は異なります。

撹拌機は設置方法から選ぶこともできます。カクハン機座やタンクの縁などに設置する可搬型、蓋に設置する竪型 、タンク底部に設置する下部型があります。

1-3 なにをするために使うのか(用途/目的)

「混合」「分散」「溶解」「乳化」など、撹拌機にはさまざまな用途が考えられます。撹拌機を使いたい作業内容によって適した撹拌機が変わるため、撹拌機を購入する上で欠かせない情報です。

1-4 現状の課題や改良したいところは?

撹拌に関する課題を抱えていませんか?

特に撹拌機をすでにお使いの場合は、今回購入する撹拌機では改良したいところなど撹拌機に関するご要望があれば、撹拌機選びに反映させることができます。また、撹拌機によってはご希望にあわせた仕様にカスタマイズ(特注製作)できる場合もあります。

1-5 最も重視するところは?

作業性、撹拌性能、導入コストなど、ユーザー様や案件によって重視するところは異なります。また、設備の新規導入や入れ替えには、実際に使用する人をはじめとしてさまざまな部署や人が関わります。

撹拌機の購入をスムーズに進めるために、目的や要望、重視するところなどの情報を共有しておきましょう。

コツ2:撹拌機選定シートを活用する

撹拌に関する情報をまとめるといっても、さまざまな内容をまとめる必要があって大変な作業だなと感じてしまったでしょうか。

そこで当社では、記入していくだけで撹拌機の選定に必要な情報を簡単にまとめることができる撹拌機選定シート(ヒアリングシート)をご用意しています。記入できる内容から埋めていくことができ、最終的にA4用紙1枚サイズにまとめられるようになっています。
撹拌機選定シートは以下からすぐにダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

撹拌機選定シートPDF版 撹拌機選定シートExcel版

コツ3:プロに選んでもらう

撹拌機は、自分で選ぶよりも撹拌機のプロ(撹拌機メーカー)に選んでもらうのが確実です。今までの販売実績や撹拌実験などのデータから、自分で選ぶよりも最適な撹拌機を見つけ出してくれるはずです。特に初めて撹拌機を購入する場合や、初めて撹拌機の選定を担当するような場合は、まず撹拌機メーカーに相談されるのがおすすめです。

撹拌機メーカーが撹拌機を選ぶ際に必ずおこなうのは、コツ1の内容をお客様へヒアリングすることです。コツ1で書いたように、内容物や用途などによって最適な撹拌機が異なるからです。そのため、撹拌機メーカーへ選定を依頼される場合でも選定シートを活用し、事前に必要な情報をまとめておくと良いでしょう。

撹拌機購入までの流れ

最後に、当社にお問い合わせいただいた場合の撹拌機購入までの流れを簡単にまとめます。
※お問い合わせ内容や問い合わせ先(メーカー)により、異なる流れになる場合があります。

撹拌機の納期は、撹拌機の仕様やカスタマイズの有無によって数か月や半年程度かかることがあります。検討初期の段階で一度選定シートを添えてお問い合わせいただくことをおすすめします。

 お問い合わせフォームへ進む  

【中途半端だと漏れの原因に】シャッター弁の正しい使い方
2021/11/10 09:00

MONOVATEの「シャッター弁」は粉粒体専用のバルブです。ステンレス製の弁をスライドさせることにより、弁の開閉をおこないます。開閉が簡単、さらに分解・組立・洗浄が容易なのが特長です。

シャッター弁は全開⇔全閉での使用・全量排出を前提としています。構造上、中途半端な開閉状態で使用すると、すき間から粉漏れする可能性があるからです。

「じゃあ実際にどれくらい漏れるの?」というお客さまの疑問にお答えするため、このコラムではシャッター弁を半開状態にして粉を投入したときに、どれだけ漏れが生じるのかを検証してみました。

1. シャッター弁は全開⇔全閉で使用する

実験を行う前に、シャッター弁の構造を確認しておきましょう。

シャッター弁は、開口用の穴が付いた板状の弁をスライドさせることで開閉を行います。全開にすると弁はドレン口と同じ口径がとれ、流れに対して障害物なく排出できる構造です。

本製品は全開⇔全閉での使用・全量排出を前提としています。下の画像のように、弁の穴の位置が内径と外装にまたがってあるとき、そのすき間からの漏れが懸念されるためです。

▲半開にした状態

2. 【実験】半開で投入したときの漏れ量はどれくらい?

では、実際にはどれくらい漏れてしまうものなのでしょうか。今回はシャッター弁を半開にした状態で下の3つの粉体を投入し、粉の漏れ具合を確認してみました。

  • 薄力粉
  • パン粉
  • 粗塩

2.1. 薄力粉-勢いよく漏れた

まずは、今回実験に使う材料の中で、最も粒子が小さい薄力粉から試してみましょう。シャッター弁を半分開いたまま勢いよく投入すると、以下のようになりました。

ご覧いただけるように、すき間から粉が噴き出すように漏れ出しています。シャッター弁を完全に開かないとすき間が生じ、粉漏れの原因となることがあります。

弁を完全に開けた状態だとどうなる?

弁を完全に開けた状態で投入すれば、粉は漏れ出しません。弁を完全に開け、PTFEパッキンのすき間を埋めることができていれば粉が漏れ出す心配はないでしょう。

※動画では投入部から舞い上がってしまったものが床に落下しています

2.2. パン粉-細かなもののみ漏れた

続いて、パン粉を投入してみましょう。薄力粉よりも粗い粉体のため、先ほどよりは漏れは少なくなると予想されますが、結果はどうなるでしょうか。

先ほどよりは少ないですが、細かなパン粉は漏れ出してしまいました。

2.3. 粗塩-わずかに漏れた

最後に、粗塩を投入してみます。先の2種に比べて比重が大きいので、漏れは生じにくいと考えられます。

ご覧いただいたように、数粒漏れ出しました。やはり半開状態ではすき間が空いてしまっている以上、漏れは避けられないようです。

3. 排出量に応じた排出口径を選択しよう

シャッター弁を半開にした状態で使用すると、程度の差こそあれ粉漏れしてしまうことがわかりました。

粒径により漏れ出さない粉体もありますが、ねじをどれくらい締め付けるかによりすき間の大きさが変化するため、「粒径が○○以下なら漏れません」と明確に述べることができません。

そのため、基本的にシャッター弁での流量調整は推奨していません。排出量に応じた排出口径を選択し、全量排出を前提としたうえで全開⇔全閉で使用するようにしてください。

開閉・分解・組立が簡単な「シャッター弁」

開口用の穴が付いた弁をスライドさせることで開閉する「シャッター弁」は、全開・全閉を素早くできるのが特長。すべて分解・組立できるので、洗浄も容易でサニタリー性に優れています

排出口径のラインナップなどの詳細情報は製品ページをご覧ください。

\ 構造紹介の動画もこちらから /

製品ページを確認する

「のぞき窓は真空で使えるの?」実験しました
2021/10/11 09:00

「のぞき窓は真空用途でも使えるの?」とお問い合わせをいただくことがあります。
このコラムでは真空に関する超基礎的なお話と、のぞき窓の真空用途での使用について検証のようすをご紹介します。

▼ のぞき窓真空実験と結果だけ確認する

そもそも真空って何?

「真空」というと、宇宙空間のようにまったく空気がない状態…を思い浮かべる方が多いかもしれません。
辞書的にはそのような意味を指すこともありますが、実はJIS(日本産業規格)ではもう少し広い意味を指します。

「通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間の状態」

たとえば、ストローでコップの飲み物を吸いあげるのも真空を利用したものです。
息を吸い込むことでストロー内の圧力が他の場所より低く(真空状態に)なります。コップの飲み物はより低圧の空間に移動しようとするので、結果として飲み物が吸いあがり、私たちはストローで飲み物を飲むことができます。

皆さんが思っているよりも真空は定義が広く、また身近なところに存在します。

身近な「真空」の例

  • 吸盤:壁との間を真空状態にし、外側から大気圧で押さえつける(壁などにくっつく)
  • 魔法瓶:空気を通って熱が移動するのを防ぐ(中身を保温する)
  • 食品の真空パック:空気を遮断し、酸素による酸化やカビの発生を防ぐ(劣化を防ぐ)

弊社の圧力容器も、真空と組み合わせて以下のような使い方でご採用いただいています。

  • 吸引ろ過:フィルター越しに液体等を引き込んで異物を除去する
  • 脱泡:撹拌により泡立った液体から気泡を除去する 等

※弊社の圧力容器を真空でご利用いただく場合、容器の強度面には問題がなく、ポンプで引き続けるような使い方であれば可能です。ただし真空状態を長期間保持するような使い方の場合、シール材の透過性を考慮する必要があり、現状では保証外となっております。

かなり簡単にですが、「真空」についてご説明いたしました。

実験

今回は以下のような条件で実験を行いました。

使用した製品

* 容器のシール部はシリコン製のOリングを使用
* ワイパーの軸がガラスを貫通しており リークの可能性が高いと想定される形状ののぞき窓を選定しました

実験の流れ

  • 容器を真空ポンプに接続し-0.1MPaまで減圧、真空状態に。
  • ポンプの運転を止め、真空状態を保持。
  • 「ワイパー接続部から容器内の真空状態に影響を及ぼさないか」「のぞき窓のワイパーを動かしても容器内の圧力に変動が無いか」を確認。

結果

ワイパー付きのぞき窓からリークすることなく使用することができました。

▲ ワイパー付きのぞき窓がついていても真空状態を保持。

▲ また、ワイパーを動かしても容器内の圧力は変化しませんでした。

あわせて読みたいコラム

 

 

ステンレス容器の耐熱温度と加熱に関するあれこれ
2021/09/06 09:00

お客様より、ステンレス容器の耐熱温度は何℃ですか?とご質問いただくことがあります。
このコラムでは、ステンレス容器の耐熱温度と、ステンレス容器を使って内容物を加熱(加温/昇温)するときの注意点、加熱に関するよくある質問についてご紹介します。

ステンレス容器の耐熱温度

耐熱温度は、ステンレス鋼の種類によって異なります。
弊社製ステンレス容器で主に使用している、SUS304(18-8ステンレス)ステンレス鋼自体の耐熱温度は700℃~800℃程度ですが、300℃以上になると焼色(テンパーカラー)が付きます。

弊社製ステンレス容器は薄板で製作しており、高温になると焼色だけでなく歪みなどが生じて使用に支障が出やすくなりますので、耐熱温度は約300℃としています。(耐寒温度は-273℃)

※焼色の色は素材・温度・表面状態などにより異なります。
※他社製品の耐熱温度につきましては、製品のメーカーさまにお問い合わせください。

付属品の耐熱温度に注意

例えばパッキンが付属するステンレス容器の場合、ステンレスの耐熱温度がOKだとしても、パッキンの耐熱温度がNGである場合があります。
パッキンなどステンレス以外の付属品がある場合は、付属品自体の耐熱温度もご確認ください。
> パッキン特性一覧表

ステンレスは一度温まれば冷めにくい

ステンレス(SUS304)はアルミや銅などに比べると熱伝導性に劣り、温まるまでに時間がかかります。しかし保温性(蓄熱性)に優れており、一度温まれば冷めにくいのが特長です。

加えてステンレスは錆びにくく衛生的に永くご使用いただけるため、温調を伴う工程ではステンレス容器が選ばれています。

ステンレス容器を使って内容物を加熱するときの注意点

空焚きや密閉状態での加熱は絶対NG

空焚きや密閉状態での加熱は絶対におこなわないでください。
空焚きは火災などの原因になります。また、密閉したまま加熱すると内部の圧力が強まり爆発など思わぬ事故やケガの原因となります。
クリップ式やバンド式の密閉容器の場合は、クリップやバンドを外して開放状態で加熱してください。

火傷の対策をする

加熱されたステンレス容器は表面も高温になっており、誤って触れると火傷します。
火傷の対策として、断熱カバーとよばれる保護カバーを容器の外面に巻き付けて断熱することや、標準で断熱槽が付いているステンレス容器がおすすめです。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
> 温調効率アップや火傷防止に!ジャケットタンクの断熱方法とは?

周囲温度で昇温スピードは変わる

ヒーター付きのステンレス容器など、昇温を目的としたステンレス容器の場合は、「どのくらいの時間で昇温できるか」が重要になります。
希望に適した機器の選定はもちろんですが、設置場所の周囲温度が低い場合は、熱が奪われてしまうため昇温のスピードが遅くなりますし、ステンレス容器からの放熱があれば周囲温度は上昇してしまいます。
周囲温度からの影響、周囲温度への影響を抑えるには、上で述べた火傷の対策と同様に断熱することが有効です。

ステンレス容器を使った加熱に関するよくある質問

ステンレス容器はガスコンロやIHで加熱できる?

弊社製のステンレス容器(特に寸胴鍋のような形状のもの)は主に貯蔵での使用を想定し、薄板のステンレス材で製作しています。
そのためガスコンロ等で加熱すると容器が変形・変色する可能性があります。
空焚きや密閉状態でなければ加熱自体は可能ですが、加熱による変形や変色などについては保証対象外です。
IHはオールメタル対応品でのみ使用できますが、対応可否についてはIHメーカーへお問い合わせください。

焦げ付きやすい内容物はどう加熱したらよい?

内容物の温度にムラが出ないないように撹拌しながら昇温させること、湯せんのような方法をとることで焦げ付きにくくなります。
>おすすめの製品はこちら

容器メーカーおすすめの温調方法は?

加温のみでOKな場合、加温・冷却いずれも必要な場合などで変わってきます。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
>?ステンレス容器の温調方法

加熱後に容器の蓋を閉めて保管していたら、蓋が開かなくなってしまった

容器内部の温度が蓋を閉めたときよりも冷えると、容器内が減圧状態となり蓋が開かなくなります。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
>?蓋が開かない!ステンレス容器の蓋が開かないときの対処法

ステンレス製品は滅菌できる?

ステンレス自体は滅菌できますが、ステンレス製品には滅菌できるものとできないものがあります。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
>?ステンレス製品の滅菌で気になる3つのこと

 

もっとうまく加熱できないかな?と思ったら

加熱に時間がかかっていたり、混ざりにくい・溶けにくいなどのちょっとクセのある内容物だったり…加熱に関するお悩みや改善したい課題などがございましたら、まずはMONOVATEまで気軽にご相談ください。
どのような検討段階であっても問題ありません。
オーダーメイドの実績も多く、1つ1つの問題に向き合い最適な製品をご提案いたします。

お問い合わせ

【実験】密閉容器を倒したときの水の漏れ量はどれくらい?
2021/08/10 09:00

当社の密閉容器には、キャッチクリップ式のCTH型とレバーバンド式のCTL型があります。

いずれも、保管用途などでお使いいただく分には十分な密閉性を有していますが、容器を異常な状態にしたときにどれだけ内容物が漏れるかは未知数です。

今回はこれを確かめるために、二種類の容器を横倒しにして漏水量をチェックしてみました。果たして、どれだけの差があるのでしょうか。

1. キャッチクリップ式とレバーバンド式の違い

当社の密閉容器には、キャッチクリップ式(CTH型)と レバーバンド式(CTL型)の2種類があります。まずは、それぞれについて簡単にご説明しましょう。

1.1. キャッチクリップ式(CTH型)

容器本体に取り付けられたクリップで蓋を固定するタイプです。容器サイズに応じて、片手で締められる3~6個のクリップが取り付けられています。比較的取り扱いが簡単です。

標準仕様(内径470mm以下の容器)の場合、パッキンは容器の本体側に装着します。

1.2. レバーバンド式(CTL型)

蓋をステンレス製のバンドで固定するタイプです。両手で扱う必要があるものの、キャッチクリップ式とは異なり、一回の締め付けで固定できます。

パッキンは蓋側に装着します。

2. 【実験】容器を横倒しにしたときの水の漏れ量はどれくらい?

当社の容器は、通常使用時には内容物がこぼれない設計になっていますが、もし容器を横倒しにしたらどうなるのでしょうか。

今回は容器の中に水道水を入れて横倒しにし、3種類の実験でキャッチクリップ式とレバーバンド式の漏れ具合を確認してみました。

ご注意

本実験は簡易的なものであり、製品の性能を示すものではありません。また、科学的検証もおこなっていないため、本実験の再現性は担保しません。参考までにご覧ください。

2.1. 横倒し(5分間)だけならどちらも漏れにくい

まずは容器を静かに横倒しにし、5分間だけ放置しました。使用する容器はCTH-30とCTL-30(ともに20L容器)で、液量は4段階での実験です。

容器を倒す前と5分経過後で全重量を計測し、その差分を確認します。

水の量6L10L16L20L
クリップ式
(5分経過後の重量)
6101620
バンド式
(5分経過後の重量)
6101620

容器重量を差し引いた重量です|単位はkg

上の表のとおり、数値上どちらの容器も液量の変化はありませんでした。目視でも漏れは見受けられません。

2.2. 1週間放置するとレバーバンド式が優位

5分間だけでは漏れなくても、もっと長い時間放置すれば滲み出してくる可能性もあるため、今度は1週間放置して様子を見てみました。今回は満水状態(20L)のみでの実験です。

20Lを1週間放置開始時終了時(7日後)差分
クリップ式2019.920.08
バンド式20200

容器重量を差し引いた重量です|単位はkg

今回は差が生じました。レバーバンド式に変化がなかったのに対し、キャッチクリップ式では0.08kg、すなわち80ml漏れています。

目視でも確認したところ、横倒しにしてから2時間後にはキャッチクリップ式の下に敷いていた吸水シートが膨らみだしました(=水が漏れた)。一方、レバーバンド式では目視でも漏れは確認できませんでした。

当社の容器は横倒しにして保管されることを想定していません。ですが、万が一容器が横転したまま放置される状況が想定されるのであれば、レバーバンド式のほうが安全です。

2.3. 衝撃を与えると違いはより顕著に

最後に、衝撃を与えた場合の漏れ量を確かめてみました。

今回は簡易的な実験のため、約250mmの高さの台から容器を人の手で3回連続で落下させ、漏れ量を確認しました。水の量は16L(8分目)です。

16Lを3回落下落下前落下後(3回)差分
クリップ式1614.521.48
バンド式1615.960.04

容器重量を差し引いた重量です|単位はkg

単に横倒しにして放置したときと比べ、漏れ量に大きく差があります。レバーバンド式が40mlの漏れであったのに対し、キャッチクリップ式は約1.5Lの漏れが確認できました。

目視で確認すると、レバーバンド式は落下回数を重ねてもさほど漏れ量は変わらないのに対し、キャッチクリップ式は徐々にクリップの締め付けが弱まり、最終的にはパッキンがはみ出してきてしまいました。このことが、キャッチクリップ式の多量の漏れの原因になったと考えられます。

キャッチクリップ式をお使いの際に、万が一容器を転倒・落下させてしまった場合には、今回の実験のようにキャッチクリップの締め付けが弱まっている可能性があります。再度容器をお使いになる場合には、まず締め付け力に問題がないか確認するのがよいでしょう。

3. 通常使用時における密閉度の差は?

今回の実験では、「容器を誤って倒してしまった」などの異常な状態においては、レバーバンドで全体を締め付けるレバーバンド式のほうが漏れ量が少なく済むことがわかりました。

一方で、通常使用時では密閉度にどれだけの差があるのでしょうか。これを検証するために、容器に無水塩化カルシウムを入れておき、それを一定日数放置し重量を計測する実験をおこなったこともあります。

この様子については、「キャッチクリップとレバーバンド 密閉度を比べてみました」(2019年5月公開)をご覧ください。

作業者の安全を守る ヒヤリハットを防ぐカスタマイズ
2021/07/06 09:00

このコラムでは、弊社製品の「ちょっとしたカスタマイズ」でできる安全対策をご紹介します。

撹拌機関連

運転中の撹拌機に巻き込まれるのを防止したい

→蓋や投入口が開くと撹拌機が自動で停止するセンサを搭載する

蓋と容器それぞれに近接センサを設置し、それらが離れると撹拌機の運転が停止する仕組みです。
たとえば「撹拌に異常があり、とっさに内部を確認しようとした時に運転停止を忘れて巻き込まれてしまう」「撹拌完了後、中身を排出した後の状態で撹拌機が誤作動して巻き込まれてしまう」のようなリスクを回避できます。

投入口に格子網を付けて、投入原料の包装等が巻き込まれるのを防止することもできます。

ステンレス容器関連

容器の転倒を防止したい

→重心の変化に合わせて設計する

蓋が容器の一部分に固定された状態で開閉したり、撹拌機を容器の縁に設置する場合、蓋の開閉や撹拌機の有無により重心が大きく変化し、倒れやすくなります。
蓋が開く方向の脚を横に伸ばす・撹拌機をなるべく内側に設置できるように台座を取り付ける等、重心の変化に合わせて脚の形状を設計することで、ぐらつきや転倒を防止できます。

▼ 脚がない容器の場合、底に支えの部品を追加することで同様の対策が可能です。

→台車や床に固定する

台車に載せてボルトで固定することもできます。ハンドルが付くので移動時の操作もしやすいです。
制御盤やポンプなどの周辺機器が付属する場合にはひとまとめで移動できるというメリットも。

定位置で使用する容器であれば、アンカーボルトで床に固定することも可能です。

重たい容器の洗浄を楽にして、腰痛を防止したい

→(移動式容器の場合)脚と容器を分離可能な”架台付き容器”にする

キャスター脚が付属する容器は重たく洗浄時の取り扱いが大変です。
容器には脚を付けず、
・使用時には移動式の架台に載せてボルトで固定する
・洗浄時には架台から外し容器だけの状態にする
このような使い方をすることで「移動のしやすさ」「洗浄のしやすさ」両方を維持することができます。

→(大型容器の場合)反転機能を搭載する

大きな容器や重たい容器を人力で持ち上げ、傾けることは、作業者の負担になり時間もかかります。
反転機能を搭載することで、ハンドルを回すだけで容器を任意の角度に傾けることができ、洗浄時腰などへの負担を軽減します。

開閉蓋に手を挟むのを防ぎたい

→ゆっくり開閉する・任意の位置で止まる蝶番(ヒンジ)を使用する

原料を蓋から投入するような使い方の場合、蓋の一部分が開閉できるように蝶番を付けることが多いです。
この蝶番の種類を、ゆっくり開閉する・任意の位置で止まるようなものにすることで手を挟む心配がなくなります。

周辺機器(アクセサリ)

バルブ脱着時の脱落を防止したい

→バルブの脱着を安全にできる「取付サポートジャッキ」を使用する

こちらは製品のカスタムではなく追加でご利用いただく製品ですが、バルブの安全な脱着に大変おすすめです。

バルブは容器の低い位置に付きます。また重さもそれなりなので、脱着は女性や不慣れな作業者にとって難しい作業です。
本製品をご利用いただくことで、バルブを手で持ち上げる必要がなくなります。
手に負担がかかったり、誤ってバルブを手足の上に落としてしまうのを防ぎます。

のぞき窓(サイトグラス)の破損を防止したい

→ガラスに直接触れるのを防ぐカバーを取り付ける

ステンレス容器の内部確認に欠かせないのぞき窓ですが、ガラスを使用しているため破損の恐れがあります。
ガラス部分に格子網やカバーを付けることで、不意にガラスに当たって割れてしまう危険性を下げることができます。

また、加圧時に破損した場合にはガラスが外部に飛散するのを防ぎます。

当社の製品は1品からカスタマイズが可能です

当社ではカスタマイズ品の実績が豊富で、1品からの製作も可能です。
「カスタマイズ」「オーダーメイド」「特注」というとなかなかハードルが高く感じるかと思いますが、ぜひお気軽にご相談ください。
もちろんこのコラムでご紹介したようなカスタマイズは可能ですし、この他のちょっとしたお困りごとでもかまいません。

お問い合わせ