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技術コラム

「粉が詰まる!」を解消する方法とは?
2016/10/31 09:00

この記事は3分で読めます

粉を容器から排出する際に問題となりがちな「粉詰まり」。
排出に時間がかかったり、排出が止まるなどで製品品質のムラにつながることもあります。
そもそもなぜ粉の出が悪くなる(詰まる)のでしょうか。

※この記事は一般的な参考データであり、使用条件や環境により変わることがあります。弊社では使用環境や内容物、コスト面などからお客様に応じて最適な仕様をご提案いたします。

主な原因は粉の圧力と摩擦!

容器に入れた粉体の圧力(粉体圧)やそこから生じる摩擦により、粉が滑りにくくなり排出を妨げられます。

粉体の流動性を左右する要因については、こちらのコラムをご覧ください。

理想的な排出の状態:マスフロー

マスフロー

粉がスムーズに排出されている状態のことをマスフローと呼びます。

部分的に排出されている状態:ファネルフロー

ファネルフローとラットホール

粉の圧力と側面の摩擦により粉が固まってしまい、排出口の上部だけが流動している状態をファネルフロー、ファネルフローが進み排出が止まった状態をラットホールと呼びます。

このように粉が残留してしまう状態では粉の状態にムラが生じたり、品質が変わる恐れがあります。

詰まって排出されない状態:ブリッジ

ブリッジ

粉の圧力などで排出口の上部がアーチ状に閉塞してしまい、排出が止まっている状態のことをブリッジと呼びます。
ブリッジは排出口の上部に形成されるため、粉が排出されなくなります。

このように、粉の排出時にはラットホール(ファネルフロー)やブリッジが起こらないようにすることが粉のスムーズな排出に繋がりますが、容器の形状や粉の種類などによって生じやすさは様々です。

また、ラットホールやブリッジが生じてしまった際には速やかに解消できるような対策が必要です。
では、どのような対策があるのでしょうか。

1.粉の排出に適した容器を使う

粉を貯蔵・排出するにはホッパー容器が多く使われます。
排出口のサイズや容器の仕様を変えて、粉の排出に適した容器を使うことが重要です。

1-1.排出口径を大きくする

ホッパーのドレン径変更

排出口の径を大きくして、粉詰まりを防ぎます。

1-2.ホッパー角度の変更

ホッパーの角度変更

鋭角にすることで、粉が滑りやすくなり排出されやすくなります。

1-3.偏心にする

ホッパーを偏心にする

偏心にすることで、通常のホッパーに比べて粉が滑りやすくなります。
偏心投入ホッパー

1-4.フッ素樹脂コーティングをする

ホッパー内面コーティング加工

容器内面にフッ素樹脂コーティングを施すことで、滑り性を良くします。

静電気によって容器に粉が付きやすい場合は、帯電防止のコーティングもあります。

2.ブリッジブレーカーを使用する

ラットホールやブリッジを予防・解消する方法として、容器に振動を与える方法や、容器内に空気を送り込む方法などがあります。

これらは一般的にブリッジブレーカー(アーチブレーカー/ラットホールブレーカー)と呼ばれています。

2-1.振動で粉の詰まりを無くす

タンクに振動を与えることで、ラットホールやブリッジを解消する方法です。

容器を叩く

手やハンマーで叩く

手やハンマー等で容器を叩いて振動を与え、ラットホールやブリッジを解消します。最も手軽な方法ですが作業者の負担が大きく、容器の変形・破損の原因にもなります。

バイブレータ

バイブレータの例

タンクを振動させ、ラットホールやブリッジの予防や解消ができます。 取付方法はタンクの内面や外面、排出口など種類により様々です。

バイブレータを採用した事例を見る

ノッカー

ノッカーの例

ホッパーの外側からタンクに強い衝撃を与え、できてしまったラットホールやブリッジを解消します。

ノッカーを採用した事例を見る

バイブレータとノッカーの違い

バイブレータ:継続型
振動を継続して与えることで粉詰まりを予防・解消します。

ノッカー:一撃型
粉詰まりが起きた時に衝撃を1回~数回与えて粉詰まりを解消します。

2-2.エアーで粉の詰まりを無くす

タンク内にエアー(空気)を送り込み、ラットホールやブリッジを解消する方法です。

エアレーター

エアレーターの例

タンク内部にエアーやガスを送り込むことで、ラットホールやブリッジを解消します。

エアレーションホッパー

エアレーションホッパー

こちらもタンク内部にエアーを送り込んで詰まりを解消する原理ですが、エアレーターとの違いは粉詰まりに対しより強力に作用することです。

一箇所からエアーが吹き出すエアレーターに対し、エアレーションホッパーは全方位から空気が吹き出し粉体を流動化するため、より多くの粉体に対し有効な手段です。

エアレーションホッパーの詳細を見る

2-3.振動とエアーを組み合わせて粉の詰まりを無くす

振動とエアーを使ってラットホールやブリッジを解消する方法です。

ブローディスク

ブローディスクの例

タンク内に取り付けてエアーと共に振動も起こすことで、ラットホールやブリッジを解消します。

詳しい製品情報を見る

2-4.ツメでブリッジを無くす

ブリッジが生じたときに動かすことでブリッジを解消させる方法です。

ブリッジブレーカー・ブレイクロッド

ハンドルを回すと、ホッパー内に設置した「軸(ロッド)」及び「ツメ」が回転し、粉体の詰まり(ブリッジ/閉塞)を解消します。
ステンレスホッパーの製作時に加工するオプション加工品です。

詳しい製品情報を見る

3.併用する

粉の排出に適したホッパーとブリッジブレーカーを併用するなど、複数の対策を実施することでより効果的となる場合があります。

対策例

  • ホッパー角度を鋭角にし、排出口径を大きくする。
  • ホッパーを偏心にして、ブリッジブレーカーを設置する。

日東金属工業ではステンレスホッパーの製作だけでなく、ブリッジブレーカー等の周辺機器の選定も一緒に行っておりますので、ご検討中でしたら気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

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食品・薬品に欠かせない!粉体混合機のまとめ
2016/10/05 09:00

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食品や薬品の生産工程では欠かせない、粉体混合機。
粉の撹拌は、液体のそれのように攪拌機を用意すればすぐにできるというものではありません。
粉は流動的に動かないため、ムラなく混合するためには専用の機械が必要です。
(粉の流動性についてはこちらのコラムをご覧ください。)

今回は数ある粉体混合機の中から一般的なものをいくつかご紹介いたします。

この記事の内容
  • 粉の撹拌は単に撹拌機を用意すればよいのではなく、専用の機械が必要
  • 粉体混合機は「容器回転型」と「攪拌型」の2種類に分けられ、それぞれ特徴がある
  • 混ぜる原料やその比率、重量に応じて最適な混合機を選定しよう

粉体混合機の形は大きく二つに分けられます

容器回転型

  • 容器自体を回転させることで、中に入れた粉体を混合する。
  • 粉全体を混合し、デッドスペースが生じない。
  • こわれやすい粉体の混合に最適。

撹拌型

  • 容器内の撹拌羽根が回転することで粉体を混合する。
  • 設置スペースが小さく、かつ操作が簡単。
  • 回転体が容器で覆われているため、安全。

主な混合機の紹介

①W型混合機

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  • 二つの円錐を合わせたような形の容器を回転させることで粉体を混合する。
  • こわれやすい粉体の混合に最適で、食品や医薬品の生産によく使われている。
  • 構造がシンプルなので、洗浄が簡単でコンタミを防ぐことができる。
  • V型よりも混合に時間がかかるが、精度の高い混合が可能。

②V型混合機

powder_mix-1

  • V字型の容器を回転させることで粉体を混合する。
  • こわれやすい粉体の混合に最適で、食品や医薬品の生産によく使われている。
  • 構造がシンプルなので、洗浄が簡単でコンタミを防ぐことができる。
  • W型に比べ、短い時間で粉体混合が可能。

③ドラム型混合機

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  • 粉粒体が入った密閉容器をそのままセットし、回転させることで混合する。
  • 密閉容器内で混合するため、異物混入の心配がない。
  • 粉の粒子をこわさず、混合が可能。

④リボン混合機

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  • 撹拌型の混合機では基本的なタイプ。
  • リボン状の羽が容器内で回転し、粉体を混合する。
  • 設置スペースが小さいにも関わらず、処理量が大きく、かつ短時間で混合が可能。
  • 混合しながら、液体などの投入が可能。

⑤円錐スクリュー型

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  • 円錐型の容器に対して、垂直にスクリューが設置されている。
  • 撹拌軸を回転させながら、スクリュー自体も容器内を回転移動することでムラのない混合を行う。
  • 少ない動きでムラなく混合ができるので内容物の損傷を抑えることができる。

粉に合わせて選ぶ混合機

今回は数ある粉体混合機の中から、一例を紹介しました。
混合機は、混ぜる原料の比率や重量などによって得意、不得意があります。
混合する対象をよく見極めて混合機の選定を行いましょう。

<情報提供 株式会社エイシン>

粉体を扱う現場で活躍するステンレス製品

日東金属工業では、ステンレスホッパーや粉体を回収するステンレス容器など、お客様のご希望にあわせてオーダーメイドで製作いたします。
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