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技術コラム

【実験】小麦粉・抹茶のラットホールを解消するには?エアレーションホッパーの効果を検証
2024/04/10 09:00

粉体はその性質や取り扱う環境により振る舞いが大きく変わるため、取り扱いが非常に困難です。
当社にも粉体の取り扱いに関する相談が日々寄せられており、中でも「ブリッジやラットホールなどの粉詰まりが発生し次工程に十分な量を供給できない」という内容が多く届けられています。

当社ではそうした課題を解決する「エアレーションホッパー」をラインナップしており、お客様に安心して製品を選んでいただけるよう、その効果を実証する実験を行いました。

ラットホールやブリッジを解消するエアレーションホッパーとは?

エアレーションホッパーとは粉体原料ホッパーの排出口にクランプで取り付けるアタッチメントです。
内部に向かってエアーが吹き出すことで粉体を流動化します。これによりラットホールやブリッジのような粉詰まりを解消し、スムーズな排出を促します。

エアレーションホッパーの詳細を見る

実験概要

今回は抹茶と小麦粉を使ってエアレーションホッパーの効果検証を行いました。

実験レイアウト図

角度60°のホッパー(画像左)に入った抹茶・小麦粉を空気輸送機で画像右のタンクへ搬送。
ホッパーに取り付けたエアレーションホッパーを作動させた場合・させなかった場合で、ホッパーからの粉体排出状況を比較しました。

結果(抹茶の場合)

エアレーションホッパー作動なし
エアレーションホッパー作動あり

エアレーションホッパーの作動有無に関わらず、空気輸送機を作動させてすぐに排出口の上部だけ粉体が抜けました。(=ラットホール)
ホッパー内にはドーナツ状に抹茶が残り、この状態で空気輸送機を動かしてもそれ以上抹茶を搬送することはできません。

ホッパーの角度を変えてみる

ホッパーの脚を片側だけ持ち上げ偏心状態にする

そこでホッパーの脚を片脚だけ持ち上げ偏心させました。
すると角度が急になった側からラットホールが崩れ、抹茶をホッパーから排出できるようになりました。

抹茶をホッパーからスムーズに排出・搬送するには、エアレーションホッパーのみではなく、ホッパーの角度設計やノッカー設置といった更なるラットホール対策が重要であることがわかりました。

偏心ホッパー 製作イメージ

脚付・ホッパー部のみなど用途に応じて製作可能です。

結果(小麦粉の場合)

同様に小麦粉でも実験をおこないます。

エアレーションホッパー作動なし→ラットホールができる
エアレーションホッパー作動あり→全量排出

こちらはエアレーションホッパーの作動有無で大きく差が出ました。
抹茶のように空気輸送開始後すぐにラットホールを形成することはありませんでした。しかしエアレーションホッパーを作動させない場合、小麦粉の残量が少なくなるとラットホールができ、搬送が進まない状態になりました。(画像左)

一方エアレーションホッパーを作動させた場合、ラットホールを形成せず最後まで小麦粉を搬送できました。(画像右)
またエアレーションホッパーで小麦粉を流動化させることで、エアレーションホッパーを作動させない場合に比べ平均して2.87倍の粉体を搬送することができました。
より短時間で大量の小麦粉を運ぶことができ、工数削減・空気輸送機作動に使うエアー量の削減といった効果を見込めます。

搬送能力(kg/h) 空気輸送機
供給圧力(MPa)
エアレーションホッパー
消費圧力(L/min)
なし 256 0.37 -
あり 735 0.37 14
比較値 2.87 - -

※搬送能力(kg/h)は粉体搬送を複数回繰り返した結果の平均値です。

MONOVATEではデモを受付中

エアレーションホッパーは粉のスムーズな排出を促し、粉詰まりを解消したい・粉体搬送の工数を短くしたい・空気輸送機を買い替えずに搬送量を増やしたいといったニーズに応えます。
一方で今回と抹茶と小麦粉の例のように、同じ対策を行っても粉体の種類により結果が異なる場合も多数ございます。

当社ではお客様の課題に合った対策を見つけるためにデモ実験を承っております。
今回のような粉体排出・搬送のほか、液体やスラリーの撹拌実験なども実施可能です。 実機の使用感などもお試しいただけますので、導入ご検討の際にはぜひご活用ください。

デモのご要望や設備検討のご相談などがありましたらお気軽にお問い合わせください。

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