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技術コラム

粉体ホッパーを扱うなら知っておきたい 「流動性」ってなに?
2019/09/02 09:00

粉体を投入するのに使用しているホッパーが詰まってしまったり、うまく次の工程に排出できない場合に「粉の流動性が悪い」と言ったりします。
しかしその「流動性」が具体的にどんな要因から決まっているのか知っていますか。

このコラムでは粉体の流動性を左右する要因について、簡単に解説します。

改めて、流動性ってなに?

流動性とは、ざっくりいうと「粉体の流れやすさ」のことです。
弊社ではわかりやすく「すべり性」と言ったりもします。

たとえば砂時計の中身の砂は、サラサラと留まることなく流れます。
このような粉体を「流動性がいい」、逆にスムーズに流れないものを「流動性が悪い」のように評価します。

流動性が悪い粉体はホッパー内で詰まったり、内容物の投入・排出を妨げることがあります。

ブリッジ・ファネルフローなどといったホッパーの詰まり方について、詳しくはこちらをご覧ください。

流動性を左右する要因とは

流動性を左右する要因には様々なものがあり、いくつか例をご紹介します。

安息角(あんそくかく)

水平な地面に粉体が積みあがっている時に、粉体と地面が作る角度

安息角には様々な測定方法がありますが、注入法が一般的です。
(注入法:ホッパー形状の容器から自然に落下させ、堆積した粉体と地面が作る角度を測定する方法)

この角度が大きい(広がらずに、その場で高く堆積する)粉体は流動性が悪く、ホッパー内でブリッジなどを起こしやすくなります。
ひとつの指標として、安息角が41°より大きい粉体はブリッジが発生しやすく、流動性に関して何らかの対策が必要になります。

 

凝集度(ぎょうしゅうど)

振動によるダマのできやすさを数値化したもの

粉体をふるいにのせて、種類ごとに適した一定の条件(振動時間や振幅など)で振動を与えます。その際にダマになってふるいから落ちなかった粉体を計量・計算し求めることができます。

凝集性が高い(ダマになりやすい)粉体ほど流動性が悪いとされています。

噴流性(ふんりゅうせい)

飛散の起こりやすさ

数値で示す場合、分散度ともいいます。
上から粉を落とし、下に設置した受け皿にどのくらいの割合で残っているかを計量し、飛散した割合を算出します。

噴流性が低い(飛散が起こりにくい)粉体ほど流動性が悪く、詰まりやすいとされています。

 

流動性を左右する3つの要因を例としてご紹介しました。
これらの例に挙げたような要因が「流動性が悪い」と示せば示すほど、対策が必要になります。

流動性を改善するにはどうすればいいか

弊社でホッパーを製作する際にご提案できる流動性の改善方法をご紹介します。

方法その1:ホッパーの角度を変更する

基本的にはホッパー角度をきつくすればするほど、中の粉体は流れやすくなります。
しかし角度をきつくしすぎてしまうと、粉体が出口に向かおうとする力が極端に強くなり、出口付近で固まってしまうことがあります。

またホッパーの角度を決定するにあたり、安息角を考慮することもあります。
ホッパーの水平面からの角度を安息角よりも大きくしないと、ホッパー内部の粉体は完全には排出できません。

このように様々な要因を考えながら、ホッパーの角度を決定していきます。
日東金属工業で製作するホッパーは、ご要望に合わせて角度の変更が可能です。

※弊社ではホッパー角度=ホッパー内部の角度ですが、メーカーにより地面からの角度を示すこともございます。
ご注文やお問い合わせの際にはイラストを用いるなど、どの角度を示しているかを明確にすることをお勧めします。

方法その2:ホッパーに表面処理を施す

ホッパーの表面処理を変更することで、表面への付着を軽減し、流動性を改善できることがあります。

表面処理例:gemini処理®

ホッパーの表面を細かく荒らすブラスト加工をすることで、粉体とホッパーの接触面積を減らし付着を軽減できます。
金属表面を直接加工するので、コーティングのように剥離する心配はありません。

通常のバフ研磨と粉体の付着を比較した動画がこちら

【動画で使用しているホッパーはこちら】粉体付着抑止 投入ホッパー

 

このコラムのまとめ

  • 流動性とは、粉体の流れやすさのこと。
  • 流動性は安息角、凝集度、噴流性ほか、様々な粉体の性質で決まる。
  • 流動性はホッパーの角度や表面処理を変更することで改善が可能。

 

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