粉体原料を扱う工程、特に少量生産や特定の製品のみで粉体原料を使用する場合は、自動化装置や専用の機器を使用するのではなく、手作業で投入・計量することが多いと思います。
今回は粉体を扱うときによくある問題と解決方法について、ステンレス容器でおこなえる対策をご紹介します。
粉が飛散して周囲が汚れる問題を解決する
比重が軽い粉体の場合、ホッパー容器などへ投入すると粉が舞ってしまい周囲を汚してしまうため、人力で粉体原料を投入する際の問題となっています。
粉体が周囲に飛散してしまうとその分原料のロスが増えるだけでなく、清掃に時間がかかったり、作業環境が悪くなるなどの影響があります。
この問題を解決するには
- 飛散防止のフードを取り付ける
- 集塵機に接続する
- 投入口のある蓋を使用する(開閉蓋/分割蓋など)
などの方法があります。
飛散防止のフードを取り付ける / 集塵機に接続する
フードを取り付けたり集塵機を併用したりすると、粉じんの飛散を抑えることができます。
投入口のある蓋を使用する
蓋を完全に取り外さず、必要な分だけ開けて作業すれば、粉じんの飛散を抑えることができます。
異物が混入しやすい問題を解決する
粉体の投入口は大きく開けることが多く、異物が混入しやすくなっています。
特に人力で粉体原料を投入する際には、粉体を入れていた袋(パッケージ)の切れ端が落下する異物混入が発生しがちです。
この問題を解決するには
- 投入口に異物受けを設置する
- 排出口に異物受けを設置する
などの方法があります。
投入口に異物受けを設置する
カゴや底が金網になっている内容器を設置することで、異物の混入を防ぐことができます。


排出口に異物受けを設置する
排出口に金網を取り付けた継手(ストレーナー)を設置することで、混入した異物を捕らえることができます。
磁性体異物の場合は、マグネットフィルターをホッパーの下部などへ設置することで対策になります。
粉がなかなか出てこない問題を解決する
容器に貯蔵していた粉体を下部の排出口から取り出そうとすると、出が悪かったり詰まってしまうこと(ラットホール/ブリッジ)があります。
粉体がスムーズに排出されないと作業工数がかかるだけでなく、製品の品質にも影響することがあります。
この問題を解決するには
- 排出口の径を大きくする
- 粉体の性質に合わせて容器をカスタマイズする
- ブリッジブレーカー/バイブレーター/ノッカーなどを併用する
などの方法があります。
排出口の径を大きくする / 粉体の性質に合わせて容器をカスタマイズする
新規導入や買い替えの際にオーダーメイドをご検討いただけると、様々な対策をとることができます。
詳しくは別のコラムにてご紹介しています。
また、ホッパー内面の表面処理を変更することでも、粉体の流動性を向上させることができます。
粉体の付着を抑止できるgemini処理という加工があります。
ブリッジブレーカー / バイブレーター / ノッカーなどを併用する
ブリッジブレーカーなどの装置を使用すると、排出効率が向上します。
装置との組み合わせを考慮したオリジナルのホッパーを設計・製作することもできます。
静電気が生じることによる問題を解決する
粉体の入った袋を開けるときや、粉体の投入・搬送のときなどに、静電気が生じやすくなります。
静電気が生じるとロスが増えるだけでなく、粉じん爆発の原因にもなりますので注意が必要です。
この問題を解決するには
- アースをとる
- 導電性車輪を使用する(キャスター付き容器の場合)
などの方法があります。
アースをとる
アース線を容器へ取り付けられるようにすれば、容器で発生した静電気を逃がすことができます。
その他にはチェーンを容器に取り付け、床に垂らすという方法もあります。
導電性車輪を使用する
キャスター付き容器に導電性車輪を使用することで、容器で発生した静電気を床に逃がすことができます。
その他の静電気対策
静電気は湿度が低くなると発生しやすくなりますので、湿度管理(加湿)することも静電気の対策になります。
また、静電気除去装置(イオナイザー)を設置して除電する方法もあります。
粉体を扱う工程でのお悩み、お気軽にご相談ください
日東金属工業では、ステンレス容器や充填用のステンレスホッパーなどを日本国内で製作しており、粉体原料の保管・投入・混合などの工程で長年採用いただいております。
製品は1品からのオーダーメイドが可能で、ブリッジブレーカー等の周辺機器の選定もお任せいただければ、最適な仕様で設計・製作いたします。