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技術コラム

【実験】密閉容器を倒したときの水の漏れ量はどれくらい?
2021/08/10 09:00

当社の密閉容器には、キャッチクリップ式のCTH型とレバーバンド式のCTL型があります。

いずれも、保管用途などでお使いいただく分には十分な密閉性を有していますが、容器を異常な状態にしたときにどれだけ内容物が漏れるかは未知数です。

今回はこれを確かめるために、二種類の容器を横倒しにして漏水量をチェックしてみました。果たして、どれだけの差があるのでしょうか。

1. キャッチクリップ式とレバーバンド式の違い

当社の密閉容器には、キャッチクリップ式(CTH型)と レバーバンド式(CTL型)の2種類があります。まずは、それぞれについて簡単にご説明しましょう。

1.1. キャッチクリップ式(CTH型)

容器本体に取り付けられたクリップで蓋を固定するタイプです。容器サイズに応じて、片手で締められる3~6個のクリップが取り付けられています。比較的取り扱いが簡単です。

標準仕様(内径470mm以下の容器)の場合、パッキンは容器の本体側に装着します。

1.2. レバーバンド式(CTL型)

蓋をステンレス製のバンドで固定するタイプです。両手で扱う必要があるものの、キャッチクリップ式とは異なり、一回の締め付けで固定できます。

パッキンは蓋側に装着します。

2. 【実験】容器を横倒しにしたときの水の漏れ量はどれくらい?

当社の容器は、通常使用時には内容物がこぼれない設計になっていますが、もし容器を横倒しにしたらどうなるのでしょうか。

今回は容器の中に水道水を入れて横倒しにし、3種類の実験でキャッチクリップ式とレバーバンド式の漏れ具合を確認してみました。

ご注意

本実験は簡易的なものであり、製品の性能を示すものではありません。また、科学的検証もおこなっていないため、本実験の再現性は担保しません。参考までにご覧ください。

2.1. 横倒し(5分間)だけならどちらも漏れにくい

まずは容器を静かに横倒しにし、5分間だけ放置しました。使用する容器はCTH-30とCTL-30(ともに20L容器)で、液量は4段階での実験です。

容器を倒す前と5分経過後で全重量を計測し、その差分を確認します。

水の量6L10L16L20L
クリップ式
(5分経過後の重量)
6101620
バンド式
(5分経過後の重量)
6101620

容器重量を差し引いた重量です|単位はkg

上の表のとおり、数値上どちらの容器も液量の変化はありませんでした。目視でも漏れは見受けられません。

2.2. 1週間放置するとレバーバンド式が優位

5分間だけでは漏れなくても、もっと長い時間放置すれば滲み出してくる可能性もあるため、今度は1週間放置して様子を見てみました。今回は満水状態(20L)のみでの実験です。

20Lを1週間放置開始時終了時(7日後)差分
クリップ式2019.920.08
バンド式20200

容器重量を差し引いた重量です|単位はkg

今回は差が生じました。レバーバンド式に変化がなかったのに対し、キャッチクリップ式では0.08kg、すなわち80ml漏れています。

目視でも確認したところ、横倒しにしてから2時間後にはキャッチクリップ式の下に敷いていた吸水シートが膨らみだしました(=水が漏れた)。一方、レバーバンド式では目視でも漏れは確認できませんでした。

当社の容器は横倒しにして保管されることを想定していません。ですが、万が一容器が横転したまま放置される状況が想定されるのであれば、レバーバンド式のほうが安全です。

2.3. 衝撃を与えると違いはより顕著に

最後に、衝撃を与えた場合の漏れ量を確かめてみました。

今回は簡易的な実験のため、約250mmの高さの台から容器を人の手で3回連続で落下させ、漏れ量を確認しました。水の量は16L(8分目)です。

16Lを3回落下落下前落下後(3回)差分
クリップ式1614.521.48
バンド式1615.960.04

容器重量を差し引いた重量です|単位はkg

単に横倒しにして放置したときと比べ、漏れ量に大きく差があります。レバーバンド式が40mlの漏れであったのに対し、キャッチクリップ式は約1.5Lの漏れが確認できました。

目視で確認すると、レバーバンド式は落下回数を重ねてもさほど漏れ量は変わらないのに対し、キャッチクリップ式は徐々にクリップの締め付けが弱まり、最終的にはパッキンがはみ出してきてしまいました。このことが、キャッチクリップ式の多量の漏れの原因になったと考えられます。

キャッチクリップ式をお使いの際に、万が一容器を転倒・落下させてしまった場合には、今回の実験のようにキャッチクリップの締め付けが弱まっている可能性があります。再度容器をお使いになる場合には、まず締め付け力に問題がないか確認するのがよいでしょう。

3. 通常使用時における密閉度の差は?

今回の実験では、「容器を誤って倒してしまった」などの異常な状態においては、レバーバンドで全体を締め付けるレバーバンド式のほうが漏れ量が少なく済むことがわかりました。

一方で、通常使用時では密閉度にどれだけの差があるのでしょうか。これを検証するために、容器に無水塩化カルシウムを入れておき、それを一定日数放置し重量を計測する実験をおこなったこともあります。

この様子については、「キャッチクリップとレバーバンド 密閉度を比べてみました」(2019年5月公開)をご覧ください。

作業者の安全を守る ヒヤリハットを防ぐカスタマイズ
2021/07/06 09:00

このコラムでは、弊社製品の「ちょっとしたカスタマイズ」でできる安全対策をご紹介します。

撹拌機関連

運転中の撹拌機に巻き込まれるのを防止したい

→蓋や投入口が開くと撹拌機が自動で停止するセンサを搭載する

蓋と容器それぞれに近接センサを設置し、それらが離れると撹拌機の運転が停止する仕組みです。
たとえば「撹拌に異常があり、とっさに内部を確認しようとした時に運転停止を忘れて巻き込まれてしまう」「撹拌完了後、中身を排出した後の状態で撹拌機が誤作動して巻き込まれてしまう」のようなリスクを回避できます。

投入口に格子網を付けて、投入原料の包装等が巻き込まれるのを防止することもできます。

ステンレス容器関連

容器の転倒を防止したい

→重心の変化に合わせて設計する

蓋が容器の一部分に固定された状態で開閉したり、撹拌機を容器の縁に設置する場合、蓋の開閉や撹拌機の有無により重心が大きく変化し、倒れやすくなります。
蓋が開く方向の脚を横に伸ばす・撹拌機をなるべく内側に設置できるように台座を取り付ける等、重心の変化に合わせて脚の形状を設計することで、ぐらつきや転倒を防止できます。

▼ 脚がない容器の場合、底に支えの部品を追加することで同様の対策が可能です。

→台車や床に固定する

台車に載せてボルトで固定することもできます。ハンドルが付くので移動時の操作もしやすいです。
制御盤やポンプなどの周辺機器が付属する場合にはひとまとめで移動できるというメリットも。

定位置で使用する容器であれば、アンカーボルトで床に固定することも可能です。

重たい容器の洗浄を楽にして、腰痛を防止したい

→(移動式容器の場合)脚と容器を分離可能な”架台付き容器”にする

キャスター脚が付属する容器は重たく洗浄時の取り扱いが大変です。
容器には脚を付けず、
・使用時には移動式の架台に載せてボルトで固定する
・洗浄時には架台から外し容器だけの状態にする
このような使い方をすることで「移動のしやすさ」「洗浄のしやすさ」両方を維持することができます。

→(大型容器の場合)反転機能を搭載する

大きな容器や重たい容器を人力で持ち上げ、傾けることは、作業者の負担になり時間もかかります。
反転機能を搭載することで、ハンドルを回すだけで容器を任意の角度に傾けることができ、洗浄時腰などへの負担を軽減します。

開閉蓋に手を挟むのを防ぎたい

→ゆっくり開閉する・任意の位置で止まる蝶番(ヒンジ)を使用する

原料を蓋から投入するような使い方の場合、蓋の一部分が開閉できるように蝶番を付けることが多いです。
この蝶番の種類を、ゆっくり開閉する・任意の位置で止まるようなものにすることで手を挟む心配がなくなります。

周辺機器(アクセサリ)

バルブ脱着時の脱落を防止したい

→バルブの脱着を安全にできる「取付サポートジャッキ」を使用する

こちらは製品のカスタムではなく追加でご利用いただく製品ですが、バルブの安全な脱着に大変おすすめです。

バルブは容器の低い位置に付きます。また重さもそれなりなので、脱着は女性や不慣れな作業者にとって難しい作業です。
本製品をご利用いただくことで、バルブを手で持ち上げる必要がなくなります。
手に負担がかかったり、誤ってバルブを手足の上に落としてしまうのを防ぎます。

のぞき窓(サイトグラス)の破損を防止したい

→ガラスに直接触れるのを防ぐカバーを取り付ける

ステンレス容器の内部確認に欠かせないのぞき窓ですが、ガラスを使用しているため破損の恐れがあります。
ガラス部分に格子網やカバーを付けることで、不意にガラスに当たって割れてしまう危険性を下げることができます。

また、加圧時に破損した場合にはガラスが外部に飛散するのを防ぎます。

当社の製品は1品からカスタマイズが可能です

当社ではカスタマイズ品の実績が豊富で、1品からの製作も可能です。
「カスタマイズ」「オーダーメイド」「特注」というとなかなかハードルが高く感じるかと思いますが、ぜひお気軽にご相談ください。
もちろんこのコラムでご紹介したようなカスタマイズは可能ですし、この他のちょっとしたお困りごとでもかまいません。

お問い合わせ

"そこ"が違う ステンレス容器の選びかた
2021/06/07 09:00

原料や製品の貯蔵、材料を混ぜ合わせる調合などの工程で活躍している丸型のステンレス容器。
購入する際には、何を重視して選んでいますか?

このコラムでは、ステンレス容器の底形状に着目します。
ステンレス容器には底が平たいものだけでなく、丸みがあったり傾斜が付いているものなど様々な種類があり、目的にあわせて使い分けることでステンレス容器がさらに使いやすくなります。

「どのかたちのステンレス容器が良いの?」「底形状で選ぶメリットってなに?」と思っている方におすすめの内容です。

平底

底に凹凸や傾斜がない平たい底のステンレス容器です。
液体、粒体、固体、形状を問わずさまざまなものの貯蔵、輸送に使われています。
ステンレス容器の中で最も一般的な形状のため製作しやすく、また製作しているメーカーも多いため、他の底形状の容器に比べて安価であり、即納できる製品も多いです。

排出口を設けていないものが多く、中身を取り出したいときには容器を傾けたり反転させたりする必要があります。
排出口を設けるカスタマイズも可能ですが、他の底形状に比べて排出性に劣るため、コスト重視で多少のロスを許容できる場合となります。

平底の製品例

密閉容器(キャッチクリップ式)【CTH】

クリップタイプのステンレスタンク

簡単に密閉できるクリップが付いた平底のステンレス容器です。材料の貯蔵から出来上がった製品の運搬まで、さまざまな工程で使用されています。

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吊り下げ式密閉容器目盛付(バンド式)【CTLB-M】

ペール缶のように片手で持ち運べるステンレス容器です。容器側面に目盛があり、計量や内容量の確認が簡単におこなえます。

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片テーパー底

平底に傾斜を付け、底の一番低い位置に排出口を設けたステンレス容器です。
主に液体の貯蔵と排出(供給)用として、液体を一時貯蔵した後にスムーズに排出したいときに使われています。
内容液が自然と排出口に集まるため、平底に比べて排出性に優れています。

排出口が横向きで配管へ接続しやすくなっているのは、他の底形状にはない特長です。
粘度のある液体を扱う場合には、傾斜角度を変更して排出性を高めることもできます。

片テーパー底の製品例

片テーパー急傾斜型容器 脚付【KTTX-L】

従来の片テーパー底の容器では底面の傾斜が3°のところ、本製品では傾斜を10°に設計しています。スムーズな供給だけでなく残液ロス削減にも効果的な製品です。

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ベルヌーイ流撹拌機付 ヒーターユニット【KHU】

ステンレス容器、ヒーター、撹拌機、バルブがセットになった製品です。容器はジャケットを付けた片テーパー底のステンレス容器を採用しています。内容物をムラなく昇温でき、出来上がった液をスムーズに取り出すことができます。

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ホッパー底

底を逆円錐の形状にして、その中央に排出口を設けたステンレス容器です。
主に粉体や粒体の貯蔵と排出(供給)用として使われています。
内容物が自然と排出口に集まるため、平底に比べて排出性に優れています。

ホッパーの角度を変更したり、排出口が端にある偏心タイプも製作できるため、内容物の性質などを考慮した仕様で製作することができます。

ホッパー底の製品例

集塵フード付ホッパー 脚付【HTD-L】

集塵機・空気輸送機と組み合わせて、粉体投入時に舞い上がる粉を回収できる製品です。粉体投入後の清掃時間短縮・作業場の衛生環境向上が可能です。

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偏心投入ホッパー【TEHT】

偏心投入ホッパー

排出性に優れた偏心形状のホッパーです。装置やタンクに取り付けて材料投入などに使われます。通常のホッパーに比べて周辺部品との干渉を調整することもできます。

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鏡板底

底をお椀のように丸みがある形状(鏡板)にして、その中央に排出口を設けたステンレス容器です。
(※排出口を設けない製品もあります)
主に液体の貯蔵・撹拌・排出までをおこなう調合用の容器として使われています。

内容液が自然と排出口に集まるため、平底に比べて排出性に優れています。
また、隅々まで対流し均一に撹拌できるため、平底に比べて撹拌性にも優れています。

鏡板底の製品例

ベルヌーイ流撹拌ユニット DTHB型【KU-DTHB】

ベルヌーイ流撹拌機、ステンレス容器、バルブがセットになったユニットです。撹拌効率に優れた鏡板底のステンレス容器を採用しています。

詳しく見る

鏡板型容器 架台付(撹拌機座付)【DT-ASC-K】

架台には撹拌機を取り付けるためのカクハン機座を設け、容器は撹拌に適した鏡板底のステンレス容器を採用した製品です。架台から容器を取り外すこともでき、作業性に優れています。

詳しく見る

まとめ

  • 平底 → 納期やコストを重視するときに選ばれている
  • 片テーパー底 → 液体をスムーズに供給したいときに選ばれている
  • ホッパー底 → 粉粒体を扱うときに選ばれている
  • 鏡板底 → 液体を調合するときに選ばれている

 

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日東金属工業が考えるSDGsへの貢献
2021/05/12 09:00

2015年9月に採択された「SDGs」は、採択から5年以上経過した現在、多くの人にとって耳馴染みのある言葉でしょう。大企業や自治体だけではなく、中小企業等でもSDGsへの取り組みを強化している会社が増えています。

SDGsは「Sustainable Development Goals = 持続可能な開発目標」の略称で、2030年までに全人類が目指すべき17個の目標を示しています。いまはすでに2021年。SDGs達成目標の2030年まで10年を切っており、国連は2020年から2030年までの10年間を「行動の10年」とし、さらなる取り組みの強化を全世界に呼びかけています。

この記事ではSDGsの基本と、MONOVATEが考えるSDGsへの貢献についてご説明します。

1. SDGsとは

1.1. SDGs=「持続可能な開発目標」

SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された、「持続可能な開発目標」のことです。17の目標(ゴール)と169のターゲットからなります。加盟国193か国の全会一致で採択されたものであり、2016年から2030年までの15年間において、全世界・全人類が目指すべき共通の目標です。「誰一人取り残さない」を理念としています。

「持続可能な~」という言葉に表れているように、いまの世界は持続可能ではありません。従来どおりの開発、生産、消費を繰り返していたら、人類や地球は存続できない。そのことをすべての国が認め、それを防ぐために持続可能な開発が求められています。

持続可能な開発とは

「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」のこと。

つまり、将来世代の欲求に対して不足を生じさせることなく、かつ現在世代の欲求も満たせるような節度ある開発のことで、「社会」「経済」「環境」のバランスをとりながら開発していくことが求められる。

1.2. SDGsの前身「MDGs」との違いとは

社会・経済・環境の持続可能性に関する不安は、いまに始まったことではありません。環境保全を進めていくための枠組みとして1972年に採択されたストックホルム宣言が、社会-経済-環境の関係性に言及したはじめての国際的合意であるとされています。

その後、1987年に「環境と開発に関する世界委員会(国連)」においてはじめて「持続可能な開発(Sustainable Development)」という概念が生まれ、それ以降は一定期間ごとに持続可能な開発に関する国際会議が開かれてきました。

そして2000年に開かれた国連ミレニアムサミットにおいて採択されたのが「MDGs:ミレニアム開発目標」。MDGsは2015年を達成期限とした目標で、計8つの目標と21のターゲットが示されました。

MDGsは世界の貧困人口を半分以上に減少させたりするなどの効果をあげ、「歴史上最も成功した貧困撲滅のための取り組みであった」と評価されていますが、一方で課題も残しました。また、気候変動や地球環境の悪化など、MDGsの枠組みを超えた新たな課題も生じています。

そこで、MDGsの期間が満了した2015年に、それを継承する形で新たな目標となったのがSDGsです。SDGsはMDGsに比べ、以下のような差があります。

  • 先進国も取り組む
    →MDGsは開発途上国の課題解決に主眼を置いていたが、SDGsでは目標を拡大し先進国も共通の課題に取り組む
  • 政府だけではなく民間も、そして個人も
    →MDGsは政府主導の色が強かったが、SDGsではすべてのステークホルダー(国・企業・一般市民等)が取り組み主体になっている
  • 経済・社会・環境の課題を統合した形
    →経済・社会・環境の三要素を包括的に扱い、17の目標を設定。各目標は相互につながっている

つまりSDGsは、私たち自身、そして子供・孫の世代にわたって世界・地球がより良い状態であり続けられるように、私たち一人一人がその当事者として取り組まなければならない全人類共通の目標といえます。

2. 当社が考えるSDGsへの貢献

MONOVATEができる、SDGsへの最大の貢献は以下であると考えています。

“高品質でクリーンなステンレス容器を世の中に提供しつづけること”

もちろん、このほかにも

  • 使用していないエリアの照明消灯の徹底や空調作動基準に基づく設定温度の適正化(ゴール7,11,13)
  • 業務アプリ導入によるペーパーレス化推進(ゴール12)
  • 産休・育休・時短勤務制度の整備、残業時間低減の推進(ゴール5,8)

などの取り組みもありますが、当社が得意としていて、そして当社の事業を通じてより多くの人々にインパクトを与えられるのは高品質なステンレス容器を提供しつづけることに他なりません。

では、ステンレス容器を提供しつづけることが、持続可能な開発にどうかかわるのでしょうか。

2.1 ステンレスは100%リサイクル可能な素材

イェール大学の研究では、ステンレス製品のうち85%は製品の寿命を迎えたのちにリサイクルされています。産業用機械に絞れば、リサイクル率は90%にものぼります。さらに、回収されたステンレスは100%リサイクル可能なので、資源・エネルギーの保全に役立っています。

リサイクルは、素材によってはそのコストが高く、採算のとれないものもあります。採算がとれなければ、そもそもリサイクルというシステム自体が持続しにくくなります。

しかし、ステンレスは製品が寿命を迎えたとしても、ステンレス鋼としての本質的価値は低下しません。そのため、スクラップ価値も比較的高いのが特長です。

ステンレスのリサイクルシステムは買い手・使い手・作り手・環境のそれぞれに益があるので、リサイクルシステム自体も持続しやすいといえるでしょう。

2.2 ステンレスは長寿命

ステンレスはさびにくく、耐久性に優れているのが特長です。さらに、メンテナンスといっても基本的な洗浄・拭きあげを行えばよいだけなので、メンテナンスコストも低いといえます。

リサイクルシステムが確立していたとしても、地球環境のことを考えれば必要以上にものを作らないのが一番。ステンレスは耐久性が高く、ステンレス製産業用機械・製品においては平均25年間使用されるという、長寿命な素材です。

2.3 サニタリー性の高い容器で安全な医薬品の製造に貢献

MONOVATEのステンレス容器は、医薬品製造施設などにおいて使用されています。それは、単にステンレスの耐食性が高かったり、オートクレーブ滅菌、殺菌消毒に対応できるからというだけではありません。

当社の容器には特別注文したBA材を使用しています。それに必要以上の加工を行うことなく、溶接によって傷をつけずに製品を形成します。さらに、当社のこだわりとして、最低限のバフ研磨しか行わないようにしています。

一般的なステンレス容器には光沢・平滑度を上げるためにバフ研磨が施されますが、これは研磨剤と呼ばれる磨き粉をバフに塗布してから研磨するもの。この工程で生じたステンレス表面の細かな傷には、どうしても研磨剤の油分が残ってしまいます。つまり、表面を磨こうとすればするほど、表面を汚すことになってしまうわけです。

そこで、当社では素材の状態から非常に細かな表面粗度を持つ、厳選した特注のBA材を使用。これであれば、必要以上に研磨する必要がありません。クリーンなステンレス製品を提供することで、安全な医薬品・食品等の生産・普及に貢献します。

電解研磨でよりクリーンなステンレス製品に

製薬工場向けのタンクなどで広く行われる表面処理に、電解研磨があります。電解研磨は金属表面から金属イオンを溶出させ、表面を平滑化させる研磨方法です。

電解研磨を施すことで、表面の細かな汚れを取り除くと同時に、滑らかな表面とすることで汚れなどの沈着を防ぎます。また、より強固な不働態被膜を作り出し、耐食性を向上させます。

当社は自社で製薬グレードの電解研磨を施す設備・技術を保有。高度なクレンリネスを求められる製品の生産にもお役立ていただけます。

3. 持続可能な「持続可能な開発目標(SDGs)」への取り組み

SDGsの達成目標まで10年を切ったいま、国連は「行動の10年」として、さらなるSDGsへの取り組み強化を呼びかけています。これを受け、国や自治体、各企業がさらなる取り組みを進めていますが、肝心なのはその取り組み自体が「持続可能なのか」です。

かつて、環境と開発(経済成長)は相反するものとして考えられてきました。しかし、SDGsではこれを共存できるもの、共存させるべきものと考えます。経済-社会-環境はトレードオフの関係ではなく、この3つをいかにして並立させるかが重要視されています。

そこで肝心なのが、持続可能なSDGsへの取り組みを行うこと。2030年を過ぎたとしても、常に持続可能な開発を考えていかなければなりません。SDGsへの取り組みを一過性のものにするわけにはいかないのです。

当社のSDGsへの取り組みや社内での理解は、まだまだ課題が残っているのが正直なところです。しかし、事業を通じた経済-社会-環境への貢献、そして社会的使命を果たすために、当社はこれからも高品質でクリーンなステンレス製品を世の中に提供しつづけます。

お問い合わせ

参考文献

・ステンレスとCO2:事実と科学的観察, ISSF, 2019

・The Global Life Cycle of Stainless Steels, Team Stainless & Yale University, 2021

・リサイクルが容易なステンレス鉄鋼, ステンレス協会, 2001

・青柳仁士『小さな会社のSDGs実践の教科書』, 翔泳社, 2021

【実験】同じに見えても中身が違う?撹拌の「均一性」を検証
2021/04/05 09:00

ここにピンク色の液体が入った2つのビーカーがあります。
赤く着色した水と油をそれぞれ異なる撹拌機で混ぜ、その一部を取り出したものです。
どちらも同じくらいしっかりと混ざっているように見えます。

しばらく放置すると…

水と油が分離しました。
その比率は左右で微妙に異なっています。
どちらも同じように均一に混ざっていれば、水と油の比率は同じになるはずです。

このように一見同じくらい混ざっているように見えても、実は均一に混ざっておらず中の成分比率が全体の比率とは異なってしまうことがあります。

実験のようす

この実験の内容は動画でもご覧いただけます。

この実験における均一性の検証方法

水と油(比率6:4)計28L程度を一定時間撹拌し、サンプルを採取。
サンプル分離後、水と油の比率を確認します。

サンプルの比率が大元の比率に近いほど均一に撹拌できていると判断します。

撹拌条件

2種類の撹拌機 それぞれに適した回転数で3分間撹拌します。
使用するのは以下2つの撹拌機です。

①は600rpm、②は300rpmで撹拌しました。

ベルヌーイ流撹拌機 詳細はこちら

実験

同じように撹拌・抽出したサンプルを放置して分離させます。

①ベルヌーイ流撹拌機 で撹拌したものは全体と同じ比率である6:4。
②パドル翼撹拌機と比較して、より均一な撹拌状態にできました。

どうしてベルヌーイ流撹拌機は均一に混ざったのか

パドル、プロペラ型のような撹拌体が起こす液の流れは旋回流といって、撹拌体を中心に渦を起こすような液流です。
この場合液流に上下の動きが起こりづらく、今回の様に比重が異なり分離する液体の場合均一に混ぜるのが難しくなります。

対してベルヌーイ流撹拌機は旋回流を抑え、吸い上げ・吐出するような液流を発生させます。
上下に液流が発生するため、パドルに比べ分離した液体の均一な撹拌に優れています。

まとめ

今回の均一性検証実験ではベルヌーイ流撹拌機の方が優れた結果になりました。しかし、すべての撹拌においてこの撹拌機が優れているわけではありません。目的に合わせて条件を変えることが非常に重要です。

MONOVATEでは、製品購入をご検討のお客様限定で無償の撹拌デモ実験を実施しております。
※無償のため、お客様へ撹拌結果のフィードバックをお願いしております。

実験で使用したベルヌーイ流撹拌機は、今回のような「均一な撹拌」の他「泡立てない撹拌」も得意な撹拌機です。
撹拌機をお探しの際にはぜひご検討ください。

デモや製品に関するお問い合わせはこちら

粉体を扱うときによくある問題と解決方法
2021/03/08 09:00

粉体を扱うときによくある問題と解決方法

粉体原料を扱う際には、粉が舞ったり詰まりを起こしたり、あるいは液体と混ぜたいときなどにダマになってしまうことなどがあると思います。
今回は粉体を扱うときによくある問題と解決方法について、ステンレス容器や周辺機器でおこなえる対策をご紹介します。

①粉が飛散して周囲が汚れる問題を解決する

比重が軽い粉体の場合、ホッパー容器などへ投入すると粉が舞ってしまい周囲を汚してしまうため、人力で粉体原料を投入する際の問題となっています。
粉体が周囲に飛散してしまうとその分原料のロスが増えるだけでなく、清掃に時間がかかったり、作業環境が悪くなるなどの影響があります。

この問題を解決するには

  • 飛散防止のフードを取り付ける
  • 集塵機に接続する
  • 投入口のある蓋を使用する(開閉蓋/分割蓋など)

などの方法があります。

1) 飛散防止のフードを取り付ける / 集塵機に接続する

フードを取り付けたり集塵機を併用したりすると、粉じんの飛散を抑えることができます。

2) 投入口のある蓋を使用する

蓋を完全に取り外さず、必要な分だけ開けて作業すれば、粉じんの飛散を抑えることができます。

②異物が混入しやすい問題を解決する

粉体の投入口は大きく開けることが多く、異物が混入しやすくなっています。
特に人力で粉体原料を投入する際には、粉体を入れていた袋(パッケージ)の切れ端が落下する異物混入が発生しがちです。

この問題を解決するには

  • 投入口に異物受けを設置する
  • 排出口に異物受けを設置する

などの方法があります。

1) 投入口に異物受けを設置する

カゴや底が金網になっている内容器を設置することで、異物の混入を防ぐことができます。

この製品を見る

 

2) 排出口に異物受けを設置する

排出口に金網を取り付けた継手(ストレーナー)を設置することで、混入した異物を捕らえることができます。
磁性体異物の場合は、マグネットフィルターをホッパーの下部などへ設置することで対策になります。

③粉が沈んで/浮いて撹拌できない問題を解決する

比重が重い粉体の場合、粉が液中の底に沈んで固まってしまったり、逆に比重が軽い粉体の場合は粉が水面に浮いてしまい、ダマになってしまうことがあります。

撹拌時間を伸ばしたり、粉を少量ずつ投入することで解消できる場合もありますが、こうした方法だとムダな工数がかかったり、作業者により程度にムラが出たりしかねません。

この問題を解決するには

  • 吸い上げる力の強い撹拌子を使用する
  • 液中にダマなく粉を取り込める装置を使用する

などの方法があります。

1) 吸い上げる力の強い撹拌体を使用する

通常のプロペラ翼の撹拌体ではなく、吸い上げる力に特長のある撹拌体を使用すれば、沈殿しやすい粉体でも撹拌できます。

ベルヌーイ流撹拌体BEAGは遠心力による圧力差を応用し、材料を上下から吸い寄せ分散するという液流を起こします。沈む粉体の撹拌に最適です。

\ ベルヌーイ流撹拌体BEAGの詳細はこちら /

関連コラムを読む

2) 液中にダマなく粉を取り込める装置を使用する

比重が軽く液面に浮いてしまうような粉体の場合には、液中にダマなく粉体を取り込める装置がおすすめです。ダマなく粉を取り込んだうえで、さらに撹拌力の高い撹拌機でミキシングするのがよいでしょう。

ミキシングユニットはムラ・ムダなくダマの形成を軽減し、撹拌するための装置です。粉はポンプによる液流で、自然と大きな粉の塊が壊れ配管内に引き込まれます。ダマなく取り込まれた粉体は、さらに撹拌力の高いベルヌーイ流撹拌機により徹底的に撹拌されます。

画像では液を循環させるような仕様ですが、実際にはワンパスで使用します。液体原料をタンクに供給する際に、ホッパー部から粉を投入してプレミキシングを行い、タンク内で撹拌するのが一般的です。

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④粉がなかなか出てこない問題を解決する

容器に貯蔵していた粉体を下部の排出口から取り出そうとすると、出が悪かったり詰まってしまうこと(ラットホール/ブリッジ)があります。
粉体がスムーズに排出されないと作業工数がかかるだけでなく、製品の品質にも影響することがあります。

この問題を解決するには

  • 排出口の径を大きくする
  • 粉体の性質に合わせて容器をカスタマイズする
  • エアレーションホッパーを使用する
  • ブリッジブレーカー/バイブレーター/ノッカーなどを併用する

などの方法があります。

1) 排出口の径を大きくする / 粉体の性質に合わせて容器をカスタマイズする

ホッパーのドレン径変更

新規導入や買い替えの際にオーダーメイドをご検討いただけると、様々な対策をとることができます。
詳しくは別のコラムにてご紹介しています。

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また、ホッパー内面の表面処理を変更することでも、粉体の流動性を向上させることができます。
粉体の付着を抑止できるgemini処理という加工があります。

この加工を見る

2) エアレーションホッパーを使用する

ホッパー内にエアーを供給することで、粉体を流動化させる「エアレーションホッパー」を使用すれば、粉詰まりなく排出することができます。

ブリッジやラットホールなど、粉体の詰まりを速やかに解消できる装置です。

この製品を見る

3) ブリッジブレーカー / バイブレーター / ノッカーなどを併用する

ブリッジブレーカーなどの装置を使用すると、排出効率が向上します。
装置との組み合わせを考慮したオリジナルのホッパーを設計・製作することもできます。

 

⑤静電気が生じることによる問題を解決する

粉体の入った袋を開けるときや、粉体の投入・搬送のときなどに、静電気が生じやすくなります。
静電気が生じるとロスが増えるだけでなく、粉じん爆発の原因にもなりますので注意が必要です。

この問題を解決するには

  • アースをとる
  • 導電性車輪を使用する(キャスター付き容器の場合)

などの方法があります。

1) アースをとる

アース線を容器へ取り付けられるようにすれば、容器で発生した静電気を逃がすことができます。
その他にはチェーンを容器に取り付け、床に垂らすという方法もあります。

2) 導電性車輪を使用する

キャスター付き容器に導電性車輪を使用することで、容器で発生した静電気を床に逃がすことができます。

粉体を扱う工程でのお悩み、お気軽にご相談ください

MONOVATEでは、ステンレス容器や充填用のステンレスホッパーなどを日本国内で製作しており、粉体原料の保管・投入・混合などの工程で長年採用いただいております。
製品は1品からのオーダーメイドが可能で、ブリッジブレーカー等の周辺機器の選定もお任せいただければ、最適な仕様で設計・製作いたします。

粉体を扱う容器について相談する

蓋が開かない!ステンレス容器の蓋が開かないときの対処法
2021/02/09 09:00

すでに当社のステンレス容器をお使いになっている方ならご経験があるかもしれませんが、稀に容器の蓋が開かなくなることがあります。

その原因としてよくあるのが、容器の内側と外側とでの気圧差。容器内部の温度が蓋を閉めたときよりも冷えると、容器内が減圧状態となり、蓋がどうにも開かなくなります。

以前のコラムでもご紹介した現象ではありますが、今回の記事では気圧差によって蓋が開かなくなった実際の様子とその対処法に着目してご説明します。

1. そもそもなぜ開かなくなるのか

容器の中に液体などを入れ、その後内容物が冷えると蓋が開かなくなります。繰り返しになりますが、これは容器の内側と外側での気圧差によって生じるものです。日常生活で見られる「お椀の蓋が取れなくなる」のと同じ現象が起こっています。

蓋を閉めた状態で容器内部が冷えると、容器内の水蒸気が次第に冷えて水に戻ります。これに加え、空気は冷えると体積が小さくなるという特性によって中の気圧が下がり、容器外の大気圧とのバランスが取れなくなります。

こうして、容器外から相対的に強い力で押されることで、蓋を開けられなくなるという仕組みです。

2. 内容物が冷めたときの蓋の様子

実際に蓋を開けられなくなる現象を再現してみました。

まず、当社のレバーバンド式の容器【CTL】キャッチクリップ式の容器【CTH】に水を1/7程度入れて沸騰させます。その後、蓋をすぐに閉め、容器の外側から冷水を約10分間かけて冷却します。

こうして容器内部が冷えると、先ほどご説明したとおり蓋が容器外から強い力で押されます。実際に蓋を見てみると、通常時よりも容器の中央部分がへこんでいるのがおわかりいただけるでしょう。
※蓋の中央部に直尺を置き、へこみ具合を確認しています。

これぐらいの圧力がかかると、力強く引っ張ったりしても蓋が開きません。そもそも、内容物がこぼれる可能性もあるので、あまり力づくで開けるのも好ましくありませんよね。

3. 開かなくなった蓋を開ける方法

では、この蓋を開けるにはどうすればよいのでしょうか。各蓋形状でご説明します。

CTL(レバーバンド式)の場合

レバーバンド式であれば、マイクロスパチュラ(ヘラ)をパッキンと本体の間に挿しこみ、空気を容器内に入れることで蓋を開けられます。

お椀の蓋を開けるときと同じで、容器内に空気を入れて内部の気圧と外部の気圧とを等しくできれば蓋が開きます。詳しくは後述しますが、CTHとは異なり、スパチュラさえあれば比較的簡単に開けられます。

ちなみに、容器を開けた際の内容物(水)の温度は33.6℃でした。

CTH(キャッチクリップ式)の場合

キャッチクリップ式の場合、その形状からスパチュラで開けることは困難です。無理に挿しこもうとするとパッキンや蓋を傷つけ、スパチュラ自体を破損するおそれもあります。

CTHの蓋を開けたい場合には容器を加熱し、容器内の気圧を元に戻します。温めたタオルで包んだり湯煎したりする方法もありますが、今回は直火で温めてみます。

ご注意

・容器を加熱する際には空焚きを防ぐため、容器を振るなどして内容物があるかどうかを必ずご確認ください。

・加圧状態にならないよう、加熱時にはクリップやバンドは必ず外してください。

・弊社の容器は主に貯蔵での使用を想定し薄板で製作しているため、直火での加熱による変形・変色は保証対象外です。

今回の実験では沸騰後すぐに蓋を閉めたので、その程度の温度になるまでしばらく待ちます。温めはじめのときはびくともしなかった蓋ですが、中からコトコト音が聞こえてくると蓋がすんなり開きました。減圧状態では沸点が下がりますので、86.6℃の時点で蓋が開きました。

容器を再加熱したくない場合

「再加熱をすると内容物に影響がある」、「いちいち再加熱するのは面倒」という場合、容器の蓋に外気導入用のバルブを取り付けるのもおすすめです。

蓋を開けたいときには、バルブを開けて減圧状態を解消します。このほか、エアー抜き穴を設けて、ゴム栓をしておくという方法もあります。

蓋に外気導入用のバルブを設けた製品はこちら>>>

4. まとめ

もし既存の容器が開かずにお困りの場合には、下記の方法をお試しください。

  • CTL(レバーバンド式):ヘラのようなものを挿しこんで空気を入れる
  • CTH(キャッチクリップ式):蓋を閉めたときの温度くらいまで加熱して気圧を戻す

もしこれから容器をご所望の場合には、蓋にバルブ・エアー抜き穴などを設ければ簡単に蓋を開けられます。また、先ほどご紹介したマイクロスパチュラもご用意できます。

温かい内容物を入れる可能性がある場合には、こうした対処法をご検討ください。

ステンレス容器の温調方法
2021/01/12 09:00

ステンレス容器の中身を温めたい・冷やしたい!

ステンレス容器は、保温性の高さ(熱伝導率の低さ)から内容物の温度調節(以下:温調)工程で使用されることも多いです。
このコラムでは、ステンレス容器の温調方法について特長別にご紹介します。

特長別 温調方法

各温調方法を特長別に表形式でまとめました。

80℃以上の昇温冷却対応容器自体の
軽量さ
焦げにくさ導入コスト
ジャケット容器
(熱媒:水)
×
不可

可能

重くなる

焦げにくい
ジャケット容器
(熱媒:蒸気)

可能

可能
(冷却水循環)

重くなる

要注意
投げ込みヒーター
可能
×
不可

変化なし

要注意
ラバーヒーター
マントルヒーター

可能
×
不可

変化なし

要注意

ジャケット容器を使用する方法

ジャケット容器 ?

ジャケットに任意の温度に調節した熱媒(蒸気や水)を流すことで、内容物の温調をします。
「とにかく一時的に温度を上げる」ような使い方よりも、温度センサーと併用して一定時間既定の温度まで温めるような制御をすることが多いです。

容器の外側に溶接でジャケットを取り付けるため容器が重くなるというデメリットがありますが、医薬品や食品の工場のような衛生グレードが高い場所での温調方法としては一般的です。

熱媒は多くの場合、最高温度が80℃未満の場合には水、80℃以上の場合には蒸気(スチーム)を使用します。

当社では「ジャケット容器+チラー」または「ヒーターユニット」での温調をご採用いただくことが多いです。

ジャケット容器+チラー

チラーは、水を一定の温度にする装置です。チラーをポンプ等と組み合わせ、温度を調節した水をジャケット槽に熱媒として循環させます。

この後ご紹介する「ヒーターユニット」と大きく異なるのは『冷却もできる』という点です。
また容器は付け替えができるので、内容物に応じて複数の容器を使い分けたい場合にも適しています。

ヒーターユニット

ジャケット内に直接ヒーターが刺さった、当社オリジナルの一体構造です。

ジャケット内の水を直接温めます。
チラーを使用するとお湯がホースを通っている間に放熱してしまいますが、ヒーターユニットはそれが無く効率よく内容物を温めることができます。

また設置スペースを取らず移動が非常に簡単です。

ステンレス容器 ヒーターユニット

加温時のジャケットは高温になります

必要に応じて作業者の火傷や室温変動の対策として断熱槽付き容器断熱カバーをおすすめします。

投げ込みヒーターを使用する方法

投げ込みヒーター

容器内部にヒーターを挿し込んで内容物を直接加温します。
蓋に専用の口を設けて設置するのが一般的です。
ジャケットより低コスト・短時間で昇温可能なのが特長です。
また着脱が可能なので、容器本体を軽量にできるメリットもあります。

温める対象は水・油など焦げないものに限定されます。ヒーターに焦げ付いたり、その焦げが混入するのを防ぐためです。

ラバーヒーター・マントルヒーターを使用する方法

ラバーヒーター、マントルヒーター

シート状にした発熱体を容器等に巻き付けマジックテープなどで固定、加温します。
マントルヒーターは通常断熱材が付属しています。(保温効果向上・作業者の火傷防止のため)

ジャケットとは異なり着脱が可能なので、容器本体を軽量にできます。
複雑な形状にもフィットしやすい・小型の容器に設置しやすいのも特長です。

ご要望に合った温調方法が選択可能です

このように、ステンレス容器の温調方法は重視するポイントにより様々な方法を選択できます。

当社ではお客様のご要望に沿った柔軟な対応が可能です。
温調工程に使用するステンレス容器をご検討の際には、ぜひご相談ください。

ステンレス容器の温調について相談する

ステンレス製密閉容器の選びかた
2020/12/06 09:00

「湿気や乾燥をなるべく抑えたい」「運搬の際に中身が飛散しないようにしたい」などの場合には、密閉できる容器を選ぶと思います。
とは言っても容器には様々な種類やメーカーがあるため、何を買ったらいいのか迷ってしまいませんか?

ステンレス容器メーカーである弊社でも、大きく分けて2種類の密閉容器があります。
そこから用途に応じて様々な仕様に分かれていきますので、単純に「密閉容器が欲しい」だけでは選びきれないラインナップになっています。
このコラムでは、ご希望に合う「密閉容器の選びかた」について簡単にご紹介します。

このコラムに出てくる密閉容器

クリップ式

キャッチクリップ(パチン錠)付きの容器パッキンを使用します。
容器もしくは蓋にパッキンを取り付け、キャッチクリップで蓋を固定し密閉します。
型式にCTHと入っている製品が該当します。
※容器サイズにより付属品の仕様は異なります。

家庭用品などでも採用されている密閉方法です。

代表製品(CTH)を見る

バンド式

容器レバーバンドパッキンを使用します。
蓋にパッキンを取り付け、レバーバンドで蓋を固定し密閉します。
型式にCTLと入っている製品が該当します。
※容器サイズにより付属品の仕様は異なります。

ペール缶やドラム缶などでも採用されている密閉方法です。

代表製品(CTL)を見る

 

今回はこの2種類の密閉容器のうち、容量が100L以下(内径470mm以下)の製品について重視するポイントに応じてどちらのタイプがよりおすすめかをご紹介します。

良い密閉容器の条件とは

まずは以下のような密閉容器がおすすめです。

  • 容器と蓋の間にシリコンパッキンなどのゴムパッキンが付属している※1
  • 蓋をしっかり閉められる
  • パッキンや蓋が破損しても、その部品のみ購入し交換して使える※2

しっかり密閉でき、パッキンなどの消耗品の買い替えもできるものであれば、長くお使いいただけます。
弊社の2種類の密閉容器は、どちらもこの3つの条件を満たしています。
※1 内容物との相性も大切です。 >【参考】この薬品ってどうやって保管できるの?~薬品に最適なパッキン~
※2 パッキンの定期的な交換をおすすめしています。>【参考】いつ取り換える?ステンレス容器用パッキンの交換目安とは

どのような機能を重視しますか?

「密閉容器だから密閉度重視!」「なるべく安価なものが欲しい!」など、お客さまによって重視するポイントは異なると思いますので、様々な角度からおすすめの密閉方式をご紹介します。

密閉度?/?使いやすさ /?洗いやすさ?/?導入コスト?/?丈夫さ?/?パッキンの耐薬品性?/?誤開封対策?/?内容物が冷えたときの開けやすさ

> 結果のみ見たい方はこちら

密閉度を重視するときは

バンド式がおすすめ

密閉容器といえば一番気になるのが密閉度だと思います。
密閉容器の密閉度は製品によって異なりますが、一般的には簡易密閉構造という「運搬の際に中身が飛散しない」「保管の際にホコリが侵入しない」ような密閉度のものとなります。

弊社の密閉容器においては、クリップ式よりもバンド式の方が密閉性に優れているという結果が出ています。

>【参考】キャッチクリップとレバーバンド 密閉度を比べてみました

より高い密閉性をお求めの場合は、圧力容器などの気密性の高い容器をご提案いたします。詳細はお問い合わせください。

密閉度に関しては、こちらのコラムもおすすめです。> 【実験】密閉容器を倒したときの水の漏れ量はどれくらい?

使いやすさを重視するときは

クリップ式がおすすめ

クリップ式は、バンド式に比べて蓋やパッキンの装着が簡単で、クリップのフックを蓋にかけるだけで簡単に密閉できます。※容量100L以下(内径470mm以下)の場合。100L以上は蓋にパッキンを取り付ける仕様となります。

蓋を開けた際も、バンド式の場合はパッキン付きの蓋とバンドの2種類を置くスペースが必要ですが、クリップ式の場合は蓋だけなので省スペースです。

ただし容器を壁際などに設置する場合は、バンド式がおすすめです(クリップ式は壁側のクリップが干渉するため)。

洗いやすさを重視するときは

バンド式がおすすめ

バンド式はクリップ式に比べて容器に付いている部品数が少ないため、容器の洗浄作業性に優れています。
洗浄性を重視したサニタリータイプのバンド式密閉容器は、衛生管理の厳しい製薬メーカー様に長年採用されています。

導入コストを重視するときは

クリップ式がおすすめ

導入コストはクリップ式 < バンド式となります。
どちらの密閉方式でもよろしければ、クリップ式がおすすめです。

丈夫さを重視するときは

バンド式がおすすめ

バンド式のバンドは、破損した場合にバンドだけ買い替えることができますので、長く使いたい場合にはおすすめです。
クリップ式のクリップはお客さま自身での交換ができない仕様となっており、破損した場合は本体ごと買い替えいただくことがほとんどです。

耐薬品性を重視するときは

クリップ式がおすすめ

ゴム製パッキンと相性の悪い溶剤や薬品を入れて使用したいときには、PTFEパッキンが選択できるクリップ式となります。ただしPTFEパッキンは樹脂製のため、ゴム製パッキンに比べると密閉度は劣ります。
バンド式は構造上、PTFEパッキンが使用できません。
PTFE製以外(フッ素ゴム、クロロプレン、NBR、EPDM)のパッキンであれば、クリップ式・バンド式どちらの密閉容器でも対応可能です。
容器の材質変更(SUS304→SUS316L)やフッ素樹脂コーティングを施工することで、容器自体の耐薬品性を向上させることもできます。

誤開封の対策を重視するときは

バンド式がおすすめ

クリップやバンドは、運搬時などに接触してしまったり引っかかってしまうと開いてしまうことがあります。
バンド式の場合、100L以下のサイズであればレバーバンドに誤開封防止のフックが付いており、フックにある穴を利用して施錠機能を付加することもできます。

内容物が冷えたときの開けやすさを重視するときは

バンド式がおすすめ

密閉時点での温度より開封時の温度が低いと、内部が減圧状態となり開封が困難になることがあります。
バンド式・クリップ式どちらの場合でも、密閉時の温度に戻すことができれば開封しやすくなります。
バンド式の場合、100L以下のサイズであれば外側から容器とパッキンの境が見えるため、その間にヘラなどを差し込むことでさらに開封しやすくできる可能性があります。

形状イメージ
※容量100L以下(内径470mm以下)の場合。100L以上は仕様が異なります。

>【参考】蓋が開かない!ステンレス容器の蓋が開かないときの対処法

最適なのはクリップ式?バンド式?

まとめ

 

MONOVATEの密閉容器は、お客さまのお悩みや課題を少しでも多く解決できるように、様々な仕様の製品をラインナップしています。
オーダーメイドでの製作実績も豊富ですので、内容物や使用用途だけでなく、お客さまの「重視すること」を第一に考えて容器の仕様を決定・製作することができます。
以下は、お客さまとの容器選定のお打ち合わせ時にあった実際の事例です。

選定例:お客さまの希望を重視し、クリップ式を採用

ジャケットタンクのクリップ式はジャケット槽の範囲が狭くなるというデメリットがあるため、弊社では開放型の容器またはバンド式をご提案いたしますが、お客さまのご希望によりクリップ式でのオーダーメイド製作となりました。

お客さまのご希望は、

  • 作業性を重視(バンド式よりもクリップ式の方が蓋の開閉をおこないやすい。)
  • パッキンの耐溶剤性を重視(PTFEパッキンはバンド式にはご用意が無いため)

ということでしたので、この場合にはクリップ式が最適な選択になります。
このように弊社では、お客さまのご希望や実際に作業される方の作業性を考慮した製品を製作することができます。

 

お気軽にお問い合わせください

弊社のステンレス容器は様々なオーダーメイドが可能です。> 製品の特長をみる
「この製品とこの製品の違いはなに?」「この製品が良いと思ったけど、もっと良い製品はある?」などの疑問・質問がございましたら、お気軽にご連絡ください。

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そんなに締めて大丈夫?パッキンで見る締め付けトルクの重要性
2020/11/11 09:00

なにかを「しっかり締める」と言ったとき、固定したいものが動かないよう、固く締め付けることを考えてしまいがちです。

しかし、「しっかり締める」というのは、必ずしも「強く締める」と同義ではありません。適切なトルクで締めることが大切です。過度の締め付けは、部品の変形や破損などを引き起こすリスクがあります。

そして、同様に気をつけなければならないのが、過度な締め付けによるパッキンのはみ出しです。配管の間や蓋と容器との間にあるパッキン(ガスケット)が容器・配管の内外にはみ出してしまい、密閉性低下や異物混入の原因となる可能性があります。

今回のコラムでは、この中でもヘルールパッキンの内側へのはみ出しに着目。ヘルールをクランプで締めた場合、締め付けトルクによってどれだけパッキンがはみ出すのかについて実験してみました。

パッキンとガスケット

シール部品としてよく使われている「パッキン」と「ガスケット」には、簡単に以下の違いがあります。

  • パッキン:運動用シール。繰り返し着脱する箇所や回転部分などに使用される。
  • ガスケット:固定用シール。部品や配管などの接続部(静止部分)に使用される。

今回の実験で使うシール部品は、厳密には「ガスケット」と呼称されるものです。しかし弊社では、弊社容器に使用されるものを基本的に「パッキン」と呼んでいるため、このコラム内でもパッキンと表します。あらかじめご了承ください。

1. はみ出したパッキンは異物混入の原因に

ヘルールの間にあるパッキンやガスケットが配管・容器内にはみ出した場合、それが異物混入(コンタミネーション)の原因になることがあります。以下二つの場合を考えてみましょう。

① パッキン自体が異物になる場合

パッキンがはみ出していると、その部分が摩耗し混入する可能性があります。

特に、配管同士の接続部分や配管とアクセサリーとの接続部分のパッキンがはみ出している場合、その部分が内容物によって摩耗しやすいです。これが容器内に混入してしまったり、劣化したパッキンがちぎれ、その破片が混入したりするリスクがあります。

ヘルールの仕組み・パッキン(ガスケット)についてより詳しく知りたい方へ

ヘルールとパッキン(ガスケット)の仕組みや構造などについてより詳しく知りたい方は、「工具不要で洗いやすい!容器や配管に欠かせない『ヘルール継手』」の記事をご覧ください。ヘルール継手に着目してご説明しています。

② パッキンによってできた段差の残留物が異物となる場合

はみ出したパッキンと容器・配管との間には段差が生じます。この余計なスペースに内容物が残留、固着したりすると、あるときそれが剥落し混入する可能性があります。

残留物は定期的に洗浄をすれば除去することができますが、そもそもパッキンがはみ出さないようにすれば、こうした残留物を減らすことができます。

段差は送液効率低下の原因にも...

配管内に段差が生じてしまうとその部分がデッドスペースとなり、送液等の障害になります。送液効率を低下させないためにも、パッキンのはみ出しは好ましくありません。

2. 締め付けトルクによるパッキンのはみ出し比較

それでは、実験をおこなっていきましょう。

配管同士の間にシリコンゴムのパッキンを挟み、クランプバンドで締めます。まずは手締めの状態で確認し、その後トルクレンチと【TSC】クランプバンド用トルク管理ソケットを使い、3N・m~10N・mのトルクでクランプを締め付けます。

そのときのパッキンのはみ出しを、目視とパッキン内径の変化とで確認してみましょう。

ご注意

クランプバンドメーカー様によっては、工具を用いての締め付けを控えるよう注意を促しているところもあります。

手で締めるのが基本ですが、今回は実験のためトルクレンチを用いて強い力で締めています。場合によってはクランプバンドやパッキンの破損を招く可能性もありますので、通常時において工具等で強く締め付けるのはお控えください。

4Sの場合

はじめに、4S(IDF/ISO規格)のヘルールで実験してみます。

まずは手締めの状態で、パッキンがどのような状態になっているのか確認してみましょう。なお、直尺は引っかかりがあることを確認するために使用しています。

手締め時点でも、多少の出っ張りがあります。パッキンの内径はΦ96.86mm。ここから、締め付けトルクを増すにつれ、出っ張りと内径がどう変化していくのかを確認します。なお、今回使用したトルクレンチでは3N・m以下を計測できないため、手締め時の締め付けトルクは記載していません。

画像で見た目での出っ張りの変化を見てみましょう。

目視ではわかりづらいかもしれませんので、パッキン内径の変化を数値で確認してみます。下の表をご覧ください。

締め付けトルク(N・m) 手締め 3.04 5.08 7.00 10.28
内径(mm) Φ96.89 Φ96.34 Φ96.19 Φ95.89 Φ95.38

パッキンが内側に出っ張ることで、数値上からでも内径が小さくなっていくのがわかります。

2Sの場合

同様に、2Sのヘルールでも確認してみましょう。

手締めだと以下のような状態になります。パッキンの内径はΦ46.93mmです。

4Sのときと同様、締め付けを強めるとパッキンがどのように変化していくのかを見てみましょう。

4Sよりも2Sのほうがはみ出しの変化が大きいのがわかります。締め付けトルク約3N・mの時点でも、手締めのときに比べて大きくはみ出しています。数値上では、以下のように変化しました。

締め付けトルク(N・m) 手締め 3.02 5.24 7.10 9.20
内径(mm) Φ46.93 Φ45.95 Φ45.26 Φ44.89 Φ44.47

4Sの場合では、約3N・mから10N・mに締め付けを増すと内径は約1mm小さくなったのに対し、2Sでは約3N・mから9N・mまで締め付けを増すと、内径は約1.5mm小さくなりました。

3. 過度の締め付けを避けるために

今回の実験では、2S、4Sのどちらの場合でもパッキンの内側へのはみ出しが確認できました。

一般的に、締め付けトルクは3N・m前後が適当であるとされています。ですから、3N・m時点程度でのパッキンのはみ出しは許容しなければなりませんが、それ以上に締め付けを強めてしまうとデットスペースを生み出したり、不必要にリスクを高めることになります。

こうしたリスク・ムダをなくすためには、クランプを軽く手締めしたうえで、トルクレンチで締め付けトルクが適切にするのが望ましいです。

これに最適なのが【TSC】クランプバンド用トルク管理ソケット。市販のトルクレンチにこのソケットを取り付けることで、クランプバンドの締め付けトルクを測定できます。必要以上の力での締め付けを防ぎ、締め付けトルクの標準化に役立つ製品です。

複数のメーカー・モデルのクランプバンドに対応しているため、これひとつあれば安心です。もし対応できない規格であったとしても、オーダーメイドにて製作可能ですので、お気軽にお問い合せください。

トルク管理ソケットの詳細を見る

4. まとめ

クランプバンドを締めるときには、必ずしも強い力を加えればよいというわけではありません。今回の実験からわかるように、必要以上の力で締めてしまうとパッキンがはみ出してしまい、さまざまなリスクを生じさせることになります。

これを防ぐためにはトルク管理が必要不可欠。すべての作業者がどのような状況でも、適切なトルクで締め付けをできるようにしておくのが理想的です。

MONOVATEではご紹介した【TSC】のほかにも、お客さまのご要望に応じて「トルク管理できるボトル」などの特注製品を製作できるほか、そもそも内側にはみ出しにくい「外周にSUS製のリングを付けた特殊なパッキン」もご紹介できます。状況に応じたトルク管理ツールで、無用なリスク・ムダを低減しましょう。

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「パッキンが膨潤するとどうなるの?」実験してみました
2020/10/05 09:00

そもそも膨潤とは

パッキンと液体の相性によっては、パッキンが液体を吸収して膨張し、ブヨブヨになることがあります。このことを「膨潤」と呼びます。
これは液体がパッキンのゴムの分子間に入り込んでしまうことから発生する現象です。
イメージとしては、わかめを水で戻したときのような状態が近いでしょう。

膨潤がもつリスクとは

膨潤には以下のような困りごとを引き起こすリスクがあります。

  • パッキンのサイズが大きくなり設置箇所に合わなくなる、密閉性が低下する
  • 強度が下がり破損する、異物として混入する
  • パッキンの交換サイクルが短くなり、コストが高くなる

このため、膨潤するかどうかを含め、パッキンと液体の相性を確認するのはとても重要なことです。

実際膨潤するとどうなるのか

こちらはフッ素ゴムを除光液(主成分:アセトン)に4日間程浸したものです。

実験前とだいたい同サイズのフッ素ゴムに比べ、サイズが大きく膨張していました。
また、手で触った感触もかなり柔らかくブヨブヨになっています。

寸法、重量も大きく変化していました。

実験前寸法 実験後寸法 寸法変化率 実験前重量 実験後重量 重量変化率
フッ素ゴム 14mm 20mm 142.9% 1.6g 2.44g 152.5%

同じ条件で実験を行った他の材質には、フッ素ゴムほどの大きな変化はみられません。

ゴムがボロボロになったものも

こちらはクロロプレンゴムを塩素系漂白剤(主成分:次亜塩素酸ナトリウム)に浸した結果です。
少し動かしただけで黒いゴムのかけらがボロボロと出てきます。
また周りに付いた漂白剤を拭き取ると黒い液体が付着し、ゴムが溶解しているような状態です。

体積の大きな変化は見られませんが、液体との相性が悪いことがわかります。

代表的な薬品に適したパッキンを知りたい方はこちら

この薬品ってどうやって保管できるの?~薬品に最適なパッキン~

このコラムを読む

まとめ

  • パッキンが膨潤する=寸法、重量に大きく変化が出る
  • 相性によっては、ゴムが崩れたような状態になるものも

当社では、内容物に合わせてステンレス容器や周辺機器に付属するパッキン材質を変更することが可能です。
すでに当社の容器を使用されているお客様でも、パッキン単体での購入が可能ですのでお気軽にお問い合わせください。

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手作業を減らそう!省力化で作業効率を上げるステンレス製品
2020/09/08 09:00

「製造業の省力化」というと、手作業から自動化への移行を思い浮かべる方が多いかもしれません。
手作業を機械に置き換え、手作業をなくすのが自動化ですが、多品種少量生産や試作開発などの小規模生産となると、機械への置き換えが現実的ではない工程も多いと思います。

自動化できない工程においても、まずおこないたいのが、手作業を減らす省力化(省人化)です。
省力化は、機械などを導入して手作業を減らしたり作業の合理化をおこなって労力を省いていく取り組みで、作業効率の向上やコストダウンには欠かせません。
省力化の方法は多岐にわたりますが、このコラムではステンレス製品に関係する3つの省力化についてご紹介します。

1. 大型で重い容器を持たずに洗う

大型容器、重い容器は洗いにくい

径の大きな容器や重い容器の洗浄工程は、作業者の負担が大きい工程です。
複数人で作業する場合はその分工数がかかってしまいます。

このような場合には、反転機能を付けたステンレス容器のご使用がおすすめです。

  • 洗浄時に容器を持つ必要がなくなり、洗浄時間の短縮になる。
  • 1人で作業できる。

取り付けた撹拌機が重い

撹拌機(攪拌機/かくはん機)を取り付けたステンレス容器の場合、容器の洗浄時に撹拌機を取り外します。
大型容器に取り付ける撹拌機の場合は重量のあるものや高い位置に取り付けているものが多く着脱作業は慎重におこなう必要があります。
そのため着脱に時間がかかったり複数人での作業となってしまい工数がかかってしまいます。

このような場合には、撹拌機の昇降機能を付けたステンレス容器や、撹拌機用リフターがおすすめです。

  • 容器からの着脱が不要で容器が洗いやすくなる。
  • 撹拌機の昇降が安全かつ1人でおこなうことができる。

2. 溶解・撹拌作業の時間を短縮する

粘度のある液体の撹拌に時間がかかっている

粘度のある液体は撹拌しにくく工数がかかるだけでなく、混ぜきれなかった部分はロスとなってしまいます。

加温が可能な内容液の場合には、ジャケット付きのステンレス容器がおすすめです

  • 加温することで粘度が下がり撹拌しやすくなる。
  • 撹拌時間が短縮できる。
  • 撹拌不足によるロスが減る。

液が焦げやすい

液を温めたい場合に手軽なのが直火での加温ですが、火加減の調節や焦げないようにかき混ぜるなどの手作業が必要になります。
特に粘度が高い液や焦げやすい成分の液の場合は、焦げないようにこまめに確認しなければいけません。

このような場合には、ヒーター付きのステンレス容器やジャケットカクハン機取付座が付いたステンレス容器がおすすめです。

  • 温度調節しやすい。
  • ジャケットの場合、湯煎のようにやさしく加温でき焦げない。
  • 加温時に撹拌機を併用すれば、内容液を均一に撹拌できる。

溶解と撹拌の工程が分かれている

溶解と撹拌の作業工程が分かれていると、移し替えでロスが発生したり、異物混入なども起こりやすくなります。
また、手作業でかき混ぜたり、ミキサー等を持ちながらの撹拌は作業者に負担がかかってしまいます。

このような場合には、ジャケットカクハン機取付座が付いたステンレス容器がおすすめです。

  • 内容液を加温しながら均一に撹拌することができる。
  • 溶解と撹拌の工程が1つになることで移し替えがなくなり、ロスが減る。
  • 撹拌時に撹拌機を持たなくてよい。
  • 撹拌している間に別の作業をおこなうことができる。

3. 手作業での液の移し替えをやめる

液の移し替え作業を手作業でおこなっている

撹拌などを経てできあがった液を別の容器や装置へ手作業で移すとロスが発生しやすく労力もかかります。
また、異物混入などのリスクも高まります。

このような場合には、ポンプ付きのステンレス容器や圧送ユニット付きの圧力容器がおすすめです。

  • 容器から装置へ内容液を直接送ることができる。
  • (圧送の場合)ポンプ不要で内容液を取り出せる。

撹拌後の工程が別のエリアにある

液体の撹拌後、移し替えたい容器や装置が離れたエリアにある場合、液が入った重い容器を持ち運ぶのは重労働です。

このような場合には、キャスターカクハン機取付座がついたステンレス容器がおすすめです。

  • 重い容器を持たずに運べる。
  • 撹拌機を取り外さずに移動できる。

【PDF資料無料プレゼント】省力化で作業効率を上げるステンレス製品

下記フォームに必要項目を入力・送信していただくと、このコラムでご紹介した3つの製品のカタログをまとめたPDF資料をダウンロードできます。

なお、このページには掲載していないオーダーメイド事例のご紹介もあります。PDFですので、そのまま社内の回覧にご活用ください。

ステンレス容器周辺でできる異物混入対策~撹拌・洗浄工程~
2020/08/04 09:00

衛生グレードの高い場所で使われるステンレス容器。そのような現場では、異物混入対策に注力されていることも多いです。

この記事の前編「ステンレス容器周辺でできる異物混入対策~貯蔵・投入工程~」では、貯蔵・投入工程において行える異物混入の対策手法についてご説明しました。

続く後編では、撹拌と洗浄の工程でご提案できる異物混入対策方法についてご説明します。

前編のおさらい?貯蔵・投入工程での異物混入対策

前編である「ステンレス容器周辺でできる異物混入対策~貯蔵・投入工程~」でご説明した内容を、簡単に振り返ります。

  • 「長期保管でパッキンが劣化し、混入してしまう」
    →内容物に合った材質を選択しましょう。
  • 「内容物の種類や残量を確認するために蓋を開放し、異物が混入する」
    →容器自体にマーキングしたり窓を取り付けたりする方法のほか、アクリル蓋やレベル計を付ける方法があります。
  • 「投入時に蓋を開放して、そこから容器外の異物が混入してしまう」
    →必要なスペースだけを開閉できる割蓋などで、開放部を必要最低限にしましょう。
  • 「投入前にビーカーで計量した原料に異物が混入してしまう」
    →ビーカー専用の蓋を製作できます。

以下では、前編の貯蔵・投入工程に続いて、撹拌・洗浄工程でできる異物混入対策についてご紹介します。

撹拌工程の異物混入リスクと対策

「撹拌機を設置時、開放部から異物が混入してしまう」

→開放部を必要最低限にしましょう

蓋に撹拌機用の切り欠きを付ける方法

撹拌をする際に蓋が開いていると、作業者の髪の毛や虫などが落下、混入する可能性があります。それを防ぐのに効果的なのが、切り欠き付きの蓋に可搬型の撹拌機を付けるという方法です。

蓋をしたまま撹拌できるよう、撹拌機の軸を通すのに足りる切り欠きを蓋に設けることができます。また、特注でその切り欠きにカバーを取り付けることもできるため、撹拌しない際には撹拌機を取り外したうえでカバーをして、さらに異物混入防止性能を高められます。

ヘルール接続の撹拌機で容器内を密閉する方法

容器内を密閉したい、という場合にはヘルール接続できる撹拌機がおすすめです。この方法であれば開放部が生じませんので、上記の方法に比べさらに衛生的です。

切り欠き部にカバーを取り付けた蓋

切り欠きにPTFE製のカバーを付けた割蓋を採用したインコネル製タンクです。撹拌機を使わないときにはカバーを閉じることにより、異物混入を防ぎます。

製品を見る

ヘルール接続できる撹拌機

MONOVATEオリジナルの撹拌機は、ヘルールで容器の蓋部分に接続できる立型撹拌機です。密閉撹拌ができるため、サニタリー性の求められる現場に最適です。

製品を見る

「撹拌機の軸シール部で生じる摩耗粉が混入してしまう」

→摩耗したシールを回収できる、ゴミ受け搭載の撹拌機を使用しましょう

一般的な撹拌機の場合、撹拌機を動作させると軸シール部から摩耗粉が生じ、それが混入する可能性があります。

しかし、MONOVATEのベルヌーイ流撹拌機【NTMA/NTME】ならそのリスクを低減。軸シール部から発生した摩耗粉を受け止めるゴミ受けを標準搭載することにより、摩耗粉が容器内に落下しにくくなっています。

通常、それほど着目されない部分ですが、衛生グレードの高い場所ではこうしたコンタミリスクを意識されることも多いようです。

洗浄工程の異物混入リスクと対策

「洗浄液や異物が容器のスキマに残り、その後の使用時に混入してしまう」

→スキマの少ない容器を使用しましょう

容器やその他機器を使用後、キレイに洗浄をしたつもりでも汚れや異物が容器のスキマに残ってしまったり、洗浄に使用した液自体が残存してしまったりすることもあります。

それを防ぐのに効果的なのが、スキマの少ない容器。サニタリー容器サニタリービーカーは取っ手や縁巻き部のスキマをすべてなくしており、異物や液が残存しません。

液残りしないサニタリー容器

ステンレスビーカーの比較

また、ひしゃくサニタリーバットも同様にスキマがないため、洗浄が楽であるうえに汚れが残りにくいです。

当社ではこのほかにも洗浄しやすく、汚れが残りにくいバルブ配管もラインナップ。容器とあわせてご提案いたします。

【技術コラム】洗浄時間を短縮できるスキマの無い容器

容器の縁巻き部分に内容物や汚れが
入り込み、取れなくなった。
curl-yogore1
取っ手に汚れが溜まってしまい、
困っている。
handle-yogore1
洗浄工程で、容器の隙間に入った汚れや、
洗浄液の除去に時間がかかる。
tank-wash1

より詳しい説明を見る

まとめ

今回は前編と後編にわたり、貯蔵から投入、撹拌、そして洗浄工程において当社が提案可能な異物混入対策についてご紹介しました。

異物混入のリスク要因はさまざまです。当社ではそれぞれのリスク要因を低減するための対策を、お客さまが必要とするグレードに応じてご提案できますので、お気軽にご相談ください。

【PDF資料無料プレゼント】「ステンレス容器周辺でできる異物混入対策とは~撹拌・洗浄工程~」

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なお、このページでは掲載していない製品も一部ご紹介しています。PDFですので、そのまま社内の回覧にご活用ください。

ステンレス容器周辺でできる異物混入対策~貯蔵・投入工程~
2020/07/08 09:00

錆びに強いのが特徴的なステンレス容器。
そんなステンレス容器を使用している環境は、衛生グレードが高く、異物混入の対策がしっかりされている場所が多いです。
このコラムでは、「ステンレス容器周辺でできる異物混入対策」を工程別にご紹介します。
今回は前編~貯蔵・投入工程~です。(後編~撹拌・洗浄工程~はこちら

貯蔵工程の異物混入リスクと対策

「長期保管でパッキンが劣化し、混入してしまう」

→内容物に合った材質を選択しましょう

特に内容物が薬品などの場合は、パッキンの材質選定が重要です。
たとえば弊社のパッキンが付属する容器の多くはシリコンゴムが標準ですが、 内容物の相性が悪いとパッキンが膨潤・剥離して異物混入につながる恐れもあります。

それぞれの薬品に合ったパッキンの材質を選択しましょう。

薬品とパッキンの相性について知りたい方はこちら

この薬品ってどうやって保管できるの?~薬品に最適なパッキン~

このコラムを読む

「内容物の種類や残量を確認するために蓋を開放し、異物が混入する」

→開け閉めしなくても内部を確認できる方法があります

内容物の種類を確認したい場合…印字やラベリング、容器に着脱式の窓を設置するのがおすすめ

容器自体に印字やラベリングをする方法と、容器に透明な部品(窓)を取り付ける方法があります。

内容物の残量を確認したい場合…アクリル蓋やレベル計がおすすめ


またコストは上がりますが、レベルセンサーを取り付けた実績もございます。「残量が減ったら自動で補充」のように他の工程と連携が可能です。

投入工程の異物混入リスクと対策

「投入時に蓋を開放して、そこから容器外の異物が混入してしまう」

→蓋の開放部を必要最低限にしましょう

投入に必要なスペースだけ開閉できる、「割蓋」「開閉蓋」がおすすめです。

「蝶番は洗浄しづらい・金属接触をなるべく避けたい…」そんな場合には、蝶番を使用しないタイプがおすすめです。


割蓋 採用事例

蝶番を使用しない開閉蓋

蓋のカスタマイズについて知りたい方はこちら

作業コストを削減!目的別にステンレス蓋のカスタマイズ事例を紹介

このコラムを読む

「投入前にビーカーで計量した原料に異物が混入してしまう」

→ビーカー専用の蓋も製作可能です

ガラス製容器に入った原料を使用する場合、ガラスが割れて混入するリスクを避けるために破損の可能性が低い金属や樹脂でできた計量容器に移し替えてから投入することも多いようです。

計量~投入の間が空いてしまうほど空気中の異物等が混入してしまう可能性も高まるので、かぶせるだけの簡易的な蓋でも使用すればリスク低減につながります。

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容量やサイズなどのスペックを一覧でご覧いただけます。PDFですので、そのまま社内の回覧にご活用ください。

ステンレス製品の滅菌で気になる3つのこと
2020/06/08 09:00

ステンレスは滅菌できますが、ステンレス製品には滅菌できるものとできないものがあります。
滅菌といってもその種類は様々ですが、今回はMONOVATE製のステンレス容器(SUS304/SUS316L)をオートクレーブ(高圧蒸気滅菌 / 121℃ 20分)で滅菌する場合についてご紹介します。
製品毎の滅菌可否についてはお気軽にお問い合わせください。

 

ステンレス容器の耐熱温度に関しては、こちらのコラムをご覧ください。

1. ステンレス製品って滅菌できる?

滅菌できるステンレス製品の例

目盛付容器(蓋無しイメージ)

樹脂やゴムなどの部品が付いていないオールステンレス製の製品(=ステンレスだけでできている)であれば、基本的にオートクレーブでの滅菌が可能です。
病院や研究室などでステンレス製品が使われているイメージはありませんか?ステンレス製品は、滅菌を前提とする場所での使用にも適しています。

滅菌できるか確認が必要なステンレス製品の例

  • 樹脂製部品が付いている
  • パッキンなどゴム製部品が付いている
  • キャスターが付いている
  • ラベルが付いている

 

このような製品は、ステンレス部分は滅菌可能でも取り付けている部品が滅菌できない(部品の耐熱温度が低く滅菌できないなど)可能性があるため事前に確認が必要です。
製品の耐熱温度をお確かめいただくか、弊社までお問い合わせください。
なお、弊社製ステンレス密閉容器で標準付属するシリコンパッキン(【PQA】【PQB】【PQL】)は蒸気滅菌が可能です。

2. ステンレス製品の滅菌で気を付けることは?

  • 滅菌できない部品は外す
  • 外せる部品は外して隅々まで滅菌できるようにする
  • 容器は必ず開放状態(蓋を開けた状態)で滅菌機に入れる
  • 器具など細かい部品はカゴなどに入れる
  • 滅菌後はよく乾燥させる

 

その他、お使いの滅菌機の使用方法をご覧ください。

3. ステンレス製品を滅菌して錆びたりしない?

滅菌後の乾燥が不十分ですと錆びる可能性があります。

ステンレスは錆びないのではなく錆びにくい金属であり、錆びる条件が揃えば錆びてしまいます。
例えば滅菌後に水滴が残った状態で放置すると、通常の洗浄時と同様に錆びたりもらい錆となる可能性がありますので、滅菌後の乾燥は十分に行ってください。

ステンレスの錆びについてはこちらのコラムをご覧ください。

滅菌することが前提なら、特におすすめしたいステンレス製品

水滴が溜まりにくく、滅菌後の乾燥がスムーズに行えるステンレス製品

汚れや水が溜まる部分を無くしてサニタリー性を向上させたステンレス製品があります。
製品本体には水が入り込む部分が無いため、滅菌後の乾燥もスムーズに行えるだけでなく、洗浄性にも優れており異物混入対策やコンタミ対策にもなります。

オートクレーブで滅菌できるステンレス台車

通常の容器運搬台車は滅菌できない仕様となっています。
オートクレーブ適応運搬台車【KMS-A】は、オートクレーブでの滅菌が可能なキャスターを取り付けた、滅菌可能な台車です。

KMS-A,KMS-A-TP製品画像

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滅菌をサポートするステンレス製品

滅菌機に器具等を入れる場合に活躍する、ステンレス製の滅菌缶・滅菌カゴの製作も承っています。
滅菌機のサイズや入れたい器具のサイズに合わせてオーダーメイドで設計・製作できます。

カゴのオーダーメイドについて見る

 

「ここの使いやすさを優先したい」というオーダーメイドが可能です。

弊社の容器は特に、日本国内の製薬メーカー様で高い評価をいただいています。メガファーマをはじめ、ジェネリック医薬品企業や健康食品メーカー様にも長年納入しております。
用途や使用環境を考慮するだけでなく、「滅菌に対応した製品が欲しい」「コンタミ対策を重視したい」など、お客様のご要望を取り入れたステンレス製品を設計・製作することができます。
お探しのステンレス製品がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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ステンレス容器の洗浄方法
錆びない?消毒液とステンレス容器の相性とは
2020/05/12 09:00

最近、アルコールや次亜塩素酸ナトリウム液の需要が高まっています。お客さまの会社でも、

  • 社内の衛生環境保全のために、消毒液を購入した
  • 社員の健康確保のために消毒液を用意し、分配している

といった対応をとられているのではないでしょうか。

一斗缶やバッグインボックスなど大容量のものを購入し、それを小分けにする。また、消毒液の種類によっては希釈する必要がある場合もあるかと思いますが、このようなときにおすすめなのが「小分けに適したステンレス製品」です。

このコラムでは、「そもそも消毒液とステンレスの相性ってどうなの?」ということに加えて、消毒液を小分けにするのに最適な2つのステンレス製品をご紹介します。

1. 消毒液をステンレス容器に保管しても大丈夫?

まず、消毒液とステンレス容器との相性を確認しておきましょう。このときに着目したいのは、①本体(ステンレス)と消毒液の相性②パッキンと消毒液の相性のふたつです。

以下では、一般的によく使われるアルコールと次亜塩素酸ナトリウム液の相性についてご説明します。

消毒液とステンレスの相性

  • アルコール (エタノール):
  • 次亜塩素酸ナトリウム液:△

アルコールはステンレスに影響を及ぼしません。そのため、アルコールをステンレス容器の中に保管するのはもちろんのこと、ステンレス容器自体をアルコールで消毒することもできます。

対して、次亜塩素酸ナトリウム液を扱う場合には、その濃度に注意が必要です。

北里環境科学センターほかの研究1 によれば、濃度0.1%の次亜塩素酸ナトリウム液にSUS304を浸漬させたところ翌日には一部に錆びが発生。そのため、市販されている濃度5%程度の次亜塩素酸ナトリウム液(ハイター等)をそのまま入れるのには適していません。

一方、山形大学の研究2 では、濃度0.05%の次亜塩素酸ナトリウム液に72時間SUS304を浸漬したところ、特に影響がなかったという結果が出ています。なお、物を拭くなどの消毒用途では濃度0.05%で使用するのが一般的です。

そのため、次亜塩素酸ナトリウム液の保管という観点からすれば、ステンレス容器はあまり適していないといえます。ただし、液の移動などに便利なステンレス製ビーカーやひしゃくで扱う分には問題ないでしょう。その際には洗浄を怠らないようにするのが肝心です。

ご注意

○次亜塩素酸ナトリウムは希釈後になるべく早く使い切る必要があります。時間の経過とともに有効塩素濃度が低下するためです。長期的な保管、作り置きなどはしないようにしましょう。

○濃度60%以上のアルコールは消防法上危険物(第四類・アルコール類)に分類されます。80L以上を貯蔵する場合には届出が必要になりますので、注意が必要です。詳しくは所轄消防署などにご確認ください。

【技術コラム】あわせて読みたい

耐食性を向上させた容器もあります

通常のSUS304よりも耐食性に優れているのがSUS316Lです。詳細は「錆びに強いステンレスのハイグレード素材SUS316Lをご存知ですか?」でご紹介しています。

ステンレス製品を長持ちさせる洗浄方法

ステンレスはあくまでも「錆びにくい」材質。「ステンレス容器を長持ちさせる洗浄方法とは?」で正しい洗浄方法を知り、ステンレスの錆びを防ぎましょう。

消毒液とパッキンの相性

当社の容器に使われているパッキンの標準材質はシリコンです。シリコンと消毒液との相性を確認しましょう。

  • アルコール (エタノール):
  • 次亜塩素酸ナトリウム液:

どちらの消毒液とも、シリコンに対して影響を与えません。また、これ以外の材質ではPTFE(フッ素樹脂)も問題なく使用できます。

ご注意

パッキン材質やステンレスと使用する消毒液の相性は、必ずお客さまご自身でもご確認ください。濃度や使用条件により、劣化や腐食が生じる可能性もあります。

特に次亜塩素酸ナトリウム液は強力な酸化作用を有しており、その濃度により影響の程度も変わります。

2. 消毒液を保管・小分けするのに最適な2つのステンレス製品

ステンレス製品でアルコールを扱うのは問題がないこと、次亜塩素酸ナトリウム液については濃度や接液時間によって使用できることをご紹介しました。

第2章では、消毒液を保管・小分けするうえで便利な当社ステンレス製品を2つご紹介します。

保管から小分けまでできる「レベル計・バルブ付密閉容器」

エタノールなどのアルコールを保管し、さらに小分けするのに便利なのが【CTHV-LV/-LV-FL】レベル計・バルブ付密閉容器です。

クリップ式の密閉容器である【CTH】にバルブを取り付けました。バルブももちろんステンレス製、シール部はPTFEのため、腐食・膨潤・溶解などの心配はありません

さらにレベル計を取り付けることで、蓋を開けることなく残量確認できるようにしています。レベル計のチューブ部分はPFAで、アルコールなどに侵されません。

無水エタノールを希釈して使う必要がある場合でも、この容器で希釈から保管、小分けまで可能です。

ご紹介した製品はこちら

【CTHV-LV】レベル計・バルブ付密閉容器

製品を見る

【CTHV-LV-FL】CTHV-LVに脚が付いたモデル

製品を見る

消毒液をスムーズに排出するために

CTHVなどの密閉容器は、蓋を開けないと排出が困難です。しかし、都度蓋を開けないといけないのは不便ですし、衛生的にも気になりますよね。

そこで、蓋にエアー抜き用の小さな穴をあけたり、そこにバルブを取り付けたりすることで、蓋を開けなくてもスムーズに排出できるようにすることも可能です。特注加工についてはお気軽にご相談ください。

「排出しやすい密閉容器」の特注事例

化学メーカー様に納入した、アルコール供給用の容器です。排出性を向上させるためにエアー抜き穴を加工していますが、ここにバルブを取り付け、異物混入リスクを低減することもできます。

製品を見る

製品について問い合わせる

口の小さな容器にも注ぎやすい「サニタリー性の高いビーカー」

消毒液を口の小さな容器へ小分けするのに便利なのが、【BK-SMA-DP】液だれ防止ビーカーです。

動画で製品をチェック

このビーカーはその名の通り、口からの液だれを防止するビーカーです。上の動画では、エタノールを移し替える様子をご覧いただけます。

エタノールの表面張力は水よりも小さく、比較的液だれしやすいのですが、このビーカーでは液をしっかり切って注ぎます

SUS316Lを採用しているので、耐食性にも優れているのが特長です。

ご紹介した製品はこちら

【BK-SMA-DP】液だれ防止ビーカー

製品を見る

【特注事例】ボトルからさらに小分けできる「バルブ付ボトル」

バルブのシール部やキャップのパッキンにはPTFEを採用しており、耐薬品性に優れています。ボトル内で希釈し、そのまま使用する場合などにおいて便利にお使いいただけます。

このバルブ付ボトルは特注品です。MONOVATEでは、当社の既存のラインナップ製品に追加工を施すのはもちろんのこと、完全オーダーメイドのステンレス製品の製作も承っています。材質を変え、優れた耐食性を誇るハステロイCでの製作も可能です。

なお、特注製品の場合、お客さまのお手元に届くまでにお時間を頂戴します。数日中に入手されたい場合には、先ほどご紹介したCTHV(バルブ付タンク)BK-SMA-DP(液だれ防止ビーカー)などがおすすめです。

3.まとめ-アルコールなら問題なく使えます

このコラムでは消毒液とステンレス容器との相性、そして消毒液を扱うのに適した2つの製品をご紹介しました。

ご説明しましたとおり、次亜塩素酸ナトリウムの場合にはその濃度や接液する時間によって、どの程度ステンレスに影響が出るかが変わります。そのため、ステンレス製品で扱う場合には検討が必要です。

一方、アルコールであればステンレス、シリコンパッキンのどちらにも影響を与えることはありません。ご安心してお使いいただけることでしょう。

社員のみなさまの健康確保、社内の衛生環境維持にぜひ当社のステンレス製品をお役立てください。

お問い合わせ

製品のご希望はもちろんのこと、「こんな消毒液を扱いたいけど大丈夫なの?」などと思われることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。お客さまのご希望に沿える形状・加工・素材をご提案します。

[mwform_formkey key="34471"]

[evaluation]

参考文献

1) 岡上 晃・小澤 智子ほか(2015),複合型塩素系除菌・洗浄剤の各種環境表面素材に対する影響に関する検討,日本環境感染学会誌,30(5),pp.325-330

2) 白石 正・仲川 義人(1999),各種消毒剤の金属腐食性と殺菌効果に及ぼす腐食の影響,環境感染,14(4),pp.275-279

ユーザー必見!ステンレス容器使用時のトラブルシューティング
2020/04/03 09:00

ステンレス容器使用時のトラブルシューティング

ステンレス容器の使用時に発生しやすいトラブルやお困りごとについてまとめました。
MONOVATEの容器をご利用いただいているお客様からお問い合わせいただいた内容を中心に、対処法を解説いたします。

また、ここに記載がない内容でご不明点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

目次

容器の使用について

容器が錆びてしまった

使用環境にもよりますが、買い替えをおすすめします。

錆びた箇所から容器が欠損するなど、異物混入のリスクが高まります。

※錆びを粒子の細かい研磨剤などで擦ってある程度除去することもできますが、擦り傷が付き、新たな錆びの原因となる場合もございます。お客様ご自身の責任においてお試しください。 また、錆びを取った後はすぐに洗浄・乾燥させてください。

 

「買い替えたのにまた錆びた…」を防ぐために

錆びの再発を防ぐためには、発生原因を突き止め、それに合わせた対策をとる必要があります。
買い換えの際、錆びの再発対策などでお困りでしたらお気軽に弊社までお問い合わせください。

錆びの原因と対策について詳しく知りたい方にオススメのコラム
条件によってはすぐ錆びる!?ステンレス容器が錆びる原因と対策

「より錆びに強いステンレス」について詳しく知りたい方にオススメのコラム
錆びに強いステンレスのハイグレード素材「SUS316L」をご存知ですか?

容器の蓋が開かない

容器を温水などで外部から温めてみてください。

クリップやバンドで締めこむタイプの容器では蓋を外しにくくなることがあります。
これは内容物の温度が蓋を閉めた時よりも冷えて、容器内が減圧状態になり、蓋と容器が密着してしまっているからです。
少し時間がかかりますが、湯煎などで内部の温度を上げると蓋が開きやすくなります。

また、対策として容器の蓋に外気導入用のバルブを取り付けたり、エアー抜き穴を開けてゴム栓を付けておくこともできます。

エアー抜き穴を加工した事例を見る

容器の寿命は?

一定の寿命や保証期間は定めておりません。

内容物や頻度など、使用環境によって変わるため、弊社として一定の寿命や保証期間等は定めておりません。

錆び具合・汚れ具合など、使用環境で求められる衛生グレードを鑑みて買い替えをご検討ください。

パッキンについて

パッキンのセッティングが難しい(クリップ式容器・バンド式容器)

パッキンセッティングのコツを紹介した動画をご覧ください↓

※クリップ式容器、バンド式容器の容器径が大きいタイプ(565mm~)は、動画とパッキンの形状が異なります。

 

クリップ式容器(A型パッキン)


セッティングのコツ
パッキンを一部分容器の縁にセットし、その箇所から少しずつ広げていきます。

バンド式容器(L型パッキン)


セッティングのコツ
蓋にパッキンを一部分セットし、そこから両手でなぞるように嵌めていきます。

パッキンが劣化してしまった(ちぎれている/臭う/変色している 等)

買い替えをおすすめします。

パッキンがブヨブヨになっている(膨潤している)、ちぎれている、臭う、変色している等の場合は
容器の密閉性を損なったり、異物混入してしまうなど内容物の品質に悪影響を及ぼすこともあります。

パッキン等の消耗品類は1品から購入可能ですので、容器をご購入いただいた代理店様へお問い合わせください。

また適合するパッキンの種類がわからない・材質を相談したい場合には弊社へお問い合わせください。

 

気にしてますか?パッキンと内容物には相性があります。

パッキンの劣化原因には、経年劣化の他「パッキンと内容物の相性が悪い」場合もあります。
内容物に適したパッキンの材質を選定することで、パッキンをより長持ちさせることも可能です。

パッキンと内容物の相性でお困りでしたらお気軽に弊社までお問い合わせください。

一般的なパッキン交換目安を知りたい方にオススメのコラム
いつ取り換える?ステンレス容器用パッキンの交換目安とは

弊社で主に扱うパッキン材質を性質別に分類したパッキン特性一覧表もご覧いただけます。

 

パッキンの寿命は?

一定の寿命や保証期間は定めておりません。

内容物や頻度など、使用環境によって変わるため、弊社として一定の寿命や保証期間等は定めておりません。

劣化具合と、使用環境で求められる衛生グレードを鑑みて買い替えをご検討ください。

「○回使用したら/○日使用したら交換」のようにあらかじめ交換サイクルを決めておくのもおすすめです。

消耗品・部品の購入について

消耗品・部品(パッキン・蓋など)の購入方法は?

容器をご購入いただいた代理店様からご購入ください。

代理店様が不明な場合や、適合する型番が不明な場合は弊社へお問い合わせください。
容器のサイズ(径)、外観写真をお送りいただくとスムーズです。

単品で、1つだけの購入は可能か?

どの消耗品・部品も1点から購入可能です。

 

お問い合わせ

ステンレス容器の使用時に発生しやすいトラブルやお困りごとについて、対処法をご紹介しました。

ここに記載がない内容など、ステンレス容器の使用に関してお困りごとがあればお気軽にお問い合わせください。

お客様の使い方に適した製品や加工をご案内いたします。

作業コストを削減!目的別にステンレス蓋のカスタマイズ事例を紹介
2020/03/14 09:00

MONOVATE株式会社では、お客様の課題を解決するステンレス容器を作り続けてきました。
製作している容器のほとんどはオーダーメイド品を依頼されたお客様の課題に適した設計を行っています。

今回は容器の蓋部分に注目して、お客様の課題を解決するカスタム蓋加工についてご紹介します。

撹拌の際に異物混入を防ぐ蓋

材料を混ぜるために容器の口を開けたまま撹拌機を設置している方がいるのではないでしょうか。
MONOVATEではお客様の衛生グレードを確認したうえで、異物混入を防ぎながら撹拌できるように蓋を設計します。

切り欠き

蓋に撹拌機の軸サイズに合わせて太めのスリットを入れた部分を切り欠きと呼びます。
容器を蓋で覆いながら、撹拌機を作動させることが可能です。
必要最低限のスリットを作る事で、空気中の埃などの異物が容器内に入ることを防ぎます。

割蓋

一枚の蓋を半分に割り、蝶番で接続した蓋です。
蓋を固定しているクリップを全て外さなくても、開口側のクリップを外すことで中身を確認できます。
割蓋を設置することで、蓋の開放部分を少なくすることができるため、外気からの異物混入リスクを下げることができます。

開閉蓋

蓋の天板の一部分に扉を設置、開閉できるように加工した蓋を開閉蓋と呼びます。
この蓋は開放口のサイズが小さくなりますが、キャッチクリップを外さずとも容器内を確認できます。

のぞき窓の設置

容器内を確認するための窓です。圧力容器など開放ができない容器の内部を確認するために使用します。
窓の大きさは使用用途に合わせて選定できます。
容器内を照らすライトの設置や、ガラス内面を掃除するためのワイパーが付いたのぞき窓もあります。

重たい蓋の開閉をサポートする蓋

分割蓋

分割蓋は一枚の蓋を2つに割った蓋です。割蓋と似ていますが、蝶番で固定はしていません。
容器のサイズに合わせて蓋が大きくなり、標準の円盤形状の蓋では一人で持ち上げられない場合もあります。

このような時に、分割蓋であれば力作業の負担を減らすことが可能です。
2枚の蓋の設置部分には山型のプレートが付いていて、この山を重ねて隙間を隠すことで、蓋を閉めている間の異物混入を防ぎます。

重たい蓋は開閉補助

加圧・減圧用の容器は頑丈な構造にするために、蓋が大きく重くなります。
蓋の開閉作業自体が、指や手を挟んでしまうような危険な作業になりかねません。
開閉補助装置を設置することで片手でも楽に開閉できます。

移動金具の設置

人力で開閉が難しい蓋の場合、補助装置を設置する以外に、リフターで持ち上げるという方法もあります。
大きいサイズの圧力容器の蓋や、撹拌機が直接設置しているような容器は蓋を斜めに持ち上げることが難しいです。
そのような場合は、蓋に直接ブラケットを設置しリフターや、フォークリフトで上下に開閉します。

前工程、次工程と連携を取る蓋

ステンレス容器内に材料を投入する、または次工程に材料を送る。
容器で材料を調合するだけでなく、生産工程全体を考慮してステンレス容器をカスタマイズいたします。

ノズルの設置

ステンレス容器の蓋には様々なノズルが取り付けてあります。
お客様の仕様に合わせて、ノズルの個数、種類やサイズを変更できます。

今ある課題を解決します!

MONOVATEのオーダーメイド製作なら、お客様の課題に合わせて最適な製品を設計いたします。
蓋のカスタマイズだけでなく、容器の架台や、内面コーティングなど様々なカスタマイズが可能です。お客様の抱える問題を教えていただければ、経験豊富なスタッフが最適な容器をご提案いたします。
下記お問合せフォームより、お気軽にご相談ください。

違いが分かってすぐ選べる「ステンレスビーカー選定ガイド」
2020/02/10 09:00

違いが分かってすぐ選べる「ステンレスビーカー選定ガイド」

実験用途だけでなく、試作や生産工程など様々な場所で使われているステンレスビーカー。
どれも同じだと思っていませんか?
MONOVATEでは、仕様が異なる3製品をご用意しています。

このコラムでは、3つのステンレス製ビーカーの特長と、ご要望別に最適なビーカーをご紹介いたします。
ご購入を検討されている方はもちろん、既にお使いの方はもっと使いやすいものが見つかるかもしれません。

 

MONOVATE製ステンレスビーカー3製品のご紹介

MONOVATE製のステンレスビーカーは全てオールステンレス製です。
ガラス製のように割れず、熱や衝撃に強く安全です。
取っ手や大きな注ぎ口が付いているため、飲み物をグラスに注ぐ際に使われるピッチャーやポットなどに近い仕様です。
液体を小分けにしたり、機器などに投入する用途で使われています。

スタンダードで豊富な容量ラインナップ
ステンレスビーカー【BK】

サニタリー性:★☆☆ コスト:★★★

特長

  • 大きな注ぎ口で注ぎやすい
  • 他のビーカーと比べて安価
  • 容量のラインナップが多い(1L/2L/3L/5L/10L/20L)

洗いやすさと耐食性を重視したステンレスビーカー
サニタリービーカー【BK-SMA】

サニタリー性:★★☆ コスト:★★☆

特長

  • 端部の折り返しが無く洗いやすい
  • 取っ手が全周溶接されていて汚れが溜まらない
  • 耐食性に優れたSUS316L製

究極のオールステンレスビーカー
液だれ防止ビーカー【BK-SMA-DP】

サニタリー性:★★★ コスト:★☆☆

特長

  • 独自の注ぎ口で液だれや尻漏れを防ぐ
  • 端部の折り返しが無く洗いやすい
  • 取っ手が全周溶接されていて汚れが溜まらない
  • 取っ手が太く持ちやすい
  • 耐食性に優れたSUS316L製
  • 積み重ねて収納できるテーパー型

こんなビーカーが欲しい!ステンレスビーカー選定ガイド

洗いやすいものが欲しい!

?サニタリービーカー【BK-SMA】?液だれ防止ビーカー【BK-SMA-DP】がおすすめです。

汚れや液が溜まる隙間がなく、洗浄性に優れたサニタリー仕様のため、異物混入やコンタミを防止したい場合や、衛生管理の厳しい場所での使用に適しています。

https://youtu.be/_3uL_EqFTT8

 

持ちやすいものが欲しい!

取っ手が太くて持ちやすい?液だれ防止ビーカー【BK-SMA-DP】や、取っ手に幅があり手にくい込みにくい?ステンレスビーカー【BK】 がおすすめです。

ビーカーを使って繰り返しの作業をする場合や、少しずつ注ぐなど慎重な作業が求められる場合には、液だれの心配がない液だれ防止ビーカー【BK-SMA-DP】がおすすめです。

 

コスト重視!

3製品の中で最も安価なビーカーは?ステンレスビーカー【BK】となります。

ただし3製品ともそれぞれ特長が大きく異なりますので、用途に合ったものをお選びください。

<価格の目安>
ステンレスビーカー【BK】?<?サニタリービーカー【BK-SMA】液だれ防止ビーカー【BK-SMA-DP】

 

耐食性のあるものが欲しい!

SUS316L製である?サニタリービーカー【BK-SMA】?液だれ防止ビーカー【BK-SMA-DP】がおすすめです。

特注対応にて、さらに耐食性を向上させる電解研磨やフッ素樹脂コーティングなども選択できます。

 

液体をこぼさず注ぎたい!

液だれや尻漏れを防ぐ?液だれ防止ビーカー【BK-SMA-DP】がおすすめです。

垂らすと危険な薬品や、ロスしたくない高価な液を扱う場合に適しています。
関連コラム「ステンレス容器の実験事例:高粘度の液体を垂らさずに移し替える」

https://www.youtube.com/watch?v=w_z3aUBMync&feature=emb_title

 

10Lなど大きいサイズが欲しい!

10L以上のラインナップがあるのは?ステンレスビーカー【BK】のみとなります。

サニタリービーカー【BK-SMA】液だれ防止ビーカー【BK-SMA-DP】は、オーダーメイドでの製作実績があります

現在お使いのビーカーにご不満はありませんか?

ステンレス製ビーカーや関連製品のオーダーメイド事例

「こんなビーカーが欲しい」をオーダーメイドで実現します。

大型液だれ防止ビーカー 10L

・食品メーカー様納入

ラインナップに無い大容量で製作

蓋付液だれ防止ビーカー 1L

・製薬メーカー様納入

内面電解研磨仕様/専用蓋付き/レーザーマーキング

サニタリービーカー 0.1L~10L

・製薬メーカー様納入

内面電解研磨仕様/ラインナップに無い容量で製作

分注ジョウロ 1L/3L

・粉体機器メーカー様納入

内面電解研磨仕様/ジョウロ形状で製作

口付き角型ステンレス容器

・部品メーカー様納入

角型仕様/容量20L以上

ステンレスビーカー【BK】その他の特注実績

下部取っ手/取っ手変更/取っ手なし/吊り下げ取っ手付き/目盛り付き/目盛り無し/蓋付き/注ぎ口無し/高さ変更/電解研磨/フッ素樹脂コーティング/gemini処理/縁シール(溶接)/SUS316L製/など

容量:1L/2L/3L/4L/5L/7L/8L/10L/20L/など

サニタリービーカー【BK-SMA】その他の特注実績

取っ手なし/目盛り付き/蓋付き/注ぎ口無し/ブラケット付き/高さ変更/内面解研磨/SUS304製/マーキング/など

容量:0.08L/0.1L/0.3L/0.5L/0.9L/1L/2L/3L/5L/10L/20L/など

液だれ防止ビーカー【BK-SMA-DP】その他の特注実績

目盛り付き/蓋付き/取っ手変更/電解研磨/フッ素樹脂コーティング/マーキング/など

容量:0.5L/1L/2L/3L/5L/10L/など

 

オーダーメイド製作、お気軽にご相談ください!

MONOVATEでは、材質・容量・取っ手形状のカスタマイズなど、1品からのオーダーメイド製作を承っております。「使いにくい」「ちょうどよいサイズがない」などのお悩み、製作可否などお気軽にご相談ください。

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【撹拌時間、粘度など】課題別撹拌機選定ガイド
2020/01/14 09:00

「撹拌時間を短縮したい」「高粘度の液体が混ざらない」など撹拌に関する課題は様々です。
このコラムでは、上記のような課題を解消できる撹拌機を選定するためのポイントをご紹介いたします。

課題別 撹拌機の選び方

撹拌時間を短縮したい。混ざりきらないのを解消したい。

→回転数を高くできる撹拌機がおすすめです!

溶解や均一混合が目的の場合、高い回転数で撹拌するとその効果が高くなります。
低い回転数では長時間かかっていた・溶解しきれなかったような撹拌も、回転数を高くすることで時間が短縮できることが多いです。

MONOVATEの撹拌機でおすすめの機種(回転数順)

あわせて知っておきたいポイント

一般的に高い回転数で撹拌すると空気を巻き込み、泡が発生しやすくなります。
泡の発生を抑制するため、バッフル(邪魔板)を追加するなどの対策が必要です。

または、撹拌時に空気を巻き込みにくい撹拌機を使用するのもおすすめです。
詳しくはこちらのコラムをご覧ください。

撹拌実験事例:洗剤vs泡立ちを抑制する撹拌機

高粘度の液体を撹拌したい。様々な粘度の液体を撹拌したい。

→トルク値が高い撹拌機がおすすめです!

トルクとは、ざっくり説明すると「撹拌体(羽根)を回すための力」です。
人間が水あめのようなドロドロしたものをかき混ぜる際に力が必要なのと同じように、撹拌機も粘度が高いものを混ぜようとする時には力が必要になります。
トルクの値が高いほど、高い粘度にも対応できる撹拌機といえます。

MONOVATEの撹拌機でおすすめの機種

上記おすすめ機種の場合、30L程度であれば~4,000mPa・s程度の撹拌が可能です。
※容量によって対応可能な粘度は異なります。
※エアーモーターの場合、コンプレッサーからの距離などで変動しやすいためあくまで参考値です。

防爆エリアで使用したい。(有機溶剤の撹拌など)

→エアーモーター駆動の撹拌機がおすすめです!

防爆エリアで使用する撹拌機には、電気を使用しないエアーモーターを選定することがほとんどです。
電気モーターで防爆対応の製品はかなり少なく、選択肢が狭まります。

MONOVATEの撹拌機でおすすめの機種

あわせて知っておきたいポイント

溶剤を扱う場合、容器や撹拌機の接続部に使用するパッキンの選定も重要です。
パッキンと内容物の相性について知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

この薬品ってどうやって保管できるの?~薬品に最適なパッキン~

強撹拌でも泡立ちを抑える!「ベルヌーイ流撹拌機」

ベルヌーイ流撹拌機とは

ベルヌーイ流撹拌機とは、強撹拌でも泡立ちを抑えるのが特長の撹拌機です。
中でも今回は、主に30~300L程度の液 - 液撹拌に適している4機種をご紹介します。

あわせて知っておきたいポイント

ベルヌーイ流撹拌機は、溶解・均一混合・沈降解消に最適な撹拌機です。
泡を噛まない(空気を巻き込まない)撹拌に優れており、製薬・食品業界を主とするハイグレードな環境で溶解・均一混合などの目的でご採用いただいています。
この撹拌機の特長について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

撹拌力が強い!ベルヌーイ流撹拌機の特長

ラインナップ紹介

モーターの「駆動方法」「材質」が異なる4機種をラインナップしています。

各機種のメリット・デメリット

耐圧仕様(F.V~0.18MPa)、対応容量(最大300L程度※粘度により異なる)は全機種共通です。

 

アルミ電気モーター撹拌機

メリット
・ステンレス電気モーターよりも安価
・ステンレス電気モーターよりも軽量で扱いやすい

4機種のうち最もスタンダードなスペックで、防爆にする必要がない場合にはこの機種をおすすめすることが多いです。

>> アルミ電気モーター撹拌機の詳細を見る

 

ステンレス電気モーター撹拌機

メリット
・4機種のうち最も高い回転数で撹拌可能(1,200rpm)
・モーターがステンレス製で錆に強く衛生的

デメリット
・4機種のうち最も重く、一人で着脱するのが困難(シャフト除き15kg)
・アルミ電気モーターに比べ高価

>> ステンレス電気モーター撹拌機の詳細を見る

 

アルミエアーモーター撹拌機

メリット
・防爆に対応できるエアーモーター駆動
・ステンレスエアーモーターに比べ安価

デメリット
・高粘度の液体撹拌は不可

>> アルミエアーモーター撹拌機の詳細を見る

 

ステンレスエアーモーター撹拌機

メリット
・防爆に対応できるエアーモーター駆動
・モーターがステンレス製で錆に強く、衛生的
・4機種のうち最も軽量(シャフト除き6kg)

デメリット
・アルミステンレスモーターに比べ高価

>> ステンレスエアーモーター撹拌機の詳細を見る

 

「撹拌デモ」承ります

各機種のメリット・デメリットを挙げましたが、実際の選定の際にはテスト機を利用した「撹拌デモ」の実施をおすすめしています。ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

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