技術コラム

錆びに強いステンレスのハイグレード素材「SUS316L」をご存知ですか?
2019/12/11 09:00

こんな方におススメです
  • 錆や腐食に強い容器を探している
  • 異物混入を防ぎたい
  • 安全性を第一に製品を探している
  • コストよりも機能性や品質を重視した製品を探している

錆びに強い金属として有名なステンレスですが、そのステンレス素材の中にも種類があり、耐腐食性の強さには違いがあります。コストの安さよりも安全性や機能性が高いステンレス容器をお探しならば、この記事はきっとお役に立てるはずです。

錆びに強いステンレス素材とは?

一般的に製薬業化や食品業界では、以下の素材がステンレスのハイグレード素材と呼ばれています。

SUS316L

読み方:サスサンイチロクエル

SUS316Lは通常のステンレス材よりも腐食に強い、つまり耐食性が高い素材です。
(ステンレスの種類はJIS規格によって表記方法が定められています。"SUS"はステンレスを表し、その後には各鋼種を表す数字が入ります。)

容器の品質で重要視される要素の一つが「耐食性」

何かを保存・保管する場合、そこに異物が入ってしまうリスクはなるべく避けたいですが、金属製の容器を使用している場合「錆び」というリスクは常につきまといます。
錆びが発生してしまうと、以下のようなアクシデントが起こりえます。

・錆びてしまった本体の欠片が保管している液体や粉体の中に混入してしまう。

・錆びた部分から亀裂の発生や欠損してしまう。

特に製薬工場や食品工場など、衛生グレードを高く保ちたい現場においては、「錆び」や「腐食」というリスクを避けることはとても大事です。
このような現場では「錆に強い」として認知されているステンレス製の製品が広く多く活躍しています。
ステンレス製容器であれば、容器本体の腐食を避けながら適切に保管・保存が可能です。

鋼種によって耐食性が違うステンレス素材

世界的に広く使われているSUS304

我々が生活する中で一番触れているステンレスがSUS304です。
SUS304というステンレス素材は、最も一般的な鋼種と言われており、食品設備や一般科学設備、建材材料、製紙工業、車両工業、厨房機器などさまざまな場所で使用されています。
弊社でも標準素材としてSUS304を使用しています。

耐食性を向上させたSUS316

このSUS304よりも耐食性が高い素材がSUS316です。
SUS304には含まれていない「モリブデン」という成分を含んでいます。
このモリブデンによって不働態皮膜がより厚くなり、耐食性が向上しています。

溶接部の耐食性向上!ハイグレード素材SUS316L

SUS316をさらに強化した素材がSUS316Lです。
金属は加工時に熱が加わり腐食や破損しやすくなってしまう性質を持ちます。
SUS316LはSUS316に含まれる炭素の量を低くしたローカーボンタイプのステンレスで、部品と部品をつなぎ合わせる溶接部分の腐食(粒界腐食)に強い素材です。
SUS316Lは一般的にステンレス材のハイグレードモデルとして認知されています。

耐食性に優れたSUS316L製のステンレス容器はこちら

MONOVATEでは各製品をSUS316L材で製作できます

容器本体をSUS316L材に変更できます

製品ページに掲載している製品のほとんどはSUS304製ですが、SUS316L素材での製作も可能です。
お客様が取り扱う液体や粉体が接する、本体部分の素材をSUS316Lに変更して製作いたします。
SUS316L材でのカスタム品、オーダーメイド品の製作もお受けいたします。お気軽にお問合せください。

製品について問い合わせる 

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ステンレス容器の洗浄方法
作業負担が軽減する「テーパー型ステンレス容器」の特長
2019/11/05 09:00

「テーパー型のステンレス容器」と聞いて、どのような容器を思い浮かべますか?
「普通のステンレス容器とどう違うの?」「そもそもテーパーってなに?」という方もいると思います。

このコラムでは、テーパー型のステンレス容器の特長について詳しくご説明いたします。
※「テーパー型容器」については、こちらのコラムをご覧ください。

 

そもそもテーパーとは?

「テーパー」は一般的に、「基準となる面に対して傾きが対称にあるもの」「円錐のように、両端の径が異なるもの」などと言われています。
ネジや針などのとても小さなものから、塔などの大きなものまで、様々なものにテーパーがついています。
テーパーをつけることで作業しやすくなったり、重ねることができたり、負荷を分散させるなどの効果があります。
テーパーと似たような言葉に「勾配(こうばい)」がありますが、勾配は一般的に、基準となる面に対して傾きが片側にあるものを指します。

MONOVATE製 テーパー型ステンレス容器の特長
1. ネスティングできる!置き場所を有効活用できます

テーパー型ステンレス容器は、容器側面に約1°のテーパーがついており、空容器を?ネスティング?して保管することができます。

ネスティング(Nesting)とは、入れ子状に積み重ねることです。
ネスティングすることで、1つの容器分の床面積で複数の容器を置くことができるため、保管スペースを減らすことができます。
テーパーのついていないストレート型の容器では、ネスティングすることができません。

 

「空容器の置き場に困っている」「スペースを有効活用したい」などのお悩みには、テーパー型ステンレス容器がおすすめです。

MONOVATE製 テーパー型ステンレス容器の特長
2. 大型容器ほど軽量化!作業者の負担軽減になります

テーパー型ステンレス容器は、ネスティングできるだけではなく、?軽量という特長も兼ね備えています。
ストレート型よりも容器の板厚を薄くしているため、大型容器ほど軽量化の効果が大きくなっています。

汎用容器(取っ手式)【ST】とテーパー型汎用容器(取っ手式)【TP-ST】の重量の比較

容量が20Lの容器と200Lの容器の場合に、ストレート型からテーパー型に変えることで、どのくらい軽量になるのかを比較してみます。

 

容量20Lのステンレス容器の場合

ストレート型 型式 ストレート型?重量 テーパー型 型式 テーパー型 重量 重量差 軽量化の割合
ST-30? 3.0㎏ TP-ST-30 2.7kg -0.3kg 11.1%

板厚がt0.8mmからt0.7mmになっています。

ストレート型に比べて約11%軽くなっています。

 

容量200Lのステンレス容器の場合

ストレート型 型式 ストレート型?重量 テーパー型 型式 テーパー型 重量 重量差 軽量化の割合
ST-565H 21.8㎏ TP-ST-565H 17.3kg -4.5kg 26.0%

板厚はt1.2mmからt1.0mmになっています。

ストレート型に比べて?26%も軽く?なり、重量も20kg以下?になりました。

 

どちらの容量の容器でも、テーパー型容器の方が軽量になっているのが分かります。
特に、大型容器を使用する場合は、テーパー型容器を採用することで洗浄時や運搬時の負担軽減になります。

「容器が重くて作業しにくい」「女性作業者の負担が大きい」などのお悩みには、テーパー型ステンレス容器がおすすめです。

 

ストレート型容器・テーパー型容器 重量比較一覧表

重量比較一覧表をダウンロードする

MONOVATE製 テーパー型ステンレス容器の特長
3. ネスティング / スタッキング / 密閉ができる容器もあります

ネスティングだけでなくスタッキング(多段積み)もでき、簡易密閉も可能な「積み重ね式テーパー型ステンレス容器」もラインナップしています。

 

積み重ね式テーパー型密閉容器【TP-CTH-STA】

積み重ね式テーパー型吊り下げ密閉容器【TP-CTB-STA】

「工程や場所によって容器の置き方を変えたい」などの場合には、積み重ね式テーパー型ステンレス容器がおすすめです。

テーパー型ステンレス容器の製品ラインナップ

用途やご希望に合うように様々なテーパー型ステンレス容器をご用意しております。

両取っ手式(標準品)

かぶせ蓋タイプ
TP-ST_01
【TP-ST】

かぶせ蓋付きでスタンダードなタイプ。密閉不要の場合にはこのタイプが最適です。

クリップで密閉タイプ
TP-CTH_01
【TP-CTH】

容器にクリップが付いているので密閉に部品が不要です。クリップで簡単に密閉できます。

バンドで密閉タイプ
TP-CTL_01
【TP-CTL】

容器に密閉用の部品が無く洗いやすいです。バンドで簡単に密閉できます。

容器の運搬や、中身を装置等に投入したい場合に適したテーパー型容器

吊り下げ取っ手(かぶせ蓋)
TP-STB_01
【TP-STB】
吊り下げ取っ手(クリップ式)
TP-CTB_01
【TP-CTB】
吊り下げ取っ手(バンド式)
吊り下げ式テーパー型密閉容器(バンド式)製品画像
【TP-CTLB】

密閉できるテーパー型容器

クリップ式
TP-CTH_01
【TP-CTH】
バンド式
TP-CTL_01
【TP-CTL】
積み重ね式
TP-CTH-STA_01
【TP-CTH-STA】
クリップ式(吊り下げ取っ手)
TP-CTB_01
【TP-CTB】
バンド式(吊り下げ取っ手)
吊り下げ式テーパー型密閉容器(バンド式)製品画像
【TP-CTLB】
積み重ね式(吊り下げ取っ手)

【TP-CTB-STA】

容器を積み重ねて置きたい場合に適したテーパー型容器

両取っ手(クリップ式)
TP-CTH-STA_02
【TP-CTH-STA】
吊り下げ取っ手(クリップ式)
TP-CTB-STA
【TP-CTB-STA】
ネスティング&スタッキング対応
TP-CTH-STA_01

テーパー型ステンレス容器の特注製作事例

テーパー型ステンレス容器のオプション加工

 

テーパー型容器は製作上の理由により、高さ変更や径の変更ができません。
ネスティングしない前提であれば、下部取っ手やノズルの追加などの加工や表面処理が可能です。
製作可否については気軽にお問い合わせください。

テーパー型容器について相談する

取っ手の変更

目盛り

シール座

蓋加工

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製品の仕様確認、製作可否、見積依頼など、お気軽にお問い合わせください。

圧力容器って何に使うの?
2019/10/01 09:00

弊社では常圧用のステンレス容器の他に、工場や研究室で使われている主に1L~200L程度の小容量の圧力容器を製作しています。
いわゆる「工業用の圧力容器」なので、普段の生活ではほとんど目にする機会がなく、製品を見ただけでは何に使うものなのか分かりにくい製品だと思います。

そこでこのコラムでは、圧力容器が具体的にどのような目的で使われる製品なのか、今までに製作した製品事例をもとに説明します。
なお、圧力容器の基本的なお話については下記をご覧ください。

 

貯蔵 / 圧送に使う

液体原料の貯蔵と圧送

薬品メーカー様採用  容量:35L

液体原料を一時貯蔵し、必要な時に圧送を行うための圧力容器です。
下部に排出口があるため、最後までスムーズに液送できます。
蓋を開けた時の安定性を重視した仕様になっています。

試薬の保管と圧送

製薬メーカー様採用  容量:0.1L

試薬の保管と圧送を行うための圧力容器です。
キャップに移送用のパイプが付いています。
転倒を防ぐため、底を大きくし重くしています。
SUS316L製、内面電解研磨の高グレード仕様です。

餃子の餡の圧送

食品メーカー様との圧送実験

餃子の餡を圧送する容器の製作依頼を頂きました。
製作前に弊社のデモ機を使用して圧送実験を行いました。

撹拌 / 混合 / 溶解(+圧送)に使う

外気に触れさせたくない薬液を投入・撹拌・脱泡後に圧送

化学繊維メーカー様採用  容量:45L

薬液を外気に触れさせずに撹拌・脱泡・圧送するための圧力容器です。
密閉状態で撹拌できる撹拌機を組み合わせています。
圧送先の機器まで移動するため、専用台車がセットになっています。
接液部SUS316L、内面電解研磨の高グレード仕様です。

薬液を撹拌・混合後に圧送

衛生関連医薬製造メーカー様採用  容量:200L

規定量の薬液を下部撹拌機で撹拌し圧送するための圧力容器です。
下部撹拌機は、少ない液量での撹拌や沈降防止に適しています。
SUS316L製、内面電解研磨の高グレード仕様です。

液体に粉体材料を投入、加温・溶解・脱泡後に圧送

製薬メーカー様採用  容量:30L

液体と粉体を溶解・脱泡し、他の機器に圧送するための圧力容器です。
ジャケット容器/撹拌機/恒温水循環装置/真空ポンプ/バルブ等を組み合わせた複合製品です。
撹拌機は容器の上部と下部に取り付けています。
SUS316L製、内面電解研磨の高グレード仕様です。

材料を温調しながら攪拌・混合し、底から排出

材料メーカー様採用  容量:15L

一定温度内にて材料を撹拌するための圧力容器です。
容器は低圧による加圧、減圧ができます。
加温や冷却ができるジャケット付きです。
下部に排出口があるため、最後までスムーズに排出できます。

コンタミを嫌う材料を加温しながら撹拌・溶解

化学薬品製造メーカー様採用  容量:300L

材料を加温・撹拌・溶解するための圧力容器です。
保温と火傷防止のために断熱材を巻きつけています。
溶解状態を確認できるように、LEDライトとのぞき窓が付いています。
SUS316L製、内面電解研磨+不動態化処理の高グレード仕様です。

原料を冷却しながら撹拌

製薬メーカー様採用  容量:60L

製剤の原料を冷却しながら混ぜ合わせるための圧力容器です。
密閉状態で撹拌できる撹拌機と冷却用コイルが付いています。
蓋や容器はリフターで持ち上げられる仕様になっています。
SUS316L製、内面電解研磨の高グレード仕様です。

ろ過 / 充填に使う

内容物を加圧ろ過し、充填(圧送)

製薬メーカー様採用  容量:約39L

原薬の製造時に使用し、加圧ろ過した内容物を受けタンクへ充填するための圧力容器です。
リフターで受けタンクとの高低差を出し、充填時間を短縮します。
SUS316L製、内面電解研磨の高グレード仕様です。

原料の吸引ろ過

エレクトロケミカル材料メーカー様採用  容量:50L

ロートから吸引ろ過(減圧ろ過)するための圧力容器です。
蓋にビフネルロート、容器に加減圧口が付いています。
容器には内容量を確認できるレベル計がいています。

ろ過用フィルターのケース

製薬メーカー様採用  容量:約5L / 10L

薬液の不純物を濾すフィルターを入れて使用する圧力容器です。
注射剤製造工程の中間容器として使用します。
容器内の状態が確認できるように、のぞき窓が付いています。
SUS316L製、内面電解研磨の高グレード仕様です。

コールドトラップ

総合ケミカルメーカー様採用  容量:0.5L

ガス内の不純物や溶剤を取り除くための圧力容器です。
ジャケット部に入れた冷却液にて、内槽にある仕切り板と内槽の外面を冷却し、内槽に流入させたガスに含まれている不純物や溶剤を吸着します。

その他の使われ方

液体に酸素を溶け込ませる

大学研究室様採用  容量:5L

余分な空気を排気した容器内に酸素を送り込み、液体内に酸素を拡散させるための圧力容器です。
リークバルブ付きで、過多な内圧がかからないよう調整できます。
底面に排出口がありスムーズに排出できます。

高温の薬液を噴霧する

化学薬品メーカー様採用  容量:3.5L

高温の薬液に圧力をかけ、噴霧させるための圧力容器です。
噴霧量はアクチュエーター(電動弁)により調整します。

まとめ

圧力容器は以下のような目的で使われることが多い

他の容器や装置に内容物を送る /?コンタミ防止?/?外気に触れさせない?/?密閉したまま撹拌する?/?脱泡する?/?ろ過する(加圧ろ過、吸引ろ過)?/?充填する

 

圧力容器の貸し出しやデモを行っています。

MONOVATEでは購入前に仕様を確認していただけるように、圧力容器のデモ機の貸し出しやデモを実施しています。お気軽にご相談ください。

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粉体ホッパーを扱うなら知っておきたい 「流動性」ってなに?
2019/09/02 09:00

粉体を投入するのに使用しているホッパーが詰まってしまったり、うまく次の工程に排出できない場合に「粉の流動性が悪い」と言ったりします。
しかしその「流動性」が具体的にどんな要因から決まっているのか知っていますか。

このコラムでは粉体の流動性を左右する要因について、簡単に解説します。

改めて、流動性ってなに?

流動性とは、ざっくりいうと「粉体の流れやすさ」のことです。
弊社ではわかりやすく「すべり性」と言ったりもします。

たとえば砂時計の中身の砂は、サラサラと留まることなく流れます。
このような粉体を「流動性がいい」、逆にスムーズに流れないものを「流動性が悪い」のように評価します。

流動性が悪い粉体はホッパー内で詰まったり、内容物の投入・排出を妨げることがあります。

ブリッジ・ファネルフローなどといったホッパーの詰まり方について、詳しくはこちらをご覧ください。

流動性を左右する要因とは

流動性を左右する要因には様々なものがあり、いくつか例をご紹介します。

安息角(あんそくかく)

水平な地面に粉体が積みあがっている時に、粉体と地面が作る角度

安息角には様々な測定方法がありますが、注入法が一般的です。
(注入法:ホッパー形状の容器から自然に落下させ、堆積した粉体と地面が作る角度を測定する方法)

この角度が大きい(広がらずに、その場で高く堆積する)粉体は流動性が悪く、ホッパー内でブリッジなどを起こしやすくなります。
ひとつの指標として、安息角が41°より大きい粉体はブリッジが発生しやすく、流動性に関して何らかの対策が必要になります。

 

凝集度(ぎょうしゅうど)

振動によるダマのできやすさを数値化したもの

粉体をふるいにのせて、種類ごとに適した一定の条件(振動時間や振幅など)で振動を与えます。その際にダマになってふるいから落ちなかった粉体を計量・計算し求めることができます。

凝集性が高い(ダマになりやすい)粉体ほど流動性が悪いとされています。

噴流性(ふんりゅうせい)

飛散の起こりやすさ

数値で示す場合、分散度ともいいます。
上から粉を落とし、下に設置した受け皿にどのくらいの割合で残っているかを計量し、飛散した割合を算出します。

噴流性が低い(飛散が起こりにくい)粉体ほど流動性が悪く、詰まりやすいとされています。

 

流動性を左右する3つの要因を例としてご紹介しました。
これらの例に挙げたような要因が「流動性が悪い」と示せば示すほど、対策が必要になります。

流動性を改善するにはどうすればいいか

弊社でホッパーを製作する際にご提案できる流動性の改善方法をご紹介します。

方法その1:ホッパーの角度を変更する

基本的にはホッパー角度をきつくすればするほど、中の粉体は流れやすくなります。
しかし角度をきつくしすぎてしまうと、粉体が出口に向かおうとする力が極端に強くなり、出口付近で固まってしまうことがあります。

またホッパーの角度を決定するにあたり、安息角を考慮することもあります。
ホッパーの水平面からの角度を安息角よりも大きくしないと、ホッパー内部の粉体は完全には排出できません。

このように様々な要因を考えながら、ホッパーの角度を決定していきます。
MONOVATEで製作するホッパーは、ご要望に合わせて角度の変更が可能です。

※弊社ではホッパー角度=ホッパー内部の角度ですが、メーカーにより地面からの角度を示すこともございます。
ご注文やお問い合わせの際にはイラストを用いるなど、どの角度を示しているかを明確にすることをお勧めします。

方法その2:ホッパーに表面処理を施す

ホッパーの表面処理を変更することで、表面への付着を軽減し、流動性を改善できることがあります。

表面処理例:gemini処理®

ホッパーの表面を細かく荒らすブラスト加工をすることで、粉体とホッパーの接触面積を減らし付着を軽減できます。
金属表面を直接加工するので、コーティングのように剥離する心配はありません。

通常のバフ研磨と粉体の付着を比較した動画がこちら

【動画で使用しているホッパーはこちら】粉体付着抑止 投入ホッパー

 

このコラムのまとめ

  • 流動性とは、粉体の流れやすさのこと。
  • 流動性は安息角、凝集度、噴流性ほか、様々な粉体の性質で決まる。
  • 流動性はホッパーの角度や表面処理を変更することで改善が可能。

 

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この薬品ってどうやって保管できるの?~薬品に最適なパッキン~
2019/08/07 09:00

この記事を読むべき方
  • 扱う薬品に最適なパッキンを探している方
  • 薬品の簡単な特徴を知りたい方
  • 実際に薬品とパッキンの適合性を試してみたい方

この液体ってどういうパッキンを使うのが適しているの?
というお問合せを多数いただくので、液体とパッキンの適合性についてまとめました。

どうしてパッキンの材質を選ぶことが大事なのか

当社のステンレス容器に付属するパッキンの標準素材はシリコンです。
水などの液体を扱う場合はシリコン素材で問題ありません。

しかし、薬品の中にはシリコンとの相性が悪く、膨潤を引き起こすものがあります。
パッキンが膨潤してしまうと、パッキンが変形し、剥離してしまうこともあります。
容器の性能を保つためにも、扱う薬品とパッキン素材の適合性は重要です。

 

パッキンの種類を紹介

  • シリコンゴム(Q)
  • フッ素ゴム(FKM)
  • クロロプレンゴム(CR)
  • ニトリルゴム(NBR)
  • エチレンプロピレンゴム(EPDM)
  • 四フッ化エチレン樹脂(PTFE)

パッキンの特長については下記の記事をご覧ください。

?

薬品と最適なパッキン

メチルエチルケトン

ラッカー用溶剤や接着剤などに用いられる化学物質です。

メチルエチルケトン(MEK)には エチレンプロピレンゴム(EPDM)をお勧めします。

当社で取り扱っているゴムの中では最も膨潤率が低いです。(※多少は膨張します。)

アセトン

マニキュアを落とすための除光液などに用いられる化学物質です。

アセトンにはエチレンプロピレンゴム(EPDM)をお勧めします。

当社で取り扱っているゴムの中では最も膨潤率が低いです。(※多少は膨張します。)

アルコール

代表的なアルコールに対する、適したパッキン材質は以下になります。

エタノール(エチルアルコール)およびメタノール(メチルアルコール)には、シリコンゴム、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)をお勧めします。

イソプロピルアルコールにはシリコンゴムをお勧めします。

当社で取り扱っているゴムの中では最も膨潤率が低いです。(※多少は膨張します。)

ガソリン・灯油

ガソリン、灯油にはフッ素ゴム(FKM)をお勧めします。

当社で取り扱っているゴムの中では最も膨潤率が低いです。(※多少は膨張します。)

シンナー

シンナーには四フッ化エチレン樹脂(PTFE)をお勧めします。

各メーカーさんによって色々種類があり、成分が異なりますが、当社取り扱いの各種ゴム全てに関して使用不可となります。

トリクレン=トリクロロエチレン

トリクロロエチレンは金属機械部品の脱油脂洗浄などに用いられる化学物質です。

トリクロロエチレンにはフッ素ゴム(FKM)をお勧めします。

当社で取り扱っているゴムの中では最も膨潤率が低いです。(※多少は膨張します。)

トルエン

トルエンは香料や染料の原料として用いられる化学物質です。

トルエンには四フッ化エチレン樹脂(PTFE)をお勧めします。

シンナーの主成分であることが多いトルエンは、当社取り扱いの各種ゴム全てに関して使用不可となります。

【補足】水蒸気と油に最適なパッキン

水蒸気・オートクレーブ滅菌

ここでは仮に121℃で20分滅菌すると仮定します。

水蒸気による滅菌の場合、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)またはフッ素ゴム(FKM)をお勧めします。

当社で取り扱っているゴムの中では最も膨潤率が低いです。(※多少は膨張します。)

油と言っても動物性・植物性油、鉱物性など各種あり、各メーカーさんによって成分が異なります。

用途も様々で料理用・燃料用・美容用・工業用などがあります。

油にはニトリルゴム(NBR)またはフッ素ゴム(FKM)をお勧めします。

 

お気軽にご相談ください

ステンレス容器の性能を保つためにも、扱う薬品とパッキン素材の適合性は重要です。
今回ご紹介した薬品以外との相性やパッキン材質の選定についてなど、お困りごとがございましたらMONOVATEへお気軽にご相談ください。

パッキンについて相談する 

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撹拌力が強い!ベルヌーイ流撹拌機の特長
2019/07/03 09:00

MONOVATEのベルヌーイ流撹拌機は、撹拌による泡立ちを防ぎたいときや、高粘度液の撹拌に最適です。
ここではベルヌーイ流撹拌機の特長と、撹拌効率を上げるための3つの方法についてまとめました。

類似名称との識別のために、2019年11月よりオリジナル名称に変更いたしました。
「遠心式撹拌」→「ベルヌーイ流撹拌」 「E-REVO」→「BEAG(ビーグ) E型
?一部表示が旧名称のままの場合がありますが、何卒ご了承ください。

ベルヌーイ流撹拌機の特長

撹拌子はベルヌーイ流撹拌体BEAG(ビーグ) E型を標準搭載

ベルヌーイ流撹拌体 BEAGのE型(φ99mm)を採用しました。
遠心力の力で、下から吸い上げる上昇流と浮遊物を吸い込む下降流の2つの液流で液体を均一に撹拌します。
小径のため、撹拌機の取り外しの際に分解せずそのまま取り出せます。(※取出口4.5Sヘルール以上)
撹拌子はシンプルな構造で、液切れや洗浄性に優れています。

動画で視聴する

撹拌による泡立ちを防ぎたい方は、泡立ちについて説明したこちらのコラムもご覧ください。

ヘルール接続で密閉状態での撹拌ができ、加減圧も可能

ヘルール接続のため、密閉容器や加圧容器でも使用でき、取り付け・取り外しが簡単です。
標準は2Sヘルール接続ですが、接続先のサイズに合わせて変換アダプタを製作いたします。
※この撹拌機では IDF/ISO 規格のヘルールを使用しています。
ヘルール継手とは?

低粘度~中高粘度までの液体の撹拌が可能

容量にもよりますが、~4,000mPa・s、30L程度の液体であれば十分な液流を起こすことができます。

動画で視聴する

ゴミ受けを標準搭載

容器内への異物混入対策として、軸シール部から発生した摩耗粉を受け止めるゴミ受けを標準搭載しています。

ベルヌーイ流撹拌機の種類

使用環境や用途に応じて、電気モーター式とエアーモーター式から選択できます。
取り付け形式は、どちらも立型(蓋に垂直に取り付けるタイプ)となります。
撹拌機の電気モーターとエアーモーターってどう違うの?

電気モーター撹拌機【NTME】

撹拌機の中で最も一般的な、電気モーターで作動する撹拌機です。電気モーター式の撹拌機は、研究室から生産設備まで、幅広い分野で使われています。
電気撹拌機にはコントローラーを標準搭載しているので、簡単に回転数を変えられます。
アルミ電気モーター撹拌機と、ステンレス電気モーター撹拌機の2製品があります。

エアーモーター撹拌機【NTMA】

圧縮エアーで作動する撹拌機で、防爆エリアで使用できます。
供給エアーの圧力を調整することで回転数を変えられ、無給油(オイルレス)で使用できるためオイルの飛散がありません。
アルミエアーモーター撹拌機と、ステンレスエアーモーター撹拌機の2製品があります。

どの撹拌機が良いのか分からないときは…

最適なベルヌーイ流撹拌機を選べる「課題別 撹拌機選定ガイド」をご活用ください。

撹拌効率を上げる方法

次のページでは、より撹拌効率を上げるための"3つの方法"についてご説明します。
撹拌機以外のポイントにも着目し、ムラなくスムーズに撹拌できるようにしましょう。

 

撹拌実験事例:洗剤vs泡立ちを抑制する撹拌機
2019/06/05 09:00

空気を巻き込みにくい撹拌子 BEAGを搭載したMONOVATEの撹拌機。
その性能を調べるため、今回は水と洗剤が入った水槽の撹拌を行い、空気の巻き込みによる泡立ちを抑制できるか実験しました。
プロペラ撹拌機と比較した結果、大幅に泡立ちを抑制することができました。

洗剤撹拌泡立ち比較の様子

プロペラとBEAGで泡立ちを比較すると、BEAGは泡立ちを大幅に抑制します。

この動画で使用している撹拌機はこちら
ベルヌーイ流撹拌機【NTMシリーズ】

そもそも泡の発生原因って?

泡が発生する原因は、大きく4つに分類できます。

(1)内容物の反応
(2)粉体など投入物に含まれている空気
(3)投入時の、液面との衝突
(4)撹拌時の、液面からの空気巻き込み

 

この撹拌機は(4)撹拌時の、液面からの空気巻き込みの原因を解消します。
遠心力と容器内の圧力差を利用して撹拌するので、液面からの空気巻き込みを抑制することができるのです。
泡の対策には、その原因が何なのかを突き止めることが重要です。

泡の何がいけないの?生産への悪影響とは

オーバーフロー

 

泡が大量に発生することで、容器や槽から内容物があふれ出てしまう現象です。
原料ロスや、有害な内容物だと事故につながる恐れもあります。

不正確な計量

 

「炭酸ジュースを勢いよく入れたら泡だらけになり、泡が消えると思ったより量が少なかった…」
こんな経験がある方も多いでしょう。
生産の工程でも同じことが起こりえます。
泡立った液体を正確に計量するのは困難で、誤差が発生する恐れがあります。

塗料、食品の口当たり等の品質への影響

 

泡の存在が最終的な品質を左右することもあります。
塗装インクが泡立っていたら均一に壁などを塗ることができません。
また食品の場合は、なめらかな食感を損なってしまう恐れがあります。

泡の対処例

泡の対処法として、代表的なものをご紹介します。

真空脱泡

圧力容器を使用して容器内を減圧状態にすることで、液中の気泡を除去します。

バッフル(邪魔板)の設置

ボルテックス(渦)の発生を抑え、空気の巻き込みを抑制できます。

 

【関連製品】ヘルールバッフル

容器の蓋にヘルールで接続します。
容器内に直接溶接で取り付けるタイプと異なり、容器の洗浄性を維持できます。
工程に合わせて着脱も可能です。

へルールバッフル

流入管の設置

液体投入時の液面との衝突を軽減します。

 

【関連製品】流入管

容器の蓋にヘルールで接続します。
液体が容器の内壁を伝うように設置することで、液面との衝突を軽減します。

まとめ

・泡の発生原因は大きく分けて4つ

・撹拌時の空気巻き込みが原因なら、BEAG搭載の撹拌機で軽減できる

・泡の存在は最終製品の品質を左右することも

 

撹拌実験動画のご紹介

この実験以外にも、撹拌実験の様子を動画でご紹介しています。
ぜひご覧ください。

撹拌動画を見る 

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キャッチクリップとレバーバンド 密閉度を比べてみました
2019/05/12 09:00

MONOVATE株式会社にはステンレス容器に蓋の種類がいくつかあります。
開放タイプが1種類と密閉タイプが2種類です。

ここであらためて密閉容器2種類を紹介します

キャッチクリップ(CTH型)

取り扱いが簡単なクリップタイプ。片手で締めることができます。
標準モデルのパッキンは容器の本体側に装着します。
容器の大きさに合わせて3~6個のクリップで蓋を固定します。

レバーバンド(CTL型)

着脱が簡単なレバーバンドタイプ。両手で扱う必要がありますが、着脱が素早く行えます。
パッキンは蓋側に装着します。
容器の大きさに関わらず、1本のバンドで蓋を固定します。

よくある質問「どちらの蓋が密閉に優れているの?」

お客様から頂くお問合せの中で、密閉容器に関する質問として「CTH型とCTL型、どちらの蓋の方が密閉度が高いのか」という質問を頂きます。
前提として、MONOVATE株式会社の密閉容器は「中に保存している液体や粉が外にこぼれない程度の密閉」を基準に設計されています。
容器内の気体が漏れない完全密閉を目的とした構造ではありません。

たとえばガスを発生する液体を保管する場合は、容器が傾いた際に中身の液体が漏れることはありませんが、保管中に容器内で発生したガスが漏れるということは十分にあり得ます。
気体までしっかりと閉じ込めたい場合は圧力容器をご紹介しております。

実際に容器の密閉度を比較するような実験を行いました。

実験概要は以下の通りです。

  • 湿度と温度が管理された部屋に容器を設置
  • 容器の中に、乾燥剤などにも使われている無水塩化カルシウムを入れておく
  • 一定日数放置した後に容器の重量を計測する

密閉容器とはいえど湿度管理された部屋に設置すると、空気中の水分が、蓋とパッキンのわずかなすき間を通して容器内に入り込みます。
そして容器内に入り込んだ湿気を、無水塩化カルシウムが吸収し、その吸収した分だけ重量が増えます。
密閉度が低い容器ほどたくさん湿気が入り込み、容器重量が大きく変化します。

このような方法を通して、容器の重量を測定することで、密閉度の比較ができることになります。

実験内容

使用した容器

  • クリップタイプ密閉容器(20Lタイプ)
  • レバーバンドタイプ密閉容器(20Lタイプ)

両方の容器に無水塩化カルシウムを1000g設置、温度20℃、湿度50%に管理された恒温恒湿室内に容器を静置し、所定時間ごとに質量を測定しました。(期間は60日間)?

実験結果

オレンジの線がクリップタイプのCTH-30、グレーの線がレバーバンドタイプのCTL-30です。
重量はレバーバンド式容器の方がより変化が小さいことがグラフから読み取れます。
つまり、クリップタイプとレバーバンドタイプを比べると、レバーバンドタイプの方が密閉度が高いということがこの実験から判明しました。
二つの密閉容器を比べると、密閉度の性能はおよそ2倍の差があるようです。

考えられる原因

気密を保つためのパッキンの素材は両容器共にシリコン素材を使用していたため条件は同じです。
おそらく、このパッキンを4個のクリップで押さえつけるか、蓋の円周全体をバンドで押さえつけるかという、封止性能の差がこのような結果を生んだと考えられるでしょう。

追加実験PTFEパッキン

MONOVATE株式会社の容器にはこのようなものも存在します。
耐薬品性の高いPTFE素材のパッキンを使用したPTFEパッキン付保存容器【CTH-PTFE】です。

PTFEパッキン付き保存容器の特長

PTFE素材はほとんどの薬品に侵されません。
危険な毒物として知られるフッ化水素酸ですら溶かすことはできないため、安心して薬品を保存することができます。
この容器は強い化学薬品を扱う際に最適なのですが、購入される方には「樹脂パッキンなのでゴム製のパッキンに比べ密閉性は劣ります。」という注意喚起をさせていただいております。

どのくらい密閉性が劣るのか実験してみた

さきほどのシリコンパッキンを装着した密閉容器と同じ条件で、PTFE付き保存容器の密閉度も調査してみました。

実験結果

クリップタイプ、レバーバンドタイプに比べて大きく密閉性が劣ることが明確になりました。
クリップタイプと比べると4倍以上、レバーバンドタイプと比べるとなんと9倍ほど密閉度に差があります。

素材だけで比較を行うと水蒸気透過性では、PTFE素材はシリコン素材の680倍湿気を通さないといわれています。(レインコートなどに使用されるゴアテックスという素材でもPTFEは使用されています。)
この数値だけを比べると、PTFE素材の方が密閉度が高くなる結果が出そうですが、実際の密閉性の傾向では逆転しました。
おそらく結果の差は、パッキンの固さにあると考えられます。

考えられる原因

シリコンパッキンはゴムのように伸縮性を持っているのに対して、PTFEパッキンは固く、伸縮性がありません。
固いパッキンは、伸縮性のあるパッキンに比べて蓋との密着性に劣ってしまいます。
素材自体は水蒸気透過性が低いため、パッキン自体を湿気が透過したということは考えづらく、固い蓋と固いパッキンの接地面を透過したと考えられるでしょう。

まとめ

結論として密閉度の高さにはこのような優劣があることが分かりました。

レバーバンドタイプ>クリップタイプ>>PTFEパッキン付保存容器

今回は湿気を利用しての実験なので、酸素やほかの気体に関しては別途実験が必要であると考えられます。
また、前提として密閉容器は液体や粉体がこぼれないように設計されております。

2種類の密閉容器を比較すると性能に2倍の差はありましたが、容器の重量が30日間で1g程度しか変化しなかったという実験結果であるともいえます。
気密性を重視した使用方法でなければ十分、保管・保存に適している容器であるといえます。
あくまでも参考数値程度にお考えください。

関連製品

キャッチクリップ式密閉容器
クリップタイプのステンレスタンク

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レバーバンド式密閉容器
レバーバンド式のステンレスタンク

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PTFEパッキン付保存容器

詳細を見る

 

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MONOVATEでは、お客様のご希望や用途、使用環境にあわせたステンレス容器を1品からオーダーメイドで承っております。「使いやすくカスタムしたい」「こういう製品はつくれる?」などお気軽にご相談ください。

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取っ手で決まる?使いやすいステンレス容器とは
2019/04/10 09:00

ステンレス容器には、容器を持ち上げたり運搬しやすくするために取っ手が付いています。
既製品の場合は、取っ手はすでに取り付けられていますが、持ちにくかったり、洗いにくかったりしたことはありませんか?

弊社では容器をオーダーメイドできますので、その際に取っ手を選ぶことができます。
なぜ取っ手まで選べるのかというと、取っ手によって容器の使いやすさがかなり変わってくるためです。
取っ手を変えるだけで、お客様のお悩みが解決できることもあります。

この記事でわかること
  • 6種類の取っ手とそれぞれの特徴とは
  • ご要望やお悩みに応じた最適な取っ手の選び方
  • 機械で容器を持ち上げたいときにはどうする?

取っ手が選べる!でも、どんな取っ手があるの?

弊社では、6種類の取っ手があり、容器の仕様やお客様のご要望に合う取っ手を取り付けています。

規格取っ手

弊社の標準の取っ手です。
中空で握りやすい形状です。
丸棒取っ手(サニタリー式)

サニタリー取っ手とも呼びます。
全周溶接で取り付け衛生的です。
丸棒取っ手(折りたたみ式)

折りたたみ取っ手とも呼びます。
使わない時は折りたたまれます。
吊り下げ取っ手

ツル、ツル付き取っ手とも呼びます。
片手で容器を持ち上げられます。
パイプ取っ手(小)

持ち手が太く、手に負担がかかりにくいです。
パイプ取っ手(大)

握りやすく、丸棒に比べ軽量です。
主に大型容器に取り付けます。

使いやすさは取っ手で決まる?ご要望やお悩みに最適な取っ手とは

中身を空ける作業をスムーズにしたい

容器を傾けて中身を空けるときに、 吊り下げ取っ手だと傾けた角度によって動いていくので、スムーズに中身を空けることができます。
また、下部に取っ手を追加すると最後まで容器を安定して傾けられます。
柄杓の場合は、握りやすいようにパイプ取っ手になっています。

2人作業のために複数個取り付けた例
取っ手の組み合わせもカスタマイズできる
柄杓は角パイプにすることも可能です

この場所に置きたいけど、取っ手が邪魔で…

限られたスペースに容器を置くときには、 丸棒取っ手(折りたたみ式)や吊り下げ取っ手がおすすめです。
「取っ手無し」とご指定いただければ、容器に取っ手を取り付けないことも可能です。

吊り下げ式目盛り付きステンレス容器

片手で持ち運びできるようにしたい

両手鍋のように取っ手が2つ付いている容器は、両手で持つことが前提となります。
容器の移動が多い場合は、片手で持てる吊り下げ取っ手がおすすめです。
※吊り下げ取っ手は内径180mm~330mmまでの容器が対象です。

容器が重くて、手が痛い…

洗浄性に優れている 丸棒取っ手ですが、中身の入った重い容器を持つと、取っ手が手に食い込み痛くなってしまいます。
運搬が多い場合は、径が太く握りやすい規格取っ手か パイプ取っ手がおすすめです。
持ちやすさと洗浄性を求めるならば パイプ取っ手が最も適しています。

取っ手の汚れが気になる…

HACCPなどの衛生管理においては、洗浄性の高い容器が求められます。
取っ手の部分などに隙間があると、汚れや洗浄液が溜まり、コンタミや異物混入の原因になってしまいます。
丸棒取っ手(サニタリー式)や パイプ取っ手は、取り付け部を全周溶接して隙間を無くすことができます。

車輪付きの容器をスムーズに移動させたい

重い車輪付きの容器を移動させるとき、大きな取っ手が無いと動かしにくく作業性が悪くなります。
このような場合には、パイプ取っ手を台車のハンドルのように容器へ取り付けることで、移動しやすくなります。

※車輪付き容器の作業性に関しては、車輪の種類でも変わってきますので、ぜひこちらもお読みください。
知って楽する、自在・固定キャスターの取付位置

 

一番頑丈な取っ手を付けたい

弊社の取っ手の強度は、人の手で持ち上げられる重量を想定しています。
取っ手のサイズや仕様によって異なりますが、全周溶接で取り付けている丸棒取っ手(サニタリー式)や パイプ取っ手がおすすめです。

どの取っ手においても、

  • ぶつけるなどでの衝撃
  • 汚れや液が溜まることによる腐食
  • 人の手で持てる重量を超えたものを機械で持ち上げるなど、誤った使用方法

などは破損の原因となりますので、取り扱いにはご注意ください。

コストが最優先

容器サイズや取っ手の仕様によって一概にはいえませんが、一番安価に取り付けできるのは、弊社の標準取っ手である規格取っ手になります。

【価格の目安】※あくまで参考となります。
規格取っ手 < 吊り下げ取っ手 < 丸棒取っ手 < パイプ取っ手

機械で容器を持ち上げたいときは…

弊社の取っ手は、人の手で持ち上げることを前提としていますので、フォークリフトの爪をかけて持ち上げたり、ロープをかけて吊り下げることはできません。
機械で容器を持ち上げる場合には、 専用の金具を取り付けいたします。
金具はご使用の機械に合わせて設計・製作できます。

ブラケットA

架台や装置などに容器を固定する時に複数個取り付けます。
ブラケットB

フォークリフト等で容器を持ち上げる時に2ヶ取り付けます。
吊りラグ

容器を吊り上げる時に複数個取り付けます。
蓋と容器それぞれにブラケットを付けた事例
リフターで搬送できるブラケットを付けた事例
上部に吊りラグ、下部にブラケットを付けた事例
フォークの爪を入れる台座を付けた事例
ドラム缶のようなリブ加工も可能です。
ステンレス容器のリブ加工
リブは容器反転時のすべり止めになります。
反転リフター、反転排出容器

 

まずはご相談ください!

「この仕様で作れる?」「図面が無いけど見積もりできる?」
製品の仕様やオーダーメイドについて、なんでもご相談ください。

製品について相談する

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知って楽する、自在・固定キャスターの取付位置
2019/03/13 09:00

樹脂製の容器などに比べ重量があるステンレス容器。内容物が入っていたり、耐圧仕様で製作された容器だとさらに重たくなります。
そんなステンレス容器では、台車を使用したりキャスター脚を取り付けて移動するのが一般的です。

しかし、それらが思うように動かないことが作業の小さなストレスになっていませんか?
実はキャスターにはその動きによっていくつかの種類があり、使い方に合わせて選択することで作業性がグンと上がる可能性を秘めています。

このコラムでは、様々なキャスターの種類の中でも「自在キャスター」「固定キャスター」の組み合わせと配置について、使い方に合わせて解説します。

この記事の内容
  • キャスターがうまく動かないのは小さなストレスの原因
  • キャスターには自在キャスターと固定キャスターの2種類がある
  • 機動力・直進のしやすさ・運ぶものの重さから適切なキャスターの配置を考えよう

台車に使用するキャスターの材質についてのコラムはこちら

台車の形状などの選定に役立つコラムはこちらをご覧ください。

そもそも「自在キャスター」「固定キャスター」って何?

自在キャスター

360度回転し、いろいろな方向に進むことができるキャスター。

一般的なスーパーなどの買い物カートやキャスター付きの椅子に使用されているのは自在キャスターです。
弊社の台車や脚付容器はほぼ自在キャスターを使用しています。

固定キャスター

進行方向が固定されているキャスター。

【NW-D/NW-D-FB】オールステンレス台車では、取っ手側に固定キャスターを二つ使用しているタイプもございます。
その他キャスター脚付容器や台車のキャスターを固定キャスターに変更することも可能です。

性能別 キャスターの配置と組み合わせ

「機動力(小回りが利くか・方向転換がしやすいか)」・「直進しやすさ」・「運ぶ物の重さ」の3項目から、キャスターが四つの場合について解説します。

すべて自在キャスター

?

機動力:★★★ 直進しやすさ: 軽い物向き

今回ご紹介する中で、最も小回りが利く組み合わせです。
その場で方向転換ができるので、狭いスペースを動かしたり方向転換を頻繁にするような場合に適しています。
弊社の台車や脚付容器はほぼこの組み合わせです。

ただし動き始めは、四つのキャスターの向きがすべて揃うまでフラフラと安定しません。
特に加圧容器のような蓋が重い容器では、つんのめって倒れてしまう恐れがあります。
また直進しつづけるのが苦手で、左右にぶれやすい組み合わせです。

手前に固定キャスター2つ+奥に自在キャスター2つ

機動力:★★ 直進しやすさ:★★ 軽い物向き

固定キャスターを手前(押す)側に取り付けると、移動しながらの方向転換がスムーズにできます。
すべて自在キャスターを使用した場合よりも、固定キャスターを使用している分動きが安定します。

ただし、自在キャスターを手前にした場合に比べると方向転換に大きな力が必要です。
移動するものが軽量な場合に適しています。

手前に自在キャスター2つ+奥に固定キャスター2つ

機動力:★★ 直進しやすさ:★★ 重い物向き

自在キャスターを手前(押す)側に取り付けると、固定キャスターを手前にした場合に比べて小さな力で旋回しやすくなります。
また固定キャスターが手前の場合同様、すべて自在キャスターを使用した場合よりも動きが安定します。

重量のあるものに適していますが、旋回の中心が固定キャスター同士の中点(=押す人の反対側)になるので移動しながらの方向転換には広いスペースが必要です。

その他、台車やキャスター脚に関するよくあるお悩み

「容器を台車に乗せるとき、中身が入っていて持ち上げるのが大変…」

 →容器をあまり持ち上げなくても乗せられる、スライド仕様台車がおすすめです。

 スライド仕様台車【オーダーメイド納入事例】を見る

「キャスター脚が着脱できたら、洗浄が楽になるのに…」

 →工程に合わせて容器と架台を着脱できる、架台付容器がおすすめです。

 架台付ステンレス容器【ASC】シリーズを見る

ASCイメージ画像
 

「容器の台車を押すのに、腰をかがめるのが辛い…」

 →腰をかがめず移動できる、取っ手が付いた台車がおすすめです。

 取っ手付容器運搬用台車【KM-T/KMS-T】を見る

ステンレス容器と台車のオーダーメイドが可能です

お客様のご希望や使用用途に合わせてオーダーメイドでの製作も承っております。
お問い合わせフォームより用途・お困りごとなどをお聞かせください。

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