技術コラム

キャスター付きだけじゃない!脚付きホッパータンクの種類と特長
2022/09/06 09:00

液体材料・粉体材料などの貯蔵・供給用途で幅広く使用されている、脚付きのステンレスタンク。
当社でご提案できるのは、車輪が付いた脚付きタンクだけではありません。

このコラムでは、脚付きのステンレス製ホッパータンクを例に、ご提案できる脚のタイプとその特長についてご紹介します。もちろんホッパー形状以外でも対応可能です!

脚のタイプは大きく4つ

キャスタータイプ

工程間の移動がある場合や、頻繁に洗浄するようなときに適しています。
車輪が付いているため、内容物が入った状態でも水平移動と位置決めをスムーズにおこなえるのが特長です。
キャスターの材質やサイズの種類が豊富なため、使用環境やコストを考慮して決定できます。

キャスター付きホッパータンクのおすすめ製品

移動時に中身が飛散しない密閉蓋タイプ

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ホッパータンクを取り外せるタイプ

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据え付け座タイプ

装置への組み込みなど、一度設置したら頻繁に移動しないときにおすすめです。
アンカー止めなどの固定設置にも対応でき、ブリッジブレーカーの使用など振動のある作業でも安定性を高められるのが特長です。
他のタイプに比べて構造がシンプルで、洗浄性にも優れています。
据え付け座は自社設計のため、設置方法にあわせた仕様にカスタマイズ対応が可能です。

据え付け座付きホッパータンクの製作例(特注対応)

アジャスタータイプ

設置場所に凹凸や傾斜があったり、組み合わせる装置によって高さを変えたいときにおすすめです。
脚ごとに高さの微調整(レベル調整/水平出し)ができるため、タンクのぐらつき・がたつきを抑えられるのが特長です。
アジャスターには様々な種類があり、調整する高さに合わせてねじの長さを決めたり、洗浄性に優れたハイジェニック仕様(サニタリー仕様)などを選ぶことができます。

アジャスター付きホッパータンクの製作例

パレットタイプ

移動だけでなく輸送や装置への組み込みなどの目的があり、リフターで作業できる使用環境に適しています。
パレットとタンクが一体型になっており、移動時や輸送時の安定性に優れているのが特長です。
リフターを使用するため水平方向・垂直方向どちらへの移動もでき、高所への設置やトラックへの積み込みなどがスムーズにおこなえます。
このまま輸送も保管もおこなえば移し替えや小分けの作業が不要になり、特に粉体を扱う場合は作業時の暴露リスクを削減できます。

パレット付きホッパータンクのおすすめ製品

パレット一体型のホッパータンク

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複合タイプにカスタマイズ

例えばアジャスタータイプでありながらも、パレットタイプのようにフォークリフトで移動できるようにカスタマイズすることができます。大型のタンクや中身を入れたまま移動させたいような場合に採用いただくと、移動性が向上するためおすすめです。
また、キャスターとアジャスターを組み合わせたものもあります。移動先での高さの微調整をしたいときにおすすめです。

カスタマイズ例

キャスタータイプのカスタマイズ

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アジャスタータイプのカスタマイズ

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キャスターとアジャスターの組み合わせ例

キャスターとアジャスターの複合タイプ

まとめ

MONOVATEの脚付きホッパータンクは4つのタイプに加えて、複数タイプを組み合わせるカスタマイズができます。

このようなときにおすすめ
キャスタータイプ頻繁に水平移動するとき
据え付け座タイプ固定設置するとき / 装置に組み込むとき
アジャスタータイプ設置場所に凹凸や傾斜があるとき / 高さ調整が必要なとき / 装置に組み込むとき
パレットタイプリフターが使えるとき / 垂直移動があるとき / 装置に組み込むとき
複合タイプ(カスタマイズ)大型や重いタンクの移動性をさらに向上させたいとき / 移動先で高さを微調整したいとき

ホッパー自体のカスタマイズ、脚のないホッパータンクの製作も可能です。
気軽にお問い合わせください。

関連ページ:選んで作るカスタムホッパー

ホッパータンクについて問い合わせる

第一種圧力容器と第二種圧力容器の違いとは?
2022/08/08 09:00

圧力容器とは、容器内に圧力をかけることを目的とした容器のことを指します。

しかし「圧力容器」と一口にいっても、圧力容器はその仕様や内容物などの条件によっていくつかの種類に分類されます。

そこで、このコラムでは第一種圧力容器と第二種圧力容器を中心に、圧力容器の種類についてご説明します。

この記事の内容
  • 圧力容器は第一種圧力容器や第二種圧力容器などに分けられている
  • ポイントは圧力をかけたときに容器内で気体が発生するかどうか
  • 法令や規則に注意し、検査などを怠らないようにしよう

 

圧力容器は、圧力をかけると危険が伴うため、圧力の大きさや条件によって規格が設けられています。

もし強度が足りない場合、重大な事故を起こす可能性があるため、構造に関して労働安全衛生法・ボイラーおよび圧力容器安全規則等で細かく定められています。容器は大きさや扱う圧力の大きさによって分類され、その分類に応じて検定が必要になるものもあります。

ご注意

  • 本コラムでご説明する内容は本邦法令に基づきます。海外での使用等の場合、分類等は各国の法令によりますので、本コラムの内容とは異なります。
  • 以下で示す「条件」は法令をかみ砕いて説明するために記載したもので、実際の法令文とは違いがあります。設備選定時などには、必ず実際の法令文をご確認ください。また、本コラムの内容は記事執筆時点の法令に基づきます。

容器を区分するポイント

圧力容器に関して、言及されることの多い分類が「第一種圧力容器」と「第二種圧力容器」です。

このふたつの分類における大きな違いは、容器内で液体が気体に変化するかどうかになります。

 

圧力をかけて容器内で新たに気体が発生する→第一種圧力容器

圧力をかけるが容器内で気体が発生しない→第二種圧力容器

 

気体は液体に比べて、圧力を加えると体積が変化しやすいです。

仮に容器が破裂した場合、内圧に変化が生じ体積が急膨張を起こすため、気体を扱う容器の方が万が一の際のリスクが大きいです。そのため、気体の発生の有無が容器の構造に大きく関係しています。

以下では、それぞれの容器の定義についてご説明します。

圧力容器の区分

1-1. 第一種圧力容器

第一種圧力容器は規模の大きな圧力容器です。容器内で液体を反応させて蒸気が発生する、または液体を熱したときに蒸気が発生する場合、それを受け入れる容器は第一種圧力容器となります。

また大気圧における沸点をこえる温度の液体を保管する場合も第一種圧力容器となります。(例えば大気圧での沸点100℃の水を、圧力を使って120℃に加熱する場合など)

容器が破裂した際の危険度がとても高いため、製造するには所轄都道府県労働局の許可・検査が必要です。また、使用開始後も登録性能検査機関による検査が義務付けられています(年1回)。

※弊社では第一種圧力容器は製作できません。

<条件>

a.容器内部に蒸気を発生させる、または発生し容器内の圧力が大気圧を超えるもの
b.大気圧で沸点を超える温度の液体を入れる容器 例:蒸煮器、消毒器、精錬器、反応器、原子力関係容器、蒸発器、蒸留器、スチームアキュムレータ等

ただし、下記の条件に合致するものは除きます(第一種圧力容器にはなりません)。

1-2. 小型圧力容器

第一種圧力容器の中でも、特に下記の条件に合致する比較的小さい容器は「小型圧力容器」に分類されます。1-1の第一種圧力容器とは異なり、製造許可などは不要ですが、製造時等における検定と年1回の自主検定が義務付けられています。

<条件>

1-1で示した第一種圧力容器に適合するもののうち、以下に合致する容器

a.ゲージ圧力0.1MPa以下で使用する容器で、内容積が0.2m³以下のもの
b.ゲージ圧力0.1MPa以下で胴の内径が500mm以下で、かつその長さが1000mm以下の容器
c.最高使用圧力〔MPa〕と内容積〔m³〕との積が0.02以下の容器

1-3. (簡易)容器 

1-1の第一種圧力容器で示した条件(容器内で新たに気体が生じる)に合致するものの、小型圧力容器よりもさらに小型である一部の容器は、通称「(簡易)容器」と呼ばれます。この区分自体は法令で定められたものですが、名称は定義されたものではありません。

下記の条件に適合する容器は、第一種圧力容器とは異なり機関等の検査を受ける義務はありません。しかし、「簡易ボイラー等構造規格」に則った仕様で製作し、その性能を自主的な試験で確認しなければなりません。これは法令で定められた必須事項です。

<条件>

第一種圧力容器の<条件>に合致するが、「除外要件」により第一種圧力容器からは除外されているもののうちそこからさらに下記を除いたものは通称(簡易)容器とされます。

a.ゲージ圧力0.1MPa以下で内容積が0.01m³以下の容器
b.最高ゲージ圧力〔MPa〕と内容積〔m³〕との積が0.001以下の容器
c.船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるものおよび電気事業法、高圧ガス保安法、ガス事業法または液化石油ガスの保安の確保および取引の適正化に関する法律の適用を受けるもの

2-1. 第二種圧力容器

圧力をかけても新たに気体を生じない(第一種圧力容器に該当しない)という条件のもと、ゲージ圧力が0.2MPa以上の気体を容器内部に保有する場合、第二種圧力容器に該当します。製造時の検定と1年に1回の自主検定が義務づけられています。

<条件>

a.ゲージ圧力0.2MPa以上で内容積が0.04m³以上の容器
b.ゲージ圧力0.2MPa以上で胴の内径が200mm以上で、かつその長さが1000mm以上の容器

2-2.(圧力気体保有)容器 

第二種圧力容器と用途は同じであるものの、先述の<条件>に合致しない容器の一部は通称(圧力気体保有)容器と呼ばれます。(簡易)容器と同様、「簡易ボイラー等構造規格」で定められた仕様で製作し、その性能を自主的な試験で確認する必要があります。ただし、第二種圧力容器のような機関等による検査の義務などはありません。

<条件>

大気圧を超える圧力を有する気体を内部に保有する容器のうち、1-1の第一種圧力容器(気体が新たに生じる)や2-1の第二種圧力容器(圧力0.2MPa以上)を除いたもののなかで、下記に該当するもの。

a.内容積が0.1m³を超える容器

ただし、アセチレン発生器や船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるものおよび電気事業法、高圧ガス保安法またはガス事業者法の適用を受けるものは除く。

常圧用のジャケット容器に圧力をかけたらどうなる?

容器に圧力をかける際には、必ずそれを前提として設計した容器を使用しなければなりません。

もし常圧用のジャケット容器に圧力をかけてしまったら、どれだけ危険なのか。その危険性は「【動画あり】ステンレス容器の実験事例―ジャケット容器圧力破壊実験」でご覧いただけます。

MONOVATEでの圧力容器の製作

当社では第一種圧力容器を除く圧力容器の製作が可能です。以下から、圧力容器の標準ラインナップをご覧いただけます。

このほか、上記のラインナップを一部カスタマイズしたモデルや、お客さまの必要性に応じた完全オーダーメイドでの圧力容器の製作も可能です。
ぜひお気軽にご相談ください。

圧力容器の製作について相談する 

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ステンレス製品のメーカーが使っている6つの自社製品
2022/06/03 09:00

ステンレス製品のメーカーが使っている6つの自社製品

MONOVATEの工業用ステンレス製品は、様々な業界の工場や研究室で使われていますが、実は社内でも自社製品を使っています。
このコラムでは、自社製品を社内でどのように使用しているのか、その一部をご紹介します。

実際に使っている自社製品の例

粉体を保管するときに使っている製品

【CTH】密閉容器(キャッチクリップ式)

パチン錠タイプの密閉容器

 社員の声

袋に入った粉をこのタンクで保管している。
クリップタイプなので開閉しやすく使いやすい。

この製品を見る(動画あり)

液体を注ぐときに使っている製品

【BK-SMA-DP】液だれ防止ビーカー

液だれ防止ビーカー

 社員の声

液体を容器へ注ぐときに使っている。
内側に、水量の目安の線をマーキングして使っている。
液体を周りにこぼさずに注げる。

この製品を見る(動画あり)

【HS】ステンレス柄杓

ステンレスひしゃく

 社員の声

タンクに規定量の水を入れるときの最後の水量調整に使っている。
柄の端にループを付けて、吊り下げ収納している。

この製品を見る

クランプバンドを締めるときに使っている製品

【TSC】クランプバンド用トルク管理ソケット

クランプバンド用のソケット

 社員の声

ヘルールのクランプバンドを締めるときに、これをトルクレンチに付けて使っている。
他の人に比べて力が弱く、クランプバンドの締めがいまいちだったが、これを使うときちんとクランプバンドを締められる。

この製品を見る(動画あり)

撹拌機を組み立てるときに使っている製品

【KSD】竪型撹拌機スタンド

撹拌機を置くスタンド

 社員の声

撹拌機の組み立てなどで使っている。
撹拌機を横置きにするとスペースが必要だったり軸に負荷がかかってしまったりするが、これを使うと省スペースになるだけでなく、縦にまっすぐ置けるので安定感があり安心して作業できる。

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バルブをタンクへ取り付けるときに使っている製品

【JT/JTS】取付サポートジャッキ

バルブ取り付けのサポート

 社員の声

タンクの底にボルト留めのバルブを取り付けるときに使っている。
以前はバルブを抑える人とボルトを締める人の2人で作業したり、タンクを逆さにしたりしていたが、これを使うことで1人で取り付けでき時間短縮&省力化になっている。

この製品を見る(動画あり)

こんなものも作って使っています

ステンレス製品のオーダーメイドが得意な弊社では、改善活動や日々の業務の中でもステンレス材を使うことがよくあります。
過去には、社内で使っていたものが来社されたお客様の目に留まり、製品化に至ったケースもあります。

「こういう使い方ができる製品はある?」「これもステンレスで作れないかな?」と思うものがありましたら、気軽にお問い合わせください。

改善活動での製作例:ボトルキャリアー

社内改善事例-ステンレス製ボトルキャリア―

 社内の声

手で運ぶと2-3本しか持てず、台車に乗せて運ぶと運搬の途中で倒れてしまっていたので、「おかもち」のようなカゴを作った。これを使うと6本でも片手で安定して持ち運べる。

その他

・スチール棚にステンレスの板を敷いて、もらい錆び対策
・治具や消耗品を収納するための専用サイズのホルダー
・部材や治具用の仕切り
・タンクや台車をカスタムしたステンレス製のゴミ箱
・ネジ穴付きヘルールキャップにニップルを取り付けるときの固定治具

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洗浄性と強度が上がる「バーリング」ってなに?
2022/05/11 09:00

 

「バーリング」とは、素材に穴を開け、その穴のフチを円筒状に伸ばす加工のことをいいます。一般的にネジ山を確保するために使われている技術ですが、MONOVATEでは容器の洗浄性を向上させる目的などのためにこれを用いています。

製薬・食品業界など、異物混入(コンタミネーション)防止が特に重視される現場で、錆びにくく衛生的という理由から使用されることの多いステンレス容器。汚れが溜まりにくく、落としやすいといった「洗浄性」は、設備選定の大切なポイントです。

それに効果を発揮するのが、今回ご紹介する「バーリング加工」です。この記事では、当社でのバーリング加工の方法とその目的についてご紹介します。

1. バーリングとは

バーリングとは成形加工方法の一種で、素材に穴をあけ、その穴の縁を円筒状に伸ばす加工のことを指します。平面に立体的な部分を作りだすことがバーリング加工の特徴です。

下の写真では、左の穴が加工前、右の穴が加工後の状態です。

barring-11
左が加工前 右が加工後

下穴と呼ばれる穴を板材に開けた後、円錐形状の型を通すことによって、穴を広げながら円筒状に伸ばします。一般的には、板金屋さんで薄い板にネジ加工をしたい時にネジ山を確保するために利用されている技術です。

弊社ではこのバーリング加工をステンレス容器に応用しています。
タンクや蓋にノズルを直接溶接せず、バーリングで穴を立ち上げてからノズルを溶接しています。

2.バーリングを活用する理由?

では、なぜ当社ではノズルを直接溶接せずに、バーリングで穴を立ち上げてからノズルを溶接しているのでしょうか。これには以下の2つの理由があります。

バーリングを活用する2つの理由

①洗浄性を高めるため

②母材のひずみを抑えるため

①洗浄性を高めるため

バーリングをすることにより、汚れの溜まらない滑らかな面となります。?

一般的な溶接では付け根に角が生まれ、そこに汚れが溜まりやすくなります。それに対し、バーリング加工は付け根にRが生まれるため汚れが溜まりにくくなるという特長があります。

【溶接】と【バーリング加工+溶接】の違い

【一般的な溶接】:ノズルと母材の付け根に角が生まれる

【バーリング加工+溶接】:ノズルと母材の付け根が曲線を描く

また、単に汚れが溜まりにくいだけではなく、汚れを落としやすいというメリットもあります。ブラシなどを使わなければならない角の汚れなども、バーリング加工を施した部分であれば簡単に汚れを拭き落とせます。腐食防止にも貢献します。

②ひずみを抑えるため

弊社製品は板厚の薄いものが多く、溶接時には母材にひずみを生じさせる可能性があります。バーリング加工であればひずみを低減できるため、その修正のために余計な傷をつけることもなく、綺麗に仕上げられます。そのための時間・コストも削減できるのもメリットです。

また、バーリング加工にすることで、直角に接合させる隅肉溶接ではなく突合せ溶接にできます。隅肉溶接に比べ熱応力や振動、曲げなどの外力に対する強度が高くなります

3. 特注加工例の紹介

バーリング加工を利用して製作した特注ステンレス容器をご紹介します。
容器に開けた穴をバーリンク加工し、ねじ込み継手を溶接しています。

 

4. バーリング加工の様子を動画で見てみよう

どのようにしてバーリング加工を行うのかは、下の動画でご覧いただけます。こちらもあわせてご覧ください。

お気軽にお問い合わせください

「完全オーダーメイドでの設計・製作」も承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
図面が無くてもOKです!簡単なイラストや図でご希望のタンクをお知らせください。

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工具不要で洗いやすい!容器や配管に欠かせないヘルール継手
工場の自動化に欠かせない ステンレス容器のカスタマイズ
2022/03/07 09:00

近年、医薬品の工場や化粧品の工場などで自動化(ロボット化/ファクトリーオートメーション)の流れが加速しています。弊社でも、自動化された生産ラインでステンレス容器を使用したいお客様から、容器をカスタマイズして製作するオーダーメイドの依頼が増えてきました。

使用する装置や作業内容にあわせてステンレス容器をカスタマイズすることで、装置の性能を十分に発揮できたり、工程の問題を解決したりできます。

このコラムでは、自動化工程へ導入するステンレス容器におすすめのカスタマイズや製品を紹介します。なお、自動化の予定はないが、手作業を減らして省力化(省人化)したい場合には別のコラムをご覧ください。

 

自動化工程でステンレス容器を「扱いやすく」するには?

サイズを合わせる

ワーク許容サイズ、保管スペース、投入量などに合わせたサイズで製作します。弊社では主に、高さ寸法のカスタマイズで対応しています。

> 高さ変更の詳細を見る

容器内径もカスタマイズできますが、基本的には以下のサイズから選ぶようになります。金型製作など費用面を了承いただければ、オリジナル径での製作も可能です。

弊社標準ラインナップの内径(mm)

180/210/240/270/300/330/360/387/430/470/565/635/770/1000

※上記サイズ以外でも対応可能な場合があります。※容器の仕様により、製作可能なサイズが限られていることがあります。

干渉しないようにする

例えば容器に付いている取っ手が干渉するときは、取り付け位置をカスタマイズできます。取っ手自体が不要であれば、「取っ手なし」の選択もできます。

持ちやすく/つかみやすくする?

持ち上げる動作があるとき

「容器を持ち上げて別のパレットに置く」ハンドリング動作があるなら、容器側面にブラケットを取り付けるカスタマイズがおすすめです。ブラケットはロボットの仕様に合わせて設計できるため、しっかり持つことができます。

干渉などの問題がなければ、人が扱うための取っ手とロボット用のブラケットを両方取り付けることもできます。※通常の容器にある取っ手は人の手で扱う前提の設計であり、ロボットやリフターなどでの使用は想定されていません。詳しくはこちら

> ブラケットの詳細を見る

つかむ動作があるとき

「つかんで反転させる」ハンドリング動作があるなら、容器側面にリブを加工するカスタマイズがおすすめです。リブの幅や位置はつかむ側のアームやツメの幅に合わせて加工することで、ズレにくくなりしっかりつかむことができます。リブは容器側面の強度を上げる効果もあります。

> リブ加工の詳細を見る

容器外面にジャケット等を取り付けて、ロボットハンドのチャックなどとサイズを合わせるカスタマイズもできます。

安定性を向上させる

内容物が重いと容器の底が外側へ膨らんでしまい、容器を置くときやコンベアーなどで運搬するときに容器が揺れて不安定になることがあります。このような場合には、底のカスタマイズがおすすめです。例えば容器下部に袴を付けると、底がコンベアーなどに触れなくなり安定性が向上します。

> 袴加工の詳細を見る

底の径に合わせた厚板を底外面に取り付け、底を補強するカスタマイズもできます。底が変形しにくくなり安定性が向上します。補強板を使わず容器自体の板厚を上げて対策することもできます。

> 補強板の詳細を見る
> 板厚変更の詳細を見る

底にエンボス(凹凸)を加工して底の強度を上げるカスタマイズもできます。底の強度が増して膨らみを抑えられるほか、膨らみやすい底の中央部がコンベアーなどに触れなくなり、安定性が向上します。

蓋が簡単に開くようにする

蓋を持ち上げるだけで開く

蓋の開閉がしやすい仕様だと自動化しやすくなります。密閉容器などの蓋を固定する部品があるものではなく、かぶせ蓋タイプの容器をベースにしたカスタマイズがおすすめです。かぶせ蓋は、ロボットに合わせた持ち手やブラケットを取り付けるカスタマイズもできます。

> かぶせ蓋タイプの製品を見る

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キャップを回すだけで開く

回転する(ひねる)動作が可能であれば、ねじ口の容器がおすすめです。ねじ口は主に小容量のボトルで使われています。かぶせ蓋と比べると密閉性もあります。

> ねじ口の製品を見る

自動化工程でステンレス容器を「洗いやすく」するには?

容器内面の洗浄性を向上させる

直接内容物に触れる容器内面は、汚れが付きにくくなる電解研磨の施工がおすすめです。容器内面を電解研磨することで、表面の残留物を落として表面が滑らかになり、汚れが付きにくくなります。

> 電解研磨の詳細を見る

 

粘性の強い液体を扱う場合は、フッ素樹脂コーティングの施工がおすすめです。ほとんどの物質が固着しない非粘着性、水や油を弾く撥水性などの特長があり、汚れをすぐに落とすことができます。

> フッ素樹脂コーティングの詳細を見る

容器外面の洗浄性を向上させる

容器外面は部品が多く、洗い上がりにムラが生じやすい箇所です。汚れや洗浄液が残留しやすい部分は、洗浄性を考慮したカスタマイズが可能です。弊社ではサニタリー仕様という、洗浄性に優れた仕様をご提案できます。

> サニタリー仕様の製品を見る
> 洗浄時間が短縮できる隙間の無いステンレス容器とは?

例えば容器の端の縁巻き部分は、隙間を完全に塞ぐ「カールシール」というカスタマイズがおすすめです。製品によっては縁巻き自体を無くすこともできます。

取っ手は、取り付け部分を全て溶接できる丸棒取っ手(サニタリー式)がおすすめです。

自動化工程でステンレス容器を「管理しやすく」するには?

レーザーマーキングを追加する

剥がれず洗っても消えない印字方法で、改ざん防止にもなるレーザーマーキングがおすすめです。オリジナルの管理番号やQRコードなどを容器側面や蓋に印字できます。

> マーキングの詳細を見る

シール座を追加する

バーコードラベルなどで管理しラベルの貼り替えがある場合は、ラベルが剥がしやすいシール座の追加がおすすめです。

> シール座付きの製品を見る

カードホルダーを追加する

紙で管理している場合は、水濡れや汚れを防ぐカードホルダーの追加がおすすめです。

> カードホルダー付きの製品を見る

 

 

自動化・ロボット化に対応したステンレス容器を設計・製作できます

ご希望のステンレス容器や使用環境などの詳細をお聞かせください。最適なステンレス容器をご提案します。製作可否や見積など、気軽にお問い合わせください。

 問い合わせフォームへ進む  

バフ研磨はしないほうがいい?ステンレス容器メーカーのこだわりとは
2022/02/09 09:00

ステンレス製品の最後の仕上げに行われることの多い「バフ研磨」。一般的に、ステンレスの表面がぴかぴかになっているのはバフ研磨をおこなっているからです。

バフ研磨を行うと、加工時についたバリや傷を除去したり、表面の平滑度を向上できます。とても綺麗な見た目に仕上がるため、バフ研磨を行うことが一般的です。

しかし、綺麗なのはあくまでも「見た目」。基本的にはバフ研磨をしないほうが、綺麗な状態を保てるのです。この記事ではその理由と、MONOVATEのこだわり・考え方についてご説明します。

1. バフ研磨は「しないほうがいい」

1.1. そもそも「バフ研磨」とは

バフ研磨はステンレスの表面を仕上げるために行われる、一般的な研磨方法です。綿やフェルトでできた円盤状の「バフ」を高速回転する工具などに取り付け、ステンレスの表面に回転させながら当てて研磨します。

この目的は、主に表面を綺麗にするためです。加工時についたバリや傷、汚れなどを除去し、表面を滑らかにします。また、表面がピカピカになるため、見た目を良くする観点からも最終仕上げに行われることが多い研磨です。

研磨の粗さ(細やかさ)を表す際には、「番手」と呼ばれる数字で区別することが多いです。一般的に数字が大きくなるほど目が細かくなり、ステンレス表面の光沢が強くなります。特に、800番のバフ研磨は鏡面加工と呼ばれ、鏡のような光沢が生まれます。

1.2. バフ研磨にはデメリットも

その一方で、バフ研磨にはデメリットもあります。バフ研磨は表面をピカピカにしますが、実際には必ずしも綺麗にできているわけではありません。

バフ研磨をする際には、バフに「研磨剤」と呼ばれる磨き粉のようなものを塗布します。すると、この研磨剤の油がステンレス表面の目に見えない細かな傷に入り込んでしまうのです。

もちろん、研磨後に洗浄を行いますが、この油を完全に除去することは難しいのが現実です。一般的にはこうした残留物が何かに影響を与えることはありませんが、製薬工程等の特にサニタリー性が求められる現場では好まれません。

2. バフ研磨したステンレス表面を見てみると

では、バフ研磨したステンレスとそうでないものとでは、その表面にどれだけの差があるのでしょうか。目視で確認することはできないので、走査電子顕微鏡(SEM)を使って撮影したステンレス表面の写真(SEM画像)を見てみましょう。

2B材 研磨前

2B材 #320バフ研磨

上掲の画像は、一般的に使用されることの多い「2B材」のステンレス表面を写したものです。バフ研磨をすると、もともとあったウロコのような凹凸はなくなりますが一定方向に長い傷がつきます。画像上に見える黒い斑点は研磨剤等の汚れで、研磨により生じた表面に残存してしまうことがわかります。

一方で、この画像だと「研磨剤は多少残るかもしれないけど、バフ研磨をすることで圧倒的に綺麗になっているんじゃないの?」とお感じになる方もいらっしゃるかと思います。しかし、これはあくまで一般的に使用されることの多い「2B材」を写したもの。当社で主に使用している「BA材」で比較してみると、どうでしょうか。

BA材 研磨前

BA材 #320バフ研磨

ご覧のとおり、研磨後のほうが傷が増えてしまっていることがわかります。研磨前では深い傷や目立つ凹凸がなかったのに対し、研磨後は明らかに傷が増えてしまっています。また、そこに研磨剤等の汚れ(黒い点)が残存していることもおわかりいただけるでしょう。

3. MONOVATEのバフ研磨

MONOVATEでは、特別注文したBA材を中心に使用し製品を生産しています。BA材は光輝焼鈍(Bright annealing)という無酸化雰囲気にて熱処理したもので、表面に酸化スケールが生じず、非常に細かい表面粗度を持ちます。2B材よりもグレードの高い材料で、鏡のような光沢が特徴的です。

BA材のライト写り込み例
2B材のライト写り込み例

先ほどの画像でご覧いただいたとおり、当社で使用しているBA材はそのままの状態が一番綺麗です。バフ研磨をすると表面に傷がつき、そしてそこに研磨剤等が残存してしまいます。そうした研磨剤は、ルージュなどの原因になることもあります。

そこで当社では、極力バフ研磨をしないことをこだわりとしています。バフ研磨はあくまでも加工跡を除去する目的で、限られた範囲にのみ施します。下の画像のとおり、バフ研磨を施すのは容器全体のうち約6.5%に過ぎません(通常の容器の平均)。

一般的なバフ研磨

MONOVATEのバフ研磨
研磨跡

素材の段階から研磨の必要がない高品質なものを厳選し、極力傷をつけずに加工する。そして、求められる品質を満たすために必要な最低限の研磨を施し、オンリーワンの品質で提供する。これが当社の矜持です。

撹拌機を買いたい!と思ったら読む「撹拌機の購入を失敗しないコツ」
2021/12/01 09:00

撹拌機はさまざまなメーカーからいくつもの機種が発売されており、「種類が多すぎて、どれが良いのかわからない!」「ちゃんと混ざる?」「どうやって買うの?」と思われがちです。

このコラムでは、撹拌機を購入する際に知っておきたい撹拌機選びのコツや、撹拌機の購入方法についてご紹介します。撹拌機の購入を初めて担当する方、撹拌機を検討しようと思っている方におすすめです。

撹拌機の構造・駆動方式・設置方式・撹拌体に関しては、別のコラムで詳しくご紹介しています。

撹拌機の購入を失敗しない3つのコツ

コツ1:撹拌に関する5つの情報を把握する

購入する撹拌機を選ぶ前に、混ぜるもの、使う場所、撹拌の目的などの情報をまとめておくことが重要です。例えば、粘度が高い液を混ぜるのを考慮せずに撹拌機を選んでしまうと「うまく混ざらない」「すぐ壊れた」のような問題が起こりやすくなります。

このページでは、当社が撹拌機の選定で重視している5つの情報について解説します。この情報が具体的であればあるほど、撹拌機選びが成功すると言っても過言ではありません。

1-1 どのようなものを混ぜたいのか(内容物)

撹拌したい内容液の「具体的な名称(成分)」「粘度」「比重」「温度」「容量」などの情報が撹拌機選びには必要です。内容物の詳細がわかることで、撹拌にどのくらいのパワー(トルク)が必要になるかや、シャフトや撹拌体の材質と相性が良いかなどがわかってきます。

液体に固形物が含まれるときは、その名称や含有量(含有率)もまとめておくと良いでしょう。

1-2 どんなところで使うのか(使用環境)

撹拌機の使用環境(設置場所)によって適した撹拌機が異なるため、使用環境を把握しておくことが重要です。水がかかるような場所で使うのか、防爆エリアで使うのかでも、対応可能な撹拌機は異なります。

撹拌機は設置方法から選ぶこともできます。カクハン機座やタンクの縁などに設置する可搬型、蓋に設置する竪型 、タンク底部に設置する下部型があります。

1-3 なにをするために使うのか(用途/目的)

「混合」「分散」「溶解」「乳化」など、撹拌機にはさまざまな用途が考えられます。撹拌機を使いたい作業内容によって適した撹拌機が変わるため、撹拌機を購入する上で欠かせない情報です。

1-4 現状の課題や改良したいところは?

撹拌に関する課題を抱えていませんか?

特に撹拌機をすでにお使いの場合は、今回購入する撹拌機では改良したいところなど撹拌機に関するご要望があれば、撹拌機選びに反映させることができます。また、撹拌機によってはご希望にあわせた仕様にカスタマイズ(特注製作)できる場合もあります。

1-5 最も重視するところは?

作業性、撹拌性能、導入コストなど、ユーザー様や案件によって重視するところは異なります。また、設備の新規導入や入れ替えには、実際に使用する人をはじめとしてさまざまな部署や人が関わります。

撹拌機の購入をスムーズに進めるために、目的や要望、重視するところなどの情報を共有しておきましょう。

コツ2:撹拌機選定シートを活用する

撹拌に関する情報をまとめるといっても、さまざまな内容をまとめる必要があって大変な作業だなと感じてしまったでしょうか。

そこで当社では、記入していくだけで撹拌機の選定に必要な情報を簡単にまとめることができる撹拌機選定シート(ヒアリングシート)をご用意しています。記入できる内容から埋めていくことができ、最終的にA4用紙1枚サイズにまとめられるようになっています。
撹拌機選定シートは以下からすぐにダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

撹拌機選定シートPDF版 撹拌機選定シートExcel版

コツ3:プロに選んでもらう

撹拌機は、自分で選ぶよりも撹拌機のプロ(撹拌機メーカー)に選んでもらうのが確実です。今までの販売実績や撹拌実験などのデータから、自分で選ぶよりも最適な撹拌機を見つけ出してくれるはずです。特に初めて撹拌機を購入する場合や、初めて撹拌機の選定を担当するような場合は、まず撹拌機メーカーに相談されるのがおすすめです。

撹拌機メーカーが撹拌機を選ぶ際に必ずおこなうのは、コツ1の内容をお客様へヒアリングすることです。コツ1で書いたように、内容物や用途などによって最適な撹拌機が異なるからです。そのため、撹拌機メーカーへ選定を依頼される場合でも選定シートを活用し、事前に必要な情報をまとめておくと良いでしょう。

撹拌機購入までの流れ

最後に、当社にお問い合わせいただいた場合の撹拌機購入までの流れを簡単にまとめます。
※お問い合わせ内容や問い合わせ先(メーカー)により、異なる流れになる場合があります。

撹拌機の納期は、撹拌機の仕様やカスタマイズの有無によって数か月や半年程度かかることがあります。検討初期の段階で一度選定シートを添えてお問い合わせいただくことをおすすめします。

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【中途半端だと漏れの原因に】シャッター弁の正しい使い方
2021/11/10 09:00

MONOVATEの「シャッター弁」は粉粒体専用のバルブです。ステンレス製の弁をスライドさせることにより、弁の開閉をおこないます。開閉が簡単、さらに分解・組立・洗浄が容易なのが特長です。

シャッター弁は全開⇔全閉での使用・全量排出を前提としています。構造上、中途半端な開閉状態で使用すると、すき間から粉漏れする可能性があるからです。

「じゃあ実際にどれくらい漏れるの?」というお客さまの疑問にお答えするため、このコラムではシャッター弁を半開状態にして粉を投入したときに、どれだけ漏れが生じるのかを検証してみました。

1. シャッター弁は全開⇔全閉で使用する

実験を行う前に、シャッター弁の構造を確認しておきましょう。

シャッター弁は、開口用の穴が付いた板状の弁をスライドさせることで開閉を行います。全開にすると弁はドレン口と同じ口径がとれ、流れに対して障害物なく排出できる構造です。

本製品は全開⇔全閉での使用・全量排出を前提としています。下の画像のように、弁の穴の位置が内径と外装にまたがってあるとき、そのすき間からの漏れが懸念されるためです。

▲半開にした状態

2. 【実験】半開で投入したときの漏れ量はどれくらい?

では、実際にはどれくらい漏れてしまうものなのでしょうか。今回はシャッター弁を半開にした状態で下の3つの粉体を投入し、粉の漏れ具合を確認してみました。

  • 薄力粉
  • パン粉
  • 粗塩

2.1. 薄力粉-勢いよく漏れた

まずは、今回実験に使う材料の中で、最も粒子が小さい薄力粉から試してみましょう。シャッター弁を半分開いたまま勢いよく投入すると、以下のようになりました。

ご覧いただけるように、すき間から粉が噴き出すように漏れ出しています。シャッター弁を完全に開かないとすき間が生じ、粉漏れの原因となることがあります。

弁を完全に開けた状態だとどうなる?

弁を完全に開けた状態で投入すれば、粉は漏れ出しません。弁を完全に開け、PTFEパッキンのすき間を埋めることができていれば粉が漏れ出す心配はないでしょう。

※動画では投入部から舞い上がってしまったものが床に落下しています

2.2. パン粉-細かなもののみ漏れた

続いて、パン粉を投入してみましょう。薄力粉よりも粗い粉体のため、先ほどよりは漏れは少なくなると予想されますが、結果はどうなるでしょうか。

先ほどよりは少ないですが、細かなパン粉は漏れ出してしまいました。

2.3. 粗塩-わずかに漏れた

最後に、粗塩を投入してみます。先の2種に比べて比重が大きいので、漏れは生じにくいと考えられます。

ご覧いただいたように、数粒漏れ出しました。やはり半開状態ではすき間が空いてしまっている以上、漏れは避けられないようです。

3. 排出量に応じた排出口径を選択しよう

シャッター弁を半開にした状態で使用すると、程度の差こそあれ粉漏れしてしまうことがわかりました。

粒径により漏れ出さない粉体もありますが、ねじをどれくらい締め付けるかによりすき間の大きさが変化するため、「粒径が○○以下なら漏れません」と明確に述べることができません。

そのため、基本的にシャッター弁での流量調整は推奨していません。排出量に応じた排出口径を選択し、全量排出を前提としたうえで全開⇔全閉で使用するようにしてください。

開閉・分解・組立が簡単な「シャッター弁」

開口用の穴が付いた弁をスライドさせることで開閉する「シャッター弁」は、全開・全閉を素早くできるのが特長。すべて分解・組立できるので、洗浄も容易でサニタリー性に優れています

排出口径のラインナップなどの詳細情報は製品ページをご覧ください。

\ 構造紹介の動画もこちらから /

製品ページを確認する

「のぞき窓は真空で使えるの?」実験しました
2021/10/11 09:00

「のぞき窓は真空用途でも使えるの?」とお問い合わせをいただくことがあります。
このコラムでは真空に関する超基礎的なお話と、のぞき窓の真空用途での使用について検証のようすをご紹介します。

▼ のぞき窓真空実験と結果だけ確認する

そもそも真空って何?

「真空」というと、宇宙空間のようにまったく空気がない状態…を思い浮かべる方が多いかもしれません。
辞書的にはそのような意味を指すこともありますが、実はJIS(日本産業規格)ではもう少し広い意味を指します。

「通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間の状態」

たとえば、ストローでコップの飲み物を吸いあげるのも真空を利用したものです。
息を吸い込むことでストロー内の圧力が他の場所より低く(真空状態に)なります。コップの飲み物はより低圧の空間に移動しようとするので、結果として飲み物が吸いあがり、私たちはストローで飲み物を飲むことができます。

皆さんが思っているよりも真空は定義が広く、また身近なところに存在します。

身近な「真空」の例

  • 吸盤:壁との間を真空状態にし、外側から大気圧で押さえつける(壁などにくっつく)
  • 魔法瓶:空気を通って熱が移動するのを防ぐ(中身を保温する)
  • 食品の真空パック:空気を遮断し、酸素による酸化やカビの発生を防ぐ(劣化を防ぐ)

弊社の圧力容器も、真空と組み合わせて以下のような使い方でご採用いただいています。

  • 吸引ろ過:フィルター越しに液体等を引き込んで異物を除去する
  • 脱泡:撹拌により泡立った液体から気泡を除去する 等

※弊社の圧力容器を真空でご利用いただく場合、容器の強度面には問題がなく、ポンプで引き続けるような使い方であれば可能です。ただし真空状態を長期間保持するような使い方の場合、シール材の透過性を考慮する必要があり、現状では保証外となっております。

かなり簡単にですが、「真空」についてご説明いたしました。

実験

今回は以下のような条件で実験を行いました。

使用した製品

* 容器のシール部はシリコン製のOリングを使用
* ワイパーの軸がガラスを貫通しており リークの可能性が高いと想定される形状ののぞき窓を選定しました

実験の流れ

  • 容器を真空ポンプに接続し-0.1MPaまで減圧、真空状態に。
  • ポンプの運転を止め、真空状態を保持。
  • 「ワイパー接続部から容器内の真空状態に影響を及ぼさないか」「のぞき窓のワイパーを動かしても容器内の圧力に変動が無いか」を確認。

結果

ワイパー付きのぞき窓からリークすることなく使用することができました。

▲ ワイパー付きのぞき窓がついていても真空状態を保持。

▲ また、ワイパーを動かしても容器内の圧力は変化しませんでした。

あわせて読みたいコラム

 

 

ステンレス容器の耐熱温度と加熱に関するあれこれ
2021/09/06 09:00

お客様より、ステンレス容器の耐熱温度は何℃ですか?とご質問いただくことがあります。
このコラムでは、ステンレス容器の耐熱温度と、ステンレス容器を使って内容物を加熱(加温/昇温)するときの注意点、加熱に関するよくある質問についてご紹介します。

ステンレス容器の耐熱温度

耐熱温度は、ステンレス鋼の種類によって異なります。
弊社製ステンレス容器で主に使用している、SUS304(18-8ステンレス)ステンレス鋼自体の耐熱温度は700℃~800℃程度ですが、300℃以上になると焼色(テンパーカラー)が付きます。

弊社製ステンレス容器は薄板で製作しており、高温になると焼色だけでなく歪みなどが生じて使用に支障が出やすくなりますので、耐熱温度は約300℃としています。(耐寒温度は-273℃)

※焼色の色は素材・温度・表面状態などにより異なります。
※他社製品の耐熱温度につきましては、製品のメーカーさまにお問い合わせください。

付属品の耐熱温度に注意

例えばパッキンが付属するステンレス容器の場合、ステンレスの耐熱温度がOKだとしても、パッキンの耐熱温度がNGである場合があります。
パッキンなどステンレス以外の付属品がある場合は、付属品自体の耐熱温度もご確認ください。
> パッキン特性一覧表

ステンレスは一度温まれば冷めにくい

ステンレス(SUS304)はアルミや銅などに比べると熱伝導性に劣り、温まるまでに時間がかかります。しかし保温性(蓄熱性)に優れており、一度温まれば冷めにくいのが特長です。

加えてステンレスは錆びにくく衛生的に永くご使用いただけるため、温調を伴う工程ではステンレス容器が選ばれています。

ステンレス容器を使って内容物を加熱するときの注意点

空焚きや密閉状態での加熱は絶対NG

空焚きや密閉状態での加熱は絶対におこなわないでください。
空焚きは火災などの原因になります。また、密閉したまま加熱すると内部の圧力が強まり爆発など思わぬ事故やケガの原因となります。
クリップ式やバンド式の密閉容器の場合は、クリップやバンドを外して開放状態で加熱してください。

火傷の対策をする

加熱されたステンレス容器は表面も高温になっており、誤って触れると火傷します。
火傷の対策として、断熱カバーとよばれる保護カバーを容器の外面に巻き付けて断熱することや、標準で断熱槽が付いているステンレス容器がおすすめです。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
> 温調効率アップや火傷防止に!ジャケットタンクの断熱方法とは?

周囲温度で昇温スピードは変わる

ヒーター付きのステンレス容器など、昇温を目的としたステンレス容器の場合は、「どのくらいの時間で昇温できるか」が重要になります。
希望に適した機器の選定はもちろんですが、設置場所の周囲温度が低い場合は、熱が奪われてしまうため昇温のスピードが遅くなりますし、ステンレス容器からの放熱があれば周囲温度は上昇してしまいます。
周囲温度からの影響、周囲温度への影響を抑えるには、上で述べた火傷の対策と同様に断熱することが有効です。

ステンレス容器を使った加熱に関するよくある質問

ステンレス容器はガスコンロやIHで加熱できる?

弊社製のステンレス容器(特に寸胴鍋のような形状のもの)は主に貯蔵での使用を想定し、薄板のステンレス材で製作しています。
そのためガスコンロ等で加熱すると容器が変形・変色する可能性があります。
空焚きや密閉状態でなければ加熱自体は可能ですが、加熱による変形や変色などについては保証対象外です。
IHはオールメタル対応品でのみ使用できますが、対応可否についてはIHメーカーへお問い合わせください。

焦げ付きやすい内容物はどう加熱したらよい?

内容物の温度にムラが出ないないように撹拌しながら昇温させること、湯せんのような方法をとることで焦げ付きにくくなります。
おすすめの製品はこちら

容器メーカーおすすめの温調方法は?

加温のみでOKな場合、加温・冷却いずれも必要な場合などで変わってきます。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
ステンレス容器の温調方法

加熱後に容器の蓋を閉めて保管していたら、蓋が開かなくなってしまった

容器内部の温度が蓋を閉めたときよりも冷えると、容器内が減圧状態となり蓋が開かなくなります。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
蓋が開かない!ステンレス容器の蓋が開かないときの対処法

ステンレス製品は滅菌できる?

ステンレス自体は滅菌できますが、ステンレス製品には滅菌できるものとできないものがあります。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
ステンレス製品の滅菌で気になる3つのこと

 

もっとうまく加熱できないかな?と思ったら

加熱に時間がかかっていたり、混ざりにくい・溶けにくいなどのちょっとクセのある内容物だったり…加熱に関するお悩みや改善したい課題などがございましたら、まずはMONOVATEまで気軽にご相談ください。
どのような検討段階であっても問題ありません。
オーダーメイドの実績も多く、1つ1つの問題に向き合い最適な製品をご提案いたします。

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