技術コラム

【実験】小麦粉・抹茶のラットホールを解消するには?エアレーションホッパーの効果を検証
2024/04/10 09:00

粉体はその性質や取り扱う環境により振る舞いが大きく変わるため、取り扱いが非常に困難です。
当社にも粉体の取り扱いに関する相談が日々寄せられており、中でも「ブリッジやラットホールなどの粉詰まりが発生し次工程に十分な量を供給できない」という内容が多く届けられています。

当社ではそうした課題を解決する「エアレーションホッパー」をラインナップしており、お客様に安心して製品を選んでいただけるよう、その効果を実証する実験を行いました。

ラットホールやブリッジを解消するエアレーションホッパーとは?

エアレーションホッパーとは粉体原料ホッパーの排出口にクランプで取り付けるアタッチメントです。
内部に向かってエアーが吹き出すことで粉体を流動化します。これによりラットホールやブリッジのような粉詰まりを解消し、スムーズな排出を促します。

エアレーションホッパーの詳細を見る

実験概要

今回は抹茶と小麦粉を使ってエアレーションホッパーの効果検証を行いました。

実験レイアウト図

角度60°のホッパー(画像左)に入った抹茶・小麦粉を空気輸送機で画像右のタンクへ搬送。
ホッパーに取り付けたエアレーションホッパーを作動させた場合・させなかった場合で、ホッパーからの粉体排出状況を比較しました。

結果(抹茶の場合)

エアレーションホッパー作動なし
エアレーションホッパー作動あり

エアレーションホッパーの作動有無に関わらず、空気輸送機を作動させてすぐに排出口の上部だけ粉体が抜けました。(=ラットホール)
ホッパー内にはドーナツ状に抹茶が残り、この状態で空気輸送機を動かしてもそれ以上抹茶を搬送することはできません。

ホッパーの角度を変えてみる

ホッパーの脚を片側だけ持ち上げ偏心状態にする

そこでホッパーの脚を片脚だけ持ち上げ偏心させました。
すると角度が急になった側からラットホールが崩れ、抹茶をホッパーから排出できるようになりました。

抹茶をホッパーからスムーズに排出・搬送するには、エアレーションホッパーのみではなく、ホッパーの角度設計やノッカー設置といった更なるラットホール対策が重要であることがわかりました。

偏心ホッパー 製作イメージ

脚付・ホッパー部のみなど用途に応じて製作可能です。

結果(小麦粉の場合)

同様に小麦粉でも実験をおこないます。

エアレーションホッパー作動なし→ラットホールができる
エアレーションホッパー作動あり→全量排出

こちらはエアレーションホッパーの作動有無で大きく差が出ました。
抹茶のように空気輸送開始後すぐにラットホールを形成することはありませんでした。しかしエアレーションホッパーを作動させない場合、小麦粉の残量が少なくなるとラットホールができ、搬送が進まない状態になりました。(画像左)

一方エアレーションホッパーを作動させた場合、ラットホールを形成せず最後まで小麦粉を搬送できました。(画像右)
またエアレーションホッパーで小麦粉を流動化させることで、エアレーションホッパーを作動させない場合に比べ平均して2.87倍の粉体を搬送することができました。
より短時間で大量の小麦粉を運ぶことができ、工数削減・空気輸送機作動に使うエアー量の削減といった効果を見込めます。

搬送能力(kg/h) 空気輸送機
供給圧力(MPa)
エアレーションホッパー
消費圧力(L/min)
なし 256 0.37 -
あり 735 0.37 14
比較値 2.87 - -

※搬送能力(kg/h)は粉体搬送を複数回繰り返した結果の平均値です。

MONOVATEではデモを受付中

エアレーションホッパーは粉のスムーズな排出を促し、粉詰まりを解消したい・粉体搬送の工数を短くしたい・空気輸送機を買い替えずに搬送量を増やしたいといったニーズに応えます。
一方で今回と抹茶と小麦粉の例のように、同じ対策を行っても粉体の種類により結果が異なる場合も多数ございます。

当社ではお客様の課題に合った対策を見つけるためにデモ実験を承っております。
今回のような粉体排出・搬送のほか、液体やスラリーの撹拌実験なども実施可能です。 実機の使用感などもお試しいただけますので、導入ご検討の際にはぜひご活用ください。

デモのご要望や設備検討のご相談などがありましたらお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

ステンレス容器でも内容物の残量を簡単に確認したい!
2024/02/06 09:00

ステンレス容器はガラスやプラスチック製の容器に比べ、耐久性やサニタリー性などの面で優れていますが、直接中身が見えないという弱点があります。

容器内でなにかを保存したり反応させる、あるいは混合させたりするときに中身を確認したいということはよくあるでしょう。しかし、通常のステンレス容器は本体・蓋とも不透明で中身を確認することはできません。

そこでこの記事では、ステンレス容器の内容物の残量やようすを確認できるようにするオプション・仕様をご紹介します。

1. 残量だけを見たい

内容物の残量さえわかればよいという場合には、「レベル計」で水位を見たり、「レベルセンサー」を取り付けて測定する方法があります。

1-1. レベル計

ステンレス容器の側面に取り付けるPFAチューブ型のレベル計です。

level leveicad

PFAチューブに通る内容物から簡単に残量を確認できます。チューブの長さは任意に設定可能です。
PFAチューブとステンレス容器を接続する継手はSUS316製です。ステンレス容器に付いたソケットにねじ込んで取り付けするタイプとなります。
ステンレス加圧容器でも使用できます(~0.4MPa)。

詳しい製品情報を見る

実際の使用イメージ

▲ 容器の外側から水位を確認できます
▲ レベル計の内面

容器に入れた液体の一部がチューブ内に入り水位が見えるという構造です。
このため液体の均一性が重視される撹拌工程や、洗浄のしやすさが重視される工程ではデッドスペースになり不向きな場合があります

レベル計のオーダーメイド事例

カバー付レベル計

レベル計のチューブ部分を保護するため、ステンレス製のカバーを取り付けました。カバーにレーザーマーキングなどで目盛をつければ、以下のような用途でより便利になります。

  • 供給タンクの内容物の補充点管理に
  • ジャケット容器のジャケット槽水位管理に

ジャケット容器とは内容物の温調ができる二槽式の容器で、ジャケットに溜まった水を熱媒として内容物を温めたり冷やしたりします。十分な水位がないと温調効率が低下するため水位の管理は重要です。

「洗浄時にレベル計を外して洗えますか?」

ソケットにねじ込んで接続するタイプは取り外しができません。
洗浄時にレベル計をステンレス容器から取り外して洗浄したい場合には、取り外しの出来るソケット型ジョイントを使用したヘルール接続タイプのレベル計を取り付けいたします。
お問い合わせやお見積り時にご要望をお伝えいただければ、内容物に最適なレベル計をご提案いたします。

1-2. レベルセンサー

ステンレス容器自体を加工せずに、内容物の残量を確認する方法です。

レベルセンサー(液面計)と呼ばれる機器を使用し、液面の高さを計測します。

例)フロート式液面計、静電容量式液面計、超音波式液面計

レベルセンサーの種類や詳細は下記の記事でご説明しています。あわせてご覧ください。

レベルセンサーの種類について知る

2. 内部のようすも見たい

残量を確認するだけでなく、内容物のようすも確認したいという方には、角フランジのぞき窓①目盛り加工+②内容物が見える蓋の組み合わせがおすすめです。以下でそれぞれについてご説明します。

2-1. 角フランジのぞき窓【KNM】

ステンレス容器の側面に取り付ける、長方形ののぞき窓です。ガラス部から内容物の残量を一目で確認できます。また液面だけでなく液中の状態確認も可能です。

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角フランジのぞき窓の可視範囲は、用途や内容物に応じて決めることができます。
フランジやカバー、ネジはSUS304製で、シリコンゴム製のパッキンが付属します。
ネジで取り付けているだけなので、分解や洗浄が簡単です。

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実際の使用イメージ

▲ 外側から見たようす
▲ 角フランジのぞき窓の内面

※写真は明るさ190ルクス程度の室内で撮影。

レベル計同様大まかな水位がわかります。
設置部の内面は容器の外側に向かってやや出っ張るような構造です。レベル計と比較して容器内にデッドスペースを作らないので、原料混合用の容器や洗浄性が重視される容器でも安心してお使いいただけます。

蓋に光源を取り入れる部分を設けると、容器内が明るくなり視認性がUPします。投入口のように蓋の一部が開閉する仕様や、のぞき窓(サイトグラス)を併用するといった方法があります。

角フランジのぞき窓のオーダーメイド事例

角フランジのぞき窓特注イメージ

目盛り板の取り付け

ご要望に応じてカバー部に目盛りを付けることができます。

ステンレスホッパーに取り付けできますか?

可能です。粉体投入用のステンレスホッパーなどに取り付け実績がございます。

2-2. 目盛り加工

ステンレス容器に目盛りを付けて残量を確認できるようにします。以下では二つの加工方法をご紹介します。

目盛り加工(打刻)

ステンレス容器に目盛りを直接打刻する加工方法です。

目盛付容器(蓋無しイメージ)

物理的に凹凸を作るので、目盛りが消えることはありません。
目盛りの間隔や数は、内容物や用途などご要望に応じて任意の場所や個数に決めることができます。

詳しい製品情報を見る

目盛り加工のオーダーメイド例

目盛イメージ

10L毎の目盛りを長くする

目盛りの長さは弊社では25mmが標準ですが、目盛りの長さを長くすることも可能です。

目盛りは何か所から加工できますか?

目盛りは1か所から加工することができます。
ただし目盛りの間隔が狭いなど加工ができない場合もあります。

目盛り加工(内面マーキング)

ステンレス容器の内面にレーザーマーキングにて目盛りを加工する方法です。

▲ マーキングのイメージ

打刻と違い、容器内面に凹凸ができないため粉などが溜まりません。
また印刷目盛のように剥離して異物になることもありません。
目盛りの大きさや数、内容物や用途に応じて任意に決められます。数字や文字の刻印も可能です。
※写真の容器はマーキング後電解研磨したものです。

レーザーマーキングとは何ですか?

ステンレス容器のバリデーション管理にも使用される印字方法です。
ステンレスの表面をわずかに削りマーキングするため異物にならず、洗浄しても消えることはありません。

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2-3 内容物が見える蓋

ステンレス容器の内部を簡単に確認できるようにするために、蓋に「のぞき窓」を付けたり、蓋に透明素材を採用したりする方法があります。

のぞき窓【NMシリーズ】

ステンレス容器の蓋に設置したヘルールに取り付けるサイトグラスです。
写真のようにガラスとカバーのみのシンプルな構造のほか、蒸気や内容物の飛散で窓が曇っても視界を確保できるワイパー付き、LEDライト付き、ネットワークカメラ付きなど様々な種類があります。
ヘルール接続のため簡単に取り外しでき、分解や洗浄ができます。

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実際の使用イメージ

▲ 目をしっかり近づけて容器内を見た場合
▲ さっとのぞき込む姿勢の場合(窓と顔の間に距離がある状態)

※写真は明るさ190ルクス程度の室内で撮影。

のぞき窓を覆うようにしっかりと顔を近づければ、内部の状態をかなりクリアに確認できます。(写真左)
写真では水面の位置を確認しづらいですが、実際は水面の反射や揺らぎがありもう少し判別しやすいです。

一方でのぞき窓の斜め上あたりからさっとのぞき込むような姿勢の場合、ガラスに反射して天井が映り込む場合があります。(写真右)
先述の通りしっかりのぞき窓に顔を近づければ解消できますが、あまり姿勢を変えず”ぱっと見”で確認したい といったニーズがある場合、やや使いづらさを感じられるかもしれません。
そういった場合には、可視範囲を広く確保できる方法(この後ご紹介するアクリル蓋や分割蓋など)がおすすめです。

のぞき窓のオーダーメイド事例

「赤外窓仕様ののぞき窓」

放射温度計で内部温度測定ができるように窓ガラスを赤外窓仕様にしました。
のぞき窓の標準ガラスは耐熱強化ガラスですが、お客様のご希望や使用状況に合わせてガラス窓の仕様変更が可能です。

透明アクリル蓋付容器

通常のステンレス製の蓋ではなく、透明素材の蓋を採用した製品です。

CTH-AF製品写真

蓋には食品衛生法に適合した透明アクリル樹脂を使用。ガラスに比べ透明度や耐衝撃性に優れ、万が一破損したとしても破片が大きく飛び散らず安全です。

のぞき窓に比べ蓋全体が可視範囲になるので、内容物のようすをよく確認できます。

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分割蓋

蓋に開口部を設け、簡単に内容物を確認できるようにしたステンレス製の蓋もあります。

分割蓋は蓋を半分ずつ完全に取り外せるのが特長で、その広い開口部から内容物を確認できます。水や汚れが溜まりにくい構造になっており、衛生面にも配慮しています。

また、分割蓋と異なり完全に取り外すことはできませんが、一部を開閉できるようになっている「割蓋シリーズ」もあります。

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省スペースで効率よく流体を冷却できる「熱交換器」とは
2024/01/10 09:00

当社ではクラフトビール用のタンクを製造販売しています。製造工程に応じて、煮沸・糖化・発酵用の3タイプのタンクをご用意しておりますが、これからクラフトビール事業をはじめようと思われている方が簡単に設備をご導入いただけるよう、当社ではその他の関連機器もまとめてご提案、販売しています。

その中の一つが「熱交換器」。熱交換器はエアコンやラジエターのように、温度の高い流体から低い流体に熱エネルギーを移動(交換)させるための装置です。

このたび、プレート式熱交換器のシェア国内首位で、当社でも製品をお取り扱いしている「株式会社日阪製作所」さまを訪問しました。本記事ではその際にご紹介いただいた熱交換器の基本と、当社のクラフトビールタンクについてご説明します。

1. MONOVATEのクラフトビールタンク

当社では糖化・煮沸・発酵の3工程に適したステンレスタンクをご用意しています。約1000L程度までの容量で製作でき、比較的スペースに制限のあるマイクロブルワリーなどでご使用いただいています。

製品をただお納めして終わりではなく、当社ではタンクのご検討から納入まですべてサポートしているのが特長。一点からオーダーメイドできることもあり、さまざまな制約やお客さまのこだわりに応じて、最適な仕様のタンクをご提案できます。

また、タンクとあわせて熱交換器やポンプなど、必要な設備をまとめてご購入いただくことも可能です。複数の業者にコンタクトをとり、それぞれからご購入いただく手間がありません。

2. 熱を効率的に下げる「熱交換器」

2.1. スペースを抑え効率的に冷却できる

必要な設備の一例として挙げた「熱交換器」は、クラフトビール製造工程においては煮沸タンクから発酵タンクへ麦汁を移す際に使用します。煮沸段階で100℃に熱した麦汁を、酵母が発酵できる温度まで冷却し、発酵タンクに移動させます。その際に使用するのが熱交換器です。

らせん状に巻いたホース、いわゆる蛇管で冷却する方法もありますが、スペースを必要とするほか、洗浄性がいま一つです。なにより、冷却に時間がかかるとビールの味や品質に影響が出てしまう可能性があります。

熱交換器には複数の種類がありますが、その中でも当社からの採用実績があり、省スペースでおすすめなのがプレート式熱交換器です。

2.2 省スペースでメンテナンスも簡単なプレート式熱交換器

プレート式熱交換器とは、波形状の薄い金属プレートを交互に重ね、そのプレートの間に交互に高温の流体と低温の流体が流れることにより熱交換を行う機器です。

出典元:日阪製作所 プレート式熱交換機

熱交換効率が高いため速やかに冷却出来ることに加え、設置に要する面積が小さく済むのが特長であるため、作業スペースに制限のあるマイクロブルワリーのお客さまに定評があります。

また、プレートとガスケットをボルトで締め付けたシンプルな構造であるため、簡単に分解洗浄することができます。今回訪問させていただいた日阪製作所さまでは、オンラインショップでガスケットを販売しているので、ご自身で簡単にセルフメンテナンスが可能できることも利点です。

日阪製作所さまは当社と同様、国内に拠点を置いています。購入前のご相談から購入後のメンテナンスに至るまで、密にコミュニケーションを取りながら、お客さまのニーズに合った製品をご提案できることが強みとのことでした。

3. すべてまとめてご提案できます

当社はオーダーメイドで、一点からお客さまのニーズに合ったステンレス容器や撹拌装置を製造販売しています。

しかし、ただ単に容器や装置をオーダーメイドで製作するのではなく、私たちはお客さまのニーズを叶えるための「ご提案」をオーダーメイドで作ります。

本記事でご紹介した日阪製作所さまはもとより、当社のステンレス容器や撹拌装置とお客さまのニーズを実現するために必要なその他機器を選定し、まとめてご提案できるのが当社の特長です。

具体的なご要望はもちろんのこと、漠然とした「○○をしたい」という内容でも差し支えございませんので、お悩みのことがありましたらお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

「のぞき窓」のよくある質問をまとめました
2023/10/11 09:00

このコラムでは弊社ののぞき窓(サイトグラス)について、お客さまから実際にいただいたご質問をまとめました。

こちらに記載している内容はあくまで弊社の標準的なラインナップを基準とした内容ですので、「この場合はどうなの?」など製品検討にあたりご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
ご利用の環境を考慮して「○○を変更すればご利用可能です」など回答を差し上げます。

平パッキンやガラスなど、部品のみの購入は可能ですか?

→ 可能です

特定の型式などはございませんので、のぞき窓自体をご購入いただいた際の「型式」などと併せて弊社もしくは販売店さまにご連絡いただくとスムーズです。
(例)NMB-4Sの平パッキンが1点欲しい

材質の変更は可能ですか?

→ 可能です

窓枠はステンレス(SUS304とSUS316L)を使用していますが、すべてSUS316Lに変更し、より耐食性にすぐれた仕様にすることもできます。

その他部品も材質変更可能です。
一例ですが、ガラス(標準:耐熱強化ガラス)は石英・ポリカボネート・アクリル・ゲルマニウムなどへの変更、
窓枠とガラスのシール部に使用する平パッキン(標準:シリコン)はPTFE・FKM・EPDMなどへの変更実績がございます。

いずれも使用環境や内容物との相性に応じて選択が可能です
一般的に入手可能な材質でしたら基本的に対応可能ですので、ご希望の材質がございましたら一度お問い合わせください。

パッキンの材質による違いをご覧になりたい方へ:コラム「密閉に欠かせないパッキンの材質と特性」
ガラスの材質をゲルマニウムに変更し内部温度測定を可能に:採用事例「のぞき窓 赤外窓仕様」

ラインナップに無いサイズの製作は可能ですか?

→ 基本的には製作可能です

たとえば【NM】のぞき窓の3.5Sヘルールサイズや、【NMB】のぞき窓(一体型)の40Aサイズなど、ラインナップにないサイズでも一般的なヘルールやフランジのサイズでしたら製作可能な場合がほとんどです。
あまりにも可視範囲が狭くなってしまうなど、製品を使用する上で支障をきたすと想定される場合には一度仕様を確認させていただく場合もございます。

高温下で使用したいです。耐熱温度はどのくらいですか?

  • 窓のみのシリーズ…~150℃
  • ワイパー付きシリーズ…~100℃
  • ライト付きシリーズ…~45℃

上記より温度が高い環境で使用される場合、ガラスやパッキンの材質を変更すればご利用いただける場合がございます。
たとえば、ワイパー付きシリーズはパッキンの材質変更で~200℃で使用が可能です。

真空での使用は可能でしょうか?

一時的に真空になるような使い方であれば可能です。
真空状態を長時間保持するような使い方の場合は、シール材の透過性を考慮する必要があるため、現状では保証外となっております。

また真空用途の場合はシール性に優れた一体型(NMB)シリーズのご使用をおすすめしております。

▲ 一体型シリーズ(NMB)

参考 ワイパー付きのぞき窓(NMBW-4S)を-0.1MPaで使用する実証コラム(-0.1MPaを1時間保持): 「のぞき窓は真空で使えるの?」実験しました

ちなみに加圧の場合、ヘルールタイプのラインナップ品は1.5S/2S/3Sは~0.18MPa、4Sは~0.16MPaです。サイズにより異なりますのでご注意ください。

第二種圧力容器で使用できますか?

→標準でラインナップされているシリーズはご使用いただけません。

製作自体は可能です。圧力容器構造規格に則り設計いたしますので、製作の条件などをご記載のうえお問い合わせください。
また第二種圧力容器自体の製作実績も多数ございますので、メーカーをお探しでしたら併せてお問い合わせください。

第二種圧力容器について知りたい方へ:コラム「第一種圧力容器と第二種圧力容器の違いとは?」

20号タンクで使用できますか?

→ 採用実績はございますが、弊社では判断いたしかねます。
所轄の消防署へお問い合わせください。

20号タンクの設計に関する最終的な判断は、タンク設置箇所の所轄消防署に委ねられています。その細かい基準は地域により異なるため、弊社での判断が困難です。

一例ですが、標準ラインナップ品からガラスの材質を変更するだけでご使用可能になる場合もございます。 条件が明確になれば弊社での製作可否も判断が可能ですので、弊社までお問い合わせください。

20号タンクについて知りたい方へ:コラム「『20号タンク』ってなに?ざっくり説明します。」

こんな環境で使えるのぞき窓はありますか?

→ お気軽にお問い合わせください

実際にお客様が使用される環境においては様々な要素があり、ここまででご紹介した内容だけでは判断が難しいことも多いでしょう。
必要な仕様や考慮すべき事項など検討にお困りの際にはお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

のぞき窓のラインナップ

このコラムでご紹介したシリーズはこちらです。この他にも用途に応じたラインナップがございます。

のぞき窓の製品ラインナップを見る

また、実際にお客様にご採用いただいたカスタマイズ事例もございます。

のぞき窓の【採用事例】を見る

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密閉に欠かせないパッキンの材質と特性
2023/09/05 09:00

【技術情報】パッキン材質の種類と特性

ステンレス容器の密閉にはパッキンが必須。パッキンとは、蓋やその他接続部の間に挟み隙間をふさぐための部品で、内容物の漏出や異物混入を防ぐ役割があります。「シール」の一種です。

パッキンにはさまざまな材質、形状、厚みのものがあり、内容物や使用される環境によって選定する必要があります。相性の良いパッキンを選定しなければ、パッキンが膨潤、変形し、剥離してしまうこともあります。とりわけ密閉容器に関しては、その密閉度に大きく影響を与えてしまう可能性があるのです。

今回は、ステンレス容器に使われているパッキンの材質とその特徴についてご紹介します。

代表的な6種類のパッキン材質

この記事では、以下6種類のパッキンについてそれぞれの特長と欠点をご説明します。

シリコーンゴム(Q) -Silicone rubber- (弊社名:シリコン) 

シリコーンゴム例

耐候性、耐薬品性、非粘着性、耐オゾン性などの特性を持ち、難燃性、撥水性、電気絶縁性などに優れています。工業用途だけでなく家庭用品にもよく使われています。

弊社ステンレス密閉容器用パッキンの標準材質です。>シリコンパッキン
※使用温度範囲:-70℃~+200℃

○特長

■耐候性
酸素、オゾン、紫外線に対する安定性に優れ、長時間紫外線や風雨にさらされても特性はほとんど変化しません。

■耐薬品性
アルコールや希酸、希アルカリなどにはほとんど侵されません。

■撥水性
他のゴムより濡れにくく、防水シール材としても使われています。

■難燃性
炎を近づけても簡単には燃焼せず、着火した場合も煙や有毒ガスの発生がほとんどありません。

■非粘着性・非腐食性
離型性に優れており、離型剤としても使われています。また、化学的に不活性で他の物質を腐食させません。

■透明性・着色性
シリコーン本来の透明性に優れ、着色できます。>カラーパッキン
着色した場合もシーリング材としての基本的な性能は変わりません。

×欠点

  • 強酸に弱い
  • 非粘着性により一般の有機系接着剤ではほとんど接着できない
  • 引っ張り強度・引き裂き強度・耐摩耗性などの外的な力学的要素に弱い
  • 気体透過性が大きいため、気体を通しやすい(ただし水と水蒸気は分子の密度が異なるため、防水性が悪いわけではない)
  • 熱や紫外線で黄変することがある

パッキンがブヨブヨになる!?

パッキンと液体の相性によっては、パッキンが液体を吸収して膨張し、ブヨブヨになることがあります。このことを「膨潤」と呼びます。

これは液体がパッキンのゴムの分子間に入り込んでしまうことで生じます。その他にも、使用環境や液体との相性によってはパッキンに亀裂など劣化が生じる場合もありますので、最適なパッキンを選定する必要があります。

フッ素ゴム(FKM) -Fluorocarbon rubber-

工場、プラント

現在市販されているフッ素ゴムの場合、フッ化ビニリデン系フッ素ゴム(FKM)のものを指すことが一般的です。

フッ素ゴムはゴム材料中で最高の耐熱性を持ち、優れた耐油性、耐燃料性、耐薬品性を持つことから、自動車部品や化学プラントなど幅広い分野で使用されている合成ゴムです。

○特長

■耐熱性
使用温度範囲:-10℃~+230℃
シリコーンゴムに比べ長時間シール性能が維持できるため、高温部分のシールに使われます。

■耐油性
一部のリン酸エステル系の作動油を除き、鉱油のほとんどに高温まで耐えます。

×欠点

  • 耐寒性に劣る
  • 他のゴムに比べて非常に価格が高い
  • 有機酸、ケトン、エステル、アミン系の薬品には耐性がない

クロロプレンゴム(CR) -Polychloroprene rubber-

ウェットスーツ

古くから使用されている合成ゴムです。機械的強度、耐候性に優れ、それ以外の特性に対しても平均的でバランスが良いため幅広く使われています。難燃性、接着力(ゴムのりにした時)が強い、ガス透過率が低いなどの特長もあります。ウェットスーツなどでも使用されている材質です。

※使用温度範囲:-35℃~+110℃

×欠点

  • 耐熱性に劣る
  • 低温時に結晶化しやすく、低温時の使用には向いていない

ニトリルゴム(NBR) -Nitrile butadiene rubber-

ゴム手袋

耐油性、耐摩耗・耐老化に優れた合成ゴムです。特に耐油性に優れています。
圧縮永久ひずみ、引張り強さ、耐磨耗性にも優れ、シール材や手袋の材料、自動車部品など様々な分野で使用されています。

※使用温度範囲:-10℃~+120℃

×欠点

  • 耐熱性に劣る
  • ケトンやエステルなどの極性溶剤には使用できない
  • 耐候性(耐オゾン性など)に劣る

 

なぜタイヤは黒色なのか

Tire

タイヤやウェットスーツ、パッキンなど、黒色のゴム製品を良く見かけます。特にタイヤは黒のイメージが強いですね。

これはゴムの強度や耐摩耗性を向上させるためにカーボンブラックという、黒色の炭素の微粒子を配合しているというのが主な理由です。ただし現在では、カーボンブラックの代わりにホワイトカーボンと呼ばれる白色のシリカを補強剤として使っているものも多くなり、黒色以外のゴム製品も増えています。

エチレンプロピレンゴム(EPDM) -Ethylene propylen diene rubber-

競技場

耐薬品性、耐寒性、耐オゾン性、耐老化性にすぐれた合成ゴムです。また、比重が市販ゴムの中で最も小さいなどの特長も持っています。オゾンに強く老化しにくいことから、自動車部品や競技場のトラックなどにも使用されています。

※使用温度範囲:-40℃~+140℃

×欠点

  • 耐油性に劣り、一般的な鉱油には耐性がない

四フッ化エチレン樹脂(PTFE) -Polytetrafluoroethylene plastics-

フライパン

フッ素樹脂とも呼ばれ、耐薬品性、耐オゾン性、耐候性に優れています。これまでご紹介した材質とは異なりゴムではなく、樹脂(プラスチック)です。最も摩擦が少ないほか絶縁性も高く、電気絶縁材としても優れた材料です。
非粘着性・低摩擦性(すべりやすい)により、摺動材としても使用されます。フライパンのコーティングなどでも有名です。このように優れた特性から、さまざまな分野で使用されています。>PTFEパッキン

■耐薬品性
どんな酸やアルカリ、有機薬品に対しても安定しており、吸湿・吸水・膨潤もなくほとんど侵されることがありません。

■耐熱性
使用温度範囲:-100℃~+260℃
広い温度範囲にわたって長時間の使用に耐えることができます。

×欠点

  • 価格が高い
  • 一品毎に削り出しのため量産ができない
  • 樹脂の為、パッキンとしてのシールが弱く密閉性に劣る
  • 磨耗しやすい
  • 非粘着性により、接着剤による接着ができない

パーフロ(FFKM) -Perfluoroelastomer-

PTFEは優れた耐薬品性を持っていますが、密閉性には劣るのが難点です。そこで、耐薬品性と密閉性を求めたい場合はパーフロを採用します。パーフロはパーフルオロエラストマーとも呼ばれ、フッ素ゴムの一種です。ゴムパッキンの中で最も耐薬品性・耐熱性に優れています。性能も良く需要も限定的となることから、非常に高価なゴムです。

ご注意

この記事は一般的な参考データであり、使用条件や環境により変わることがあります。

弊社では使用環境や内容物、コスト面などからお客様に応じて最適なパッキン材質を選定いたしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

パッキンの特性一覧表もご用意しています。>パッキンの特性一覧表

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このコラムでは、撹拌の位置によって変化する液流についてご紹介します。
上の画像は同じ内容物・撹拌機・回転数で撹拌しているようすですが、撹拌機を設置する位置を変更するだけで液の流れが大きく変化していることがわかります。混ぜる目的や内容物の性質に合わせて撹拌位置を調整することで、短時間で精度の高い撹拌を実現可能です。

またこのコラムの内容は動画でもご覧いただけます。
発生する液流のようすなど、詳しくご覧になりたい方におすすめです。 動画で内容を確認する

※本コラムでは弊社のベルヌーイ流撹拌機を使用した場合の一例としてご紹介いたします。
すべての撹拌機に当てはまるわけではありません。

撹拌条件

内容物:水100L+樹脂のビーズ
(ビーズについて、ピンク色は比重が軽いもの・黄色と緑色は比重が重いものです)

撹拌機 回転数:600rpm

使用する撹拌機:ベルヌーイ流撹拌機
生じる液流:①撹拌体の上下から引き込む液流(特に撹拌体の下から引き上げる液流を強く起こします)
②撹拌体の左右に吐出する液流
③槽の内壁に当たって生じる上下の液流

全体を均一に撹拌したい場合

撹拌するもの同士の比重差が小さく全体の均一化を目的とする撹拌の場合、容器の中ほどあたり、かつ容器の中心からずらして(=偏心)設置します。
撹拌機を槽の上に設置する場合の基本となる撹拌位置です。

偏心設置することで同心円的な液流ではなく、不規則な液流(乱流)が発生し撹拌効率が向上。
また液面に渦が発生するのを抑えるため、空気の巻き込みや泡立ちの抑制にも効果的です。

プロペラの羽根がつく一般的な撹拌機でもここにセッティングすることが多くなっています。

沈降を予防・解消したい場合

比重が重い・槽の排出ノズルに内容物が溜まってしまうといった沈降状態を予防・解消する撹拌の場合は、容器の下の方に位置に設置します。
冒頭でご紹介したようにこの実験で使用している撹拌機は吸い上げる液流を強く引き起こすため、これを利用して沈んだ内容物を引き上げ、混合します。

排出ノズルへの溜まりを解消する場合は撹拌体をノズルに近づけましょう。下から引き上げる液流が作用し溜まりを解消します。

水面付近をしっかり混ぜたい場合

比重が軽い内容物があり液面に浮いてしまう・材料を上から投入するため水面に強い液流を起こしたい場合、バッフル(邪魔板)を設置します。

バッフルとは撹拌槽内に乱流を引き起こすために設置する板状の部品です。
液流が板に当たることでより不規則な動きになり撹拌の効率を向上、また同心円的な動きを壊し液面に生じる渦を解消するといった効果があります。
比重が軽い内容物も、バッフルによる乱流である程度槽内に引き込むことができます。

また、撹拌体を逆に付けることで液面から強く引き込む液流を発生させることも可能です。大きく空気を巻き込むため、泡立ちなどを嫌う内容物の場合はご注意ください。

液流のようすを詳しく確認したい方へ:動画でご覧いただけます

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吸引ろ過容器と加圧ろ過容器 選ぶための4つのポイント
2023/07/12 09:00

MONOVATEでは吸引ろ過容器【QR-100M】加圧ろ過容器【PR-FP】という二つのろ過容器をラインナップしています。

その名のとおり、この2機種の違いはろ過の方式が異なる点にあります。それを含め、この2台にはどのような違いがあるのか、この記事でご説明します。

【違い1】 ろ過方式・精度と設備

一つ目の大きな違いは「ろ過方式」です。

その名のとおり、下記のように方式が異なります。

  • 吸引ろ過容器【QR-100M】:吸引ろ過(減圧ろ過)
  • 加圧ろ過容器【PR-FP】:加圧ろ過

この違いにともない、必要になる設備も異なります。

  • 吸引ろ過容器【QR-100M】:真空ポンプ
  • 加圧ろ過容器【PR-FP】:エアー設備

QR-100Mはポンプと接続し、容器内の空気を抜くことによってホッパー内に投入した材料をろ過します。ホッパーを外しヘルール部を閉止すれば、簡易的な真空脱泡にもお使いいただけます。

一方、PR-FPはあらかじめ設置する施設内にエアー設備が設けられている必要があります。本容器とその設備とを接続し、エアーを供給することによって、容器内に投入した材料をろ過する方式です。

たんぱく質などを含む溶液等、泡立ち変性などのリスクがある材料を扱う場合には、加圧ろ過方式であるPR-FPを使用するのが適切です。

【違い2】フィルター

フィルターには下記の違いがあります。

  • 吸引ろ過容器【QR-100M】:100メッシュのキャッチネット(標準仕様)
  • 加圧ろ過容器【PR-FP】:ろ紙(標準仕様)

標準仕様の場合、それぞれ上記のフィルターを使用します。

そのため、PR-FPでは都度ろ紙を用意する必要があるのに対し、QR-100Mではろ紙を用意する必要はないものの、都度フィルターを洗浄する必要性があります。

ろ紙よりも100メッシュのキャッチネットのほうが目は粗いので、果汁の種を取り除くなど、ろ過の速度を速めたいような目的の場合にはQR-100Mが適しています。

一方で、ろ紙を使用してより細やかなろ過のできるPR-FPは、化学・化粧品などの製造現場にて、何かを強制的にろ過したいような場合に適しています。ただし、ろ紙の粗さが適当なものでない場合には、ろ紙が裂ける可能性もありますので注意が必要です。

【違い3】ろ過面積

ろ過面積は、一度に投入できる量やろ過に要する時間などに影響してきます。

  • 吸引ろ過容器【QR-100M】:小さい(標準仕様で約18cm^2程度)
  • 加圧ろ過容器【PR-FP】:大きい(標準仕様で379~754cm^2程度)

QR-100Mはろ過面積が小さいので、特に液体に対して固体の量が多い場合には、一度に投入する量を調整する必要があります。場合によっては目詰まりしてしまう可能性もあるでしょう。ろ物が少ないものに適しています。

PR-FPは比較的大きいろ過面積となっているため、ろ物の目詰まりを防ぎながらスムーズなろ過を行えます。ろ物が多くても安心してお使いいただけます。

【違い4】投入・排出方法

ろ過したい材料の投入方法と、ろ液をどのように排出するかにも違いがあります。

  • 吸引ろ過容器【QR-100M】:ホッパーから連続投入→蓋を開けて排出(受け容器内に一度貯蔵)
  • 加圧ろ過容器【PR-FP】:バッチ投入→容器下部から排出

QR-100Mはホッパーから材料を連続投入できます。ろ過時にホッパーと容器との接続部を閉止する必要もないので、連続してホッパーに投入することが可能です。ただし、ホッパーに接続されている容器の中に受け容器があり、そこにろ液が排出されるので、連続してろ過できる量は受け容器の貯蔵可能量までとなります。

一方、PR-FPはバッチ投入になります。ろ過時は投入口を閉止する必要があるため、QR-100Mのように連続投入はできません。排出は容器下のヘルールから排出されるので、ホース接続をして別の設備等にそのまま供給することができます。

まとめ

この記事でご説明した違いをまとめると、以下の表のようになります。

違い 吸引ろ過容器 加圧ろ過容器
ろ過方式 吸引ろ過(減圧ろ過) 加圧ろ過
設備 真空ポンプ エアー設備
フィルター 100メッシュのキャッチネット ろ紙
ろ過面積 小さい 大きい
投入・排出方法 連続投入→受け容器に排出 バッチ投入→下部ドレンから排出

まずは、取り扱う材料が加減圧により変質しないかを確認します。それにより加減圧のいずれにより影響がある場合(影響を許容できない場合)には、その影響が出ない方式のものを選択します。

いずれの影響も問題がない場合には、ろ物の量で検討します。ろ物が多い場合、QR-100Mでは目詰まりを起こしてしまう可能性があるので、PR-FPのほうが適しているといえます。また、設置予定の施設にエアー供給設備があるかどうかも、選定を左右するでしょう。

ろ過容器の選定にお悩みの場合には、お気軽にお問い合わせください。最適なろ過容器の選定をサポートいたします。

また、お客さまのご要望をもとに、オーダーメイドで製作することも可能です。今回ご紹介した製品をベースに製作するのはもちろん、ニーズに合わせた形で一から設計・製作することもできます。まずはお客さまのご要望、いまの課題感をお聞かせください。

「投入や排出のロスを改善するカスタマイズ」を実績からご紹介します
2023/04/12 09:00

お客様から設備の導入や更新に際しお困りごとなどを伺っていると、ロスや歩留まりの改善についてご相談をいただくことがあります。
当社でご提供している設備は一台からカスタマイズが可能ですので、お伺いした内容に応じて組み込む部品を追加・変更したり、設計を変更したりしたご提案をしています。

作業場の状況やワークの性質によりご提案は変わるのですが、このコラムでは「投入」と「排出」2つの工程に焦点をあてて、実際にご採用いただいたものを中心にロスや歩留まりの改善につながるカスタマイズをご紹介します。

    ロスの原因別にご紹介

  • 【1】ワークが舞ったり飛び散ったりしてしまう
  • 【2】投入の際にこぼしてしまう
  • 【3】容器から排出しきれない(液残りがある)

【1】ワークが舞ったり飛び散ったりしてしまう

  • ワークの出口と受け容器の距離をできるだけ近づける
  • (粉体ワークの場合)集塵フードを設置する

ワークの出口と受け容器の距離をできるだけ近づける

受け容器の位置や大きさに合わせて配管を伸ばすことで、排出時の飛散を抑えます。
追加で購入するのは配管部品だけで済む場合もあります。簡易的ではありますが、コストが低く手軽に取り入れられる解決策です。


▲ (材料メーカー様採用事例)
容器の真下に伸びる排出口を横側に延長しています。伸ばした配管部分に液残りしないよう傾斜をつけました。


▲ (化学系メーカー様採用事例)
工程を終えたワークを一斗缶に回収するため、排出口の先端を一斗缶の口に入るサイズにしました。

受け容器を配管でつなぎ、排出時の飛散を防ぐこともできます。
(密閉状態の容器に投入すると受け容器に圧力がかかり粉漏れのリスクがあるため、空気抜きを設けます。)

当社でも粉体回収容器というシリーズで、様々な種類の配管に対応した受け容器をご用意しております。

粉体回収容器のラインナップを見る

受け容器の高さが一定ではない・場合により高さを調整したいような工程でしたら、受け容器を低床リフターに載せて位置調整することをおすすめします。
受け容器に入った粉の重量を確認しながら投入量を調節できるように、重量計測機能付きリフターを使用した事例もございます。

事例の詳細を見る

(粉体ワークの場合)集塵フードを設置する

投入先の容器を覆うカバーを取り付け、集塵機と接続することで、舞い上がる粉を回収します。
集塵機で回収した原料は、お客様のご判断によっては再利用することもあります。

製品の詳細を見る

【2】投入の際にこぼしてしまう

  • 投入用ホッパーを設ける
  • 注ぎ口がついた容器を使う
  • 投入の動作をサポートする
  • ステップを設置する

投入用ホッパーを付ける


投入先の容器の蓋を半分開閉できるようにして投入口とする仕様が一般的ですが、蓋に他の機器がついており十分なスペースを確保できない場合もあります。
扱うワークの性質や工場の環境によっては、大きく開放した口からの異物混入を懸念されるお客様もいらっしゃいます。

このような場合には、蓋にホッパーを設置します。
限られた蓋の面積で小さな投入口を設けるよりも、十分な投入のスペースを確保できます。

右の写真は、蓋に設置した投入ホッパーに省力化のための工夫を加えている事例です。一斗缶に入った原料をこのホッパーから投入するのですが、ホッパーに一斗缶を逆さまに置いておける形状にしました。

事例の詳細を見る

投入の動作をサポートする

ある程度まとまった量のワークを扱う場合、扱う原料も多くなり、重たく思うようにハンドリングできないということも考えられます。

原料が入った容器を傾けて次工程に移すような工程の場合は、傾ける動作をサポートするような容器がおすすめです。ハンドリングが安定し確実な投入をサポートします。

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あるいは、バランサーも有効です。作業者はほぼ重量を感じない状態になります。投入する位置と容器を傾ける角度だけを気にすればよいので、安定した状態で投入が可能です。

製品の詳細を見る

ステップを設置する

投入口からの距離が遠いならば、近くで確実に投入ができるようにステップ(踏み台)を設置するのもよいでしょう。無理な姿勢をとった状態より確実に投入できるのでロスも少なく、何より安全に作業できます。

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【3】容器から排出しきれない(液残りがある)

  • 底が傾斜した容器を使用する
  • 容器を反転できるようにする
  • (液体ワークの場合)容器の内面をコーティングする
  • (粉体ワークの場合)排出口を広くする
  • (粉体ワークの場合)ノッカー、バイブレータを設置する

底が傾斜した容器を使用する

底が平らな容器に排出口を付けている場合、どうしても底の滞留が発生します。排出口に向かって傾斜がついている容器を使用すれば、自重で自然に排出されます。

容器を反転できるようにする

中身を掻き出すような作業が必要な場合には、容器を反転できる設計にするのがおすすめです。
人力で反転する必要が無く、作業の省力化にもつながります。

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(液体ワークの場合)容器の内面をコーティングする

粘着性が高い液体の場合、容器の内壁に液残りしてなかなか排出しきれないことも。コーティングは表面の撥水性を向上させ、スムーズな排出を促します。写真は化粧品原料をすくう柄杓の採用事例です。

事例の詳細を見る

(粉体ワークの場合)ホッパーの粉詰まりを解消する

粉体は排出時にかかる圧力で出口が閉塞してしまう「ブリッジ」という状態になることがあります。こうなると全量排出することができず、残った粉体はロスとして扱われたり、次ロットと混ざってしまったりするリスクがあります。
排出口を広くする・ホッパーの下部にノッカーやバイブレータといった機器を設置するといった方法で、粉詰まりを解消できることがあります。

もしくは、ホッパーの下部にノッカーを設置するという方法もあります。

粉体の排出・粉詰まり防止については、こちらのコラムでも詳しく解説していますのでご覧ください。
コラム:「粉が詰まる!」を解消する方法とは? を読む

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容量で容器を選ぶときの注意点
2023/03/06 09:00

ステンレス容器など、何かを入れて使うものを購入する際に重要な「容量」。例えば製造業の方は、仕込み量をもとに容量を決めて容器を選ぶこともあるのではないでしょうか。

製品のカタログなどで単に容量とだけ書いてあった場合、これが満水時の容量なのか、少しゆとりを持たせた容量なのか(どのくらいゆとりがあるのか)気になったことはありませんか?

このコラムでは、当社製ステンレス容器の容量についてと、容器選定時の注意点についてご紹介します。

容量には有効容量と最大容量がある

製品やメーカーによって基準は異なる場合があるかもしれませんが、当社容器での認識は下記になります。

有効容量(容量・貯蔵容量)
例:標準的な使用で目安となる容量、確実に入る容量、蓋やパッキンなどの干渉を考慮してゆとりを持たせた容量 など

最大容量(満水容量・全容量・総容量)
例:満水状態のときの容量。

仕込み量から容器の容量を選ぶときの注意点

容器の有効容量と最大容量の差に注意!

当社で容量としているのは、基本的には有効容量のほうを表していますが、サイズによってはほぼ最大容量であるものがあります。今回このコラムを作成するにあたり当社容器の容量について調べましたが、有効容量が最大容量の○%というような規則性のあるものではありませんでした。

例えば容量を4Lとしている容器(18サイズ/内径180mm×高さ180mm)の場合、4Lの液面は容器の縁から約22mm下の位置にあります。しかし、容量を36Lとしている容器(36サイズ/内径360mm×高さ360mm)の場合、36Lの液面は容器縁から約1mm下の位置なので、ほぼ最大容量と言える量です。

当社製容器の容量一覧はこちらをクリック

※蓋を使用しない場合の容量です。
※公称容量=当社カタログ等に記載の容量

容器サイズ 公称容量
(有効容量)
満水容量
※概算値
容器内径 容器内高 公称容量の液面
(容器上部から)
L L φmm mm mm
18 4 4.6 180 180 22
21 7 7.3 210 210 7
24 10 10.8 240 240 18
27 15 15.4 270 270 7
30 20 21.2 300 300 16
33 25 28.2 330 330 37
36 36 36.6 360 360 5
39 45 45.8 387 390 7
39H 50 56.4 387 480 54
43 65 65.2 430 450 1
43H 70 75.4 430 520 37
47 80 81.3 470 470 8
47H 100 103.9 470 600 22
565 150 150.5 565 600 2
565H 200 225.9 565 900 103
635 300 316.2 635 1000 51
77 400 418.2 770 900 39
77H 500 511.3 770 1100 24
100 750 811.3 1000 1035 78
100H 1000 1066.6 1000 1360 85

蓋が容量に影響する場合がある

実際に入れられる量に関しては、蓋の有無や蓋の形状に大きく影響されます。これは蓋の種類によって容器の縁よりも低い(下に凹んでいる)部分があるからです。

当社の蓋ですとストック蓋【SF】密閉蓋【MF】などが該当します。

仕込み量だけで容器の容量を決めない

仕込み量についてだけでなく、"何に使うのか"を考慮して容器を選ぶと、作業性が向上するなどのメリットがあります。

例えば、容器に入れた液体を撹拌(混合)する場合はどうでしょうか。混ぜ合わせるときに液面が波打ったり、撹拌機で撹拌すると壁面の液面が上昇することが予想されます。

例えば1サイズ大きい容器を採用するなど、容器の容量にゆとりがあれば、多少の波打ちや液面上昇があっても周囲を汚さずに作業できます。以下のような工程があるときも同様に、材料が溢れる・飛散するというトラブルを防ぐことができ、作業性の向上につながります。

  • 液体に材料を投入する
  • 材料を混ぜると発泡したり膨張する
  • 中身を入れたまま容器を移動する

既製品の容器では容量が合わないときの解決策

容量にゆとりのある容器を選んだら、サイズが大きくて使いにくかったり、設備と干渉してしまったりなどの問題が出てくることもあります。そのようなときには特注製作がおすすめです。

フルオーダーすることもできますが、まずは以下のようなコストを抑えたカスタマイズを検討してみてはいかがでしょうか?

希望に近い容器を選んで、高さを変えるだけのカスタマイズ

MONOVATEはステンレス容器メーカーのため、カスタマイズのベースとなる製品が既に存在します。
そのため、希望に近い形の製品を選定して、その高さを変える(=容器の容量を増減させる)カスタマイズができます。
フルオーダーまでのコストや時間をかけなくても、用途や内容物に合わせて有効容量や最大容量を加味した容器を作ることができます。

例えばこのカスタマイズ事例では、高さを高くして容量を変えています。

このカスタマイズ事例では、高さを低くして容量を変えています。

高さに制限がある場合は、内径サイズが1つ上(または下)の容器に変える+高さを変える2つのカスタマイズを組み合わせてご提案しています。
フルオーダーでの製作も多くの実績があります。気軽にご相談ください。

カスタマイズの問い合わせ 

フルオーダーのお問い合わせはこちら

泡立ちを抑える「投入方法」とは?
2022/10/11 09:00

泡立ちは非効率的な作業につながる

泡立ちは、扱うものによっては以下のようなトラブルの原因になります。

  • 不正確な計量(センサーの液面誤検知、目盛りの誤読など)
  • 品質への悪影響
  • オーバーフロー
  • 充填工程に支障をきたす
  • 排出後泡がタンク内に残り、ロスが発生する。洗浄に時間がかかる。

泡が消えないと次工程へ進めない場合、消泡や脱泡といった泡を消す工程をはさんだり、放置して泡が自然に消えるのを待ったりしなければなりません。これは作業の妨げになり非効率的です。

言い方を変えれば、少し泡立ちの量が減るだけでも、作業効率の向上が見込めます。

泡立ちの原因はひとつではない

今回のテーマである「投入による泡立ち」には、複数の原因が考えられます。

  • 内容物の反応により泡が発生する
  • 液面と投入物の衝突により空気を巻き込んで泡立つ   など

今回は液面と投入物の衝突による空気の巻き込みによる泡立ちの対策を、簡単にですが実験します。

ちなみに

撹拌による泡立ちの抑制についても実験をしました。

撹拌実験事例:洗剤vs泡立ちを抑制する撹拌機

実験事例を読む

「泡立ちを抑える投入方法」実験

概要

5Lの水に食器用洗剤を少量混ぜ、タンクへ投入する(原料タンクから次工程のタンクへ投入するイメージ)。その後、液面から泡だけを回収し量を比較。
泡が少ないほど泡立ちにくい投入方法と考えられる。
以下の投入方法を検証する。

  • 蓋を開けて投入する
  • 流入管で投入する
  • 流入管で少しずつ投入する

▲ 流入管とは、液体の投入時に使用する管です。
タンクの壁面に液体を伝わせる構造で、液の勢いを和らげてタンク内に液体を溜めることができます。
今回はホッパー、バルブと組み合わせて使用します。

結果:流入管で泡立ちを半分以下まで抑制

流入管を使用し、少しずつ投入することで大幅に泡立ちを抑制できました。あくまで目視の範囲でですが、蓋を開けて一気に投入した場合と比較して泡の量は半分以下になっています。
投入に時間はかかりますが、泡立ちの抑制としては非常に効果的です。

※写真の撮影角度が異なり液面が不均等なため、若干の誤差があります。

流量を絞らず投入した場合も若干ですが泡立ちを抑えられました。

泡が自然に消えるのを待つのは、非常に時間がかかります。今回の実験でビーカーに回収した泡を2時間ほど放置しましたが、泡が完全に消えることはありませんでした。

原料投入時の泡立ちにお困りの方は「流量を絞りながら流入管で投入する」ことをおすすめします。

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オプションで流入管とバルブを追加可能

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