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最適な撹拌機を選ぶための3つのポイント
2014/09/30 09:00

撹拌機とは

撹拌機(攪拌機/かくはん機)とは、流体や流体と粉体等の混ぜ合わせに使用する撹拌機器のことです。
撹拌機の先につけた撹拌体(撹拌翼/撹拌羽根/撹拌子)を回転させることで、ステンレス容器などに入れた複数の流体や流体と粉体を均一に溶け合わせます。
そのほかにも、撹拌は流体内の固体の沈降防止や化学反応の促進など、様々な目的でおこなわれています。

一言で撹拌といっても、その用途や内容物に応じて、それぞれに適したさまざまな撹拌機があります。この記事では撹拌機の違いや選ぶ際のポイントについてご説明します。

撹拌機を選ぶときの3つのポイント

撹拌機を選定する際には、3つのポイントに着目します。

①容器・・・どのような容器で撹拌するのか?

  • 撹拌容器の形状(汎用容器/密閉容器/加圧容器)
  • 取り付ける箇所(クランプ/ヘルール/フランジ等)
  • サイズ(内径や内高)

②内容物・・・撹拌したいものはなにか?

  • 内容物の粘度や比重
  • 撹拌する量(L)

③目的・・・どういう撹拌をしたいのか?

  • 「液+液」や「液+粉体」など
  • 均一な混合/沈降防止/希釈/反応など
  • 高い衛生管理が必要かどうか

 

上記の3点を検討したのち、a.駆動方式 b.取り付け方法 c.撹拌体を決定し、撹拌機を選定します。

撹拌機の構造とは

撹拌機は大きくわけて4つの部分から構成されており、撹拌機によってその仕様は異なります。

モータ:撹拌機の駆動を司る部分です。
取付部:撹拌機をタンクなどへ取り付ける部分です。
シャフト:モータと撹拌体をつなぐ軸の部分です。
撹拌体:内容物を混ぜる部分です。

a.駆動方式から撹拌機を選ぶ

撹拌機には以下の3つの主要な駆動方式があります。

  • 電気モータ式
  • エアーモータ式
  • マグネット式

使用される環境や撹拌の目的によって選定します。

電気モータ式

電気モータで作動する、撹拌機の一般的な駆動方式です。研究室から生産設備まで、幅広い分野で使用されています。
電源は100Vと200Vがあり、100Vはコンセントで手軽に使用できます。
インバーターを取り付ければ回転数を変えることもできます。
撹拌目的や使用環境により、電源やモータの容量など様々な撹拌機があります。

エアーモータ式

圧縮エアーで作動する撹拌機です。電気モータ式に比べ、小型・軽量でパワーがあります。
モータの回転時にスパーク(火花)が発生しないため、防爆環境での使用や機器の防爆構造が求められる場合に使用します。
供給エアーの圧力やスピードコントローラーを調整することにより回転数やトルクを制御します。
エアー配管またはコンプレッサーが必要となります。

マグネット式

強力なマグネット継手で撹拌体を回転させる撹拌機です。サニタリー性やクリーン度が求められる場合に使用します。
貫通軸がないため、容器を密閉した状態での撹拌も可能で、軸シール部からのコンタミ防止や容器内の洗浄が容易です。
モータ部と撹拌部が分離できるため、撹拌翼を取り付けしたまま洗浄できます。

電気モーターとエアーモーターの違いとは?

電気モーターとエアーモーターの違いについては、こちらのコラムで詳しくご紹介しています。

b.取り付け方法から撹拌機を選ぶ

撹拌したい内容物や容器の形状に合わせて撹拌機の取付方法を選びます。取付方法には、大きく以下の3タイプがあります。

  • 可搬型:取り外しが簡単なポータブルタイプ
  • 竪型:容器の蓋に取り付ける固定タイプ
  • 下部型:沈降防止タイプ

可搬型・・・取り外しが簡単なポータブルタイプ

 

クランプを締めて取り付ける撹拌機です。
持ち運び・取り付け・取り外しが簡単なので、1台の撹拌機を複数の容器に使うことなどもできます。
弊社のステンレス容器には、撹拌機が取り付けできるカクハン機座付きの製品があります。
撹拌状態に合わせて撹拌体の位置を調整できます。

撹拌機PO(可搬型)製品詳細はこちら

専用架台や専用リフターもご用意できます

容器に直接取り付ける以外にも、容器の仕様や用途に合わせて様々な使い方ができます。
撹拌機が大型で重い場合は、専用のリフターを用意することで簡単に昇降させることができます。

竪型・・・容器の蓋に取り付ける固定タイプ

 

密閉容器や加圧容器で内容物を撹拌する際には竪型の撹拌機が最適です。
簡単に着脱可能なへルール接続から、大型のSUS容器(ステンレス容器)や撹拌機などで使用されるフランジ接続など、用途に応じて選定します。
ステンレス容器蓋への取り付け位置と撹拌体により撹拌方法が変わります。

撹拌機SD(竪型)製品詳細はこちら

下部型・・・沈降防止タイプ

内容物の沈降防止用として最適です。
液量が少なくなっても撹拌したい場合や、蓋に撹拌機が取り付けできない場合におすすめです。
マグネット式の撹拌機の場合は軸シール部が無いので、容器を密閉(シール)させたままで撹拌ができます。
撹拌体を簡単に外せるので、洗浄に手間がかかりません。

撹拌機BO (下部型)製品詳細はこちら

密閉したまま撹拌できる竪型撹拌機

下部型は容器を密閉したまま撹拌できるのが特長ですが、竪型でも密閉状態で撹拌できるものがあります。

MONOVATEオリジナルの撹拌機であるベルヌーイ流撹拌機(NTMシリーズ)は容器を密閉したまま撹拌できるとともに、軸シール部から生じた摩耗粉を受け止めるゴミ受けを搭載しているなど、サニタリー性に優れています。

撹拌と混合の違い

混ぜ合わせ溶かし込むものによって呼び方が変わります。一般的には、流体と流体、流体と粉体などの場合は「撹拌」、粉体や固体などの場合は「混合」と呼んでいます。このページでは「撹拌」に統一して表記しています。

混合する場合には、容器ごと回転できる「ロータリードラムミキサー【RODM】」が便利です。

c.撹拌体(撹拌翼)を選ぶ

撹拌するものの粘度や撹拌の速度などに応じて、撹拌体の形状を選びます。

ここでは以下の5種類をご紹介します。

  • パドルタイプ:放射流
  • プロペラタイプ:強力な軸流と循環流
  • 2段取付タイプ:撹拌効率アップ
  • アンカータイプ(錨型):高粘度に対応
  • ベルヌーイ流撹拌体 BEAG E型:遠心力を利用
  • 特殊形状(その他)…特殊な内容物に対応

パドルタイプ・・・放射流

形状:撹拌翼2~4枚。カヌーの櫂のような形状をしています。

目的:主に固体と液体の撹拌時に低速で使用されます。

動作:放射流(外側への流れ)が特徴です。

プロペラタイプ・・・強力な軸流と循環流

形状:撹拌翼が3枚。撹拌翼の中で最も汎用性が高く、一般的に使用されている撹拌翼です。

目的:主に液体の撹拌時に中速で使用されます。

動作:強力な軸流(下への流れ)と循環流が特徴です。

2段取付タイプ・・・撹拌効率アップ

形状:パドルタイプやプロペラタイプなどの撹拌翼を軸に2つ以上取り付けしたものです。

目的:大量に撹拌するときや、混ざりにくい内容物の撹拌時に使用します。

動作:パドルタイプやプロペラタイプと同様です。

POINT: 小さな力で撹拌効率を上げるためには、翼の大きさを変えずに翼を複数段にします。

アンカータイプ(錨型)・・・高粘度に対応

形状:イカリ(錨)のような形(U字形状)をしています。

目的:容器壁面まで撹拌ができ、高粘度や高濃度の内容物の撹拌に適しています。中~低速で使用されます。

動作:容器壁面に残る内容物も強制的に動かします。

ベルヌーイ流撹拌体 BEAG E型・・・遠心力を利用

形状:撹拌翼やパドルがない撹拌体です。

目的:空気を巻き込みにくく、ボルテックスや泡の発生を抑制します。

動作:遠心力により上昇流と下降流を発生させて水平に吐出し、様々な角度の液流が生まれ均一な撹拌を実現します。

> この撹拌体を搭載した撹拌機はこちら

特殊形状・・・特殊な内容物に対応

特殊な内容物の撹拌の際に選定します。

形状:H型パドル・タービン・コーン・スクリュー・リボンなど。

目的:固体の溶解、高スラリーの分散・撹拌など特殊な内容物・用途に使われます。

動作:低速~高速・乱流・上下流・せん断流など、内容物に応じて決定します。

ステンレス容器に最適な撹拌機をご提案いたします

撹拌機とステンレス容器を組み合わせた製品の製作実績があります

用途や条件、ご要望等に最適な組み合わせの製品を1品からオーダーメイドで設計・製作いたします。
今までの実績の中から一部をWEBサイト上で公開しておりますので、ぜひご覧ください。

撹拌機が付属する容器の事例を見る

 

ユニット製品例:ベルヌーイ流撹拌機付 ヒーターユニット

ヒーターと撹拌機を併用することで、内容物を均一に昇温させることができる製品です。
ご希望の容量にカスタマイズすることも可能です。

詳しい製品情報を見る

 

お気軽にお問い合わせください

MONOVATEでは、ステンレス容器の製作だけでなく撹拌機の選定も同時に行い、「撹拌容器」として医薬・化粧品・化学・食品など様々な分野の工場・研究室に多数納入しています。
「どの撹拌機が一番適しているのかわからない」「ステンレス容器と一緒に見積もりしたい」等、疑問や質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください!

相談する

実は身近なシール部品の違いと特性
2014/09/01 09:00

機械や設備、部品などを陰ながら支えている ガスケット パッキン ・・・。
この2つの違いとは何か? よく使用される材質とその特性もあわせて解説します!

この記事でわかること
  • 「シール」ってなに?
  • ガスケットとパッキン、Oリングの違いとは
  • シールに使われる材質には何があるの?
  • 最適なシール材質を選ぶポイントとは

シールとは

シールとは、内容物の漏出防止や内部への異物の侵入を防止する部品(素材)のことです。
弊社ステンレス容器をはじめ、機械や配管、設備の接続部など幅広い分野で使用されています。
普段目にすることがあまりない部品ですが、自動車や家庭の機器や蛇口など、実はとても身近なところで活躍しています。

シールの種類

シール部品の中でよく使われているのが、「ガスケット」「パッキン」「Oリング」などと呼ばれるものです。
しかし、同じ部品でも「ガスケット」と「パッキン」の2つの呼び方をする場合があります。
なぜ呼び方が違うのか?と疑問を持つ方もいるかと思いますが、実はこの分類分けにはちゃんとした理由があります。

ガスケット…固定用シール

ガスケットはシールの中でも部品や配管などの接続部(静止部分)の密封に使用されるもので、接続部に合わせた様々な形状・厚み・材質があります。
ガスケットを接続部の間に挟めてボルト等で固定し、接続部の隙間を塞ぐことで内部を通る流体の漏出や異物混入を防止します。
漏出やガスケットの劣化を防ぐためには、使用環境や流体の性質と相性の良いガスケットを選定する必要があります。

flange-p_000
フランジ用ガスケットの例
frange-p-frange
接続部の間に挟みシールします
flange-p
フランジの例

その他のガスケット

|シールテープ

材質は耐熱性・耐薬品性に優れたPTFEです。
「シール用四ふっ化エチレン樹脂未焼成テープ」 とも呼ばれ、白色で薄いテープ状のガスケットです。
ネジやバルブを取り付ける際、ネジ山などに巻き付けて取り付け(ねじ込み)します。

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|液状ガスケット

液状なので一般的な固形のガスケットに比べ、厚みの計算などが不要です。
塗布面の状態や液の性質など、使用環境に最適な材質を選定します。

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パッキン…運動用シール

(※弊社では、弊社容器に使用されているものをパッキンと呼んでいます。)
パッキンはシールの中でも繰り返し着脱したり、回転や往復運動などの部分の密閉に使用されるもので、装着部分や目的に応じて非常に様々な種類があります。
パッキンの中でも運動部分と接している場合は接触シールと呼ばれ、機械部品のオイルシールやポンプ部品のグランドパッキンなども接触シールに分類されます。

ステンレス容器へのパッキン取り付け例(A型パッキンの場合)

カラーパッキンの3大利点

|混入対策になる
万が一、内容物などにパッキン片が混入しても、色付きなので発見しやすくなります。?

|内容物の管理ができる
内容物の種類や時期などに応じて、パッキンの色を変えて識別することができます。?

|専用パッキンとして使える
においの強いものには特定の色のパッキンを使うなど、移香対策としても活用できます。

A型カラーシリコンパッキン【PQA-RE/PQA-BL/PQA-GR】

PQA-D_01

Oリング…ガスケットにもパッキンにもなるシール

主に部品などの溝に設置します。断面は円形で、気圧や水圧などの圧力を利用して流体をシールする自封作用が特長です。
Oリングは固定用と運動用のどちらでも使用されており、ステンレス容器では圧力容器などに取り付けています。
一般的な蛇口にも使われているので、蛇口が水漏れしているときにOリングを交換したことのある方もいるかもしれません。
材質はNBR(ニトリルゴム)が最も一般的ですが、使用環境や流体に合った最適な材質を選定できます。

CTHW_000

oring-nbr_000
oring-side
上:Oリング例 下:断面図
pcn-o-img_000
圧力容器の例
pcn-oring1_000

Oリングの仕組み

①溝にOリングをセットする
 
o-1
②Oリングの反発力で内側にある流体がシールされる
 
o-2
③流体の圧力でOリングが溝に押し付けられ、よりシールされる
 
o-3

シールの材質

シール部品として使用されている材質(ゴムや樹脂)を紹介します。

シリコーンゴム -Silicone rubber- (弊社名:シリコン)

シリコーン樹脂のゴム状のもので、半透明なため様々な着色が可能。
シール材以外にも防振ゴムや製菓用などの型、電気絶縁用や人工心肺膜などの幅広い分野で使用されており、私たちのとても身近にあるゴム材です。

◆特性◆  耐候性や耐老化性、高い耐寒性

フッ素ゴム(FKM) -Fluorocarbon rubber-

フッ素含有のオレフィンを重合して作られる合成樹脂。
ロケット等のパッキンやポンプ部品、チューブやホースにも使用されています。

◆特性◆ 最も高い耐熱性を持つなど物理的性質に対して優れている

クロロプレンゴム(CR) -Polychloroprene rubber-

クロロプレンの重合により作られる合成ゴム。
天然ゴムに比べ耐候性や耐油性、耐薬品性に優れており、加工が容易なため、ウェットスーツやベルトコンベヤーにも使用されています。

◆特性◆ 物理的性質や耐薬品性など平均した性質

ニトリルゴム(NBR) -Nitrile butadiene rubber-

合成ゴムの1つで引っ張り強度や耐摩耗性に優れている。
自動車をはじめとする工業用品やゴム手袋にも使用されています。

◆特性◆ 耐薬品性や耐摩耗性、耐老化性

EPT -EPM=Ethylene-Propylene copolymer rubber / EPDM=Ethylene propylen diene rubber-

合成ゴムの1つで、特に耐オゾン性、電気の絶縁性に優れている。
電線などの絶縁材料をはじめ、公園の遊具や地面などにも使用されています。

◆特性◆ 耐オゾン性、極性液体に対する抵抗性や電気的性質、耐候性

PTFE -Polytetrafluoroethylene plastics-

フッ素原子と炭素原子のみのフッ素樹脂で化学的に安定している。
耐薬品性に優れ、また最も摩擦が少ない(すべりやすい)物質で、工業用品、フライパンのフッ素コート、東京ドームやスタジアムの屋根にも使用されています。
成型は溶解での成型ができないため、粉末を圧縮・加温して成型します。

◆特性◆ 非粘着性、非濡性、耐熱性、耐薬品性など他の材質より優れている

その他

導電性シリコーンゴム

シリコーンに導電性材料を配合した合成ゴム。他の導電ゴムに比べ耐候性や耐熱性、耐寒性などに優れており、よりクリーン性を求められる分野にも使用できます。

その他の材質

導電性フッ素ゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、天然ゴムなどがあります。

材質の選定方法

材質の選定を誤ると本来のシールの役割を果たせなくなるだけでなく、早期劣化したり、異物混入の原因になる恐れがありますので、使用環境や接触する物質に適した材質を選ぶことが重要です。
また、使用場所によっては食品衛生法適合などの適合材質である必要があります。

食品衛生法

飲食による衛生上の危害の発生防止、公衆衛生の向上や健康の保護を目的とした法律。飲食品だけではなく食品に関係する機械や容器、包装、表示など幅広い対象について適合基準等を規定しています。

特性で選ぶ

材質の持つ特性から選定します。物理的性質、耐油性、耐溶剤性、耐薬品性など様々な特性から最適な材質を選定します。

パッキンの特性一覧表

Chemicalresistancetablep_003

テストして選ぶ

シール部品の耐性や薬品などでの影響の有無を確かめたい場合はサンプルなどでテストをします。

テストの例)

接触する薬品のサンプルに、シール部品を浸す / 同じ使用環境を再現する etc・・・

シール部品の選定ポイント

  • ?目的に合った最適な形状か(規格品使用 / 特注製作)
  • ?接触する物質と相性が良い材質か(耐薬品性など)
  • ?使用環境に適している材質か

ステンレス容器に最適なシール部品をご提案いたします

「どの形状や材質が一番適しているのか分からない」「容器と一緒にオーダーメイドしたい」等、疑問や質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください!製作した場合の金額等も無料でお見積もりいたします。

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