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バフ研磨はしないほうがいい?ステンレス容器メーカーのこだわりとは

2022.2.9

ステンレス製品の最後の仕上げに行われることの多い「バフ研磨」。一般的に、ステンレスの表面がぴかぴかになっているのはバフ研磨をおこなっているからです。

バフ研磨を行うと、加工時についたバリや傷を除去したり、表面の平滑度を向上できます。とても綺麗な見た目に仕上がるため、バフ研磨を行うことが一般的です。

しかし、綺麗なのはあくまでも「見た目」。基本的にはバフ研磨をしないほうが、綺麗な状態を保てるのです。この記事ではその理由と、日東金属工業のこだわり・考え方についてご説明します。

1. バフ研磨は「しないほうがいい」

1.1. そもそも「バフ研磨」とは

バフ研磨はステンレスの表面を仕上げるために行われる、一般的な研磨方法です。綿やフェルトでできた円盤状の「バフ」を高速回転する工具などに取り付け、ステンレスの表面に回転させながら当てて研磨します。

この目的は、主に表面を綺麗にするためです。加工時についたバリや傷、汚れなどを除去し、表面を滑らかにします。また、表面がピカピカになるため、見た目を良くする観点からも最終仕上げに行われることが多い研磨です。

研磨の粗さ(細やかさ)を表す際には、「番手」と呼ばれる数字で区別することが多いです。一般的に数字が大きくなるほど目が細かくなり、ステンレス表面の光沢が強くなります。特に、800番のバフ研磨は鏡面加工と呼ばれ、鏡のような光沢が生まれます。

1.2. バフ研磨にはデメリットも

その一方で、バフ研磨にはデメリットもあります。バフ研磨は表面をピカピカにしますが、実際には必ずしも綺麗にできているわけではありません。

バフ研磨をする際には、バフに「研磨剤」と呼ばれる磨き粉のようなものを塗布します。すると、この研磨剤の油がステンレス表面の目に見えない細かな傷に入り込んでしまうのです。

もちろん、研磨後に洗浄を行いますが、この油を完全に除去することは難しいのが現実です。一般的にはこうした残留物が何かに影響を与えることはありませんが、製薬工程等の特にサニタリー性が求められる現場では好まれません。

2. バフ研磨したステンレス表面を見てみると

では、バフ研磨したステンレスとそうでないものとでは、その表面にどれだけの差があるのでしょうか。目視で確認することはできないので、走査電子顕微鏡(SEM)を使って撮影したステンレス表面の写真(SEM画像)を見てみましょう。

2B材 研磨前

2B材 #320バフ研磨

上掲の画像は、一般的に使用されることの多い「2B材」のステンレス表面を写したものです。バフ研磨をすると、もともとあったウロコのような凹凸はなくなりますが一定方向に長い傷がつきます。画像上に見える黒い斑点は研磨剤等の汚れで、研磨により生じた表面に残存してしまうことがわかります。

一方で、この画像だと「研磨剤は多少残るかもしれないけど、バフ研磨をすることで圧倒的に綺麗になっているんじゃないの?」とお感じになる方もいらっしゃるかと思います。しかし、これはあくまで一般的に使用されることの多い「2B材」を写したもの。当社で主に使用している「BA材」で比較してみると、どうでしょうか。

BA材 研磨前

BA材 #320バフ研磨

ご覧のとおり、研磨後のほうが傷が増えてしまっていることがわかります。研磨前では深い傷や目立つ凹凸がなかったのに対し、研磨後は明らかに傷が増えてしまっています。また、そこに研磨剤等の汚れ(黒い点)が残存していることもおわかりいただけるでしょう。

3. 日東金属工業のバフ研磨

日東金属工業では、特別注文したBA材を中心に使用し製品を生産しています。BA材は光輝焼鈍(Bright annealing)という無酸化雰囲気にて熱処理したもので、表面に酸化スケールが生じず、非常に細かい表面粗度を持ちます。2B材よりもグレードの高い材料で、鏡のような光沢が特徴的です。

BA材のライト写り込み例

2B材のライト写り込み例

先ほどの画像でご覧いただいたとおり、当社で使用しているBA材はそのままの状態が一番綺麗です。バフ研磨をすると表面に傷がつき、そしてそこに研磨剤等が残存してしまいます。そうした研磨剤は、ルージュなどの原因になることもあります。

そこで当社では、極力バフ研磨をしないことをこだわりとしています。バフ研磨はあくまでも加工跡を除去する目的で、限られた範囲にのみ施します。下の画像のとおり、バフ研磨を施すのは容器全体のうち約6.5%に過ぎません(通常の容器の平均)。

一般的なバフ研磨

日東金属工業のバフ研磨
研磨跡

素材の段階から研磨の必要がない高品質なものを厳選し、極力傷をつけずに加工する。そして、求められる品質を満たすために必要な最低限の研磨を施し、オンリーワンの品質で提供する。これが当社の矜持です。

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